| とくべつれっしゃのストライク・サーディン、というお話。 |
| ある冬の夜、ダックの機関士が言った。 |
| 港には色んな船が出入りする。 客船も有れば、貨物船や漁船も有った。 漁船は積んだ魚を波止場に下ろす。 魚の一部は街の店に持って行かれ、残りは港の駅から特別列車で遠い所に運ばれる。 その特別列車を、鉄道員は『ストライク・サーディン』と呼んでいる。 朝の5時、ダックが駅に着いた。雪が降り、霜が降りている。 男達が威勢良く魚の箱を積み込む。ドアが閉まり、車掌が緑のランプを灯した。 ストライク・サーディンの出発だ。 |
| ダックは貨車に言った。 貨車はぎしぎしと動き出した。 |
| 朝の冷たい空気に白い煙が流れ、 罐の火が明るく輝く。 |
| 列車は順調だった。 火もどんどん燃えてる。 緑に光っている信号を通り過ぎた。 間もなく、遠くに黄色の信号が見えたので機関士は止まろうとした。 ところが手前の信号は何も点いていない。 |
| 然し、実は待避線に入るポイントが雪の所為で凍っていて、 手前の信号が点かなかったのだ。 ダックはそれを知らずに待避線の方に進んだ。 待避線では貨物列車がサーディンが通過するのを待っていた。 貨物列車の機関士達は車掌車で休んでいた。 |
| ところが、彼らが外に出た途端、 ダックが猛スピードで待避線に入って来たのだ! |
| 貨物列車は吹き飛び、ダックは横倒しになった。 ダックの機関士達は衝突寸前に外に飛び出したが、 ダックは動けずに、ぼーっとなっている。 やがてトップハム・ハット卿がやって来た。 |
| ダックは疑わしげに答えた。 ……ダックは工場が気に入った。 そして、とても元気になって戻って来た。 大勢の人が新しくなったダックを一目見ようと、待ち構えていた。 格好良くなった彼の姿を見て皆、万歳三唱をした。 |
| 皆が、大騒ぎして興奮してダックとエドワードを迎えに来てくれた。 |
| トップハム・ハット卿の自慢の帽子はヤギのおやつになってしまった。 |