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出題:3スレ目>>240

>>241

「あそこにスリッパあるけど、使ったこと無いね」
「呪われているからな」
「へえ、それは知らなかった」
「あれでゴキブリ叩いたんだ」

>>242


>>243

男「呪いのスリッパ?」

女「うん」

男「何で持ってるの? 捨てたら駄目なの?」

女「捨てたら呪われるって言われた」

男「んじゃ、それまだ呪いのスリッパじゃないんじゃない?」

女「捨てた瞬間呪いが発動するってことは、まだ呪いのスリッパじゃないね」

男「罠付きスリッパ」

女「呪いのスリッパ候補」

男「それだとスリッパに候補がかかってるよ。一応今でもスリッパはクリアしてるよ」

女「スリッパ(使った後は捨てて呪われましょう)」

男「ガムの注意書きじゃないんだから」

女「要注意スリッパ(廃棄時、使用者に何があっても当社は一切責任を負いません)」

男「それ、呪いも製造元で作ってるし」

女「一生使うスリッパ(捨てないで下さい)」

男「確定事項にしちゃった」

女「このスリッパ捨てるなよ? 絶対捨てるなよ?!」

男「呪いのスリッパとしては、一番正しいスタンスかもしれない」

女「スリッパ(呪詛加工済)」

男「えーと、いつまで続けるの?」

>>249

「っ!あの、その、これは呪いのスリッパでっ!」
「呪いのスリッパぁ?」
「そそそ、そうなの。捨てたら呪われちゃうの」
「え、だれか呪われたことあるの?」
「こないだお母さんが間違えて捨てそうになって…」
「どうなったの?」
「(ハッ)ん、どうもなってないよ」
「呪いじゃねーじゃん」
「ははははは」
「ははははは」

「でも、よかったよ」
「え?何が?」
「こんなに大事にしてくれてて」
「覚えてたの!?それならそうと……」
「ごめんごめん、いや、嬉しいよ」
「もう……」

「それにしても、お母さん帰りが遅いなあ……」
「ああ、まだおばさん帰ってきてないな」
「おかしいなあ……あ、電話だ!きっとお母さんからだよね!」

>>250

 普段使わない便所スリッパなどというものを購入したのは、給料日の浮かれた気分によるほんの気紛れからだったのか。
 陶タイル張りの便所に素足で踏み込むことは、男の感覚からすれば禁忌とすら言える。
 あの不愉快な冷たさと、特に梅雨時の不気味な湿り気が、男にたまらない不快感を与えるのだ。
 しかし、彼が今住んでいる安アパートの便所の床は板張りで、気後れなく素足で踏み込むことができる。
 298円という値段も、男の住んでいる界隈に百円均一の雑貨店がある時点で魅力的なものとは言えない。
 何故こんなものを購入したのか。
 男が頭に疑問符を浮かべたのは、帰路も終わり近く。自らの起居する巣を眼前にした時点であった。
 ペンキがはげて斑模様になった木扉の鍵を開け、街明かりで仄かに内観を浮かび上がらせた室内に滑るように入り、傍ら
にあるはずの電灯のスイッチを手で探り、点ける。
 二、三度明滅を繰り返したあと、歯切れの悪い音を発てて蛍光灯が灯り、青みがかった光で寒々しく部屋を照らし出す。
 男は蒸れた靴を脱ぎ、三和土から床に足を下ろした。
 と。
 がさり、と手に提げたビニール袋が存在を主張するように耳障りな音を発した。
 男は再び先ほどの疑念を思い出し、いささかの苦笑を浮かべつつスリッパを取り出し、包装を破り取ると無造作に便所の
扉を開け、放り出すように床に置いた。
 その日はそれ以上のことも無く、男はいつも通りに飯を食い、風呂にも入らず寝床に就いた。

 夜中。
 男は猛烈な尿意に襲われ目を覚ました。
 電気機器のランプのみが声高に存在を主張する闇の中男は起き上がり、おぼつかぬ足取りで探り探り便所を目指す。
 自分ももうそんな歳になったか、と少々時宜を外した慨嘆を抱きながら、彼は便所の電灯のスイッチを入れる。
 40Wの裸電球の暗い光が、しかし、闇に慣れた男の目を灼き、たまらず視線を下げたその先に。
 華やかさを演出しようとして却って地味さを際立たせている、白地にくすんだ黄色で花柄をあしらったスリッパが置かれている。
 漸く、男は昨夕衝動的にこれを買い求めたことを思い出す。
 能動的な思考ではないが、折角なので使ってやろうという意思が彼の脳に働き、男は無造作に右足をスリッパに突き入れた。
 と。

 ぶちゅり

 男の右足の親指の先で、何かやわらかいものが潰れる絶望的な感触がした。
 続けざまに、不快な粘液が足の指を浸す不気味な感触を覚える。
 男は、耐え切れず絶叫した。
 慌てて足を引き抜きスリッパを右手で掴むと、左手でそれの爪先部分を幾度も叩く。
 ややあって、僅かな音をたてて、スリッパの指隠しの闇の中から何かが床に落下する。
 大きなアシダカグモの死骸が、裸電球の黄色く濁った光に照らされ、木床に横たわっていた。
 男は尿意も忘れ、左足で飛び跳ねながら寝室へ戻ると、救急箱を取り出し、消毒薬を右足の親指に吹きつけちり紙で拭うという
意味の無い動作を何度も何度も繰り返し、床に丸められたちり紙の山が築かれた段になってようやく人心地を取り戻すと、そのま
ま頭から布団をひっかぶって、強引に目を閉じた。

 翌日の夜中も、男は激烈な尿意で目を覚ました。
 昨日と同じように便所に向かう。
 迂闊にも。
 今日一日を昨夜の出来事で不快な気分で過ごしたにも関わらず、男はゆうべと同じように、無造作にスリッパに
足を突っ込んでしまった。

 ざわざわざわ

 背筋を逆撫でするような不快感が、高速で爪先から脛を通り大腿へと駆け上ってくる。
 男は悲鳴を上げ、履いているジャージをずり下ろす。
 大腿を駆け抜け、今や腰にまで到達した不快感の正体。
 ――長い触角を神経質に蠢かせる、油じみた光沢をもつ黒い生物。
 その姿を認めた時点で男の意識は途切れ。

 彼はその日の朝を、便所の床に横たわった状態で迎えることとなった。

 翌日も。
 その翌日も。
 毎夜、毎夜、男は尿意で目を覚ます。
 その度に、前夜のことを何故かその瞬間にだけ失念し、スリッパに足を突っ込む。
 そして前日と同じように、指隠しの奥から這い出てくる悪夢に悲鳴を上げる。
 もう、10日ほども、そんな夜を繰り返している。
 カメムシの大群、てのひらほどもある蛾、ゲジ、ムカデ。
 日に日に、脅威が増大していく実感を、男は感じていた。
 そしてついにある朝、男は通勤の途上のゴミ捨て場に、スリッパを投げ捨てた。
 何故早くこうしなかったのだろう。男はそう自らをいぶかしみつつも、爽やかな気分で電車に乗った。

 男はその日一日を、快く過ごすことが出来た。
 家に帰り、いつもと代わり映えのしない飯をもさもさとかき込み、風呂に入り、床を敷く。
 いざ眠りに就こうと、男は用を足すため、便所の扉を開いた。
 そこには。
 所々に焦げ跡のついた、白地に黄色い花柄の1対のスリッパが、丁寧に向きを揃えて、置いてあった。

>>252

スリッパで最初に人の頭を叩いたのは誰なのか?
それを調べるため、塚口教授とぼくはギリシャへと発った。

                      つづく

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最終更新:2010年02月13日 17:30
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