1
ああ、妬ましい……。
何がかしらって? もちろん、あの男がよ。
あの綺麗な赤い目も、華奢な見た目と裏腹に逞しい体躯も、擦り切れたようで実は折れていない心も。
あの男の持つ全てが妬ましい。
あの娘達に誘われても、意地を張るように私の近くに住み続けることも。
あれ程の力を持って、更に鬼であるあの男ならば住むべき処は他にもあるでしょうに。
何故かは知らないわ。でも、そうやって意地を張り続けるところさえ妬ましい……。
だから――閉じ込めてやりたくなった。
何故かは判らない。ただ、他の娘があの男に近付くことがとても妬ましかった。
それを実行に移したのは、考え付いてから四日目の晩――昨日。
寝込みを襲ったとはいえ、あの男――シンは抵抗しなかった。
何故かは判らない。その気になれば私など、呆気なく捻り潰せる力を持っているのに。
「本当、妬ましいわ……あなたが本気になれば、私なんかすぐに殺せるのにね……」
布団に横たわり堅く眼を閉じたシンの頬をなぞる。
ああ、本当に何故かしらね? 抵抗しなければこうなることもわかっていたでしょうに。
「でも、もう手遅れよ……絶対に、誰にも渡さない」
私の下敷きになったシンが、僅かに身じろぎをする。
それを全体重で押さえつけながら、私は笑った。
2
シン「あれ、早苗。何してるんだ?」
早苗「シンさん? 私はロボットの影をを追って……シンさんこそここでなにを……はっ!」
シン「ロボット? 俺は地底に花を売りに行ってたんだ。地底なら沢山売れると思ったんだけど当てが外れちゃってさ……
早苗は御供えとかに花はどう? 安くするけど……早苗?」
早苗「そう、どうして気付かなかったんだろ……シンさんがいたじゃないですか! さあシンさん、呼んで下さい」
シン「……いや、何を?」
早苗「とぼけなくてもいいんですよ。シンさんがパイロットだということはもう分かってますから」
シン「? まあ確かにパイロットだったけど……」
早苗「やっぱり! では見せてくれませんか? ロボット!」
シン「えーと、そう言われても……」
早苗「もしかして軍事機密に触れるんですか?」
シン「なあ、アンタ一体さっきから何を……」
早苗「でもここまで来ては私も引けません! 勝負です!」
シン「ちょっ……いきなりなんなんだよ!?」
勝負開始!
3
幻想郷のアスカ兄妹
霊夢「ねえ、最近持ってくる野菜小さくない?」
シン「仕方ないだろ。地震や異常気象の異変で不作なんだから。どこも似たようなもんだよ」
霊夢「まああんたの野菜は安いからいいんだけどね。というか儲けになってるの?」
シン「マユの寺子屋の月謝くらいは稼げてるよ」
霊夢「そう。そういえばこの前マユちゃんが橙と遊んでるのを見かけたわよ」
シン「ああ…泥まみれで帰ってきた。空飛べるようになったって嬉しそうに笑う姿を見てたら怒れなくてさ…」
霊夢「いや注意しなさいよ」
シン「それにチルノやルーミアから弾幕のやり方教えてもらったって喜んでてやっぱり叱れなくてさ…」
霊夢「いや叱りなさいよ。危ないから」
シン「今は紅魔館の門番から太極拳教えてもらってるらしいんだ。筋が良いって褒められたって…」
霊夢「…………」
シン「俺は兄としてどうすればいいんだろう…」
霊夢「いや兄として止めなさいよ…」
4
「ああ、最近できたお寺の人だったんですね」
「ええ。だからまだ土地に不慣れで」
ある日、森の奥で迷っていた女性と遭遇したシンは里へ案内していた。
「そう言えばまだ名乗っていませんでしたね。俺はシン・アスカです」
「私は白蓮と言います。よろしくお願いしますね、アスカさん」
「シンでいいですよ。あ、シンの方が名前なんです。でもこんな森の奥で女性が一人で歩くなんて危ないですよ。山ほどじゃないけど妖怪や妖精もいますし」
「心配して頂きありがとうございます。ですがシンさんもこの森に住んでいるようですが、もしやここで修業をなさっているのですか?」
「いや、俺はただの花売りですよ。花を育てるのにここの土が合ってるんです」
「そうだったんですか。では貴方の持つ空気が清廉としているのは、きっとそうした自然の中で暮しているからなのでしょうね」
「よく分からないけど……そうなんですか?」
「ええ。修業を積めば立派な僧侶になれますよ。ただそれだけに、妖怪たちから見れば貴方は美味しそうに見えてしまうでしょうから気を付けてください」
「気を付けろって言われても……」
そんな事を笑顔で言われても困るのだが、白蓮は優しい笑みを浮かべてシンを見ている。それはどこか親しみを感じさせる笑みだった。
「なんだか貴方を見ていると弟を思い出します」
「弟さんですか?」
「ええ。すごく昔に死んだんですけどね」
「そうですか……」
どう言ってやればいいか分からず口籠もるが、白蓮は気にした様子もなく笑った。
「ふふ、なんだか懐かしい気持ちです」
「……なら俺を弟さんみたいに思ってくれてもいいですよ」
「まあ。ならそうさせて貰おうかしら?」
「はは、どうぞ、お姉さん」
それはシンなりに場を和ませようと思って言った冗談のつもりだったのだが、次の彼女の取った行動にシンは度胆をぬかれた。
「はい♪」
ぎゅっ、と唐突にシンは白蓮に抱き締められてしまった。
「……て、ええっ! いやっ、あの、白蓮さん!?」
女性の柔らかい感触と抱き締められた恥ずかしさからあたふたと慌てるシンに反して、白蓮はとても嬉しそうだ。
「なんだか落ち着きます」
「そっ…そうですか……」
まあ彼女もなんだか喜んでるようだし、もう少しこのままでもいいか。
シンがそう考えていた時、ふと視界にある茂みにカメラを持った天狗がいる事に気付いた。気付いてしまった。
「………」
天狗はあややと目を丸めていたが、直後ニヤリと笑みを浮かべるとカメラを構えてシャッターを切り始める。
「あの、すいません、白蓮さん。ちょっと待ってて……待てっ、逃げるなマスゴミ! せめて裏付けを取れよ!?」
だがそんなシンの叫びに構わず、幻想郷最速と謳われる烏天狗・射名丸文は手に入れたスクープに心踊らせ空を滑走して行くのだった…。
5
俺は久々に嫌な夢を見た。
ノコギリを持った男が俺の部屋に立っている……俺は恐怖のあまり動くことが出来ず、ただその男を眺めている。
すると男は突然ノコギリで家の柱を切り出した!思わず「やめろ!!」と叫ぶ俺。
するとゆっくりこちらを振り返る男、その顔は、見るも無残に潰されて顔中に釘が打ち付けてある。
「お前もこうなりたいのか? お前もこうなりたいのか? してやろうか? してやろうか?」
ゆっくり俺に近づく男……俺は金縛りにあったように動けず、そして……男のノコギリが俺の顔に……
そこで目が覚めた、嫌な夢だ、後味が悪い……俺は水を飲もうと立ち上がった。
俺の目に飛び込んできたのは、無残にも傷つけられた家の柱!
俺は恐怖で腰を抜かしてしまった、あの男は現実に!!そして次はホントに俺の顔が刻まれてしまうのではないかと。
その日、俺は僧兵で寺子屋の先生もしてるSさんにその夢を相談してみた。
しかし、Sさんは「しょせん夢だろ?」と冷たい対応。
なんとしても引き下がれないので必死に何とかしてください!と頼み込むと、
「それじゃあ俺の作ったお守りやるからそれを枕元に置いて寝ろ、そうすりゃ大丈夫だ」とお守りを渡してくれた。
次の日、不安ながらも朝の早かった俺は床に付いた、そこでまた夢を見た。
「つづき、つづき、つづき! つづき! つづき! つづき!」
またあの男だ!! 俺は夢の中でSさんのお守りを探した、しかしどこにも見当たらない……
「これ? これ? これ?」なんとお守りを男が持っている!もうおしまいだ!!
だが次の瞬間、お守りが眩い光に包まれ、どこからとも無くSさんの声が。
「破ぁ!!」
お守りは光と共に飛び散り、男の半身を吹き飛ばした。
「あああああああああ」半身でのたうつ男を尻目に俺は夢から目覚めた。
枕元にあったはずのお守りはどこをどんなに探しても見つからなかった……
その話をSさんに話すと、
「半身を吹き飛ばした? やれやれ、威力は白蓮さんの作った奴の半分か……」と呟くSさん。
僧兵ってスゴイ、俺は感動を覚えずにはいられなかった。
6
家庭科の授業
今、一人教師が生徒の前で真剣勝負をしていた。
カパッと卵を割る。だが白身のふんわり感を残すためあまりかき混ぜない。
ぱらぱらと浅鍋の中のダシに切った玉ネギを白雪の如く敷き。その上に鶏肉を乗せフタをする。
この教師はこの時間を“運命の時間”と呼んでいた。
見えた!そこだ!!
カポッとフタわとると、いい具合にダシのしみ込んだ鶏肉と玉ネギがいた。
トローっと先ほどの卵を箸をつたわらせ、金糸のように垂らしていく。できたのは金色の雲。
カタカタと揺らし、焦げ付きを防ぐ。
そこにみつば、ねぎ、乾燥海苔をぱらぱらとのせた。すると熱と出会った彼らは風味を吹き出す。
シン「・・・・できた」
生徒A「アスカ先生上手~!」
生徒B「スッゲー!!」
生徒C「さすがウチの嫁や!!」
生徒D「ちょっと・・・頭冷やそうか」
生徒E「そうだね。冷やそう冷やそう」
生徒F「ガンダム!」
生徒G「スペックたけー!」
生徒H「・・・欲しい」
シン「はははっ!これでも“主夫のシンちゃん”と呼ばれてたんだ!」
生徒B「呼ばれてうれしかった?」
シン「・・・正直、微妙だった。」
慧音「はふっはふっ・・・また腕を上げたな。ところで何か物足りないんだが・・・」
シン「はいはい、タクアン二切れね」
慧音「そうそう。(ポリポリ)これこれ♪相変わらずいい塩梅だな♪」
シン「そりゃどうも・・・・って!なんで慧音先生がここにいるんですか!?」
慧音「はっ!!ついいい匂いにつれられて・・・」
生徒A「ねえ先生たち~、そんなんだったら付き合っちゃえば~?」
慧音「こら先生をからかうんじゃない!」
生徒G「でもアスカ先生、優しくてかっこいいから誰かに狙われてるかもよ?」
生徒B「それとも、お互いに嫌いなの?」
慧音・シン「「そっそれは、ちが・・・///」」カアーー!!!
お互いに目が合う。
生徒全員「ヒューヒュー」「あっちい!あっちい!!」
こうして、平和な時代は築かれていく・・・・どこまでも
生徒F「確かめてみるか・・・トランザム!!」
7
神奈子セーラー服事件から翌日、早苗から倉庫の整理を頼まれた諏訪子。
諏訪子「神奈子もなにやってんだかねー。神様が魔にさされた、なんてどうなのよっ…と、懐かしいのが出てきたね……」
シン「すいませーん、お芋たくさん貰ったんでお裾分けに来ましたー……返事が無いな、留守か? あ、倉庫の扉が開いて…………」
シンが倉庫の扉を覗くと、赤いランドセルを背負った諏訪子と目が合った。
諏訪子「……………」
シン「……へぇ、神様にも小学校てあるんだな」
諏訪子「待って、言いたい事は分かるけどそれでもあっさり納得されちゃうとちょっと複雑」
最終更新:2009年11月19日 13:00