概要
半転位(または部分転位、Partial dislocation)とは、
バーガースベクトルの大きさが原子間隔よりも小さい転位である。
fcc金属によく見られ、
積層欠陥によく関係する。
ショックレーの半転位
fccと
hcpはそれぞれ最密充填構造であり、その最密原子面の積み重なり方は各々ABCとABである。
ここで、fccを例にとって話を進めると、B層がすべるとき、そのままB→Bと移動するよりも、B→C→Bと移動したほうがスムーズな時がある。
B→Bと移動するとき、上下に存在するA面を一部乗り越えるように移動する必要があるが、
B→C→Bと移動すれば、その周りの滑らかな面を移動することができる。
この時のB→Cに移動する転位を半転位と呼ぶ。
その後の転位でC→Bと動いて然るべき位置に戻るが、最初の転位から次の転位までの区間は、C面になっており、配列は
ABCがACCとなっている。
これを積層欠陥と呼ぶ。積層欠陥(Stacking Fault)の起きやすさは積層欠陥エネルギー(Stacking Fault Energy,SFE)に寄って表される。
応用に関してはこの分野に興味が薄かったこともあり、それほど詳しくない。
金属間化合物のあたりで出ているような出てないような。
少し詳しい話
拡張転位
なお、この時のバーガースベクトルは、1/2[110]ではなく、1/6[1,2,1]+1/6[2,1,-1]の2本に分解される。
そのために、少し広い範囲で見ると完全転位が部分転位にわかれている。
つまり、
部分転位
完全転位<積層欠陥
部分転位
という風に分かれており、幅の広がった転位ということで拡張転位と呼ばれている。
拡張転位とSFEの関係
拡張転位の幅は積層欠陥の起こりやすさであるSFEに依存しており、幅を測ることによってSFEを概ね導くことができる。
もちろん、SFEが大きいほど拡張転位は狭くなり、SFEが小さいとその逆になる。
関連項目
誰かお願い
参考図書
- 初級金属学
- 金属学ミニマムマキシマム
- 100万人の金属学
- 金属学への招待
最終更新:2011年02月15日 11:35