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運命の担い手と万条の仕手その2

その日、学校では一つの噂が流れていた。

「なあ、悠二、知っているか?」
メガネマンこと池速人が、校門を少し前にしたところで、悠二に話しかけていた。
「知っているって、何がさ?」

「転校生だよ」
「転校生?」
高校では転校生というのは、『非常』と言ってもいいぐらい、珍しい事だ。

そういや、シャナも転校生みたいなものだよな――と、今では少し昔の事を悠二は考えながら、
池に詳細を聞いた。

「珍しいよな……この時期なんかに転校生だなんて」
「7月だなんて微妙な時期に転校生だなんてな」

その時、平井ゆかり――シャナが微妙な顔をしていた事に気づいた。
「あれ、シャナ。どうしたの?」

「……もしかしたら、あの人かもしれない」
「シャナは知っているの?」

余計に微妙な表情をした。
何かあったのだろうか、と思いながら、なんとなく3年生の教室の窓を見る。

……と、その時。
誰かと目が合った。

最初、絵に描かれた、漫画の美少年かと思った。
が、違う。

実在している。
その肌は白い食器みたいに、でも柔らかさがある。
顔は整っている。そして、黒い髪の毛は寝癖で少し荒れていたが、ちゃんと質がある。

が、目を引いたのはその赤い眼。
肌と対称となってるかのような、シャナとは違った赤い眼。
まるで、鮮血のような眼。でも惨さは無く、ちゃんと健康的な色をした眼だ。

そんな人が、手を振ってきた。

「……誰?」
とりあえず、悠二は手を振り返す。
シャナも知り合いだから、手を振るかな――と悠二は思ったが、
無視していた。

どうやら、知り合って間もないようだ。

「なあ、悠二。あの人誰だ?」
池も悠二に不審に思いながら聞く。
悠二には、適切な答えが無かったので

「……多分、転校生?」

と、答えた。
証拠は、あんな人今まで見なかったからだ。

―――


その昼。

「誰だったのだろうなぁ……あの人」
「どうしたの?悠二?」
悠二達が、いつものメンバーで弁当を食べている時、あの手を振ってきた人について疑問を呈した。
もちろんその場にはシャナが居るが、一向に詳細を話してくれない。
聞こうとしても顔をぷいっと向けるだけ。そして一言

「ただのすけべ」

いったい何があったのだろうか、いきなり扉を開けて裸の姿でも、見られたのだろうか。
過去の自分みたいに。
と、その時を思い出し心の中で苦笑しながら、返事をする。

「ああ、緒方は確か見てないんだっけ」
「そういやあの場には吉田さんと緒方、田中と佐藤は居なかったんだっけ」
池も相槌を打ちながら、あの場の状況を話す。

池と悠二とシャナ3人に、手を振っていたあの少年――いや、青年と言ったほうがいいだろうか。
顔は少し幼いところはあった気がするが、落ち着いた風格を持った少年。
第一印象はそんな感じだった、と皆に話す。

「あー……その、赤い眼ってもしかして」
「その、飛鳥真さんの事ですか?」
吉田がその謎の青年の名前を明らかにする。

「飛鳥真?」
「う、うん。他の国の人とのハーフなんだって」
ハーフとは、どうりであの赤い眼とあの美をつけれる少年の容姿があるわけだ。
とそんな事を考えながら、もう少し詳細を聞く。

「あの人、三年生?」
「そうみたいねー、先輩も凄くいける美少年が来たって言ってたね」
緒方も少し納得した顔で頷く。
今頃3年生の教室では質問攻めなんだろうな、と考えながら、
とりあえず佐藤を見る。

周りを見てみると、何故か佐藤を見ている。

「……いや、なんで俺を?」
「いや、お前そういや美はつけてもいいとか言われてたなーって思って」
「だね、あはは」
池も少し笑いつつ、田中の言葉を同意する。
閑話休題

そんなことを話しながら、ふと、悠二はシャナを見る。
何か少し嫌な顔をしながら、教室の廊下のほうの窓を見ていた。

廊下のほうが騒がしい。と感じていた。
けど、これって――?教室で、質問攻めを食らっているかと思っていた。

その話題にあがっていた少年が廊下でこちらを見ている。
最初はシャナを見ているかと思った、が違うと思った。

明らかに悠二を見ている。
それを悠二は感じた。

―――

数分前。

「はぁ……あいつら、なんなんだよ」
そう、ちょっと疲れた顔をしながら、ジュースをゴミ箱に捨てる飛鳥真――こと、シン・アスカ。
曰く、どこから来たのか。どこかお茶しないか、外人とハーフなのか、とか。

一応、予め与えられていた情報をそのまま返していた。
外人とのハーフだ、とか。本当はそうではない、オーブのコーディネーターなのだが。

と、ちらっとオーブの事を思い出しながら、
監視対象の悠二が居る教室に向かう。接触する為だ。

本当は、悠二には接触しないほうがいいだろう。
が、シンにはそれは出来なかった。

紅世に関わり、日常を奪われた少年。
その姿が過去の自分と状況が似ていると感じたのだ。

自分だったら、絶望するだろう。『存在』そのものが無くなるのだから。
零時迷子があったとしても、もう二度と戻れない日常を想いを寄せるだろう。
大切な人が奪われたなら、昔の自分なら、自分の無力さを恨んで力を求めるだろう。

だが、あの少年は違った。
過去の履歴を、外界宿で見た。

あの少年は、最初は絶望をしていただろう。
だが、その後の行動は絶望をしていたのかといわれれば、そうではないと言える。

炎髪灼眼の討ち手に協力をする。
自分ならそれどころではなく、それどころか距離をとるだろう。戻れない日常に距離を近づかせるだろう。
協力をするどころか、炎髪灼眼の討ち手と共にいくつかの紅世の従、紅世の王を退かせたり、
フレイムヘイズの言葉で言うと『討滅』すらさせている。

そんな彼を知りたくなったのだ。
シン本人は、これは甘ったれたことだと分かっていながら――



見てみるとその監視対称であり、知りたい人間の悠二が居る。

が、それより

何故、あの少女が居るんだろうか。
シンはそんな事を考えた。あの一件以来、嫌われた少女が居た。

憂鬱になる。
あの少女の前で話すとなると――いや、そもそもあまり話した事は無いので、
相手から一方的に嫌われてるだけなのだが、あの一件の事があるので仕方がない。

とりあえず、手を挙げて、挨拶。
一番不自然さがない相手に声をかける。

「お、平井ゆかりさんじゃないか」


ぷいっと顔を背けられた。

―――

「シャ、シャナ。いったい何があったんだ?」
隣の少年――悠二がその態度に、平井ゆかりに戸惑いの声を出す。
その隣の少女は戸惑っている。

その隣の少女は、控えめな印象を持った、ショートの少女だ。
確かどこかで目が合った気がする。

他に居るのは三人ぐらいだろうか。
かわいいというより『かっこいい』と見える少女と、
一応、美はつけてもいいだろうと思える少年と愛嬌がある顔つきをした、大柄な少年。

だが一応目的は悠二とシャナと呼ばれた少女。
とりあえず接触は持って、近いところで監視をする。
それがシンの考えだ。

「そこまで嫌う必要もないだろ」
馴れ馴れしいな、と自分で苦笑いを心の中で浮かべながら声をかける。
「……」

次の言葉で普通の学生生活は崩れ去った、たった一日で。
「すけべ」

「え?」

「ヴィルヘルミナの胸を触った、このすけべ!!」

―――

「……え?」
「へ?」

悠二達は一応ヴィルヘルミナの事は知っている。シャナの保護者として。
その保護者の胸を触ったって――?

あの胸ってわりと大きかったよね、マージョリーさんほどじゃないけど。
悠二はそんな事を考えていた、いた、けど――

「いや、その」
悠二は一応フォローしようとする、がしかし。
「……」
黙りっきり、余計にフォローしづらい。

その時、教室がざわめきに包まれる。

「ヴィルヘルミナっての、女性の名前だよね……?」
「あれ、じゃあもしかして……セクハラ?」
「あー……あのイケメンで」

「変態だよね……」

転校初日、凄いレッテルを貼られている美少年がそこに居た。
なんだこれ。

悠二は周りを見る。

吉田さん――論外、おろおろしぱなっしだ。
こういう状況には弱い、凄く。

緒方は各自のフォローに回ろうとしている。
気持ちは分かる、がしかし。

「あ、あー……その、いや、ね?」
言葉にならない。なってなかった。

田中と佐藤……

思いっきり誤解していた。どこか納得した顔をしていた。
目が少し死んでいる、うわぁ。

当の本人、シャナはというと。

頬を膨らまして怒っている。
「あ、シャナ……」
その時、シャナは立ち上がり、教室から出て、どこかに行った。


「……あー、とりあえず、事情は聞きますよ、真さん」
とりあえず飛鳥真を座らせておこう。フォローはそれから考えよう。
そう考える悠二だった。

―――


「とりあえず、事情は分かりました」
「ええ、まあ……その、すみません。俺の不手際で」

かくかくしか鹿。

とりあえず状況は話した。
最悪だ。これまででも一番まともな学生生活を送れる――そう、信じていたのに。
これまででもといっても『他の世界に来た時以来の』という意味であって元の世界ではちゃんとまともな
学生生活は送っていた。軍人学校だったが。

「い、いや。ちょっと飛鳥真さんが悪い気がするけど……」
「そ、そうだね、あはは……」
ちょっとひいている二人。
ああ分かってるさ……うん。

「と、とりあえず……僕からシャナには伝えておくので」
「あ、ありがとうございます……」

なんだか、凄く普通な人だったな、とシンは思う。
本当にこんな人物が――?と疑問に思う。

だけど、事実は事実だから、と受け止める。
普通な人だから、あの濃い、今まで会った面子を考える。

凄く濃かったなと思った。

「では、僕はこれで。ちょっとシャナと話してきます」

と、悠二が、教室から出て行って、廊下に出た途端走った。


ある程度経ってから、平井ゆかりことシャナが悠二と一緒に教室に戻ってきた。
その時には、シャナはちゃんとした目でシンを見るようになっていた。

ついでに、クラスの誤解は解けた。
池にシンは感謝した。本当に心の底から。

―――

御崎大橋。
川は綺麗だな、とシンは思いながら悠二とシャナと一緒に帰宅の路についていた。

あの後、普通に悠二と話しているうちに親しくなっていた。
シャナとは、少し距離はとられている感じはするが、それでも話せる間柄にはなっていた。
これは悠二の仲介のお陰もあるだろう。

ちなみに、悠二はまだシンの正体は知らないようだ。
話している間に、シン自身の正体については話は及ばなかった。


「で、シャナはどうするの?」
「うーん、悠二の家に行く」

シンをさりげなくびっくりさせる事を言う。
ちょっと待て、このまま家に帰るのではないのか、それどころか
男性の家に行くんだって、と。

と思ったところで、スバルの事を思い出してその思考をやめておく。
スバルもシンの部屋によく行ってゲームをしたり一緒に寝たりしていたからだ。

だけどしかし……ともシンは考える。
そういやさっきから悠二にだけは警戒を解いているというか――?

と、考えていると悠二の家に着く。

「あら、シャナちゃん」
「千草ー、今日の晩御飯は何?」

と、悠二の母親らしき人物(千草、という事は本名は坂井千草なのだろうか?)とシャナはまるで親子のように
話している。

なんだかんだで少し子供っぽいかな……と、シンは少し安心する。
大人っぽすぎると逆に怖いものだからだ。

「真さんはどうします?」
と、悠二は声を掛けてくる。

「うーん、そうだな……俺は」
「あら、悠ちゃんのお友達?」

千草がシンの事に気づき、声を掛ける。
友達と思われているのだろうか。

「あ、いえ、違います。今日知り合ったばかりで」
「あら、そう。という事は悠ちゃんの新しいお友達?」
「まあ、そんな感じですね」

この女性、何か只者じゃない感じがするというか――と、
思ったが気のせいだという事にしておく。

「うーん、今、お茶しか無いけどー……」

数分後、遠慮はしたけど、家に入った。
凄い良い人だと思った。

―――

「――」

「――」

家に入り客室に入った後、そこに居た人物に驚愕した。

ヴィルヘルミナだった。

「――何を、しにきたのでありますか」
「あ、いや」

とっさに悠二を見る。
悠二のほうも、なんだか

まずい!

といった感じの表情をしている。
シャナはというと千草と一緒に台所で行ってしまった。

なので、この部屋に居るのは三人。
これは、非常に気まずい。

「あ、あー……」

パルマかました後に初めて会うのだから仕方が無い。
これは、怒っている。というか殺意まで巻き上がってる気がする。
なるほど確かにフレイムヘイズと変な事をシンは考える。

が、しかし現実は非情。
相手のほうは凄い殺意を放っている。

「あー……」
「何を、しにきたのかと聞いているのであります」
「う、その」

仕方がない、謝ろう。

「ご、ごめんなさい!」
「……え?」

「そ、その、初対面でいきなり、胸を触るというのは……」
「……あ、ああ」

顔を上げると、少し顔を赤らめたヴィルヘルミナの姿が。
少し横に向いている。その姿に少し、シンは可愛いなと思い、その考えは修正する。

何失礼な事を考えているんだ!初対面でいきなり胸を触った人に対して!

と。

「――なのに、なんて、様なのでありましょうか」
「同意」

最初のところは聞き取れなかったが、何か言ったらしい。

「あ、あー……とりあえず、ごほん」
悠二が場を繋いでくれた。

「その、真さんも悪気があってやったんじゃなくて――!?」


封絶。
周りに色が走る。

とっさに扉からシャナが出てくる。

「ヴィルヘルミナ!」
「!!」

声を出す間もなく、どこからか出てきたリボンで悠二とシャナをリボンの壁で包む。

シンは、この攻撃に対しての対処方法に迷ったが、ある物を見たことによって、その対処方法をとった。

庭に向けて机を倒し、そこに身を隠す。
これが今のところベストな判断だと判断した。

庭に何か――何か、居た!
スバルと一緒にやったゲームでも見たことがある。FPSという種類のゲームをやった時に出る敵。

次の瞬間、庭の方向にあるガラス張りのサッシ(扉みたいなもの)から何かが『跳んできた』
高速に飛来する物らしく、シンの身を守る机の端っこに穴が開く。

それは、円形の物。
シンはそれが何か、分かったが封絶の、いや、彼が居た世界では有り得ないものだった。

銃弾。

リボンの壁の床には大量の鉄くず、それの正体が銃弾だ。

サッシの向こうには――特殊な服装に身を纏った傭兵。
現代の軍兵が居た。

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紅眼のシンたん(イメージイラスト描いてます)


そのⅠ「続けそのⅠ」

ヴィルヘルミナ「……」
シンたん「何か話ちぇよ」

ヴィルヘルミナ「頭の上でナイフを研ぐのやめてもらえないでありますか」
ティアマトー「危険」
シンたん「じゃあ次から頭の上で体術の訓練する!」
ヴィルヘルミナ「ティアマトーが危ないであります」
ティアマトー「危険」

悠二「あ、ヴィルヘルミナさん」
シャナたん「……(むすっ)」
シンたん「……(むすっ)」
ヴィルヘルミナ「……仲が悪いみたいであります」
悠二「あはは、ツンデレ同士仲が悪いってみたいなー……」

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最終更新:2009年05月31日 08:18
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