出題:1スレ目>>780

>>785

男「えっ、俺が借りに行くの? しかも一人で?」

女「何を騒いでるんだ?」

男「今度やる演劇の衣装、俺が借りに行くことになった」

女「例の格安レンタルのウェディングドレスか。問題があるのか?」

男「あの店男一人じゃ入り難くて……」

女「誰か連れて行けばいいだろう」

男「劇の準備で皆忙しいらしくてな。誰か暇な奴居ねぇかなぁ」

女「人はいないこともない」

男「え?! 誰誰? この際男でも良いや、一人じゃなきゃ」

女「えーと、その、そういう事じゃなくてだな。つまり……」

男「あー、俺と一緒だとカップルと間違えられて迷惑って事か。んじゃその人に行ってもらうか」

女「えぇい、察しろ! 私が一緒に行ってやると言ってるんだ!」

男「え? あ、あぁ……」

女「……い、嫌なら、私一人で行くが」

男「嫌じゃない! 全然嫌じゃない! むしろお前で良かったくらいだ!」

女「そ、そうか。行くのは土曜日だったな。遅れるなよ?」

男「あぁ。ありがとうな」


女「遅い!」

男「すまんすまん……。それにしても、服、気合入ってんな」

女「た、ただの普段着だ!」

>>789

「ふぁ~。今日は誰もいませんわね~」
夏は沢山の観光客がいた海辺も今は9月を超えひっそりとしてる。

「うふふ。今日はのんびりできますわ」
彼女はそういいながらロングの髪を軽く結える。
彼女は誰もいない海を見ているのが好きだった。
海の音、風の匂い、砂の感触。
人がいないことで、その感触はより鮮明になる。
だから、彼女はひとりこの海に来ている。

麦藁帽子を被り、風を受け飛ばない様に右手で軽く押さえる。
白いワンピースが風に揺れ軽くはためく。

ふと、感じる匂い。その匂いはこの調和を乱した匂いだった。
「……だれか、いるのでしょうか?」

こんな寂れた海に来るのはそう多くはないはず。
彼女は興味を惹かれいそうな方向へと歩き出す。

それは、すぐに見つかった。
その人は服を着たまま、黙って海の中へと沈んで行ったのだから。

――自殺?
疑問は一瞬だった。彼女は反射的に駆け出した。
あっという間にその距離は縮まり、追いつく。
「あなた、何をしているのですの?!」

自殺をしようとしていた人間はいう。
「邪魔しないでくれ! 僕はこんな世界になんていたくないんだ!」
その言葉はカチンと来た彼女は辛辣に言い返す
「何をいっていますの! そんなことは寿命を全うしてからいうものですのよ!」
「はっ! 僕なんて負け犬なんだよ。負け犬だからどうしようもないんだ!」
「そんなことは知りませんわね! 今、わたくしに見つかったことを不運に思いなさい!」

相手はこれまででひどく消耗していたのだろう。彼女の力に抗しきれなくなったのか
じょじょに陸へと引っ張られていく。
そして、最後に二人は砂浜へと倒れこんだ。

お互い荒い息をつきながら、座り込む。
「僕のことなんて、ほっといてくれよ」
「っは! まだ言いますの。 いい加減にしなさい。とりあえず、まずはわたくしに何があったか説明しなさい」
「あんたと関係なんか――」
「せ・つ・め・し・な・さ・い」
「はい……」
彼女の迫力に押された相手はぼそぼそと話しはじめる。

「はぁ。つまり彼女に告白して振られたから、自殺しようとした?」
「……はい」
「情けない。情けないですわ! そんなもの一度や二度起こったくらいでどうしたというんですか」
「101回目です」
「……それでもですわ!」
彼女は若干怯んだが、気力を沸き立たせ言い直す。
立ち上がり、演説をするかのように両手に力を込め力説する。

「何度でも何度でも、起き上がって当たっていく。それくらいでなければ恋愛なんて成就しませんわ!」
「そうですか? たとえどんな壁があってもですか?」
「そうですわ!」
彼女は自信満々に言い切る。彼女が見たところ相手は見たところ外見など悪くない。むしろ良い方だと感じる。
性格さえまともなら十分いけるはずだと見立てていた。

「……そうですね。わかりました。僕、もう少し頑張ってみます」
立ち上がった相手の目には光が戻っていた。その様子に満足すると彼女は頷く。

「その意気ですわ。……さて、わたくしもそろそろ帰らなければ、でもご機嫌よう」
「あ、待ってください。……僕と、付き合ってくれませんか」
「は?」
いきなりも程がある。確かに顔は悪くないがそれでも時と場合があると彼女は思う。

「僕、一目ぼれしました!」
「……えーと、ごめん、それは流石に……」
彼女の言葉は微妙に相手に聞こえていない。

「僕、女ですが、性別の壁なんて関係ないですよね!」
「それは関係ありまくりですわ! わたくしそっちの趣味はありませんのよ!」
そう叫んで彼女は逃げ出した。
もちろん相手は追ってくる。

「待ってくださーいー!」
「いーやーでーすーわー!」
二人の少女の黄色い声が海にこだました。










「お嬢様……ご立派になられて……」
そのころ迎えに来ていた彼女の執事は涙ながらに一部始終を見守っていた。

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最終更新:2010年02月13日 17:19