BIBLIOMANIAX内検索 / 「3」で検索した結果

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  • ties 3
    ...。 「時間にして約23秒前に出現しているよ。こいつはそういう奴なんだ。どこにでもいるようで、どこにもいない。そこにいるのに気付かない。こいつがいるという不自然さを誰も感知しない。いてもいなくても分からない。だから誰も目撃できない」 「貴女が見てくれるではありませんか。それだけで僕は、舞台に立つ俳優よりも誇らしい気分になれます」 「ならんでいい。ウザい。黙れ。死ね」  珠月は一言で切り捨てた。そして、赤黒くそまった絨毯を見て、目を細める。 「ジェイル、部屋が汚れた。弁償しろ」 「はい。斑雲に覆われた満月のように陰った貴女の心が、再び曇りなき銀の輝きに包まれてくださるなら、私はいくらでも富を差し出しましょう」 「何も聞こえない!」  珠月は自分の耳を塞いで頭を振った。今回は速攻で鬱モードに入る。 「もう嫌。何も見なかった。聞かなかった。その子、さっさと連れて行って。私もう関係ない。色々気...
  • 赤頭巾/3
    【赤頭巾ちゃんとオオカミさん】 どんどん歩いていくと赤頭巾ちゃんは綺麗なお花の咲くお花畑につきました。 「わぁ、綺麗!でも、おじいちゃんに持っていくのが先だから、また後でこよーっと!」 赤ずきんちゃんはそういって通り過ぎようとしました。そうしたらひょっこりとオオカミさんが出てきて、赤ずきんちゃんを呼び止めました。 赤ずきんちゃんは、おおかみがどんなに怖い動物かわからなかったので、べつだん、怖いともおもいませんでした。 「赤ずきんちゃん、こんにちは。」 オオカミさんは言いました。 「これからどこへ行くのか聞いても良いかな?」 赤ずきんちゃんは答えました。 「勿論!これからね、おばあちゃんの家に行くの」 オオカミさんは聞きました。 「その手に提げているものはなんだい?」 赤ずきんちゃんは答えます。 「これは手提げ籠って云うの。」 「中に入っているものは?」 「お菓子とぶどう酒だよ、おばあちゃ...
  • try!! 3
     意識が戻って初めに感じたのは奇妙なほどに適切な温度と湿度。刷り込まれた危機管理の本能は、覚醒と同時に目を開けるよりも先に周囲の気配を探る。複数の気配がする。少しだけ手足を動かすと椅子に座った状態で足を縛りつけられていることが分かった。奇妙なことに腕は手錠か何かをかけられている気配はあるものの、後ろ手にされていることもなければ、縛られてもいない。手だけは決して傷つけないようにとの配慮に、相手の意図が透けてみえる。 「気づいたか……?」  神無は返事をしなかった。タヌキ寝入りを決め込む。だが、髪を掴まれて叩き起こされる。しぶしぶ目を開けると、サングラスや仮面で顔を隠したスーツ姿の男がぞろりと立ちふさがっていた。部屋は妙に暗い。数回瞬きをして目が慣れてくると、その薄暗い部屋一面にあるものがあるのが分かった。 「…………後期印象派」  額縁だ。その中には様々な作家の作品、それも現在行方不明とされ...
  • 女よりも悪いもの3
     ある男と女の会話。 「いいかね。女というのは悪の属性をもつものなのだ。だから、私は女というものが大嫌いなのだ」 「まあ、ムッシュ。どうしてそのようなことをいいなさるの? それは貴方の思いこみではなくて?」 「そんなことはない。なんなら、それを証明してみせよう。まず、女というものには金と時間がかかるものだ」 「当たり前ですわ。なぜなら、女だって金と時間をかけておりますもの。一度のデートのお洒落のために女性がどれだけお金をかけているかご存知?」 「知らぬし、興味もないな。ともかく、金と時間がかかることに異論はないわけだ」 「一般論ではそうですわね」 「よろしい。では、次はこうだ。時は金なり。それは正しいね?」 「そのようですわね」 「となると、女=金+時 かつ時=金 が成り立つことになる。つまり、女=金+金だ」 「そう言えないことも御座いませんわね」 「そして、金は諸悪の根源ともいうだろう?...
  • 推理小説にお砂糖一杯 3
     部屋を離れ廊下に出てからずっと、冷泉は壁や板張りの床を手で触り探っていた。時折耳を当て、確かめるようにこんこんとノックする。反響する音を確認しながら、彼女はずんずんと進む。冷泉の行動の意味は解らないながらも、矯邑は辺りを見回しながら着いていく。誰か現れたらどう言い訳をするかと不安に思わなくもなかったが、事前に集めた情報では、最初に客間まで案内をしてくれた少女以外の使用人は居ないとなっていた。戦闘経験の無さそうな少女一人なら、発見され咎められてもどうにかなるだろうと高をくくり、代わりに矯邑は言いそびれていたささやかな礼を口にする。 「さっきはありがとう。私一人なら騙されるところだった」  矯邑からかけられた言葉に、冷泉は床を撫でていた手を止め、ああと恥ずかしそうに目を伏せた。 「ううん。私だって、あれが『西陣織』だってあらかじめ言われてなければ、解らなかったかもしれないし」  冷泉の謙遜に...
  • 四十物谷調査事務所調査ファイル №3
     暗い。  おそらく出来たころはきっと照明が輝き、綺麗に着飾った人間がたくさん歩いていたのだろう。今はあちこちが崩れ、地下水が噴出している。足場らしい足場はなく、光もほとんどない。ただ、半分崩れた入り口から差し込む日光だけが、うっすらと内部を照らしている。 「入ってすぐに左右、どちらも崩れている。でも、住み着くには湿気が多すぎる。だから、ここに人は滅多に来ない」  人気のない地下道に、桔梗の声が響く。 「一人でぼんやりしたいやつが、たまにふらりと来ていたらしいが……死体が出てからは、誰もこなくなった」 「感染症は怖いからねぇ」  ずれたことを言って、宗谷は周囲を見渡す。 「なんというか、ここまでたくさんの地下通路や地下施設を作り続けた、旧東京の人っていうのは、本当、すごいよね」  中に入った瞬間、むっとする腐臭が漂ってくる。宗谷は袖で口と鼻を覆った。それで腐臭が誤魔化せるわ...
  • 空多川 契
    ...理小説にお砂糖一杯 3 人気投票途中 空多川契の場合 小ネタ
  • 篭森 珠月
    ...務所調査ファイル №3 四十物谷調査事務所調査ファイル №4 四十物谷調査事務所調査ファイル №5 四十物谷調査事務所調査ファイル №6 四十物谷調査事務所調査ファイル №7 四十物谷調査事務所事件ファイル ドームシティ崩壊ドームシティ崩壊 前編 ドームシティ崩壊 後編 四十物谷調査事務所短編住みたい区画 エンジェルエッグ エンジェルエッグ三周年記念フェア顛末記1、宴の支度 2、参加者集結 3、審査員席にて 4、外野席 5、前半戦 6、周辺部再び 7、後半戦 終章、閉幕 ヴィータ葬儀社 海の見える霊園 ある日の葬儀屋 ル・クルーゼ 美食礼賛 前編 美食礼賛 中編 美食礼賛 後編 ダイナソアオーガン くまときょうりゅう 狗の王 上にいるひと 恐竜機関 花落ちず水はなし ジェイル・クロムウェルコトノハ 空人形 雨が降る Debris ...
  • 音土けモノ屋の日常
    ...もいいだねっと。2~3分、ここでお待ちくだせぃ。今シアんとこ行ってきますから」  ―3分後  「はい、お待ちどー。12時20分頃に解放すんので待っててねぃ」  「おぅ、あんがとよ。だ、ダチ公も喜ぶぜ。じゃまたな」  心なしかウキウキの背中を見送りながら早良はチェシャ猫のように笑う。  「またのお越しを待ってます」    ―きっかり12分後  「マニアックなリクエストにお答えして声を聞かせてやるぜ、はっはー」  音土の声を聞いて吹雪は崩れ落ち、地面にめり込みかけた。その頃、ツーくんの声を仕込んだ張本人は日向ぼっこをしながらほくそ笑んでいた。 ケース2 ジェイル・クロムウェル  「零れ落ちては消えゆく運命の言霊たちを形に留めておくことができる、あぁなんて素晴らしい。そのようなものを思い思いのあるべき場所へと運ぶ、いわば言霊の救世主がいるというのはここでしょうか」  二番目の客にも絶...
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    2014年3月以前のパスワードは無効になっています。 編集・追加したい方は再登録お願いします。 シェアワールド作品School of Lifeの小説庫です。絵や漫画は別館にあります。 詳しい設定などは、公式wiki「School Of Life ×TRANQUILIZER×学園2nd」にありますので、よければそちらもご覧ください。 Story tranquilizer 1 精神安定[鎮痛]剤,トランキライザー be on ~s  精神安定[鎮痛]剤を服用している. 2 (心・感情を)静める[落ち着かせる]人[物]. トランキライザー、それが舞台となる学園都市の名称だ。 かつて日本列島を生活の場とした者たちが、首都と呼ぶ土地に建てられた威容の要塞学園、人により築かれし、世界最高峰の混沌都市である。 学園の創設企業にして、経営主...
  • 5、前半戦
    ...点結果  盛り付け 3点  味の良さ 5点  美と健康 4点  合計得点 12点 「さて、幸先のいいスタートだ! 次は同じ和食で勝負に出た、エントリー№6番半月政宗ちゃんだぁ!!」 「プロの人の後なんて恥ずかしいわ……」  政宗は恥ずかしそうにうつむいた。  先ほどと同じように、料理が審査員席へと運ばれていく。観客がわいわいと歓声をあげているのは春恵の時と同じだが、そこにはかすかな悪意が混ざっているような気がした。その時、歓声を縫ってその声ははっきりと聞こえた。 「大の男が女言葉で料理なんて気持ち悪いんだよ」  政宗が顔をこわばらせるより、ヘイゼルが声を上げるより、彼らの反応は早かった。  同時に四つの悲鳴が上がる。  運の悪かった二人は、それぞれフライパンと中華鍋に頭を強打され地に沈む。当然、そのフライパンと中華鍋を持っているのは、楓メープルとモハメド・アリだ。  そして、さ...
  • 7、後半戦
    ...さ 4点 美と健康 3点 合計得点 11点 「んー。おしい! なんか全員が一長一短で混戦してるな。そろそろこう、全体的に高得点みたいなの出してくれよ! ってわけであと二人!」  当然と言わんばかりにモハメドが前に出た。ヘイゼルも特につっこまない。 「んじゃ、モハメド・アリにいくか。本職の中華料理人! 負けたら大恥だぜ!」 「私は負けん」  自身満々にモハメドは胸を張った。他の出場者は苦笑いで肩をすくめる。 「んじゃ、メニュー紹介どうぞ」  料理が運ばれる。胸を張ったまま、モハメドは答えた。 「すべて薬膳だ。冷え性などに効く春菊とネギのサラダに、十数種類のスパイスを入れた鳥骨鶏のスープ。これは体が温まるし、コラーゲンもたっぷりで美容にいい。そして、豚肉と中国野菜の炒め物は、内臓まで使っていて栄養たっぷりだ。野菜の点心は、体によい緑黄色野菜が入っている。炊きおこわは、野菜と肉入りでスパ...
  • ヘヴィロック 1曲目
    ....そのため,外見は13歳程であっても,実年齢は72歳である.(老いがない以上,13と言えなくもないが) 「こんばんわ.佐倉君.今日も素敵でしたよ」 「本当ですか?ありがとうございます!!いや,でも,俺なんかより先生のほうがずっと素敵です.美しすぎます.結婚してください」 直也はヘルの社交辞令とも取れる言葉に,本気で感動しているようで,さらっと飛んでもないことを口走っていた. 「あらあら.大人をからかっちゃだめですよ.それに,そんなこと言われたら,先生,周りのファンの子達に恨まれちゃうわ」 流石はヘル.見た目は子供でも頭脳は大人である.直也の告白をさらりと受け流した.しかし,めげずに直也は続ける. 「周りなんてどうでもいいです.俺は先生のために演奏してるんです」 「だめよ.ファンの子たちは大切にしないと.ねっ?」 そして,それを再び受け流すヘル.こんなやり取りを続けているうちに,店から...
  • ties 2
    ...とは容赦がなかった。3日の行動でジェイルがけして優しいだけの人間ではないことに気づいている織子は、黙る。それにしてもその呼び方のセンスはどうかと思うのだが、純粋なる成り行きと好意で助けてもらっている立場では文句も言えない。そもそも言えるような性格を織子はしていない。 「ごめんなさい……」 「謝ることではありません。そうですね。誰か知人にしばらく身柄をかくまっていただくのがいいでしょうね」 「ミスティックキャッスルは駄目ですよ。怒られます。四十物谷さんのところはどうですか? トラブルくらい喜んで受け入れるでしょう?」  雫は先回りして釘を刺した。ジェイルは肩をすくめる。 「宗谷のところはオープンすぎて……警備がやや甘いんです。仕方ありません。禁断の秘跡に足を踏み入れるようで気が進まないのですが、月の姫にお願いして」「やめてあげてください」  間入れず、雫はジェイルを制止していた。ジェイ...
  • Fratricidio
    ...こえてくる。 「π=3.141592653589793238462643383279……」 「……?」  理解出来ずにいると、腹部に衝撃を感じた。 「まだ数字は苦手らしいね、丈乃助ちゃん。お勉強はちゃんとしようね」  至近距離で目を合わせられる。 「Buona notte……Eternamente(お休みなさい、永遠に)」  静寂の中に男の声だけが響いた。……一瞬だけ。 「やめなさい」  何もかも引き裂く、絶対的な声。  気付けば俺は、自らの首筋にナイフを押し当てた格好で固まっていた。 「私はこんな事許可していない。怪我して良いなんて言ってない」  目の前から発せられている少女の声。最優先事項に逆らってはいけない。俺は意識を切り替えて服従する。  男へと視線を移すと、鼻先に誰の物かも分からない錆びた青竜刀を突きつけられていた。  強引に鳥籠を壊して来たのだろう。ボロボロな身体。白かっ...
  • First contact/淮南万珍&三ツ石厳&白亜キャンディ
    ...になった人よ、豆腐を3倍にして返してやろう」  「縁なんだに。ぼかぁ淮南万珍。何だか偉そうだけど、豆腐奢ってくれるなら神様仏様だに。友達になってほしいにょん」  「良かろう、友人はいいものだ。今後ともよろしく頼む」    ……というわけで二人は豆腐屋への道々話しながら歩き、すっかり意気投合。豆腐を買った後もそのまま道を塞ぐかのように話し込み続けたのだった。  ― そして今。  早く通り過ぎたい。キャンディはすでに耐えかねていた。  「ねぇ邪魔よ、通してくれないかしら。あるいはひれ伏せろ」  「まずは豆腐を作ることを極めネバダに。極めた豆腐を高速で打ち出せば殺傷可能だに」  「本当に豆腐で頭打って死んだ方がいいんじゃないか?」  「……無視かよ」  「高速射出のためには将来的にサイボーグになる必要があるにょん。異能はないし、それが一番だに。にゃわー、自分の好きな物を極めるとなると俄...
  • 授業風景 二時限目数学
    ...って見せた。24時間365日いつでもムカつく存在だ。夏羽は眉間にしわを寄せる。 「机上と実戦。どちらを欠いても、自身を磨くことはできませんからね」  澄ました顔で、夏羽の一応は仕事の相棒である不死川陽狩は答えた。生まれも育ちも性格もまったく違うのによく似た名字とよく似た嗜好を持つ彼らの仲は――悪い。にも拘わらず、諸事情から高確率で二人は同じ空間にいる。迷惑なのはその喧嘩に巻き込まれる恐れがある他の生徒たちだ。喧嘩の予感を察知して、比較的近い位置に座っている生徒たちが身構える。迎撃のためではなく、逃げるための構えだ。いくら戦闘者のクラスの本科生とはいえ、この二人に対抗できるほどの技術を持つ生徒は少ない。何か起きた場合は逃げるが勝ちだ。 「おや、回答間違っていますよ、夏羽。そんなんで卒業できるんですか?」 「練習問題の一問二問で卒業できなくなるなら、誰もこの学校を卒業できねえよ」  夏羽...
  • 四十物谷調査事務所調査ファイル №1
    ...うだ。この学園の予科3年目の辻という生徒が被害者で、一週間少し前、ノースヤードのスラム街で喉をかき切られた後、五体と臓腑をばらばらにされて殺された。遺体は頭、胴、手足に分解され、内蔵は丁寧に取り出されて晒されていたようだ」 「あらあら。カラスや野良犬の被害にはあわなかったですか?」  おっとりした口調で、緋葬架は血なまぐさいことを口にした。頭の上でツインテールに結い上げた髪がひょこりと揺れる。 「食い散らかされていたが、一応、そろってはいたらしい。ちなみに、ほぼ同時刻、半径一キロ圏内でほかに二人が同じころされ方をしている。こちらは現地の住人だな。被害者に共通点がなく、復讐代行業者等が動いた形跡がないことから通り魔的犯行で、しかも高度な殺人技術と解体技術をもっているといえる」  緋葬架は顔をしかめた。逆に四十物谷は興味深げに身を乗り出す。 「猟奇的だね」 「でも、それなら簡...
  • 学園都市前奏ダーククロニクル迷走編/一章 A『DETECTIVE office 乱』
    ...反動が少なく扱い易い380ACP3徹甲弾(アーマーピアシング)を装填できるように改良してある。  徹甲弾とは、ボディーアーマーや防弾装甲を突破する貫通力に優れた弾丸の総称だ。しかし、現代で徹甲弾をメインに使う人間は珍しい。貫通力はあってもストッピングパワー、相手を停止させる力に劣るからだ。  現代で主流とされる多くの弾丸は、人体に止まり多量の出血を招いて激痛による神経ショックで意識を奪う。あるいは中枢を確実に破壊する物が好まれる傾向にある。  残酷な効果を発揮する弾丸が大多数を占めるが、逆に言えば狙った相手の体内で確実に止まり、周囲へ流れ弾などの被害が及ばないことを意味する。そうした点から、単に威力のみを求める者以外にも広く使用されているのだ。  そんな中に在って、慧はあえて徹甲弾を好む。貫通力の高い弾丸は相手を押し止めないばかりか、周囲にも危険が及ぶため、使用には細心の注意...
  • 2、参加者集結
    ...。  ランキング235位【ファットマム(肝っ玉母さん)】大津春恵  禁句は太っちょと年の話。実年齢に23歳と世間的にみれば若い彼女だが、平均年齢が以上に低いライザー学園においては、年長組に入る。なぜなら、ライザー学園への入学資格は11歳以下で入試にパスすることで、その後六年以内に本科に進めない生徒(百人中九十九人)は即退学となるため、年齢層が上がりようがないのである。  それはともかくとして、司会進行はぴくりとも動かない。上位ランカーすらまともにくらったらただでは済まない一撃を受けたのだ。無理もない。  慌てて現れたスタッフが少年を運んでいく。入れ替わりにマイクを持った少女がステージ上に現れた。金髪碧眼の、あきらかに欧米系の少女。少女はマイクを口元に持っていくと、 「ぎゃはははははは」  豪快に笑った。 「えーと、うっかりハプニングで司会は強制退場! ってことで、ここか...
  • その8、開始2時間30分
    ...りになっているから、3階といっても高さは一般の建物の4階並みだよ」  珠月はスカートの中から工具がわりに大き目のナイフを取り出すと、器用にドアをこじ開けた。特に力を込めた形跡もないのに、支点と力点を計算した開け方であっさりとドアはあいていく。 「…………篭森さん。君、そのスカートの中どうなってるの?」  思わず藤司朗は顔をしかめた。  敵が奇抜な格好をしていたり、ゆったりとした服やマントをまとっていたら、目くらましか武器を隠し持っていると思えというのは、一対一の戦いの基礎となる知識だ。篭森は、それをよく体現している。 「まあ。貴婦人のスカートの中に興味を示すなんて、男性としてはもっともなことですが、人間的には最低ですわ。汚水に沈んで死ねばいいのに」 「僕は篭森さん本体じゃなくて、スカートの構造が気になっているんだけど」  袖や襟からも武器は出てきているが、量でも種類でもスカートの中が...
  • ties 1
    ...す」 「同じく、本科3年目黒雫。トランキライザー公式リンク・ミスティックキャッスル所属」 「トランキライザー…………」  少女の目がゆっくりと見開かれる。 「善悪性別信条所属出身問わず、世界からあらゆる才あるものを集めた次世代育成のための巨大都市。黄道十二企業の一つ、双子座のライザ―インダストリーが力を注ぐ学園都市。エリートの中のエリートの集団――――」 「そこまですごいものではありませんよ。ただの卵のばかりの変わった都市です。640万の才能の卵です」  ぼんやりとした目で少女は瞬きした。 「私……すごい人巻き込んじゃったのかしら?」 「それはこれから考えることでしょう」  ふっとジェイルは笑った。 「ではお手を。お嬢様」
  • 水と葉の庵
    ...、赤い羊の戒さん……3ってバランス悪い数でしょ? 寂しくないの? エドワードさん、メリーちゃんに取られちゃって」 「エドワードは、俺の生きる動機で意味だ」  同じセリフを戒は繰り返した。 「エドワードが嬉しいなら、俺も嬉しい。副社長も嫌いじゃない。だから、嬉しい。楽しい。寂しいわけがない。俺はエドワードを独占したいわけじゃないしな」 「まいった。あきれた忠義心だ。あんた、エドワードが死んだら死ぬタイプでしょう?」 「よほどのことがない限り、俺より先にエドワードが死ぬことはないだろうな。万一、そうなったとしても俺は死んだりしない。エドワードのしたかったことを、エドワードの代わりにするさ」 「男が愛する女に言うなら格好いいけど、男が男に言ったらうざいわよ」  戒は停止した。無意識だったらしい。 「っていうか、気持ち悪い」 「…………俺はエドワードが大好きだが、愛してはいないぞ?」 「真剣...
  • 恋の噂と嘘新聞
    ...にテーブルを出して、3人の少女が座っている。  初めに発言した少女は、序列249位【アルヴィース(賢きもの)】冷泉神無(れいぜい かんな)。世界的に見ても指折りの鑑定士で、修復師でもある。西に水葉庵という骨董屋を構えていてそこにいる。それに答えたのは、序列225位【ラヴレス(愛を注ぐもの)】空多川契(あくたがわ けい)。いつもはアンダーヤードという非合法区域で危ない仕事をしているが、時折思い出したように仲の良い友人たちを訪ねてくる。 「ま、彼女なら多少のことがあっても平気でしょ」  心配そうな二人に、序列189位【スコーレ(暇人の学問)】矯邑繍(ためむら しゅう)はのんびりと答えた。彼女も世界的に有名な学者であり、学会の誘いやら論文の締切やらといつも忙しい。しかし、何事も無理をしないという信条を持つ繍はけして無理に仕事を消化しようとしない。無理と思えば、あるいは面倒くさいと思えば容赦...
  • 授業風景 一時限目動物学
    ...そこの奥の非協力的な3人、ちゃんと授業に参加しなさい。君たち、様子見どころか関わる気がないだろ』  スピーカー越しに説教が飛んできた。三人はそれぞれ明後日の方向を向く。 「口うるさい」 「体力温存とか言い訳しちゃだめかな? かな?」 「おそらく、その言いわけは通用しないではないかと推測されます」  やれやれとばかりにピーターは肩をすくめた。そして、珠月に視線を送る。 「申し訳御座いませんが、お願いできますか? 珠月様。自分で与えたダメージは能力に反映することができないのです」 「まったく、ろくなことがない能力だね」  珠月はため息をついた。状況が分からない契は小首をかしげる。 「なんならおねえちゃんが、ぱぱっとあのトカゲもどきをやっつけてきましょうか?」 「いや、それはそれで怒られそうだし、多少は他の生徒にも手柄を譲らないと。だから」  珠月は一歩踏み出した。まるでワルツでも踊るかの...
  • その1、訓練当日
    ...「ビルは開始から丁度3時間で完全爆破されるので、それまでに避難してください。クリア条件は外に出て、正面に設置されたゲートをくぐること。最終的にゲートを潜ることができれば、窓から出てもドアから出てもかまいません、ギブアップの場合、各階の北のエレベーターだけは直通で外に出れるので、使うこと。ダウンしたひともスタッフがそこから運びます。スタッフとか脱落者を攻撃したらダメだよ。またあちこちにトラップが設置されています。さらに外部から、ミスティックや狙撃手による攻撃も加わるので、頑張って逃げてください。あと、警備用ロボが攻撃してきます。敵代わりです。倒すと武器が手に入ります」 「何のRPGだよ」 「いいじゃん、楽しいし」  参加者は過酷な条件を突き付けられても、参加者たちはかなり余裕だ。 「ちなみに内部の様子は遠隔カメラでそちらの巨大モニターに移ります。見物人でかつ、遠隔型の攻撃を行える人はモ...
  • ties 終章
    ...結び目。飾り結び。 3.[通例 ~s] つながり、きずな、縁 4.縛りつける。重荷、足手まとい、束縛、拘束。 5.同点、引き分け …… 《おわり》
  • その7、開始2時間
    ...も上位ランカーだけで300人もいるのだから、無理もない。同じ区画のランカーでも一切交流がないようなこともある。 「……うーんと、おねえちゃんを殺しに来たの?」 「そんな訳あるか。思いきり助けに来たんだよ。そこに転がってる連中を」 「必要ないよ」  ゆっくりと物陰から出てきながら、契は言った。 「殺す人間は、殺されても仕方ないと思うな。こういう虫けらは、今助けておいくと必ず恩を仇で返しにくる。処分は的確迅速に。害虫や粗大ゴミを処分するときの鉄則」  珍しく間に蠍をはさまずに長い台詞を吐いて、契はちらりと床を這う男たちを見下ろした。 「違う?」 「賛同できねえな」 「なら、しなくていいと思うよ」  契はスカートの中に隠したフォルダーから、小型の拳銃を引き抜いた。同時に発砲する。武器の扱いに慣れた人間の不意打ち。普通ならば何が起こったか悟る間もなく、絶命している一撃だ。だが、纏は身体をそら...
  • あの人とおしゃべり
    ... ** 一階、13番テーブル 注文内容:抹茶プリン、梅こぶ茶、チーズケーキとカフェオレのケーキセット 「何か騒がしくない?」 「騒がしいねぇ。誰か戦ってるのかな?」  落ち着きなく周囲を見渡す矯邑繍に、あくまでも日常茶飯事という様子を崩さず冷泉神無は答えた。彼女らは学園を代表とする学者と骨董商であるが、地味な職業柄顔を知られていないため、誰も注視していない。 「まあ、殺気は感じないから、誰か騒いでるだけだと思うよ」 「大事にならないといいんだけど。うちの学校の連中は血の気が多いから」  繍はため息をついた。非常勤とはいえ、教師として色々とモノ申したいこともあるのだろう。神無は平然としている。 「よく平気だね?」 「最近、常連に殺気を放つ人が増えてさぁ、あはは、大分平気になったよ」 「それはそれでどうなの!?」  繍は頭を抱えた。殺人鬼という学園でも片手の指で数えるほどしかいない...
  • 不夜城の陽気な日常1
    ...」 違いない。年齢は3つほどしか変わらない筈だが、外見年齢はその倍以上に広がって見えるのだ。 「彼女はそういう対象じゃないデスヨ……。始まりは彼女にとってのオルタナルティブですカラネ」 「それにしてはやけに親しいじゃない」 「おや、嫉妬デスカ? 可愛いデスネェ」 「殺すわ」 「ゴメンナサイ,冗談デス」 ともあれ、と前置きして席に座り直す夜巖。クロエも座り直す。 「彼女にとって、俺はそういう対象ではアリマセン。勿論、俺も鞍羅は大切な仲間ではアリマスが、そういう感情は持ち得ませんヨ」 「じゃあご主人、ボクは? ボクはどうかな?」 「ハッ」 「酷い!?」 鼻で笑う夜巖。大げさにのけぞるクロエ。 クロエも夜巖に対して容赦はないが、夜巖も中々容赦がない。 「ソモソモが、俺のタイプと違いマスヨ。俺は成熟した大人の女性が好きなんデスカラ、ロリコンだとは心外デス」 「本人が否定しても、周囲はそう見な...
  • First contact/朧寺緋葬架&篭森珠月
    ...  この世には、人類3KYOと呼ばれる人がいる。単独で世界と戦うことすら可能とされる三人の人外魔境としかいいようのないずば抜けた能力を持つ人間である。彼らをそれぞれ、人類最強、人類最狂、人類最凶と呼ぶ。  その中の一人、“人類最狂”こと篭森壬無月には溺愛する一人の愛娘がいる。その名前は【イノセントカルバニア(純白髑髏)】篭森珠月。まだまだ無名に近い新人だが、トランキ学園の生徒の一人であり、“人類最強”の男の妹である望月遡羅と合わせて注目される生徒である。  唖然とする珠月の横で白骨と人間の銃撃戦が始まる。勿論珠月も観戦しているだけではない。立て続けに銃を撃ち、弾が切れたと見るや刃物を抜いて切り込んだ。銃声と悲鳴と怒声が飛び交い、あっという間にその場は修羅場に突入する。 「あれが……篭森の娘?」  数回打ちあった後、珠月のナイフが折れる。普通なら慌てて距離を置くか、それを捨てて別の刃物...
  • 2、硝子玉は宝石になれるか
    ...り?」  世の中には3人は似ている人間がいると昔から言う。だが、それはあくまで俗説であって、仮にいたとしても血のつながりでもない限り、そのそっくり同士が顔を合わせる機会など巡ってこない。 「昔から結構見つかっているでしょう? 双子でもないのにそっくりな人たち。組み合わせの種類の限界を考えれば、そういうことも起こりえるわけで――――それでもまったくの他人なら、一生顔を合わせずに終わるんでしょうけど」  腰に手を当てて、オズは珠月の顔を覗き込んだ。珠月の姿を反転させたような白い顔が、珠月をさかさまに覗き込む。 「たまたま、私たちの場合は縁がある相手が同じ顔をしていたってことじゃないでしょうか。多分ね」 「私は貴女を知らない」  珠月はオズを見つめた。見れば見るほど生き写しだ。けれど、同じという感じがしないのはきっと、表情がまったく違うからだ。珠月の無表情はすべてを無理やり押し込めた無表情...
  • First contact/時夜夜巖&クロエ
    ...うやり取りを経て、約3時間。 「……イヤ、何ですかねコレは」 思った以上にあっけなく、オーパーツは見つかった。語るべき冒険劇もない、歩いていたら足元に転がっていた。ありがたみもなにもあったものでは無い。 それは柄とベルトは輝く黄金で出来ているようで、その形状はバスタードソードに類似している。だが、破壊者と言うイメージではない。どちらかと言えば私生児といった感覚を覚える。 それに、どうも夜巖の見た所、既にこの剣にはEDENが装着されている。と言う事は、以前に誰かが使っていたか、持ち出していたか。 いや、そんな考えは不要だろう。答えは一つしかない。 「……この少女のもの、と考えるのが妥当デスヨネェ」 そう、転がっていたのはこの剣だけではない。年齢は10にも届かないであろう少女、いや、幼女も一緒に転がっていた。剣を抱くようにしている事から、経緯は兎も角現在はこの幼女のものなのだろう。 赤黒...
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