レインボーヴェール

+ 魔術、法術、無属性に関する行
それで、結局どういった物なんですかお?
――ふぅ。
……端的に言うなら、11属性魔術よ。
こう言った方が早いかしら――複合魔術。
私が驚いたのはそこじゃないわ。
この魔術の構成は11属性を使って成されてる。
でもね――
この魔術自体には……属性が無いのよ。
いえ、正確には【無属性】と言う属性が付いているわ。
驚いた事にね。
あの、【無属性】って属性があるなら、
属性は11属性ではなくて12属性なのでは?
そうね、確かにそうなるわ。

でも【無属性】と言うのは魔術師にとって一種のタブーとされているの。
【王国】では一般普及なんてしてないレベルでね。
禁忌、ですかお。
例えばだけど……《完成された何か》があったとするわ。
それ以上が望めない、そう言う物よ。
それを研究する意味はあると思う?
……完成されてるなら、研究しても無駄になりますおね。
それ以上の発展がないんだし。
そう……そして【無属性】は《そう言う物》なの。
魔術とは研究し、研鑽していくもの。
もし完成されてるのだとしたら――それは終着。
研究者にとって終わりを意味するの。
だから秘匿された。
終着点があるとそこで満足してしまうから。
それ以上の進化がなくなってしまうから。
……なぜ、それが終着点だと分かったのですか?
……少し、長くなるわよ?
元々【魔術】とは【法術】に対抗するために生まれた技術だった。
初期の【法国】で【法術】を使う事が出来ない者が編み出した技術。
勿論【法国】では異端とされたわ。
【法術】は女神から与えられた業。
故に完成された技術だった。
それ以上が無い、ね。
対して【魔術】は研磨され、日々進化を遂げて行った。
魔力に属性をつける事によって導き出される解は
研究者を魅了した。
【法術】と違って【魔術】は完成される事の無い技術。
でも――
到達してしまった者がいたのよ。
【魔術】の終着点、《完璧な魔術》――
【法術】にね。

……つまり、【魔術】を突き詰めた先が【法術】だったと。
【魔術】を完成させた先が【法術】――神から与えられた物はまさしく完成品だったと。
ええ、そうよ。
何て皮肉なのかしらね。
そしてその《完成された魔術》は【無属性】だった。
故に、タブーなのよ。
【魔術】が【魔術】で有り続けるには、完成させてはいけない。
でも完成させなければ、完成されている【法術】には勝てない。
そんな二律背反を背負いながら魔術師は今まで生きて来た。
……当たり前に使っている魔術がそんな物だったなんて。
知らないのも無理はないわ。
国のトップ層ですら《魔術は完成させてはいけない》
その程度の認識しか残ってないレベルだもの。

……話を戻すわ。
その【レインボーヴェール】。
確かに【無属性】ではあるけれど、【法術】では無いの。
発動自体はいつもと同じようにやったから
【魔術】だとは思うんですけど……。
ええ、そうね。 【法術】と【魔術】には決定的な違いがある。
もし火属性のダメージを敵に与えようとしたとき、
法術】は【無属性】の攻撃で【火ダメージ】を与えられる。
対して【魔術】は【火属性】の攻撃で【火ダメージ】を与える。
……えっと、何が違うのでしょうか?
火属性に耐性がある魔物が居たとするわ。
【魔術】なら【火属性】を使ってるから火ダメージが半減される。
でも【法術】は【無属性】なのよ、つまり一切の半減が無い。
火属性が弱点の魔物に対しては、
どちらを使っても有効なのに、ね。
……まさしく、《完成された魔術》って事ですかお。
法術師からしたら《劣化した法術》でしかないでしょうね。
今回やる夫が使ったそれは……
【無属性】でありながら、他の11属性を全て内包してるのよ。
つまりっ!!
【無属性】なのに属性がある。
【魔術】の範疇に収まった【無属性】なのっ!!

……何となく凄いと言う事は伝わりました。
同上。
ねぇちょっと翠、コイツらぶん殴ってもいいかしら。
――翠?
――えっ?
あ……はい、良いと思うですよ?
……そう、分かったわ。
やめてくださいしんでしまいます。

全く、どれほどの快挙なのか理解してないみたいね。
貴方は今魔術の深淵を覗いたのよ?
そして、その深淵に橋を掛け、渡る直前にまで至った。
と、言われましても……。
(やる夫が何かをやったわけじゃないんだけどなぁ)
―――ッー!!
……はぁ、もういいわ。
でもこれは言わせて頂戴。
――――ありがとう。
どういたしまして……?
これで……【魔術】は完成などない
と言う事が証明された――
ふふっ。
属性を持っているのに【無属性】。
そう、これは全ての魔術師にとっての光明。
今までの公式を打ち砕く概念……。
無であるのに有である。
そんな《矛盾》を完成させないといけない――
骨が折れそうだけれど……。
解が分かっていた式を研究するよりも、
よほど遣り甲斐があるわ。
……本当に、感謝しないとね
うーん……。
……結局、【無属性】の【魔術】ってどういう事なんですかお?
その定義づけは貴方がするのよ。
【無属性魔術】の第一人者、と言う事になるのだから。
……ただ、事例だけは話しておきましょうか。
前に魔術を極め、【無属性】に到達した時は、
自分だけの【法術】になったらしいわ。
自分だけの……。
【無属性】――無色のパレットに描く様に。
自分だけの魔術を極めて行ってほしいわね。
そしてその経過はしっかりと報告してね。


【雷炎と混沌の刃】は【レインボーヴェール】の構造にそっくり

今の【レインボーヴェール】は魔術式がいくつか欠落していて、書き足す事も出来ず、確実に【吸収したソウル(瘴気)が足りない】
瘴気を吸収することで完成するみたいだ

完成させれば特級魔術になるが、問題は質で【吸収させたソウル(瘴気)で劇的に効果が変わる可能性がある】
吸収できるのはソウルと純粋に魔力として出てる【瘴気
このまま魔物のソウルを吸収していけば【魂魄術】寄りの魔術書に書かれた【Witch Craft】になる
【魔女のソウル】や【ダークソウル】を吸収した場合、それに準ずるように、元になった【ソウル】に染められる

吸収する瘴気は少しだけでも大丈夫
多く入れた方が効果は大きくなる
魔力をちょっと貰うだけだから【瘴気】を吸収する場合でも
相手側に何かあるって事は無い……はず、何か特別な事情が無い限り

【レインボーヴェール】からだけではなく【雷炎と混沌の刃】からも瘴気を吸収出来る
吸収した属性が被った場合、後から吸収した方に強さに関係なく上書きされる

現在の吸収した瘴気の一覧
火 凍てついた龍
水 ガノトトス→黒化ナルガクルガ
土 黒化ナルガクルガ
風 
光 黒化ナルガクルガ
闇 ドラギュロス
氷 凍てついた龍
雷 ドラギュロス 

空 黒化ナルガクルガ
幻 凍てついた龍
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最終更新:2014年11月02日 23:05