作者:1スレ目>>133 (>>1)
雛苺「ねえジュン~」
JUM「なんだよ」
雛苺「おなかがすいたの~」
JUM「おなかがすいた? さっき昼ごはん食べたばっかだろ」
真紅「三時のティータイムの時間なのだわ」
JUM「なんだよ真紅。お前もか?」
翠星石「翠星石もちょっと小腹がすきましたねぇ」
JUM「……ったく、食い意地のはった奴らだな」
雛苺「はなまるハンバーグ食べて良い?」
JUM「はぁ? そんなもんあったか?」
雛苺「うん!」
JUM「ねーちゃんは出掛けてていないし……作り置きでもしてたのか」
真紅「たまにはお菓子ではなく、何かを摘むのもいいかもしれないわね」
翠星石「そうですね。それにはなまるハンバーグだったらいくらでも食べれますぅ!」
JUM「雛苺。はなまるハンバーグは冷蔵庫に入ってるのか?」
雛苺「ううん。違うの」
JUM「それじゃどこにあるんだよ。さっき下に下りた時テーブルの上にはなかったし。
……僕が作るのはごめんだからな」
雛苺「大丈夫なの、こっちにあるから。ついてきて~」トテトテ
真紅「行きましょうか」
翠星石「そうですね」
JUM「あっ、おい!」
雛苺「ここなの」
JUM「ここ……って言われても……」
真紅「ここは内装も綺麗だし、楽しく食事が出来そうね」
翠星石「チビ苺もたまには役に立ちますね~」
雛苺「えへへ」
翠星石「別にほめてるわけじゃねえですよ」
JUM「……」
真紅「どうしたのジュン?」
JUM「……お前らは何を言ってるんだ?」
JUM「……」
JUM「ここはトイレだろうが……!」
真紅「前にも話したけれど、このトイレという場所は何をするところなのかしら」
翠星石「はなまるハンバーグがある所なんですよ?
きっとキッチンみたいなもんです」
JUM「いや、それh」
真紅「あら、キッチンは別にあるじゃない」
翠星石「きっと、ジュンの家は物凄くお金持ちなんですよ!
隠しキッチンってやつです!」
真紅「まあ! それはわからなかったわ!
……さすが私のミーディアムね、ジュン」ニコリ
JUM「そんなわけないだろ……」
雛苺「いいから早く食べるの~!」
JUM「あっ、おい! バカ!」
JUM(雛苺がトイレで見たはなまるハンバーグ)
JUM(僕の考えが正しければ、その正体は……!)
…ガチャッ!
翠星石「ありゃ? 何にも無いじゃねーですか」
真紅「そうね。でも、相変わらず素敵な内装なのだわ」
雛苺「ヒナが見た時は、この中にあったの」
JUM「この中って……」
JUM(便器の中……! クソッ! これはもう十中八九間違いない!)
翠星石「なるほど。蓋をしてあるなんて、
きっと物凄く豪華なはなまるハンバーグなんですね!」
真紅「楽しみだわ。さあ雛苺、蓋を開けて頂戴」
雛苺「わかったの」
JUM「待て! 待つんだ雛いち」
…カパッ!
翠星石「こりゃ……たまげました」
真紅「そうね……今まで見たはなまるハンバーグの中でも最大級の大きさだわ」
雛苺「すごいでしょー!」
JUM「……」
JUM(ドチクショウ!)
JUM(やっぱり思った通りだったか! クソッ!)
JUM(天然? ドジ? そんな言葉じゃ片付けてやらないぞ!)
JUM「……」
JUM「……ちゃんと流せよ……ねーちゃん」ボソッ
翠星石「それにしても変わってますね。
この花丸ハンバーグ、卵の白い部分しかねーですよ」
真紅「きっと黄身の部分は他の何かに使ったのよ。
ハンバーグに練りこんだのかもしれないわ」
JUM「……」
JUM(……そりゃトイレットペーパーだよ)
真紅「それよりも私が気になったのは、
ハンバーグがスープにひたされている事ね」
翠星石「! わかったですぅ! この色から推測するに、
カレースープに花丸ハンバーグが入ってるんですよ!」
JUM「……」
JUM(……それは、水洗トイレだからだよ)
雛苺「ヒナが気になったのは、匂いがいつもと違うところなの」
真紅「雛苺。のりは料理が上手いとはいえ、
いつも同じものを提供出来るプロではないわ」
翠星石「それに、ここは花の香りがするから
多少鼻がお馬鹿になってもしょうがないですぅ」
JUM「……」
JUM(鼻が馬鹿になってるんじゃない!)
JUM(どうしてお前らの頭の中はそんなにお花畑なんだ!?)
JUM(匂いとか香りじゃない!)
JUM(……単純に臭いんだよ!)
真紅「これは、コーンね。昨日の夕食の残りかしら?」
翠星石「きっと捨てるのがもったいないからハンバーグに練りこんだんですよ」
雛苺「ヒナ、コーン好きー!」
JUM「……」
JUM(……ねーちゃん)
JUM(嗚呼、ねーちゃん! 僕はどうすれば良いんだ?)
JUM(こいつらに“コレ”の正体を教えれば良いのか?)
JUM(……いや、駄目だ)
JUM(そんな事をしたらコイツらはねーちゃんを茶色い目で見るかもしれないしな)
JUM(……)
JUM(……今まで迷惑かけた分、少しは役に立つよう頑張ってみるよ)
真紅「? どうしたのジュン。さっきから黙っているけれど」
翠星石「そうですね。どっか調子でも悪いんですか? 平気ですか?」
雛苺「ええっ!? 大丈夫なの、ジュン~……!」
JUM「……いや、問題ないさ。問題ない」
真紅「そう、それは良かったわ。心配させないで頂戴」
翠星石「す、翠星石は別に心配だったわけじゃねーですよ!?
むしろ、はなまるハンバーグの取り分が増えると思ってましたから!」
雛苺「でも、元気みたいで良かったの!
さあ、食べようジュン~!」
JUM「……」
JUM「待てよお前ら。そんなに焦るなって」
JUM「お前ら、そのウン……はなまるハンバーグをどうやって食べるつもりだ?」
真紅「そうね。確かにナイフもフォークもないから食べられないわ」
翠星石「それに、スープにひたってますから、
スプーンと、スープも入れられる取り皿が三つ必要ですね」
雛苺「翠星石、翠星石。三つじゃなくて、取り皿は四つなの」
翠星石「おおっと、チビチビの分を数えるのを忘れてましたぁ~!」
雛苺「むぅ~! ひどいの翠星石!」
JUM「ほらほら、ケンカしてないでお前らとっとと持って来いよ。
その間に僕が切り分けといてやるから」
一同「は~い」
翠星石「チビ苺、どっちが早く持ってこれるか競争です!」
雛苺「えっ?」
翠星石「ヨーイドン!」ダッ!
雛苺「あっ、ずるいの翠星石~!」ダッ!
JUM「慌てて食器を割るなよな!」
JUM(……よし、あいつらを追い払う事に成功したぞ)
JUM「あとはこのブツを流すd」
真紅「流す? 何を言っているのジュン」
JUM「っ!? お前、食器を取りに行かないのか?」
真紅「ええ。あの子達二人で十分だもの」
JUM「そ、そうか」
JUM(クソッタレ!)
JUM(どうする!? どうする桜田ジュン!?)
JUM(コイツを追い払わないと、
流した時の散らばり方で“これ”がなんなのかバレるかもしれない!)
JUM(バレない可能性の方が高いけど、バレる可能性はゼロじゃないんだ……!)
JUM「め、面倒くさがってないでお前も行けよな!」
真紅「あら。貴方も二人で十分だと思ったからここに残っているんじゃないの?」
JUM「あ、いや……それは……」
JUM(全然違う!)
JUM(どうすればいいんだよ!?)
JUM(どうすれば、コイツを追い払う事が出来るんだ!)
JUM(何か……何かコイツが動くような理由を考えなきゃ……)
JUM(……)
JUM(! こ、これだ!)
JUM「……ゴホン、ゴホン!」
真紅「咳? ジュン、貴方やっぱりどこか具合でも悪いの?」
JUM「……いや、そうじゃないんだ」
真紅「でも、急に咳をするなんておかしいわ」
JUM「……何、大した事じゃないさ」
JUM「ちょっと喉が渇いて、ね」
真紅「喉が渇いたのなら、何か飲んできたらどう?」
JUM「いや……今は紅茶が飲みたいな。それも美味しいのが。
困ったもんだよ」
真紅「だからあれ程紅茶の煎れ方を勉強しておきなさいと言ったでしょう。
そうすれば、今困ることはなかったのに」
JUM「なあ真紅」
真紅「何かしら?」
JUM「良ければ、紅茶を煎れて来てくれないか?
僕、お前が煎れた紅茶が好きなんだよ」
真紅「あ、あら。そうなの?」
JUM(かかった!)
JUM「……ああ」
JUM「せっかく紅茶を飲むんだったら、真紅の煎れた紅茶が飲みたいな」
真紅「お、おだたてても駄目よ。
普段から練習をしていないのがいけないのだわ」
JUM(真紅、もうお前は針に食いついた魚だ)
JUM「そうか……じゃあ、残念だけど紅茶を買ってくるよ。
僕が煎れたのより美味しいだろうからさ」
真紅「待ちなさいジュン。
売っている物と、自分で煎れたものでは香りが違うわ」
JUM(餌は、美味しかったか?)
JUM「でも……」
真紅「……仕方ないわ。たまには家来へのご褒美も必要かしらね。
煎れてきてあげるから、ここで待っていなさい」
JUM「……ありがとう、真紅。本当に嬉しいよ」ニヤリ
真紅「こ、今回は特別よ。次はないと思いなさい?」
JUM「もちろんさ」
JUM(真紅、釣りやすい奴だ)
ダダダダッ!
翠星石「翠星石の勝ちですぅー!」
JUM「……おお、早かったじゃないか」
翠星石「当然ですぅ! この翠星石があ~んなチビに負けるはずがありません!」
トテトテ
雛苺「翠星石、さっきスプーンを落っことしてたの」
翠星石「よ、余計な事を言うんじゃありません!
それともなんですか? 翠星石の勝ちにケチをつけるつもりですか?」
雛苺「う、うゆ~!」
JUM「おいおい、ケンカすんなって」
翠星石「そんなことより、
はなまるハンバーグは切り分け終わったんですか?」
JUM「……ああ、もちろんだとも」
雛苺「ヒナ、負けてないの……」
翠星石「いつまでもしつこい奴ですねぇ」
雛苺「だって、翠星石はスプーンが足りてないの」
翠星石「スプーンならここにありますぅ」
ひょいっ
雛苺「あっ、ヒナが持ってきたスプーン!」
翠星石「これで文句はねーですよね? むしろ、
スプーンが無くて文句を言われるのはチビチビの方ですぅ!」
雛苺「ズルいの翠星石! 返して~!」
翠星石「駄目ですぅ~! 悔しかったら取り返してみなさ~い!」
雛苺「むー!」
真紅「……」
JUM「おっ、早かったな」
雛苺「スプーン返して~!」
翠星石「い~っひっひっひ! 嫌です嫌ですぅ~!」
真紅「……ジュン、これは何の騒ぎ?」
JUM「大した事じゃないさ。さあ、はなまるハンバーグを分けよう。
埃が落ちてこないように蓋をしておいたんだ」
真紅「そうね。あの子達に付き合っていたら
時間がいくらあっても足りそうにないもの」
JUM「……それじゃ、蓋を開けるぞ」
…カパッ!
真紅「……こ、これは!?」
真紅「どうしてなのジュン」
翠星石「? 何かあったんですか?」
雛苺「返して~」ジタバタ
真紅「はなまるハンバーグが……なくなっているのよ!」
翠星石「ぬ、ぬわんですってぇ!?」
雛苺「スプー……え、ええっ!?」
JUM「……」
JUM「ど、どうしてはなまるハンバーグが消えてるんだ!?」
真紅「ジュン。最後にはなまるハンバーグを見たのは貴方よ。
なのに、何故なくなっているかわからないの?」
翠星石「こらチビ人間! 本当は一人で食っちまったんじゃねーでしょうね!?」
雛苺「はなまるハンバーグー!」
JUM「……」
JUM「いや、僕は確かに切り分けて……はっ!?」
真紅「何、心あたりでもあるの?」
JUM「これを見ろ!」
翠星石「これって言われても……。っ! さ、さっきまで
はなまるハンバーグがあった場所に穴があります!」
JUM「……多分、切り分けたからこの穴に落ちたのかもしれない。
今までここに残ってたのは、穴よりもはなまるハンバーグが大きかったからなんだ……」
一同「……」
JUM「……でも、いいじゃないか。
これで翠星石と雛苺がケンカをする理由もなくなった」
翠星石「そうですね……。はなまるハンバーグがないのに、
スプーンの事で争うのも馬鹿らしいです」
雛苺「……うゆー」
JUM「真紅、紅茶は煎れてくれたのか?」
真紅「ええ、勿論なのだわ」
JUM「じゃあ、はなまるハンバーグの事は忘れて皆で美味しい紅茶を飲もう」
JUM「今までの事は、水に流して」
おわり
最終更新:2010年02月13日 17:41