【一】
平安貴族は蹴鞠の次に美術品鑑賞が好き。彼は休日には必ず意識高い系の美術館に足を運んでいた。
「騒がしいな」
今日の美術館は何か違う。ここは夢の世界、ドリームマッチの戦闘空間だったのだ。
「お前ゆるキャラのダンゲロスくんやろ…勝負せぇや…」
低能ヤンキー幽くんが平安貴族に声を掛ける。平安貴族は雅だからゆるキャラと言えなくも無い。だからって敵扱いは大きな迷惑。無関係ですと平安貴族が弁解するよりも先に幽くんは詰め寄り木刀を振り上げる。瞬間移動したとしか思えない。
「アリワラの右ストレート!」
幽くん宙に舞う。
アリワラの右ストレートは蹴鞠ンピック(ハンド禁止)でKOの山を築いた必殺の左アッパーだ。蹴鞠の間合いなら平安貴族は無敵だ。トドメを刺すのも面倒なので幽くんを窓から投げ捨て芸術鑑賞を再開する。
「貴様、その格好はヤンキーの牛沢だな!くらえビッグバンアターック!」
小脇にロリを抱え大型のバンで突っ込んでくるのは参加者の一人ロリー太。彼は大型免許皆伝に到達した天才ドライバーで顔はくりぃむしちゅーの有田に似ている。平安貴族はヒップホッパーでもあるのでヤンキーに属するけど自分は対戦相手じゃない。でもロリー太は見るからにアホなので納得しないだろうし仕方なく応戦した。
「アリワラのファランクス!」
アリワラのファランクスは平安貴族完全オリジナルのドライバー系魔人対処方である。
その場にしゃがみ込みビッグバンをスルーし、頭上を通過時に色んなタンクに穴を開けてやるとビッグバンはスピンしながら窓をぶち破り落ちて行った。
「お前はどう見てもロリコンでゲロス。という事はロリー太でゲロスね」
また変なの来た!マイナスイオンをまき散らし浮遊して現れたのは半裸中年ダンゲロスくん、見ての通りゆるキャラである。そして平安貴族は幼な妻と一緒にいるというテンプレがあるのでロリコンかもしれないけど対戦相手ではない。まあそんな事言っても通じ無さそうだし応戦。
「死ね」
蹴鞠型の弾丸がダンゲロスくんの小脳を破裂させる。ダンゲロスくんにとってはかすり傷だが一時的にマイナスイオンコントロールを失ったのでふらつきながら窓があった穴から落ちて行った。
「先にお昼食べに行こっと」
お腹のすいた平安貴族はレストランに向かった。意識高い系美術館だから敷地内にレストランもあるのだ。
【二】
窓の外の駐車場も美術館の敷地内なので場外判定はセーフ。
でも僅かな攻防で圧倒的な差を見せられた三人は意気消沈していた。
「マジありえん…」
ガソリンの漏れ続けるバンの下敷きになった幽くんは落ち込んでいた。
「カカロットお前がナンバーワンだ…」
燃えだしたバンの中でロリー太は落ち込んでいた。
「あばばばばば」
燃え盛るバンの上でダンゲロスくんは自分の脳味噌を齧っていた。
「落ち込んでる場合かー!」
ロリー太が連れて来た自称11歳の小梅だ。小梅はくりぃむ有田を引きずって脱出し、下にいた幽くんもついでに救い出す。直後バンは大爆発をおこし、火が通って美味しそうになったダンゲロスくんが転がってきた。せーふ!
「皆、一時共闘すべきだよ。まずアレを何とかする」
全員の無事を確認し提案する小梅。確かにあの平安貴族強すぎるし。
「しゃあねえ…あのゆるキャラはタイマンじゃ無理だしよ」
幽くん賛成。
「ええ?これ合コンの流れ?いいっすね」
くりぃむ有田も賛成。
「小脳食して意識回復でゲロス」
ダンゲロスくんはまだ回答してなかったが、既に多数決で結果は出ていた。
平安貴族には悪いがこれは巴戦、1対1対1が突如3対1になる事など日常茶飯事だ。
【三】
同盟が誕生し最初に行われたイベントは自己紹介。四人が順番に名前と目的を語る事になった。
「まずは俺からやな。江の島ヤンキーのトップやってる牛沢幽也って言うんだけどよお…私本当はダンゲロス高校一年名前は木瀬聖子。ヤンキー愛好家よ」
幽くんは学ランの前を開く。サラシに押しつぶされているがオッパイの膨らみが存在していた。サラシから女子の制服と眼鏡を取り出し身に着けるとセキセインコ声の女になった。
衝撃の事実発覚?いえいえ、プロローグを読み込んでいる読者様なら簡単に辿り着く真実でしかありませんね。
「ヤンキーを知る為に男装してヤンキーに混じって活動してたら、気が付いたら最強のヤンキーになっていたわ。それで後に引けなくなって一人二役を演じていたのよ」
「くう~泣けるねえ。以上、インコ女さんの自己紹介でしたー。次、お兄ちゃんヨロシク」
小梅からマイクを向けられたくりぃむ有田の自己紹介タイム始まるよ♪
「どうも、くりいむしちゅーのボケ、有田です!番組前に控室で仮眠とってたらいつの間にかバンの中で、そんでそこのロリっ子に引っ張られて今に至るんだけど」
「えっ…やっべ」
小梅硬直する。どうやら、夢世界の住民役として連れてこられたくりぃむ有田が偶然バンの中にいて小梅はロリー太と間違えて彼を連れて来たっぽい。
絶賛炎上中のバンに耳を傾けると「小梅ー助けてくれー!足が挟まって自力で脱出できーん!」という悲鳴が聞こえて来た。
「まあいっか。参加できた時点であのアホは用済み。バイバイお兄ちゃん。さって次は私の番だね!私の正体はかの有名なオッペケペ」
「ちょっと待つゲロス。今思い出したけどオッペケペ梅子は僕ゲロス」
小梅の自己紹介に割り込んで来たのはダンゲロスくん。ダンゲロスくんイコール梅子って無理ありすぎだろって?いえいえこれもプロローグ読み返せば納得するはず。
「女装グッズの大部分を失ったまま消滅した僕は復活の準備をしてゲロス、でも女装のオッサン他二名がキャンプファイアーしたせいで不完全なまま復活しゲロス。さらには過去の縁なのか、萎に似たオッサンにしばき倒されたゲロス」
「あー、なーるほーるど。マイナスイオン操作って要は風を操る能力だもんね。語尾もごわすとゲロスでちょっと似てるしね」
「今の僕はオカマ系スキルを失って余ったスキルポイントを戦闘系に全振りした状態ゲロス。大いに弱体化してゲロス。さしずめ弱酸性梅子と呼ぶべき存在ゲロス。シクシク」
ダンゲロスくんが何者かという問題は解決した。だが、小梅は誰なんだよ。あーもう!まさか小梅以上にオッペケペ梅子に一致するキャラが出てきてそれと対戦せにゃならんとは思わなかったぞコノヤロー!
「それじゃあ中断されたけど私の自己紹介の続きだね。ロリー太の相棒小梅とは仮の姿、その正体は…」
小梅がパンツを降ろす、作者は必死に参加キャラ一覧とプロローグSSを読み漁り小梅の正体に出来そうな奴を見つける。メタ会話可能で空飛べて正体隠す必要あった奴…おった!
小梅がカラコンを取り股間のテープを剥がし終えると股間から空気が抜け出て身体が40㎝程に縮んでいった。
「私は応援転載妖精、通称妖精ちゃんです。夢の世界に悪意を持ち込もうとするオッペケペ梅子を追う為にここに来たのです!あ、小梅ウインドは羽ばたいて能力っぽく見せてました」
小梅の正体は妖精ちゃん、今(4月24日21時30分)決めた!
全員の自己紹介が終わり、あの平安貴族が今回の戦いと無関係な事に気付いた三人は同盟を解散。
『木瀬聖子』対『弱酸性梅子』対『応援転載妖精』
3対1の戦いは終了し予定通りの1対1対1の戦いが始まる。
「海砂利水魚ー!」
くりぃむ有田のシャウトと同時に参戦者三名は血を吐いて倒れた。
「俺の魔人能力は『海砂利水魚』。戦闘中に改名した奴に致命傷を与えるというものだ。
俺はこのドリームマッチとやらには全く関係無いんだが能力発動のチャンスだったんで使わせてもらった!」
無関係なくりぃむ有田が三人を倒す事で何が起きるというのだ!?何もねーよ!
【四】
「くそったれー!放置プレイ妄想も限界だ!これはマジでやばい!」
焼かれ続けるロリー太。回復が追いつかない。小梅が居ない事、そして小梅を疑い始めた事が原因だ。最早小梅を理想のロリと思えなくなった彼は自分の能力の原点となったロリを思い返していた。
「四年前11歳だから今は高校一年生か」
理想のロリにはモデルが居た。そのロリはヤンキーとボンバーマンが大好き、三白眼で分かりづらいが綺麗なオッドアイをしていた。覚えたての魔人能力を暴発させその度にバイクにまたがるポーズで近太の顔面に着地していた。
そんな回想にふけっているといつの間にか顔に尻が押し付けられていた。瞬間移動したとしか思えないが重要なのはそこじゃない。尻のサイズは違うがこの肉感と匂いにロリー太は覚えがあった。
「こ…これは夢か現実か!?いやそんなことどーでもいい!貰うぞそのパンツ!」
ロリー太が大きく息を吸い込むと下着が顔に張り付きマスクの様に顔を覆った!
「何や変態!後で殺すぞオラァ!」
インコ女の方はロリー太を覚えていないみたい。でもそれでいい。暗殺者として汚れてしまった自分の事など忘れてしまった方がいい。
「クロスアウッ(脱衣)!」
第四形態、赤ちゃんプレイ大好きベビーロリー太。
第五形態、猿並の性欲と赤ちゃんプレイを併せ持つ大猿ベビーロリー太。
第六形態、ロリコンとドラテクを組み合わせた超4WDロリー太。
第七形態、変態すぎて逆に神々しさを備えたゴッドロリー太。
暴走形態、性欲と理性を武力に変換し数多のターゲットを葬ってきた武力マックスロリー太。略して武ロリーです。
これらのモードを超越し究極変態を遂げたロリー太が誕生した。
「アニメじゃない アニメじゃない エロゲのこーとさー ゼーット!」
【五】
弱酸性梅子は致命傷をマイナスイオンで中和し殴りあいを挑み、妖精ちゃんは幕間SSから竜やら破壊神やらを呼び出し戦った。彼らは健闘したがやっぱり最初に食らった致命傷が致命的過ぎたので惜しくも敗れ去った。
「手ごわい相手だったぜ。後は途中で逃げたヤンキー女だけか…うう、頭がクラクラする」
くりぃむ有田も無傷では無い。足元がふらつき、飾ってある小瓶を倒しそうになってしまう。
「あっぶねえ!」
慌てて白い小瓶を掴む。だが何かおかしい。
「ん~?小瓶にしては柔らかいような」
「それは小瓶では無い」
「えっ?」
「俺の二星球だ」
小瓶と思って握りしめたのは変態の股間だった。ロリー太先手を取る事に成功、かに思えたが、
どぐちゃあ(粉・砕☆)
くりぃむ有田は芸人故に冷静で対処。手に力を込め二星球を一星球にする。
「無駄だ」
ちゃぐどお(再・生☆)
「今の俺は真のロリパワーで充実してる。いくらタマを潰そうがダメージはほとんど無い!」
「ちょっとはダメージあるんだな?」
「うん!」
どぐちゃあ「やばい、戦術ミスった」ちゃぐどお
どぐちゃあ「このままだと無星球になりそう」ちゃぐどお
どぐちゃあ「しばらく続きそうなので時系列を読んでお待ちください」ちゃぐどお
- インコ女11歳で瞬間移動を覚え近太に誤爆アタックを繰り返す。近太の性癖と人生が歪む。
- 平安貴族が一切の反則の無いフェアプレーで蹴鞠ンピックチャンピョンになる。
- インコ女ヤンキーラブをこじらせ最強のヤンキーロード開幕。
- サブイネンが梅子を撃破。念入りに女装グッズも壊した。
- 妖精ちゃん、梅子が夢の世界を無茶苦茶にするのを予感し近太を利用し参戦を企む。近太、ロリー太に。
- オカマのオッサンを含んだ女子高生ズの儀式で梅子がダンゲロス君として不完全復活。
- 美術館で戦闘開始。うわ、平安貴族強い。
- 同盟結成。ロリー太、炎上中のバンに取り残される。
- 参戦者達が実に自然な流れで次々と正体を現す。
- 平安貴族、レストランでクリームシチューを注文。くりぃむ有田っぽい顔を見たのが原因。
- 同盟解散。くりぃむ有田の不意打ちで全員瀕死。インコ女がロリー太にラッキースケベ。
- 外で騒いでいる連中に平安貴族マジ切れ。クリームシチューのスプーンで穴を墓穴を掘る。
- 瀕死の弱酸性梅子と妖精ちゃんが捕まり墓穴に押し込まれる。
- 美術館を練り歩く平安貴族は力尽きたインコ女を発見、前の二人と同じ穴に入れる。
「あ、平安貴族」
- 平安貴族、くりぃむ有田コンビが変態行為しているのを目撃。スプーンで頭をかち割り穴に捨てる。
身体に土を被せられる音だけが聞こえる。下に埋まっている連中は全員冷たくなっている。ロリー太も彼らの様に冷たくなるのは時間の問題だろう。
でも見て下さいこの安らかな顔を。
(理想のロリに会えた、悔いはない)
貴方はこんな顔で死ねますか?