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二回戦第二試合その2


戦いを終えて。

あれから、私は治療を受けた後、支給されたポータルで家に帰るとそのままベッドで眠りについた。

いまだに勝利の実感が持てない。蛇ノ目さんはとても強い人だった。
戦闘経験は明らかに私より上だったし、魔人能力だって私より強い。
縄と鎖。似たような能力だったから、それは誰の目にも明らかだっただろう。

きっと、私が勝つと思っていた人間は誰もいない。

本当に無我夢中だったからどうやって勝てたのかも覚えていない。
本当に私は勝ったのだろうか?どうしても疑問が頭をもたげてしまう。
けれど与えられた300万円の賞金。これは現実に存在するものだ。
だから私は戦いに勝利した。それは間違いないのだ。

「そうだ。私は勝ったんだ」

そう自覚すると、世界がキラキラと輝いて見えた。

パジャマから制服に着替えると、両親と朝食をとった。
学校友達に「何かいいことあった?」って聞かれて「うん」って答えた。
もちろん具体的には何があったのかなんて言えないんだけど。


今がとても楽しい。
もちろん、それまでが不幸だったわけじゃない。
きっとどの参加者よりも普通の人生を送ってきたことだろう。

もしかしたら、私は今より不幸になるかもしれない。

けれど、私は不幸になることや死ぬこと以上に、自分が死んだとき誰からも忘れられてしまうのが怖いのだ。

だから、もっと勝ちたいと思った。
もっと勝って世界中に私のことを認めさせたいと思った。
優勝して、皆が忘れないようなそんな存在になりたいと。


だが、この時の私は次の戦いがあんなことになると思っていなかったのだ。
戦いが始まるまでは。

♪♪♪♪



二回戦の当日、新たな戦場に雨宮棗は降り立った。

周囲に廃棄物や肉塊が散らばっている。あまりの悪臭に棗は思わず鼻を摘まんだ。
ここはエタヒニンプラント。差別階級の労働者によって支えられた場所。
武闘会に戦場になっているため、今は誰もいないが、
棗はこの世の地獄のような場所だと思った。

スイスドローを理解していないきっぽちゃんにより棗は柿霜蛇ノ目と再び闘うことになった。
今度は勝てるだろうか。わからない。

前回勝てたのは、棗のことを蛇ノ目を甘く見ていたからだと棗は思う。
そう考えれば、今度の戦いは厳しいものになるに違いない。


棗がそんなことを考えていると背後から突然縄の蛇が襲い掛かってきた。
棗はそれを取り出した水の鎖でたたき落した。蛇ノ目の攻撃だ。間違いない。

だが、本人の姿は見えない。どこかに隠れているのだろう。


「まずは蛇ノ目さんを探さないと」


次から次へと蛇が襲い掛かってくる。棗は鎖でそれをたたき落していくが、次から次へと蛇が増えていく。
前回のときは限界まで蛇を出していなかったということか。

だが、前回使わなかったということは弱点があるということだ。
それを探し出せば、勝てるはずだ。

そう思い、襲い掛かる蛇をたたき落していくが如何せん数が多い。落としきれなかった蛇が棗の手に絡みついていく。

棗の腕に絡みついた縄ヘビはそのまま体に巻き付いていき、彼女の身体を這いまわっていく。

「ひゃっ?」

前回のときもそうだったが、蛇の這いまわる刺激にはいまだに慣れない。棗は思わず持っていた鎖を落としそうになるが何とかこらえた。
だが、それは致命的な隙になってしまった。
そうこうしているうちに次から次へと新たな蛇が身体に巻き付いていく。

「ひゃん」

縄蛇の一体が棗のおっぱいを強調するかのように絡みついていく。さらに別のヘビは棗の下着の上から股間に食い込んでいく。

「あっ……やめっ……ひゃっ……」

未知の刺激に対し棗の顔は少し赤く染まってきているぞ!
一体何をやってるんだ、柿霜蛇ノ目!これではまるで調教ではないか!真面目に戦う気はあるのか!いいぞもっとやれ!

だが、これは仕方ないことなのだ。蛇ノ目の能力は操る蛇の数が多くなればなるほど集中力が途切れていく。
命令の細かな判断は蛇が勝手に行っているのだ!たぶん彼女は悪くない!悪いのは前回と同じ対戦相手の試合を組んだGKだ!
真面目なネタなんて考えてるわけがないだろ!バカ!




絶対絶命の棗。一体どうなってしまうのか。哀れにもこのまま地の利を生かした蛇ノ目の攻撃を受けて敗北してしまうのか!
それとも、逆転の秘策を思いついて逆転勝利するのか!
読者諸兄も気になるところだろうと思う。




ところでここで残念なお知らせをしなくてならない。

結局のところ、雨宮棗は驚くべき逆転方法を見つけたのだがそれを書くには余白が狭すぎるのだ。

よって雨宮棗が勝利したという事実のみをここに書き記そうと思う。
最終更新:2016年07月11日 00:09