蒼穹のファフナー

これが僕たちの旅の始まりだった
もしも僕たちが生き残れるなら、今日までの笑顔を忘れないでいよう
またいつか、この島が楽園に戻る、その日まで

人は全てを知った時、世界の果てを知る力の限界を知る
夢など、いつか覚めてしまうことを知る
しかし僕たちは、そんな事など乗り越えられると思っていた
この時までは…

いつからだろう、人が空の飛び方を忘れてしまったのは
いや、忘れたのではなく、怖くなったんだ
この星の空は、人のものではなくなったから
その空に、僕たちは翼を広げた…

古い船を、今動かせるのは、新しい船乗りではない
しかし、新しい航路を見つけるのは、いつも無垢な船乗りだった
でも、無垢な僕たちが見つけたのは、空から落ちてきた、苦難への道のりだっ た

約束を守る者も、約束を破る者も、未来永劫この鎖から逃れることはできない
しかし、約束は一人だけのものじゃない
このとき、解っていたんだ、彼女だけは…

見上げてごらん
あの日、晴れた日に雨が降ったね
でも、雨に濡れる僕たちに、彼女はそっと、笑顔の傘を差し出してくれたよ
空よ、泣かないで、と…

その時、僕たちにあったのは、戦いで生き残った喜びなどではなかった
誰か一人を犠牲にしたという現実
それを受け止めるだけで、皆精一杯だった 

ただ乗り越えたかった
かつてできなかった事を、やろうとしていた
そうすれば償えるのだと、自分に言い聞かせながら
僕らは、さらに深い闇へと沈んでいった…

失ってはならないものがあった
それを守るためなら、目の前にある小さなものなど、幾らでも捨てられた
そのせいで、結局は全てを失うことになると分からず、
小さな自分を、守り続けていた

お互いがいない場所で、どうすれば分かりあえるのか、答えを探していた
理解できないことを、言い訳にはしたくなかった
そして僕らはまた一つ、何かを失った…

 何度も感情を共有した
 痛みや傷でさえ、ひとつの絆だった
それなのに、自分を知って欲しいあまり、相手がそこにいることを忘れてしま   っていた
どうすれば取り戻せるのか、まるで分からなかった

今ならわかる・・・
例え苦しみに満ちた生でも、僕は存在を選ぶだろう
もう一度お前と出会うために・・・
お前が信じてくれる限り、いつか必ず帰る
お前が居る場所に・・・

安西ひろこはこのポエムに対してのアンサーポエムを詠っている。
最終更新:2011年12月14日 03:15