サウスパーク/無修正映画版 (South Park: Bigger, Longer & Uncut)
『サウスパーク/無修正映画版』は1999年6月30日にアメリカとカナダで公開された最初で唯一の劇場版である。日本公開は8月12日。
ストーリー
ロッキー山脈に囲まれた、常冬の小さな町コロラド州サウスパーク。そこに住む小学生スタン(声:トレイ・パーカー)は、大好きなカナダのコメディアン、テレンス&フィリップ主演のオナラ映画『燃えよコウモン』が町にやってきたのを知り、友達を誘って一緒に観に行くことにする。友達、というのはもちろん、ユダヤ人のカイル(声:マット・ストーン)、デブのカートマン(声:トレイ・パーカー)、そして貧乏人のケニー(音:マット・ストーン)である。4人は喜び勇んで映画館に向かうが、「小学生は入れないよ」と門前払い。そう、セリフが下品な『燃えよコウモン』はR指定の映画(子供は入場不可)だったのである。しかし、4人はホームレスのおっさんを金でつって保護者のふりをしてもらい、まんまと映画館にもぐりこむことに成功する。
映画『燃えよコウモン』のセリフの数々は、小学生の想像をはるかに超えた下品さだった。初めて耳にする強烈なののしり言葉の数々に衝撃をうける4人。が、最初は口あんぐりだった彼らも、映画が進むにつれてすっかり禁ワードのとりこになってしまうのだった。
こうしてののしりトークをマスターした4人は、小学校でたちまちヒーローとなる。なんといっても、下品な言葉を知ってる方が小学生としては偉いからだ。もちろん他の小学生たちも負けじと映画館に殺到、『燃えよコウモン』は大ヒットとなり、全米の小学生の言葉づかいは目に見えて悪くなっていった。
これはゆゆしき状況だ、と判断したカウンセラーのマッケイさんは、子供たちに言葉の言い換えをするよう指導。「ケツ」のかわりに「おしり」といいなさい、というわけである。しかし、カウンセリングが終わるや否や、子供たちはやっぱり『燃えよコウモン』を観に行ってしまうのであった。
そんなある日、『燃えよコウモン』で出てくるギャグをマネして屁に火をつけたケニーが大やけど。運び込まれた病院で手術に失敗し、アッサリ死んでしまう。もちろん魂は地獄行き。
これを知った小学生の母親たちは怒り狂った。「あの下品なカナダ映画のせいよ」「いいえ、カナダのせいだわ!」と話はエスカレート。先陣を切って立ち上がったのは潔癖性のシーラ・ブロフロフスキー(声:メアリー・ケイ・バーグマン/他の母親の声もぜんぶ)、カイルの母親だ。シーラ率いる反カナダ団体は勢力を拡大し、ついにはTV番組のゲストで登場したテレンス&フィリップを逮捕させてしまう。
この暴挙に怒ったカナダ政府は国連で抗議するものの、まったく相手にされない。ブチ切れたカナダはハリウッドのボールドウィン兄弟宅を爆撃。さらにアークエット姉弟宅までをも崩壊させた。これにはアメリカだって黙っちゃいないぜ、というわけで米軍はトロントを襲撃。かくしてアメリカとカナダは交戦状態に陥る。
その頃、ケニーは地獄をさまよっていた。そこに姿を現したのは魔王サタンその人。横にいるのは最近死んだイラクのフセイン大統領だ! 地獄に堕ちたフセインは、まんまとサタンを手なずけてホモ愛人にしていたのである。これにはさすがのケニーも驚いた。
一方、子供たちの言葉づかいの悪さに手を焼くPTAは、新兵器を開発していた。Vチップである。このチップは頭に埋め込むと、悪い言葉に反応して電気ショックが与られる、という究極の「禁封じ込めマシーン」なのであった。モルモットにされたのはカートマン。実験は成功し、カートマンはムリして「いい言葉」を使うことを余儀なくされる。
アメリカ軍によるカナダ全面攻撃は目前に迫っていた。軍は兵隊の志気を高めるためのUSOショー(米軍慰問協会主催)を大々的に開催することを決定、ショーのクライマックスはテレンス&フィリップの公開処刑だ。これを知った子供たちは、自分たちの手でテレンス&フィリップを救出することを決意、レジスタンス組織を結成する。
地獄ではサタンがテレンス&フィリップの処刑を今か今かと待ちわびていた。予言によると、罪のないカナダ人コメディアンの血が流された時、地上の王者はサタンとなり、200万年に及ぶ暗黒の時代が到来するというのだ。しかしサタンを都合のいいダッチワイフとしか思っていないフセインは、そんな話は聞いちゃいないのだった。苦悩するサタン。
そして、USOショーの晩がやってくる。ゲストのウィノナ・ライダーの特出し(特出しの上に傍点)ショー、ビッグ・ゲイ・アルの歌謡ショーに引き続き、メイン・イベント、テレンス&フィリップの処刑が始まろうとしていた。子供たちはショーに潜入、処刑を妨害しようと試みるが、カートマンのチョンボで大失敗に終わる。が、そこへカナダ軍の奇襲攻撃が始まり、ショーは大混乱に。子供たちはそのどさくさ(どさくさの上に傍点)にまぎれてテレンス&フィリップを逃がすことに成功するが、あたりは既に戦場と化していた。そして、あくまで気がおさまらないシーラは、テレンス&フィリップに銃口を向けるのだった…。
挿入歌
- 『Mountain Town』
- 『Uncle Fucka』
- 『Wendy's song』
- 『It's Easy, Mmm'kay』
- 『Blame Canada』
- 『Hell Isn't Good』
- 『Kyle's Mom's a Bitch』
- 『What Would Brian Boitano Do?』
- 『Up There』
- 『La Resistance (medley)』
- 『I Can Change』
- 『I'm Super』
- 『The Mole's Reprise』
- 『Mountain Town (Reprise)』
- 『What Would Brian Boitano Do? Pt. II』
- 『Eyes of a Child』
トリビア
- ケニーが天国へいけず地獄に落ちていくときの看板によると、天国の人口は1,656人であることがわかる。一方地獄は923,545,421,207人から923,545,421,267人(おそらく進行形で死亡している)へと増加している。
- イエス・キリストは映画中に三度姿を見せている。初めにブリーフィングルームでバーブラディ巡査の左隣に映る。次にカイルがアイクを隠すシーンの前の、軍の行進の中にいる。最後にエンディングで群集の右後ろに現れる。
- コナン・オブライアンが戦争前のTVシーンで死亡するが、流星物語 スタンズ・エンジェル (Two Guys Naked In A Hot Tub)で登場していることからまだ生きている。
- サダム・フセインが冒頭でイノシシに殺された後、映画のラストで再び死亡する。しかしティミーは地獄行き? (Do The Handicapped Go To Hell?)で再び地獄に現れる。その後彼はSeason7のアイクをたずねて3000里 (It's Christmas in Canada)でアメリカに捕まえられた。
- 冒頭の歌のときにケニーが起きて下着姿の後姿を見せるとき、初めて彼の髪の毛が見れる。うまく一時停止すればジッパーを閉めるときに髪と口が見える。
- バーブラ・ストライサンドの名前はカートマンがサダムとの戦いの中で、罵り言葉として使用している。
- ラストでケニーが願いを伝えるとき、フードを完全に脱ぐ。ケニーの顔が完全に見られるのはこれが初めてである。また、初めて明確な声を聴くことができる。ケニーの声はマイク・ジャッジが担当した。本人にそのつもりはなくても、その声はスタンのように聞こえる。
- 映画のキャッチコピーには『Uh-Oh.』が使用された。
- グレゴリーが計画を皆に説明するとき使用した地図はママはヤリたガール(勃発!編) (Cartman's Mom is a Dirty Slut)で使用されたものと同じ。
- レジスタンスに集まった子供達の中にクライドのような子供がいるが、髪型がウェーブのかかった長髪である。
- 学校でテレンスアンドフィリップのTシャツを着ている生徒は帰宅するようアナウンスがかかり、生徒全員が帰宅する。ケニーはテレンスアンドフィリップTシャツを着ていないが、帰宅している。
- サタンの息子ダミアンは、子供達がテレンスアンドフィリップの映画を2回目に観る時にスタンの隣に座っている。
- 2010年1月1日の真夜中に修正なしの完全版でTV放送された。(らしい)
- カートマンがVチップで攻撃するときの姿が、ドラゴンボールZの作中の攻撃に似ている。さらに、フセインが攻撃されてはじけ飛ぶときの効果音がドラゴンボールZのものである。髪の毛もスーパーサイヤ人のように逆立っている。(電気のせいもある)
ミス
- ネッドは片腕の障害者であるが、戦争に参加している。現実では障害者は軍隊に入ることはできない。
- ハット君はサタンとともに地獄にゆくが、少し後の群集シーンでギャリソンの手に戻っている。
- 子供達が2回目の映画を観終わったときに、ベーベの後姿がドアを通っていくのが見られるが、ベーベはまだ席についている。
- カートマンは『What Would Brian Boitano Do?』を歌うとき、「Shit」と口にしてしまうがVチップの反応がない。
- カートマンが『Kyles Mom is a Bitch』を歌う間、テレンス・メフィストの服から黄色のラインが消えている。
- カートマンがケニーの幽霊に驚いて、布団の中で罵るが、Vチップによるショックを受けない。
隠れエイリアン
映画中、5つの場面でエイリアンを見つけることが出来る。
- シャロンがスタンに渡す紙幣。
- 2回目のT&P映画の座席左。
- シーラがコナンに渡す紙幣。
- カートマンの部屋の窓辺の写真。
- フィナーレ、群集の中、右方向。
画像
最終更新:2010年06月10日 03:26