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作品名  第5回SRC学園シナリオコンペ
テーマ  『太陽』
主催者  マイヤー
参加者  マイヤー
      浦瀬ヒガタ
      シャアペン
      深緑の鼓動
      パン
      高野M明
      (以上敬称略)
DLページ  http://mayr.hp.infoseek.co.jp/Conpe5.html

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  • お読みになる前に

筆者はSRC学園に関してはまったくの部外者であり、関連シナリオのうちこれまでにプレイしたものも、
「鵯」、「SRC学園のア」、「モア・ドリーム奮闘記」、「未完のキャンバス」など数本のみです。
そういった人物が記している文章であるという点を、念頭に置いた上でお読みいただければ幸いです。


○概要

今回で第五回目を向かえた、SRC学園シナリオコンペ。
シェアワールド「SRC学園」の振興を目的として、数ヶ月ごとに開催されているこの企画は、
毎回ごとに決められる一つのテーマに沿って、参加者がSRC学園を題材としたシナリオを制作、
プレイヤーの投票によりその優劣を競うという趣旨の物である。
今回のテーマは『太陽』。各参加者が如何にこの主題を料理してくるか、その点に注目して
遊び比べてみるのも一興といえよう。
筆者はSRC学園(以下「学園」)に限らず、この手のコンペ物をプレイするのはこれが初めてだが、
とりあえず個々のシナリオのレビューにおいては他との相対評価を避け、最後の総括において
比較検証を行っていくこととしたい。


★『学園全域停電中!』
作者:マイヤー氏

  • 概要
現在、「学園」シナリオとして「未完のキャンバス」も執筆されている、マイヤー氏による作品。
突如SRC島全体を襲った停電に、所属するゲーム制作部のピンチを救うべく、
電撃を操る毒舌幼女が、機能停止した発電所に乗り込むというストーリーだ。
内容は「学園」に関して最低限の知識があれば十分理解でき、全体的にコメディタッチで
進行する物語も、読んでいて楽しかった。強いて言えば、起承転結の「転」の部分が弱く、
一話完結のシナリオとしてはやや充実度に欠けるかも知れないが、
物語の筋自体ははっきりしているので、さほど気にならないだろう。
なお、「太陽」というテーマは発電所を占拠した敵の目的や、オチの部分で消化されており、
まずまず上手く纏められている。

  • 戦闘
戦闘パートはマップが広く、敵も多めに配置され、特殊条件まで用意されている。
クリアーにはかなりのターン数を要したが、作業感は皆無で、
じっくり取り組んでみて損はない内容といえよう。
なお、主人公(?)の毒舌幼女、千凪は敵のバーナーによる攻撃を受けることで変身するが、
それまで全く戦力として当てにならないので注意が必要である。

  • その他
演出面は派手さこそ無いものの、最小限の効果で劇中の状況を上手く表現している。
但し、一部「これは一体何を表現しているんだ?」という効果音が無いでもなかった。



★『太陽は答えない』
作者:浦瀬ヒガタ氏

  • 概要
現在、「死神探偵スズキ」が大ヒット中の、浦瀬ヒガタ氏によるシナリオ。
本作品のみ、ノベル方式の一風変わったシナリオとなっており、戦闘パートも存在しない。
さらにグラフィック関係の効果もエンディングの1カット(空と太陽の絵が表示される)を除いて
一切使用されておらず、純粋に文章のみで綴られた物語となっている。
しかしながら、テキストの完成度は中々高く、文章でしか表現できない細かな描写と、
セミの鳴き声のみという思い切ったBGMも相まって、独特の雰囲気を作り上げることに成功している。
このあたりの表現力は、作者氏ならではといえるかもしれない。
また、このシナリオは二周目(一話完結のシナリオなのに、この表現もどうかと思うが)が存在し、
一度読んだ後でもう一度、今度は少し結末の異なる物語を楽しむことが出来る。
ただ、一周目はやや物語の主題が薄く、クライマックスにおけるヒロインの死(ネタバレごめんなさい)に
関してすら、悲劇性に乏しい物となってしまっている。そのため、本命はむしろ二周目の方にあるといえよう。
ちなみに、バックログ閲覧可能、好きな場所でセーブ可能と、機能的にもユーザーフレンドリーな
仕様となっている。

  • その他
一周目を読んだ後、二周目を読みたい場合は、タイトル画面で「ロード」を選択しなければならないので
注意されたい。



★『FreezingSun』
作者:シャアペン氏

  • 概要
大ベテラン(?)シナリオライター、シャアペン氏による作品。
ストーリーは、仲間と故郷を滅ぼした人間に復讐を誓う氷のモンスターと、
一人の病弱少女の心の交流を描いた内容となっている(ちなみに、件のモンスターは人間の姿をしている)。
最初、氷のモンスターは炎天下の中で弱っている所を主人公たちに助けられるのだが、元気を取り戻した途端、
主人公達の目の前で大暴れを始める展開に、「いくらなんでもそれは無いだろう」と突っ込みを入れてしまった。
また、冒頭では、会話の中で病弱少女の病態が語られるが、物語の理解に必要ない情報も多く、
蛇足になっている感は否めない。
ストーリーの主題は、復讐は何も生まない、という無難なものだが、それを軸として物語全体の流れを
上手く纏めている点では高評価である。
但し、「学園」のシナリオを2,3本は遊んだプレイヤーでなければ、馴染みづらい部分があるかもしれない。

  • 戦闘
戦闘パートに関しては、特筆するようなことは無い。
前後半戦が存在するが、難易度も軽めで、後半戦もスペシャルパワーを惜しみなく使えば簡単に攻略できる。

  • その他
全く個人的な話になるが、登場人物の黒崎は以前プレイした「鵯」で御馴染みのキャラクターだったため、
筆者個人としては、もっとも親しみの沸くシナリオだったかもしれない。



★『葵』
作者:深緑の鼓動氏

  • 概要
運び屋の少女、一之瀬未早矢が出会った、真っ直ぐな女の子、日向葵の物語。ストーリーは、未早矢が
学校の屋上で偶然出会った読書好きの女の子、西宮路凪に、その一部始終を語る形で綴られる。
日向葵が、自らが勝手にライバル視する飯豊琥子(いいでここ)と対決を挑み、勝利しようと一途に頑張る姿を、
太陽に向かって真っ直ぐ伸びるひまわりになぞらえることで、当企画のテーマである『太陽』を消化しており、
これは中々上手いと感じさせられた。当企画のレギュレーションには、テーマ発表後に「学園」に
投稿されたキャラクターを使用できないという制約が設けられていることもあって、バチピタのキャラクターを
良くぞ見つけてきたものだ、と感心させられた。
ストーリー自体はやや起伏に欠ける感はあるが、先述のとおり描きたいことがはっきりしているので、
まずまずの完成度といえよう。

  • 戦闘
不良の大群を、葵と琥子の二人で相手にする内容だが、特に何の支障も無くクリアーできる。
ただ、肝心の葵と琥子の対決は戦闘パートから外れており、また戦闘中もこの二人の関係を
掘り下げるようなイベントも特に無いため、物語の主題が少し見えにくくなっているようにも感じられた。
しかしながら、このあたりは後の物語の描き方で十分に克服できており、特に問題は無いといえよう。

  • その他
余談になるが、凪(読書好きの女の子)の「これから」が描けないこともあって、一話完結のシナリオで
回想シーンを用いて語る形式は如何なものか、といった指摘がなされていた。
しかし、凪の未来は間違いなく明るい物であることを予感させるものとして描かれているため、
筆者としてはいい幕引きだったように思う。



★『7thday』
作者:パン氏

  • 概要
凝ったミニゲームシナリオで注目を集める、パン氏によるシナリオ。
突然、時間の止まった世界に放り込まれた主人公達に襲いかかる恐怖を描く、ホラー系ミステリーシナリオだ。
『太陽』は、時間の止まった世界の中にあっても動き続けており、唯一主人公達が時間を知る手段として、
そして日没に訪れる恐怖の時間を告げる存在として描かれている。
日が経つにつれ、主人公と友情を育みながらも、一人、一人と無残に命を奪われていく登場人物たち、
事件の意外な真犯人と、狂気に満ちた犯行動機、衝撃のエンディングと、はかない友情と、その末にある
悲劇が非常に印象的なシナリオだ。物語は全編人形劇で描写されており、グラフィック面の演出も相まって、
見る者に強いインパクトを与える内容となっている。
ただ、斜め上から見ると、クライマックスに至るまでは、所謂「死亡フラグ」の起立と消化の連続のみによる
物語であると取れなくも無い。もっとも、最後は、その中で張られてきた伏線を非常に上手く回収しており、
ミステリー物のシナリオとして、一話完結で大変上手く纏め上げられた一本であるといえよう。
ちなみに、ストーリー中、日付が変わるごとにオートセーブされるようになっており、時間が無くて一気に
遊べないプレイヤーも安心だ。
なお、意外にも本作品には戦闘パートが存在しない。

  • その他
特筆事項なし。



★『結3条植物園』
作者:高野M明氏

  • 概要
シリアスな作品も、コメディタッチな作品も書ける、高野M明氏による作品だ。
本作品は全編ギャグシナリオで(時折、シリアスな回想シーンも挿入されるが)、抱腹絶倒間違い無しの内容だが、
その概要はもはや「猛烈」と形容する他ない。
ストーリーに関しては、「笑い転げた」意外にレビューの記しようが無いのだが、
要所では描き下ろしの一枚絵が数枚用意されているほか、専用の会話ウィンドゥも実装されているなど、
演出面も大変手の込んだ内容になっている。さらに、クリア後は本編のセルフパロディである
ショートストーリーも四本用意されており、オマケであるにもかかわらず、本編同様に力の入った仕上がりだ。
ともかく、テキスト面、演出面共にシナリオ全体のクオリティが恐ろしく高く、ある意味では大変な力作といえよう。
但し、一応『太陽』というテーマはきっちり消化しているものの、とてつもない勢いで繰り出されるギャグの中で、
それが若干薄くなり気味なのはいたし方の無い部分なのかもしれない。

  • 戦闘
こちらも、戦闘パートは軽めの難易度で、回復アビリティなどを上手く駆使すれば特に問題なくクリアーできる。
『FreezingSun』同様に前後半戦が存在するが、後半戦は主人公の結(むすび)が射程10にもなる必殺技を有しており、
敵をアウトレンジから狙い打てば楽に勝利できる。

  • その他
『太陽は答えない』同様、クリア後の特典は見逃し易いので気をつけたい。



★タイトル画面
シナリオセレクト時のタイトル画面にも仕掛けが用意されており、最初は無人の砂浜に、
クリアしたシナリオの登場人物が現れて徐々に賑やかになっていくのが楽しい。
さらに、全てのシナリオを遊び終えるとオマケも用意されており、これも今回の企画における、
大きな楽しみの一つといえるかもしれない。



★総評

最もストーリーを楽しめたシナリオは、『7thday』ならびに『結3条植物園』だったように感じられた。

『7thday』は、一つのEveファイルの中で、起伏に富んだ起承転結が用意されており、そういった意味で
物語を読み進めて行くのが楽しい一本であったといえる。『学園全域停電中!』の項で述べた内容と重複するが、
これと比較すると、他のシナリオ群はどんでん返しや、意外な結末などといった、起承転結の「転」の部分が弱く、
やや物足りない感は否めなかった。ただし、『7thday』にしても、戦闘パートを省略する方向へ逃げてしまった点は
少々残念かもしれない。

『結3条植物園』に関しては、ギャグシナリオとしては間違いなく傑作の部類に入る物で、『7thday』のような
シリアスなシナリオとは方向性が異なるため単純な比較は出来ないが、こちらも捨てがたい。

ただし、『太陽』というテーマの消化に限って言えば、『葵』は『7thday』や『結3条植物園』以上に、
上手くなされている印象を受ける。また、『太陽は答えない』に関しては、テキストとBGMのセミの鳴き声によって、
うだるような暑さの日々を演出しており、その空に浮かぶ太陽からは、日差しが強く照り付けているという状況が
容易に想像出来る点も見逃せない。

以上の要素を総合的に勘案すると、各シナリオ間で甲乙はつけがたいが、筆者個人としてはテキスト、演出の両面で
力の入れようが半端ではなく、そういった意味で今回屈指の力作として評価できる、『結3条植物園』を一位に推したいと思う。
ひとしきり笑わせて頂き、明日が連休明けという憂鬱な気分を払拭できたことでもあるし(笑)。


最終更新:2008年09月21日 15:43