出題:6スレ目>>289
>>292
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けたたましいチャイムの音で目が覚めた。
今日は早めに寝ようと思った俺が悪いのか、
家主の事を考えずにチャイムを連打する訪問者が悪いのか。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!
無論、後者に決まっているだろう。
のそのそと布団から出て、ゆっくりと玄関に向かう。
その間中もチャイムの音は鳴り響いているのだが、
それをやっている馬鹿はこれがどんなに迷惑な行為かわかっているのだろうか。
……まあ、わかっていなくてもわからせるまでだが。
ピンポンピンポンピンポンピンピピピンポン! ピピンポン! ピピピピ!!
馬鹿はどうやら、チャイムを連打するという行為が楽しくなってきたようだった。
時たまリズムに合わせて呼び出し音が鳴ったりするのが証拠だ。
オーケイ、これはただのイタズラじゃない。
宣戦布告ってやつだろう?
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
ドアの前に辿りつく頃には、
チャイムを押すのが飽きたのか一定のリズムでしか音は聞こえなくなっていた。
まあ待ってろ。
今すぐ俺の最高に不機嫌で素敵な笑顔で出迎えてやるから。
鍵を開け、ゆっくりと扉を開いていく。
その時、
「やっと出てきた……」
ドアの反対側から、なんとも自分勝手な抗議の声が聞こえてきた。
やっと出てきた、とうのはどういう意味だろう。
俺が出掛けているという可能性を考えていなかったということか。
それとも、居るとわかっていてチャイムを連打していたか。
どちらにせよ迷惑行為には違いないと思いながらドアを開け放った。
そこにいたのは――
「お菓子をくれなきゃいた……ギャ――ッ!?」
カボチャの帽子を目深にかぶり、黒いマントで首から下を隠している子供だった。
子供だとわかったのは、そいつの身長が低いことと声が高いことから判断した。
まあ、これで大人だったらチャイムを連打した事も含めて色々と可哀想すぎる。
帽子は少し深いヘルメットといった感じで、鼻から下は露出されていた。
パッと見では本物のカボチャをくりぬいて作ったものらしく、目の部分が丸くくりぬかれていた。
しかし、その目の部分は今は両手で覆われている。
それに、何故こいつは悲鳴をあげたのだろう。
「な……なな、なんで……!」
色んな意味でこっちの台詞だ。
そう言おうとした矢先、カボチャのガキは背中を向け後ろ手で俺を指差してきた。
なんだコイツ。
どこまでも礼儀ってもんを知らない奴――
「なんで服を着てないの!?」
「あ」
言われて気付いた。
今の俺の恰好はパンツのみ。
……なる程、これが悲鳴をあげた理由か。
「まあ、いっか」
相手もおかしな恰好をしているのだ。
こちらがおかしな恰好をしていても問題ないだろう。
「よくないから! 服! 服っ!」
問題があるらしい。――まあ、わかってたんだけどな。
「落ち着け。とりあえずさっきお菓子がどうたらとか言ってたよな?」
「まず服を着てよっ!」
「お前がさっきの続きを言ったら着てやるよ」
「~~~っ! お、お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」
……ああ、こりゃハロウィンってやつだな。
日本じゃ珍しいから恰好だけじゃピンとこなかったが、今の言葉で理解出来た。
「ほら、早く服を――」
そうとわかれば話は早い。
「イタズラするならパンツも脱ぐぞ」
「!?」
「っつうか、チャイム連打の時点でイタズラしてるだろ」
「!!?」
カボチャのガキは、それを聞いて驚いているようだった。
少し考えればわかると思うのだが……。
なんてことを言いながら時間を稼いだ。
お菓子はどこにあるかを思い出す時間を。
おわり
最終更新:2010年02月13日 17:37