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一回戦第二試合その1


武闘会当日、雨宮棗はポータルを使用し、コロッセオに到着した。
服装はいつもの制服。二本結んだおさげに眼鏡。ひざ丈までのスカート。

「緊張してきた」

スーッ、ハーッ。スーッ、ハーッ。

棗は胸に手を当てて、何度も深く呼吸をする。

真面目な風紀委員の彼女はこんな時間に外を出歩いたことはない。
部屋を抜け出したことを両親にばれたらどうしようと思った。

(怒られるかな。いや、そういう問題じゃないか)

何しろタケダネットの目をかいくぐって、魔人能力を使って戦闘しようというのだ。
怒られる程度では済まない。反逆者として扱われるに違いない
テレビで見た、とんでもない犯罪を犯したのに普段は真面目だったといわれる犯罪者もこんな心境だったのかななんて想像してみる。

そんなことを考えているうちにコロッセオに対戦相手が現れたようだった。

髪色は赤銅色。行李を背負い、杖を持った少女。年は棗より年上。
名前は柿霜 蛇ノ目。
身体が傷だらけでボロボロ。棗のような普通の生活をしていないことは明らかだった。
当然といえば当然か。棗のような普通の人間は普通はこんな戦いに参加しようとは思わないだろうから。


もう一度大きく息を吸い込む。
大丈夫。なんとかなる。自分がそう信じなくてどうする。


そして試合開始の合図。
同時に蛇ノ目は地面を蹴り、速攻で杖を振るった。
虚空から取り出した鎖で、それを何とか食い止め背後へ逃げようとする。

すると蛇ノ目行李を開き、二匹のヘビを解放した。
空中を這い、ヘビが棗に迫る!

鎖で叩き落そうとするが、そこへ。
回避するために横へ飛ぶ。杖が地面をたたいた。

さらに蛇を解放。
適度にヘビを解除したりすることで、ヘビと蛇ノ目のコンビネーションによる圧倒的な手数が棗を襲った。

(楽しいですね)

蛇ノ目は興奮のあまり笑っていた。
普段の制限された戦いとは違う。いくら自分の力を振るってもいい。
労働者の穢多非人達のようにいくらでも敵を蹂躙してもよい。
それはとても楽しい。親友を殺した穢多非人達もそうだったのだろう。
蛇ノ目は目の前の雨宮棗(あそびあいて)を彼らが親友にやったように甚振って殺してやりたいと思った。


(このままだとまずい)

棗は焦っていた。
蛇ノ目の手数が多すぎて、このままだと対応しきれなくなる。
棗に戦闘力がないわけではないが、戦闘経験が違う。
このままでは負ける。

やはり普通の自分ではこれが限界なのか。
あきらめるべきなのか。


いやだ。負けたくない。と思った。

”小さな物語でも 自分の人生の中では 誰もがみな主人公”
誰かが歌っていた。

ならきっと棗も主人公なのかもしれない。

でも、棗は自分の人生だけで主人公でありたいわけじゃない。

その他大勢(モブ)でありたくない。
漫画やアニメでみた主人公のようでありたい。
そしてあんな個性がなくても。
私は私のままヒーローになりたい。

それをみんなに認めさせたい。まずはこの動画を見てる連中にそれを認めさせる。

だから、勝つ。目の前の敵に。

そう思ったら、なんだか力が湧いてくるような気がした。


♪♪♪♪♪♪


そこからは一進一退の攻防だった。

蛇ノ目のヘビがDカップの棗の胸を這うといったような薄い本シチュエーションのようなことあったが、ナントカそれを打ち破り、棗は反撃を試みた。
コロッセオはその後も激しい戦いが続いた。

そして激闘の末、コロッセオに立っていたのは雨宮棗だった。
最終更新:2016年07月04日 00:09