ゲッターロボ ◆ZbL7QonnV.



――“これ”はなんだ!?

『う、おおおおおおおおおおお――――っっっっっ!!』
爆発的な光の奔流に飲み込まれながら、それでもなお流竜馬は死に物狂いで足掻き続けていた。

死んでは、いない。
流竜馬は、生きている。
メディウス・ロクスの内に取り込まれ、ゼストの糧とはなりながらも、その魂は今も生かされ続けていた。
だが、それを知る者は彼自身以外に存在しない。
竜馬を取り込んだユーゼスも、バトルロワイアルの進行を任されているアルフィミィも、流竜馬が生存している事実に気が付いてはいなかった。
だが、それも無理はない。
今の竜馬は、人知を超えた領域――ゲッターの世界と直に繋がっていたのだから。

肉の身体から解き放たれて、意識だけが剥き出しとなった竜馬の魂。
メディウスの内に取り込まれた彼を待ち受けていたのは、やはりメディウスの内に取り込まれていたゲッター線との邂逅だった。

『な、なんだ……!? なんだってんだ、コイツはぁっ!!』
ゲッター線の膨大で圧倒的な力と“意思”が、竜馬の魂に流れ込む。
それは常人ならば一瞬で神経が焼き切れかねない、果てしなき戦いの歴史を綴ったメモリー。
あらゆる次元で繰り広げられてきた激しき闘争の数々。
“この”流竜馬が知るはずのない知識と経験を、竜馬の魂は強制的に見せ付けられていた。

ゲッターロボ。
インベーダーとの決戦。
早乙女ミチルの死。
裏切りの神隼人。
狂気に犯された早乙女博士。
真ドラゴン。

竜馬の記憶に蘇る、かつて竜馬自身が体験した出来事の数々。
そして本来の竜馬が辿るはずだった遙かな未来の出来事までを、ゲッターの意思は竜馬の魂に見せ付けていた。

月面。
ブラックゲッター
メタルビースト。
ゴウ。
コーウェン。
スティンガー。
木星。
ゲッター太陽。

そして――

恐竜帝国との激闘。
記憶を失くした流竜馬。
たった独りで死地に赴く巴武蔵。
自爆するゲッター1。
ネーサー。
ネオゲッター。
橘翔。
大道凱。

『これは隼人の……“あの”隼人の記憶か!?』

そうだ。
だが、それだけではない。

平安の鬼と戦うゲッターロボがあった。
世界征服を目論む悪の科学者に立ち向かうゲッターロボがあった。
正義の魔神たちと力を合わせて、世界の平和を守り抜かんとするゲッターロボがあった。
巨大な植物で埋め尽くされた世界を駆けるゲッターロボがあった。
かつての宿敵と手を結び、謎の敵と死闘を繰り広げるゲッターロボがあった。
仮面の魔人によって仕組まれた殺し合いの中、真なる力を解放するゲッターロボがあった。
惑星を凌駕してなお余りあるほどの、あまりにも大きすぎるゲッターロボがあった。

『あれ、は……エン、ペ……ラー…………!?』

決して知らないはずの言葉が、竜馬の口から迸る。
いつしかゲッターによる戦いの記憶は様相を変えて、その舞台を宇宙に移し変えていた。
いや、それを戦いと呼んでも良いものか。
あまりにも一方的で圧倒的な破壊と蹂躙が、竜馬の眼前では繰り広げられていた。
宇宙を埋め尽くさんばかりの数を誇る、ゲッターロボの大艦隊。
ゲッターロボの軍勢によって、いくつもの世界が瞬く間に崩壊の時を迎えていく。
それは、決して物の例えではない。
惑星を割り砕き、太陽を消し飛ばし、宇宙を蹂躙する大艦隊。

『これは……なんだ……!? 俺に一体何を見せ付けようっていうんだ……ゲッタァァァァァァァァーーーーーッッッッ!!!』

それが、それこそが、ゲッターロボ――
ゲッターが行き着く、その果てにあるカタチ――



【流 竜馬 搭乗機体:???
 パイロット状態:???
 機体状況:???】

【二日目……? ?:??】




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最終更新:2009年03月23日 22:03