<ある日の風景~クラブ・チアキング~>
シン 「……俺を連れて来たかったとこってここですか? あの、なんかクラブみたいなんですけど、場所間違ってません?」
あずさ「うふふ、大丈夫ですよ~。ちょっと迷ってしまったけど、ここであってるわ」
シン 「(三時間近くがちょっと……)でも俺お酒は飲めませんよ?」
あずさ「心配しなくてもジュースやお茶くらいならあるはずよ。それじゃ、おじゃましま~す」
――カランカラン。
キング「はいよー、いらっしゃ……お~、あずさじゃ~ん! ジューシーポーリーイェーイ!」
あずさ「JPYです~」
シン 「じゅ、じゅーしーぽーりーいぇい……?」
キング「ヘイヘイそこの少年、ノリ悪いよー? イェイが足りないもう一回!」
シン 「じゅ、ジューシーポーリーイェイ!」
キング「いいねー、グッドよグッド」
シン 「はぁどうも……じゃなくて! なんですかそのジューシーだのポーリーだのイェイだのって!?」
キング「ん? ジューシーはチェケラッチョなお兄さん的にイケてるって意味。ポーリーはほら、パーティー
って本場だとポーリーって聞こえるじゃん? で、イェイはイェイ」
シン 「……さっぱり意味がわかりません」
あずさ「こ、ここの挨拶みたいなものなのよ」
キング「んで、久しぶりに会えたのはいいけどこの子誰? ひょっとしてあずさの運命のアレ?」
あずさ「ち、違います! 何回か話したマネージャーの子です!」
キング「おーおー、その子ね。シン君だっけ?」
シン 「そうですけど……あの、あずささん。この人は?」
あずさ「このクラブ・チアキングのママさんよ。私はチアキングママさんって呼んでるわ」
キング「あたいのことは気軽に『キング』と呼んでおくんな」
シン 「……チアキングママさんですね」
キング「あーずーさー、なんかこの子ノってくんないよ~?」
あずさ「ま、まぁその……チアキングママさんのノリは独特ですから」
キング「残念だよ残念無念だよ。まぁいいや。で、何飲む?」
あずさ「それじゃあ私はいつものものを。シン君にも何か……」
キング「オッケーオッケー。ほら少年、テキーラ飲めテキーラ」
シン 「未成年に何飲ませようとしてんだよアンタはっ!?」
キング「――でさ、あずさってば告白されたその日の内に別れちゃったんだよねー」
あずさ「ち、チアキングママさん!? なんでそんなことまで教えるんですか!?」
キング「しかも告白されて一言も喋れなくなったのが原因だってーのよ、どう思う?」
シン 「いやどう思うって聞かれても……」
キング「不憫でしょー? お嫁にもらってやんな?」
シン 「話がぶっ飛びすぎてる!?」
あずさ「や、やめてください! 私の運命の人は、私がトップアイドルになって見つけるんですから!」
キング「乙女心MAXな夢もいいけどね、幸せの青い鳥は案外近くを飛んでるかもしんないよ?」
あずさ「え?」
キング「あずさは鈍いからねー。あと優しいから誰かに遠慮して気付いてないってのもあるけど」
あずさ「そ、それってどういう……」
キング「早いとこ見つけないと幸せのが飛んでっちゃって皺寄せの青い鳥が来るかもよ? なんつって」
――ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……
シン 「…………」
あずさ「…………」
キング「……ちなみに今のは、『幸せ』と『皺寄せ』をかけたギャグっていう」
シン 「説明すると寒さがさらに三割増しに!?」
キング「へん! いいのよいいのよ! あたいはサムカワ系だから! エロカワに対抗してサムカワイイ」
シン 「どのあたりに可愛さが」
キング「っと、二人ともそろそろ時間危なくないかい?」
あずさ「あ、あら? いつの間にこんな時間に……」
シン (ほとんどママさんの話で潰れた気が……)
キング「また暇があったらいつでもおいでませだよ。シン君も気軽に来ていいから」
シン 「いや一人じゃちょっと……」
キング「分かってないねー、あたいに会うって口実であずさを誘えばいいじゃんって言ってんの」
あずさ「チアキングママさん!?」
キング「あっはっはー! またおいでよー! ジューシーポーリーバーイ!」
――カランカラン。
シン 「……なんというか、いろいろ凄い人でしたね」
あずさ「わりと付き合いは長い方だけど、ずっとあんな感じなのはある意味見習うべきところなのかもしれないわね~」
シン 「とりあえず急がないと終電に間に合わないから急いで……あずささん?」
あずさ「……ねぇ、シン君。私って幸せの青い鳥に気付いていないのかしら?」
シン 「青い鳥って、さっきの話ですか?」
あずさ「たしかに私は周りから鈍いって言われることが結構あったから……ちょっと気になって」
シン 「俺にはよくは分からないですけど、少し視野が広がったら今まで見えなかったものが見えるかもしれませんよ」
あずさ「視野?」
シン 「心の余裕っていうか……すいません、うまく説明できないですけど。俺も似たような経験あるんで」
あずさ「心の、余裕……」
シン 「あ、すいません。なんか生意気なこと言っちゃって」
あずさ「ふふっ、いいですよ~。ちょっとだけ参考になったような気もするから」
シン 「それならいいですけど……あっ!? で、電車の時間!?」
あずさ「あらあら~」
シン 「あらあら~、じゃないですよ! ほら早く行きますよ! 手引っ張っていきますからね!」
あずさ「わかりました~……うふふ」
――これから数か月後、とある事務所のとあるマネージャー争奪戦にとあるアホ毛を持つアイドルが参戦する
ことになるのだが、それはまた別の話である……
最終更新:2009年03月30日 12:27