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出題:2スレ目>>308

>>311

女「男君とこうして出歩くのはずいぶん久しぶりのことだね」
男「ああ、あのときもこんな雨だったな」
女「雨女でごめんね」
男「そりゃどうしようもない」
女「ふふ」
男「どうした?」
女「あのときも、男君は私を濡らしたくないって言って、自分だけ濡れて帰ったっけ」
男「そうだっけな……」
女「ねぇ、なんで傘差してくれないの!!」
男「うわびっくりした!」
女「雨の日のたび私を持ち出して、差さないってどういうことよ!!」


>>316

まただ、また傘が無い。せっかく仕事が終わったってのに
俺はガサガサと一列に並べられた傘立てスポットを漁った
これでもう5回目か……俺ってば傘に嫌われてんのか? 外は傘無しじゃ歩けない豪雨
こりゃあ、バックを傘代わりにして帰るしかないか……

「やぁ! 何を悩んでいるんだい?」
後ろから元気な声を掛けられて、俺は頭上に上げたバックを下げて振り向いた
同僚の河辺さんが、右手を掲げて笑みを浮かべていた
「いや、傘が無くなっちゃって……また誰かが間違えて持ってちゃったのかなぁと」
俺が困った素振りを見せながらそう説明すると、河辺さんはにこやかな笑顔で

「そっか! それじゃあたしの傘を貸すからいいよ。それで帰りな」
と言った。ええっと、それじゃ河辺さんがびしょ濡れになってしまうじゃないか
そう俺が口に出そうとした瞬間、河辺さんはにやっと口元を歪ませて言った

「それじゃあ、ビショビショニなったら、君の家で乾かさせてもらおうかな」
「いや、普通に相合傘でいいですよ」


>>327

 その雨傘を、父はとても気に入っているようであった。
雨が降りそうとあれば、どんなに予報の確立が低くても
その傘を持って出かけたし、傘を持っていない出先で
突然の雨に見舞われても、代わりの安い傘を買い求めるような
事はせず、ずぶ濡れで帰ってきたものだった。自分以外の人間に
その傘を使わせる事など許さず、私がうっかり使おうがものなら、
烈火のごとく怒られた。
 ある日、私は雨の日に外出する事になった。自分の傘は妹に使われ、
他の傘も出払っており、仕方なく私は父の傘を持ち出した。早朝、晴れ
ている時に出かけた父は傘を持っていかなかったのだ。父が帰るまで
にこっそり返すつもりだったのだ。
 夜、恋人と共に夕食を楽しんでいた私は、突如傘の事を思い出した。
既に父は家に帰っている時間だし、そもそも今日の遊び相手が恋人
であることなど、父には言っていない。私は急いで家へと帰ることにした。
謝る私を、彼は笑顔で許してくれた上、家まで送ってくれた。
 玄関の鍵は閉まっていた。チャイムを押し、ドアが開くまでの間、私と
彼は、一緒に父の傘に入っていた。開けてもらえないのでは、と思い始めた
その時、ドアが開いた。あけた瞬間、無表情だった父は、傘を使っている
私たちを見て眉をつり上げ、次に、一緒に傘に入っている彼を見て
驚いた様子を見せた。
「ご、ごめんなさい……。勝手に使っちゃって」
雷と拳骨くらいは覚悟して、私は謝った。しかし、帰ってきた応えは意外なものだった。
「贈ってくれた彼にはお礼は言ったのか?」
彼にとっても父の言葉は意外だったらしく、私と父を慌しく見比べているだけであった。
「まだ雨も降っている。その傘は君にあげよう。今日はわざわざ送ってくれてありがとう」
若干笑顔すら浮かべ、父が彼に言う。私は自分の耳が信じられなかった。

 彼が帰った後、私は恐る恐る父に訊ねた。
「あの傘だけど、よかったの? あんなに大事にしてたのに」
無視されるかとも思ったが、父は答えてくれた。
「あれはな、死んだ母さんのお父さん、つまり、お前のお祖父さんからもらったんだ。
 丁度今見たいな感じでな。だから、いいんだ」
そう言ったきり、父は黙り込んでしまった。もっと色々訊きたかったが、寂しそうに
杯を傾ける父を、私はこれ以上見ていることが出来なくなった。就寝の意を告げ、
私は早々に自分の部屋へと引き上げた。

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最終更新:2010年02月13日 17:23