出題:2スレ目>>687

シーン1:回想シーン。情景描写から導入。老人が自分とヒロインの間にあった出来事を回想している。内容は詳しく語られないが
昔、ヒロインが彼の命を助けて逝ったらしい。回想する時に何か過去を思い出すきっかけがあるとよいかも。

シーン2:若き日の主人公。朝起きる。これから世界が滅びると何らかの形で知った。



>>691


【シーン1】

男「山に雪が降ったか。そろそろ冬の準備をせんとな」

男「雪、か。結局あいつには見せてやれなかったな――」



男『もういい、やめろ! これ以上続けたら、お前死ぬぞ!』

女『私が頑張れば、世界は滅びなくても済むんだよ? 最後だもん。かんばらなきゃ……』

男『お前が死んで世界が救われるなんて、そんなの……そんなの認められるか!』

女『私を外に連れ出してくれて、色々なものを見せてくれて、本当に、ありがとう……』

男『これからだって見せてやるさ! お前に見せたいもの、まだまだいっぱいあるんだ!』

女『そう……だね……。最後に、ユキ、見たかったな。きっと、とっても綺麗なんだろうなぁ……』

男『おい?! 馬鹿な事言ってんじゃねぇ!』

女『さようなら……私が、一番――』

男『やめろぉぉぉぉぉおおああああああああああ!』


【シーン2】

男「――ああああああああ!」

母「何が『やめろ』だい! 母親に向かって!」

男「あてっ! 痛ってぇ……って! え? あれ? 母さん?!」

母「まったく、何時まで寝てるつもりだか。ほら、さっさと起きて顔洗ってきな!」

男「今のは……夢? しかし、最後の大爆発はとても夢とは……」

男「いや、爆発というより……それに、世界が滅びるとか……」

母「こら! いい加減支度しないと、間に合わなくなるよ!」

男「うわ、やっべ、もうこんな時間かよ!」

男「しかし……夢で熱気まで感じるものなのか? 夢じゃなくて、もしかして――」


>>695

俺は一人、世界の果てに踏み込む。
若い頃は我武者羅に突き進んだ敵地。果てしなく遠く感じていた地は、既に閑散としている。今頃――故郷にも敵が侵入した頃なのだろう。
「……あと少しくらい、俺の出番も待っててくれるのかな」
ここに到達するまでに背負い込んだ疲れから、俺はそこに座り込む。
荒野を吹き行く風に、背中の古傷が少しだけひりついた。


戦友――いや彼女は、俺を守って死んだ。
よりにもよって、俺なんかの背中を庇って……。
猛進しか知らぬ俺と違い、いつも考えながら進む臆病な奴だったのに。
俺が――目の前の敵も省みず、前に出過ぎたから……。


高く晴れ渡った空の遥か遠く、自陣から最後の檄が飛ぶ。
もうすぐこの戦いも――否、この世界自体が終わるのだ。
「……行くか」
俺は、あの時の俺じゃない。若い頃のように真っ直ぐに進み続けることは、もう出来ない。
だが今の俺は、前、斜め前、後ろ、真横に、それぞれ一歩動くことが出来る。
どんな結果になるのか、一兵卒の俺には解らないが――必ず戦いを終わらせる。
あの世で見ててくれよ、桂馬。


>>696

シーン1

 雪がこんこんと降り始めた。夜空には白色が無数に点在している。
 振り返ってみると私は年をとったものだ。いささか長く生きすぎたかもしれない。
 窓を開き、冷たい空気が肌を震わせる。ふぅ、と白いため息を吐く。ゆらゆらと舞う粉雪が頬に触れた時、久し振りに昔を思い出した。

 きもちわるい。吐き気がする。なんだかぼおっとする。
 意識はないのに、魂が感じている。己の身体が死へ向かっているのを。
 網膜は白い天井を映しているが、脳はその映像が何かを理解しない。
 触れられてもそれが自分の感覚だと実感できない。
 けれど、耳だけは憎たらしい程に健在だ。おかげでここが病院だと分かった。
 医師は意識がないことをいいことに目茶苦茶言ってくれた。手術なんて意味はない。だから、今すぐこの命綱――生命維持装置を切って欲しい。

それからしばらく入院生活は続いた。俺は生きる屍、植物人間。最初の方に来ていた家族も、今は俺なんて忘れて日常を送っているだろう。
 繋がれた管が酷く憎らしい。まるで俺を現世にとどめ続ける足枷のようだ。
 不意に扉が開く音。この時間に医師は来ない。見舞いだろうか。
「こんなになって……。もう命が空に近いわ」
 俺はこの声を知っている。あの人がなぜここに?
「ごめんなさい。あの時、私が側にいれなかったから……。だからせめて貴方だけでも生きて……」
 彼女が俺の手を握る。あまり感触はないが、ぬくもりは感じた。
 彼女が帰宅して数日後。私は意識を取り戻し、回復の兆しも見えて来た。
 彼女が死んでいたという事実に、動揺を隠せなかった。私は彼女が身代わりを買って出たのだと、それ以来心に十字架を負った。


>>706

Scene1
爺「おお、めっきり春めいてきたのう。花は咲き乱れ蝶は舞い飛び…」
孫娘「じじいしっかりしろーっ!? 今は秋だーっ! 虫は鳴き乱れ枯葉は舞い飛ぶ秋だーっ!」
爺「おお、ソムスカヤ=ドレーミェワ」
孫娘「あたしはよし子だーっ!?」
父「むう。そう言えば聞いたことがある」
母「あらあら、知っているのお父さん」
父「ソムスカヤ=ドレーミェワ……オヤジが若き日に死に別れた女の名……」
孫娘「両方とも名字だーっ!?」
母「あらあら、よし子は博学ね」
爺「思い出すのう…ソムとは二人で色々なところを旅したなあ…世界を救うために……」
孫娘「で、電波だーっ!?」
爺「薔薇の騎士メンヘル・メンヘラ…真紅の姫ゾムドリアンゴーチェスタトロモーニアームストロング…」
孫娘「称号はありがちだけど名前がやばいーっ!?」
爺「暗黒大魔王を倒すため、わしらは旅をしたのう…ソム」
孫娘「だからあたしはよし子だーっ!」
爺「しかしお前は黒騎士ジョンガラ=ネブタの手にかかり……はっ! ソム、ワシを庇ってお前は死んだはず…!」
孫娘「もう一回言うあたしはよし子だーっ!」
爺「迎えか! 迎えに来たんじゃなソム! この悪霊めええええ」
孫娘「心臓弱いんだから暴れるなーっ!」
爺「行かんぞ! まだワシはお前のところに行くワケにはゆかんのじゃ……はうっ」ガク
孫娘「じ、じじい、しっかりしろーっ!?」
母「あらあら大変だわ」
孫娘「は、はんにゃーはーらーみーたーっ!!」

爺「 !! 」

父「おいおい、それじゃ成仏してしまうぞ」
母「あらあら大変だわ」

爺(そう言えば……あの日もお前は……)

Scene2
チュンチュン チチチ…
ソム「は、はんにゃーはーらーみーたー!!」
若き日の爺「んん……なんだよ朝っぱらから…ううう。もー少し寝かせてくれよお……」
ソム「起きれ! ヤバい!」
若爺「何の騒ぎだよ……」
ソム「ビビッと来た! ヤバい! 世界ヤバい!」
若爺「また電波受信したのかよ……」


>>719

>>691の場面転換

俺の腕の中で、ユキの体温がひしひしと冷たくなっていくのを感じる
これほどまでに――これほどまでに無力なのか、俺は
俺の必死に問いかけに、ユキはぼんやりと、しかしかすかに微笑んだ表情を浮かべたままで何も言わない

そのうち――ダラリと、ユキがひっそりと目を瞑った。嘘だ、そんな、そんな事
「さようなら……私が、一番――」
ユキがか細く、俺の耳元でそう囁いた。やがて、完全にユキの体の体温が――

俺は、俺は、俺はユキの為に……何が……
『やめろぉぉぉぉぉおおああああああああああ!』
無我夢中で、俺はユキを連れて行こうとする死神に叫んだ。だが山は無常にも――俺の叫びをかき消すだけだ

「――ああああああああ!」
――はっ。あの雪山の寒さが消えた? あれ、暖かい……?
しばっと、電球のまぶしさが俺の目を覆った。数秒目を閉じ、パッと開ける
そこに浮かぶは、パーマをかけた母ちゃ――

「何が『やめろ』だい! 母親に向かって!」
ちょ、いて! フライパンは止めて、フライパンは!

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最終更新:2010年02月13日 17:29