出題:1スレ目>>909

>>914

「……お前さ、なんでそう俺に突っ掛かるんだよ」
「はい? 突っ掛かってなんてないし! あなたがちゃんとしないから」
 違う。
「まあ、ひどく嫌われているのは分かるんだ、うん。
 出会い頭でいきなりあんなことがあったんだもんな……」
「ちょっ、いつまでも私のムネの感触覚えてんのよ! バカ! 変態!」
 違う。
「スマン。しかしこれでも、毎日忘れられるように努力してるんだ!」
「毎日思い出すな腐れマラがぁっ! ぶち殺すぞ!?」
 本当はこんなことが言いたいんじゃない。
「ああ失言だった。……つまりだ。俺を嫌うのはいい」
 そこから既に違うんだけどな。だって私の気持ちは、恋なんだから。
「しかしそんなに殺意剥き出しにするとみんな萎縮するだろう?」
 これはただの照れ隠しなのに。
「社会に出たら、嫌いで嫌いで堪らない相手とも付き合っていかなきゃならないんだぞ」
 的外れな説教はもう耳に入らなかった。
 嫌い、嫌い、嫌い。私、やっぱりそんなふうに見えるのかな?
 私の気持ちなんて永遠に伝わらないんじゃないかと思う。隔絶を感じて、目の前が真っ暗になった。
 失恋して辛い思いをするくらいなら、いっそ本当に嫌いになってしまおうかと、そんなことまで考えた。
 結論から言えば、それはやっぱり無理な話だったのだけれど。

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最終更新:2010年02月13日 17:20