この章でやりたいことは何か
見解Aにおいて仮に非決定主義を仮定したときにベルの不等式が導けるか確率的隠れた変数理論の枠組みでみてみること。
確率的隠れた変数理論の確率的とは
隠れた変数が粒子のオブザーバブルの値が生じる確率を決定するということ
簡単のための仮定
忠実の測定の原理は仮定しておく。
どのような議論でベルの不等式を出すのか
オブザーバブルaとbについての結合密度確率密度の存在を仮定し、その組み合わせといくつかの仮定からベルの不等式を導く。
仮定とは何か
A因子分解可能性と多くの文献で呼ばれている物で、これらは完全性の仮定(Jarrett(1984))、局所性仮定に分けられる。
因子分解可能性を仮定するとまずい点は何か
厳密な反相関を取り込む事ができなくなることが簡単な議論よりわかる。反相関の仮定と因子分解可能性から理論が決定主義的理論に変わってしまう。
完全性条件が満たされないとすると何が起きるか
一方の粒子の性質の確率分布が他方の粒子の性質に依存する。
AがBをCから遮蔽するとはどのような意味で使われているのか
AがB、Cの共通の原因であって、CがBに依存しないこと
完全性条件が満たされないとするとよくなされる議論とは何か
両者に直接的な確率的因果連結があることになるという議論。
この議論は直接的な因果連結に要求されるロバストネスの必要条件を考慮すると疑問符がつく。
二つの物理量の間の確率的因果結合がロバストであるとは
一方の物理量が他方の物理量を十分小さな撹乱から遮蔽していて、撹乱によらずに他方の物理量にのみ依存する場合をいう。
なぜ直接的な因果連結にロバストネスを要求するのか
BがAにのみ依存することを要求しているので何か適当な摂動を加えてもその関係がなりたっていることを要請している。
マーク法とは何か
マーク法とは因果過程と非因果過程を区別する為の視点の一つであり、ライヘンバッハによる。
因果過程と非因果過程をどのようにして区別するのか
過程に撹乱(マーク)を与える事で因果的過程では撹乱が伝えられていくが非因果過程では撹乱は伝達されない。
因果過程と非因果過程での撹乱の伝達の様子を例であげよ
例えば走行している車の系列は因果過程であり、仮に石がボンネットにあたって傷がつけば車に傷がついたままになる。しかし、その影は非因果過程であり、道路のくぼみに車の影が歪んでもこの歪みは後の影の状態に伝達されない。
因果関係に対するロバストネスの要求はマーク法とどのような関係にあるのか
ロバストネスの要求は確率的因果結合においては、関係項の一方に適当に小さな撹乱を与えても因果関係自体に影響を与えないことを意味している。
確率的因果結合へのロバストネスの要求を量子論の一重項の状態において課すと
一連の議論からロバストネスが要請できないことがわかる。すなわち、二つの物理量は確率的因果性で関係づけられているとはいえない。
完全性がなくロバストネスが要請できないとするとどのような結論になるか
二つの物理量は一方の確率分布がもう一方の物理量の性質に依存しているという意味で全体性あるいは分離不能性の特徴を持つが、確率的因果性に対するロバストネスを欠いている。このような関係を遠隔作用に対立する意味で遠隔観感応と名付ける。
すなわち量子力学の一重項状態は全体的かつ分離不能ではあるが確率的因果性の必要条件であるロバストネスを欠いていることから、遠隔感応という性質を持っている。
局所性過程が破られている場合はどうなるか
遠隔作用をもつことになる。例えば片方の装置の設定を変える事でもう片方に入ってくる粒子の条件確率が変わる。
最終更新:2011年05月29日 12:47