出題:5スレ目>>655
>>658
いつだって、黒が彼女の色だった。
「美味しい紅茶ね」
寝巻きに黒いガウンを羽織っただけの彼女が、ティーカップの湯気を揺らしながら優雅に呟く。
「セイロンに少しだけ烏龍茶葉をブレンドしてあります」
僕は平坦に告げる。なるべく寝起きの彼女の機嫌を崩さないように。
「そのブレンドにはどんな意味があるの?」
「特に何も」
「そう」
彼女は言って、ティーカップにミルクと蜂蜜を乱暴に注ぎ、一息に飲み干した。
その様子を見る限り、どうやら答えに満足頂けたようである。
「袴を出してくれないかしら」
「お社のお掃除ですか?」
「久しぶりにね。こればかりは私の仕事だもの」
珍しい。今朝はよほど機嫌が良いのか……或いはよほど悪いのか。
「かしこまりました。直ちにお運びいたします」
「下駄も忘れずにね」
振り向いて告げる彼女の、長く艶やかな黒髪が揺れた。
黒い屋敷の裏手に回り、黒い森を抜けた奥地に、その黒い社はある。
地面には玉砂利の代わりに黒曜石の小さな欠片。
高下駄を履かなければ容易に怪我をしてしまうだろう。
「相変わらず、つまらない社ね」
ざりざりと。彼女は器用に高下駄を操り歩く。
「歴史のあるものかと思いますが」
僕はといえば、その黒曜石の絨毯の外である。ここは余人には踏み荒らせない、聖域というやつなのだ。
「歴史がある事が、今まさにつまらないという事を覆せるの?」
「いえ」
「駄目です。覆しなさい」
無茶を言う。
「ええと、そうですね」
頭の中で、社、聖域、黒曜石に関する知識を検索する。
「お嬢様は、つまらないですか?」
出てきた言葉は、そんな検索結果とは全く関係のない質問だった。
彼女はにこやかに笑って、
「いいえ、とても楽しいわ」
忌々しげに地面を蹴りつけた。
振り下ろされた下駄の歯に黒い石ころが高く跳ね、幽かな朝の木漏れ日にきらめく。
「……それでは、僕はこれで失礼します」
「はい。妹達をやさしく起こしてあげてね」
「かしこまりました」
ただでさえ朝は忙しいのである。
彼女の妹である小さな淑女達の為に、朝食を給して差し上げなくてはならない。
まったく、世話のかかる主達なのである。
僕はお仕着せのエプロンドレスを翻して、お屋敷へ歩き出した。
>>659
男の寝床。
彼の傍らには、いつも愛用の黒い恋人がいる。
窓からの星明かりに照らされて音もなく横たわるそれは、
拳銃だ。
別の男にも、黒い恋人がいた。空冷直4、鉄の集合管をいななかせて駆ける鉄馬である。
これはまた別の男、傍らの黒い恋人は唐津の徳利。注ぎだされる孤独の滴り。
男らは今宵も無骨に踊る。黒き恋人と熱き血のたぎり、冷たき道程に果てはなし。
>>662
女「男くん、一緒にお弁当食べよう」
男「いや、今日は友と一緒に……ってあれ?」
女「友くんなら、さっき保健室に行ったよ」
男「へっ、なんで?」
女「利害の一致、かな」
男「意味がわからん」
女「ほら、早くしないとお昼休み終わっちゃうよ」
男「……そうだな。今日は二人で食うか」
女「うんっ!」
女友「……ったく、なんでアタシが」
男友「保健委員だから諦めるんだ」
女友「階段から転げ落ちたバカのせいで昼休みが……!」
男友「大したことなかったんだし良かったじゃないか」
女友「自分で言うなこのバカ!」
男友「あ~ん」
女友「お、お弁当くらい自分で食べなさいよ!?」
男友「仕方ない奴だな。ほら、あ~んしろ」
女友「自分で食べれんじゃない!?」
最終更新:2010年02月13日 17:36