ストーカーから逃げる為に冒険者になったエリアは装備だけを揃え1文無しのまま山に囲まれた村グリーンアイズにやって来た。
宿賃も無く途方に暮れている時村人が何かを見つけたという会話が聞こえてきた。
「村をでて右に行ったらなんか変な洞窟があったんだ」
だが、エリアはそんな噂などどこ吹く風と依頼屋へ向かった。どうやらお金が無いせいでお金を最優先にし過ぎているようだ。
依頼を見てみると、
『スケルトン討伐2体20G』
とあり、すぐさま喰い付いた。依頼はしょっぱいが、戦利品が美味しいからだ。
「取り敢えず、情報収集なのです。」
そう呟きながら民家へスケルトンの情報を聞きに出た。
1件目は失敗したが、2件目で先程噂をしていた村人に出会った。そして、エリアは何をトチ狂ったか装備品のデリンジャーを突きつけた。
「こんにちわなのです。とりあえず白状してしまうのですよ?」
「あん?おいコラ何いきなり銃突きつけてんだよ。」
しかし悲しいかなエリアの筋力は低く、大人の男性である村人に簡単に押し返されてしまった。
「いえ、あの、その、ごめんなさいなのです。」
凄味の効いた声で返されたエリアは只々小さくなって謝るしかなかった。
「何なんだよお前。まさか強盗じゃないだろうな?」
「いえ、強盗では無いのです。ちょっと聞きたい事が有っただけなのですよ。」
「そうかい、で?何を聞きたいんだよ。」
「じ、実は、スケルトンの居そうな場所を教えて欲しいのです。」
睨みを利かせながら聞いてくる村人にたじたじながらも答えると、村人は呆れた顔で話し出した。
「村を出て右に行くとすぐに洞窟が有る。そこに居る筈だ。」
「ありがとうなのです!それじゃあ私はこれで失礼するのですよ!」
「ああ行け行け!銃なんか付き付けやがって!2度と来るな!」
情報を手に入れた途端にそそくさと退散するエリアを追い払った村人は怒り顔でぼやきだした。
「あの墓についてまで教える義理はねぇよな。」
どうやら銃を突きつけると言う最悪な出会いをしていなければ更なる情報を手に入れていたかもしれなかったようだ。
そんな事を知る由も無いエリアは依頼屋に行ってパーティーを組んでくれる人を探した。だが、皆出払っているようで誰も居なかった。
「捨て駒が欲しかったところですが、居ないのでは仕方が無いのです。一人で向かうのですよ。」
残念そうに黒い事を呟きつつ、エリアは洞窟へ向かった。
洞窟の入り口に本が落ちていたので調べてみると、どうやら日記らしい。ボロボロだが辛うじて最後だけ読めた。そこにはこう書いてあった。
『わたしは寒い土地に行こうと思ったがもう歳だ。せめてその先を見て死にたいものだ』
ヒントとなりそうな事なので頭に留めつつ洞窟に入ると、4つの扉がある部屋へ突き当たった。
扉は方角が分かり、それぞれ東西南北に位置していた。
「これは、北がボス部屋に違いないのです!」
自信満々に言い切ったエリアは北の扉を避けて他の扉を開けることにした。
「折角だから私はこの西の扉を選ぶのです!」
キメ顔でそうのたまいつつ扉を開けると、そこには中心に墓が有り、周りに大量の骨が散乱している状態だった。
「スケルトンさんキターなのです。」
しかし骨が多すぎてどれがスケルトンか分からない。そこでマナサーチを使ってあぶり出した。
「見つけたのです!ターゲットサイトオープン、ソリッドバレット起動なのです!」
スケルトンが気付いていないのを良い事に先制攻撃を仕掛けた。
弾丸は見事命中、しかもクリティカル。計18ダメージ。よって3点のオーバーキルだ。
「やったのです!さーて戦利品は……頑丈な骨、チッ、シケてるのです。」
その後部屋を捜索するも何も無く、諦めて次の部屋へと向かうことにした。
「さっきは上手く行ったのですし、このまま武運があるままでボス戦なのです!」
スケルトン戦で気が大きくなったエリアはそのまま北の部屋へ突撃。しかし中は墓が北向きに設置されているだけでボスは居なかった。
「あるぇー?そんな筈は無いのです。ここはスケルトンが待ち構えている筈じゃあないのです?」
そう言いながら捜索すると、魔香草と階段を見つけた。
「やったのです!魔香草は高いのですよ。」
階段そっちのけで魔香草を見つけた事をよろこんだエリアは、階段を降りる事無く部屋を出て、南の部屋を開けた。
するとそこにはゾンビを捕食するグールが居た。
「お食事中でしたか、失礼しましたなのです。」
エリアはそーっと部屋を後にした。
「グールとか無理ゲーなのです!ここは東は諦めて大人しく階段を降りるのです!」
そして降りた先には大きな部屋が有り、四隅に宝箱が設置されていた。
「これは明らかな罠。小石を投げて確かめるのですよ!唸れ私のシューター技能(1レべ)!」
放物線を描いた小石は右奥の宝箱に見事命中。そして宝箱から腕が出てきて小石を掴んで戻って行った。
「……あんな感じの貯金箱があった気がするのです。」
現実逃避気味にそんな事を考えつつ今度は左奥の宝箱に小石を投げてみた。
小石は綺麗な放物線を描き、宝箱に当たる前に宝箱から出て来た大量の腕に掴まれ粉々に砕け散った。
「一体ここの宝箱は私に何を求めているのです!?」
錯乱気味になりつつも好奇心が湧いてしまい、左前の宝箱へ小石を投げた。
何事も無く小石は当たり、しばらく待っても何の反応も示さなかった。
恐る恐る宝箱を開けてみると、宝箱の底には矢印が書いてあり、右奥の宝箱を指していた。
「だから私に何を求めているのです!?手に掴まれて死ねと言うのです!?」
ヤケッぱちで最後の宝箱にも小石を投げると、また何の反応も無かった。なので開けてみると今度は左奥の宝箱を指していた。
「何だって言うのです!」
うがーっと矢印に怒っていると、不意に矢印の先にバツがついている事に気が付いた。もっとよく見ると、矢印の途中にマークが有り、それを辿ると部屋の中心に凹みを見つけた。
「これは何なのです?」
触ってみると大きな起動音と共に部屋の正面が開き通路が現れた。通路の先は小さな部屋になっており、真ん中に棺桶が置かれていた。
「おーけー、ソリッドバレット起動、狙い撃つぜぇなのです!」
何かあると思ったエリアは容赦なく弾丸を棺桶にぶっ放した。
何発か撃つと棺桶の蓋が壊れ、中の骸骨が露わになった。
無言で骸骨に照準を合わせて発砲。すると硝子の割れる様な音と共に骸骨が動き出した。どうやらスケルトンの様だ。
だが、普通のスケルトンと違う威圧感を感じたエリアは少し後退しつつ発砲。へっぴり腰で撃った弾は案の定外れ、更に接敵までされてしまった。
「当たらなければどうと言うことは無い。」
「な、しまったのです!」
スケルトンの全力攻撃が振り降ろされる。それを辛くも避けたエリア。
「意気込みは良し、だが相手がひよっこでは、なのです。ゼロ距離なら外しようは無いのですよ!」
それから幾度かの応酬が有った。そして、スケルトンの全力攻撃がエリアへ突き刺さった。
攻撃により気絶したエリアを一瞥すると、スケルトンは棺桶に戻って再び眠り始めた。
「う、痛~。生きているのです?ラッキーなのです。」
自身の生存を確認したエリアは救命草を取り出し、煎じたがダメージのせいで体が儘ならず零してしまった。
「ああ!勿体ないのです。……はぁ、今日はもう帰るのです。」
こうしてエリアはグリーンアイズに帰って来た。そして丈夫な骨を売って宿代を作る。
「はっはっは、ボロボロにやられたなぁ。」
「五月蠅いのです!余計なお世話なのです!」
丈夫な骨の30Gを手に馬小屋へ来たエリアは代金を払って丸まった。
翌日、ほぼグロッキー状態ながらも宿代の為に再び洞窟へやって来たエリアは昨日見なかった東の部屋を開けてみた。
すると墓に寄り掛かるゾンビさんとこんにちは。
「ソリッドバレット起動なのです!」
すぐさま発砲。当たるもそれなりのダメージ。ゾンビ接敵、乱戦宣言そして攻撃、回避。
「もう一発なのです!」
またもそれなりのダメージ。ゾンビの残りHPは9になった。ゾンビの攻撃、回避。
「リロードしてソリッドバレットなのです!」
その時不思議な事が起こった。クリティカル、クリティカル、クリティカル。合計32ダメージ。23のオーバーキル。
「グォレンダァァ!には1足りなかったのです。」
ゾンビの眼球2個と、ゾンビの持ち物だったと思われるマギスフィア小を手に入れて部屋を出た。
リロードをしつつ奥へ進み、再び棺桶の部屋の前までやって来た。
「彼我の距離は10m、スケルトンの移動は8m。ターゲットサイトオープン、ソリッドバレット起動、狙い撃つぜぇなのです!」
弾丸は命中し、ダメージと共にスケルトンは目覚めた。そして移動するも届かず。
「予想通りなのです。さぁ!いよいよもって死ぬが良いなのです!」
弾丸は命中し、クリティカル、クリティカル。合計24ダメージ。スケルトンは残りHP8だったので16のオーバーキル。
粉々に粉砕されたスケルトンから剣の欠片2個と小箱が転がり落ちた。
「何なのです?……指輪?」
剣の欠片を回収して小箱を開けると指輪が入っていた。よく見ると骸骨の左手の薬指にも同じ形の指輪が嵌っていた。
「エンゲージリングみたいなのです。でも、だったら何故此処に有るのです?」
そう思って棺桶に目を付けると、棺桶に向かって小石を投げてみた。宝箱の手がトラウマとなっているようだ。
何の反応も無かった棺桶を漁ると、ラブレターと日記が出て来た。
「うわぁ、これは指輪を買って、恋文を書いたは良いけど渡せなかったフラグなのです。」
日記を読むと、案の定、
『この手紙と指輪を君に渡せなくて残念だ』
と書かれていた。
「ふぅ、貴方の意志は私が汲んであげるのです。」
そう言ってエリアは日記と手紙と指輪と骨少々を回収した。そしてその最中に骨の中から金貨を見つけた。
「日記を読む限り自分で飲んでいるのです。こういうのは誰かに捧げて貰わなきゃ意味が無いのです。あの世の船代にならないのだからこれは私が駄賃として貰っておくのです。」
ニヤリと黒い笑みを浮かべつつ懐にしまうと、洞窟を出てグリーンアイズに戻って来た。
換金所で戦利品共を捌いていると、洞窟の情報をくれた村人がやって来た。
「おう、お前あの墓に入ったのか?」
「墓って知ってたのです?面白い物が手に入ったのでまぁそれは置いておいてあげるのです。」
そう言ってスケルトンの遺品一式を見せた。
「へぇ、こりゃいいな。良い物じゃねぇか。」
「そうなのです!だからこれから村の広場に行って晒してくる予定なのです!きっと思いを伝える事も出来ないヘタレと後世に語り継がれる事となるのですよはっはっは!」
「いや、それは可哀想だろ。」
得意げに語るエリアに呆れ気味に突っ込みを入れた村人は、すぐに真剣な顔になってエリアに有る頼みをした。
「なぁ、これ売ってくれねぇか?実は俺物書きでさ、これ見てたらいい案が浮かんで来たんだ。」
「別に構わないのですよ。値段によるのですが。」
先程の意気込んだ姿はどこへやらな至極あっさりとした返事に肩透かしを喰らった村人は少し間抜けな顔で値段を言って来た。
「あ、ああ。全部で300……古い物っていう価値も着けて350でどうだ?」
「売ったなのです。」
代金のやり取りを終えて握手を交わした後、村人はエリアに向かって笑いかけた。
「初めは銃を突きつけて嫌な奴かと思ったけど、結構話の分かる奴だったんだな。」
「あ、あれはその、祖母の教えの銃から始まる交渉術、なのです。」
実は田舎から出て来たばかりで舐めらてはいけないとテンパったせいとは言えない。
「そんな交渉術あってたまるか。」
村人はそのまま笑って去って行った。
「はぁ~、取り合えず初仕事完了なのです。」
1つ大きな伸びをしてエリアは宿を探しに行ったのだった。
登場人物
エリア・クリネックス
エルフの神官 15歳 女性 プリ-スト、セージ、マギテック、シューター全部1レべ 操作:なごきち
エルフなので15歳でも8歳位の見た目だと思う。白髪ロング。のです口調。
村人
操作:今亡 月影
物書き。できればネームドのレギュラーになって欲しい。
GM:今亡 月影
著:なごきち
最終更新:2014年02月10日 15:39