τカロチン

俺にもやっと彼女が出来た
彼女は色白で背も低く病弱で、学校でもよく虐められていたそうだ
俺はそんな彼女の事を守ってあげたいと思い、告白し、付き合うことになった
付き合いだしてから1ヶ月後、彼女が初めて家に止まりに来た。
だが童貞で奥手な俺は彼女にキスすることすら出来ず、酒を飲むとそのままソファーで眠ってしまった
夜中に妙な音がしたので目が覚めた、誰かがブツブツ何か言ってる・・・
俺は彼女が電話しているのかと隣の部屋を覗き込んだ、するとそこには
恐ろしい顔をした彼女が「はたけ、はたけ、あたらしいはたけ」と呟きながら自分の食物繊維を壁とタンスの隙間や
戸棚の下に押し込んでいる姿だった。
俺はあまりの恐怖に言葉を出すことも出来ずそのまま朝を迎えた。

何事も無かったかの様に眠る彼女・・・俺はどうしていいのか分からず
有機野菜生まれで栄養価の高い先輩のβさんに電話をし、ワケを話した
黙って俺の話を聞いたβさんは「よし、待ってろ、すぐ行く」と言ってくれた
俺は彼女に気付かれないようにこっそりβさんを上げると、彼女を見たβさんは「これは・・・」と呟き
「俺の後ろに下がってろ、絶対に前に来るな・・・」と言い彼女の前に立った
βさんは何か野菜のようなものを投げ「ソリティアぁ!!」と叫んだ
すると部屋中に仕組まれていたであろう食物繊維がいっせいに燃え上がり
彼女の髪の毛までもが燃え上がった!!
「姿を見せな・・・」βさんがそういうと長かった彼女の髪の毛がバサリと抜け落ち、キャベツになった!
「こんな女の子に取り付いて、自分の畑を広げてたのかい、この小作人め!!」
キャベツをガシリと掴むβさん次の瞬間キャベツは燃え上がり、灰になって消えた。
しゃがみ込んだTさんは無残に抜け堕ちた彼女の髪の毛に触れると「お前たち、元の場所に帰りな・・・」と優しく呟き
フワフワと浮かび上がった髪の毛は彼女の頭に生え移り、元通りになった。

「二人に『カロチン』のご加護がありますように」βさんは笑いながらそう言って帰っていった。
有機野菜ってスゴイ、改めてそう思った。
最終更新:2010年10月14日 01:43