衆 - 財政及び金融委員会 - 31号 昭和22年11月01日


川合委員 
 現在の日本の税體系をみた場合において、專賣益金の占むる割合というものはきわめて高率なものがあるのでありますが、われわれは直接税の收入はある程度すでに限界點に達している、どうしても間接税に依存せねばならないということ、わけて專賣益金によつて財政を賄うということが考えられるわけでありますが、今囘の追加豫算を含めた全歳入の上において、專賣益金の占める率というものは相當高度に見込まれているわけでありますが、政府としてはこういうふうな專賣益金の全歳入に占むる割合の限度は、どの程度のものが最高限度であるというような見透しをもつておられるか、この機會に承つておきたい。
小坂政府委員 
 ただいまの租税體系の上において一番缺陷と思われるものは、この委員會においても隨時御指摘になりました、また私どもも痛感いたしておりますように、實際徴税します第一線の力が非常に弱體化しておりますのと、現在の一般の國民心理というものが相當不健全なものになつておりまして、この國民心理を健全化し、また第一線の徴税能力、これは税務官吏の待遇を改善していただく、それから嚴罰主義をとつて滯納については相當きつい處罰をするとか、あるいは第三者に通報制を認めるというようなことで、廣く國民全般の納税思想の高揚等によつて直接税をもう少し政府の意のままに獲得し得るような態勢をつくらなければならないと思います。
できれば間接税というものは、これはやはり大衆課税的な性質になりますので、この間接税が大幅に伸びるということは望ましくございません。これを極力切詰るように考えております。
今囘の税制におきましては、大體直接税が七割、間接税が三割、もつと正確に申しますと、直接税が六割四分に對して、間接税が三割七分くらい、その程度になつております。ただこれを專賣益金を間接税の中に入れてまいりますと、四割七分と四割六分くらいに間接税の占むる割合が膨脹してまいります。今囘タバコの値上げをいたしますにつきまして、大藏當局といたしましては極力値上げは避けたい、當初においては全然上げない案でありましたが、いろいろの經緯を經まして御承知のように配給タバコの値段だけは上げずに濟みましたが、自由販賣のタバコの値段は相當大幅に上るようになつたわけであります。しかしながらこれは結局鐵道なり逓信なりの特別會計におきまして、これを獨立採算制をとらせるということにいたしましたために、この尻がタバコの方に皺寄せられたというような結果でありまして、鐵道の五十億、逓信の二十五億圓、合計して七十五億圓というものをタバコの値上げによつてかぶつたという恰好になつております。私どもといたしましては、これは今囘の事態に限つての措置でありまして、こういうように、他の部面のものをある特定の部面がかぶるということは常則できないと考えますので、この程度にいたして今後は間接税はあまり伸ばしたくない。殊にタバコのような一般の勤勞大衆が唯一のリフレツシユメントと考えておるような物は、極力あげることを避けて、一方逓信、鐵道のような特別會計をできるだけ健全な合理化した形のものにして、その方の會計から出る赤字が國民の負擔となつて國民經濟部面を壓迫することのないように、極力努めたい。かように考えております。

最終更新:2013年07月23日 14:39