出題:2スレ目>>263
>>267
彼女は常に歌を歌い続けている
とてもジャンルが広く、アイドル歌謡から演歌、果ては朗読まで何でも
いつも孤独で、人と話せない僕にとって、彼女は本当に心からの親友だった
しかしそんな日、彼女は歌を歌わなくなる
僕は必死に彼女を揺さぶるが、彼女は何も答えてはくれない
僕は空しさと悲しさから、自分の目に涙が溜まっていくのを感じた
瞬間、ポツンと、僕の涙が一滴、彼女へと落ちていった
その時だ。彼女がかぼそい声で、僕に言った
「あ…あ・…有難う。わた・・・私を・・・拾って・・・くれ・・・」
プツン、と彼女は完全に口を閉ざした
僕は長年使っていた
ラジオが壊れたのを気に、一日もラジオを買う事も、聞く事もなくなった
最後に聞いたあれは、何処の周波数の番組だったのだろう
>>269
「あのさ、蜂に刺されたら死んじゃうのって病気だっけ?」
病気というか、アレルギーみたいなもんだった気がするぞ。
アナフィラなんとかっていう。
それに、蜂に刺されたら死ぬ時は死ぬ。
「ところでさ、鮫って美味しいのかな?」
俺は食った事は無いが、俺のジイサンは食ったことがあるらしい。
酢味噌につけて食うと美味いそうだ。
わざわざ食おうとは思わないけどな。
こいつとの会話はコツがいる。
ノイズ交じりで、飛び飛びで、流れというものが一切ない。
「それならさ、明日遊園地行こう?」
明日は学校だから無理だろ。
いきなりすぎる。
お前も明日は無理だってわかってるんだろ。
「じゃあさ、今年の流行語大賞はなんだと思う?」
「遊園地は週末な。混むから土曜日で」
だから、こっちが拾ってやら無いといけない。
ノイズの中から、コイツが本当に届けたいと思ってる振動を。
「……うん。これってデートかな?」
さあね。
流行語大賞だが、俺はテレビをあまり見ないからわからんな。
何せ、お前の周波数にチャンネルを合わせるのに必死だから。
>>272
白い鍵盤に雪崩落ちる十本の指先。
無造作で適当とさえ言える動きから、まるでギンガムチェックのポップキャンディーのような音が弾けるように飛び出す。単音のカッティングが空中で衝突して、キラキラとした響きを残して砕け散る。
自分の仕事はこれだ、と云わんばかりのドラムの生真面目なリズム。陶酔感をにじませるようなウッドベース。
まるで舗装された滑走路のようなそれらの上をピアノが離陸する。
複雑なアーチ、音符で作られた金門橋。
一つ一つの音が甘えるような、それでいて優しい、子猫の背伸びのような喜びを伴って部屋の虚空を上っていく。まるでピエロが次々と手放していく遊園地の風船のように。
「どうだっ?」
あいつが白い歯を見せてにやりと笑う。
こんなに力強くて楽しげな音楽の代償か、その額では汗が光っている。だがそれさえも休日に駆け出す子供のように歓喜に満ちている。
「こういうのが判らないからお前はロボ野郎なんだよ」
確かに判らない。
僕は音楽が判るようには設計されていない。
だがしかし、長い長い別離の末にベースのバッキングとピアノのフレーズが出会ってシンコペーションを奏でるとどうしようもないほどの高揚感が訪れる。
「失敬な。周波数や1/fにだって感動は出来ます」
僕はサックスを掴むとポップな色彩へと踏み込んだ。
判る必要なんかない。
今や僕も音楽だ。
>>273
隣りの家の幼馴染みの
屋根にでっかいアンテナ付けて
害悪電波を垂れ流す!
気持ち良くなるほど流す!
オ~ 耐えられずに~
オ~ 彼女が我が家に飛び込んだ!
周波数感知! 僕は共振メロメロです
周波数感知! 君はもうじきゲロゲロです
そのままうちに来て 嫁になれ!
(オ~オ~毒電波シンパシー)
>>278
二人の周波数
君の歌しか聞こえない。彼はそう語った。彼は一種の聴覚障害で、僕の声しか聞き取れなかった。
なんでも僕の声と彼の耳の周波数かなんかが偶然、合ったらしい。出会って以来、僕は彼の案内人を努めた。
耳に障害がある。それは口がきけないのと同義だ。それで、彼の意思疎通の手段は筆談だけとなる。必然的に文を書く機会も多くなり、彼は小説を書き始めた。
僕の伝えた世界を彼は描写するのがうまかった。今まで読んで来た文豪たちよりも、僕の心を震わせた。
ある日、何気なく歌っていた歌を彼が気に入った。それはありきたりな流行歌だったが、なぜか胸が熱くなった。
一曲歌を覚え、彼の家へ急いだ。物凄い勢いの自動車、なんだか酷くゆっくり見えた。
まもなく僕は死んだ。彼には案内人が居なくなった。彼の世界は閉ざされたのだ。
でも、彼は今も小説を書いている。書店に立ち寄った時、是非彼の本を手に取って欲しい。そこには彼と僕の世界が描かれているはずだから。
最終更新:2010年02月13日 17:22