Schwarz ~そして少女は森の中~
蒼く月映す水面に漕ぎ出した
白い小さな手は不器用に櫂を手繰り
昏く森を閉ざすように纏う霧は深くなる……
辿りつきたる岸辺に咲ける花は──
鮮やかに腐す程に仄甘く──
「追憶ノ鎖ニ繋ガレタママ父親(ニゲルモノ)ヲ追イ駈ケ彷徨ウガイイ……」
少女惑ワス森ノ声ハ奥ヘト誘イ込ム
死と月明かりにくちづけ踊る蝶は──
鮮やかに舞う程に仄紅く──
「追憶ノ搖リ籠ニ搖ラレナガラ望ム幻想(ユメ)ニ抱カレ朽チ果テルガイイ……」
──薄すれゆく意識が見せた懐かしい幼き日の幻影(まぼろし) →
【散らばった歪な木片(かけら)を崩さないように積み上げる遊戯】
← 何度も上手く積もうとしたんだ──
そうだ…泣かないよ…『約束(ゆびきり)』したから……
最終更新:2009年03月13日 19:58