<ある日の風景~貴音とおみくじ~>

<ある日の風景~貴音とおみくじ~>

シン 「次の仕事まで少し時間があるな。どこかで時間潰すかな」
貴音 「…………」
シン 「あれ? あの銀髪って……おーい、貴音!」
貴音 「はい……? まぁ、あなた様は765プロの」
シン 「奇遇だな、こんなところで会うなんて」
貴音 「そうですね……いつもは敵として相対する者同士とこうして休日に出会う、奇妙な縁です」
シン 「う、うん。まぁちょっと大げさな気もするけど。それで何をしてたんだ?」
貴音 「えぇ、大したことではないのですが……あの神社を見てふと四条の屋敷を思い出したので、つい立ち
止まって眺めてしまったのです」
シン 「神社? あぁ、あそこの」
貴音 「神社は数あれど、かような雰囲気を持つ場所はそうは見ることはできませんから」
シン 「ふぅん……それじゃあ行ってみるか?」
貴音 「はい?」
シン 「いやすぐそこだし、そんなに立派な場所ならただ見ているのも損じゃないか? あ、それとも何か予定
    があるとか?」
貴音 「いえ、今日は特にこれといったものはありませんが……」
シン 「じゃあ一緒に行こう。俺も少し時間持て余してるし」
貴音 「……強引ですね」
シン 「そうか?」
貴音 「まったく、あなた様は真に面白い方です」
シン 「……ひょっとして馬鹿にされてる?」
貴音 「褒め言葉、ということにしておきましょう。それでは、参りましょうか」
シン (……? まぁ楽しそうだからいいか)

シン 「…………」
貴音 「やはり境内に入ると空気も変わりますね。とても心地が良いです」
シン 「そういうものなのか? 俺は全然わからないけど。ただ静かなとこだなってことくらいしか」
貴音 「間違ってはいません。静かだと感じるということは、俗世と切り離された空間である、ということですから」
シン 「そんな単純なのでいいのか?」
貴音 「そも、情緒というものはそれほど複雑なものではありません。数多の言葉を重ねようとも、何よりも
    重要なことは何を感じたかということに尽きます」
シン 「なるほどな……ん? おみくじがあるな」
貴音 「おみくじ、ですか。名前は聞いたことはありますが」
シン 「え? やったことないのか?」
貴音 「はい……恥ずかしながらまったく」
シン 「じゃせっかくだしやっていくか」
貴音 「よろしくお願いします」
シン 「いやそんなかしこまるようなもんじゃないから!」
シン 「小吉か……またえらく微妙な。貴音はどうだ?」
貴音 「――――きょう」
シン 「え?」
貴音 「凶、でした」
シン 「あー……」
貴音 「おみくじというものは、回数に限りがあるものなのですか?」
シン 「い、いや……そういうのは聞いたことないけど」
貴音 「ならばもう一度!」
シン 「やるの!?」

 ――そして5回目のチャレンジ。

貴音 「吉、ですか。ようやく、ようやく会えましたね……」
シン 「何だか今にも感動的な曲でも流れそうな雰囲気で悪いんだけどさ」
貴音 「はい? なんでしょうか」
シン 「この凶のくじどうする?」
貴音 「…………」
シン 「しかも4枚」
貴音 「…………祓って、もらいましょう」
シン (大丈夫なのか……?)

 そして、「おみくじはそんなに引くものじゃない!」とお叱りを受ける二人だった。

貴音 「……いろいろとありましたが、とても有意義な時間でした」
シン 「あぁ、またこんな風に会えるといいな」
貴音 「そうですね……そうすれば私も、いつものように敵として向かい合うこともなく気が楽になるのですが」
シン 「え?」
貴音 「いえ、これは私の弱さですね……シン・アスカ、次会うときは私たちの戦場――オーディションです。
    そのときは此度のように接することができるとは思わないことです」
シン 「貴音……」
貴音 「それでは、ごきげんよう」
シン (なんか寂しそうな感じだったな……いったいなんなんだ?)

 この時はまだ、シンは彼女の背負った使命の重さなど知る由もなかった……





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最終更新:2009年03月30日 12:33
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