154 - 衆 - 安全保障委員会 - 6号 平成14年04月18日


小池委員 
 次のポイント、時間の関係もございますので次のテーマでございますが、この安保委員会で、なぜか金融に関しての、朝銀が定番となってしまいましたが、総合的に安全保障にかかわるという観点で、さらにこの問題はこの安保委員会の得意分野としていきたいというふうに思っているところでございます。
 これまで、朝銀の中で新しく四信組が認可をされたわけでございますけれども、その際の定款の中に、朝鮮総連の役員の経験者、これは、朝鮮総連をどこまで含むのか、役員はどこまで含むのか、経験者は何年から何年だったら経験者というのか、そういった定義がないままにばっと進んじゃっているので、ある意味ではすごく幅広いんですね、今、現時点において。そうなってくると、この安全保障委員会で何度もそれぞれの議員がこの問題を追及してまいりました。我々なりのさまざまな情報をもとにして、いわゆる非公然組織の学習組のメンバーではないかというような観点から追及があったわけでございまして、そしてまた、担当の漆間局長でしたか、経験者がいるという御答弁をちょうだいしたかと記憶をいたしております。
 ということになると、その段階でもう定款に触れてしまうという話でございまして、そういったことから、せんだって、中山先生を会長とする私どもの議連におきましていろいろ御説明を受けました。どうもこれはどういう意味なのか、既に役員として決まっておられる方が辞意を漏らしておられる、そういった御説明も受けたのでございますけれども、村田副大臣、その点をもう一度確認させていただきたいと思います。
村田副大臣 
 新設組合の役員等の総連との関係等につきまして、あるいは非公然組織との関係につきまして、いろいろな委員の先生方から御指摘を受けました。
 私どもは、四月の二日に、銀行法第二十四条に基づきまして、新設の組合に対しまして報告の徴求を行ったところでございまして、その間、その報告の具体的な、どう進んでいるかについては具体的な御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、その中で、一部の組合の理事長には、経営の独立性、透明性を確保するという観点から、みずからの進退を含めまして、役員体制の見直しの必要がある、そういうふうな考えがあるところもあるというふうに言われておりまして、私どもといたしましては、そうした動きというものについては注意深く注視している、こういうところであります。
小池委員 
 それは、金融庁の方からのいわゆる行政指導というものなんでしょうか、それとも彼らの自発的な考えなんでしょうか。なぜそこを自発的に変えることにつながっていくのか、その辺を教えてください。
村田副大臣 
 ただいま申し上げましたように、銀行法に基づきます報告を徴求する、そういう機会に、事務方の方からさまざまなコンタクトを相手方ととってきた、そういう中でそういう意向が、そういう動きがあるということを把握しているようでございますが、私は、今、小池委員の御質問に対しまして、そうした動きが出てきたということは、経営者の、役員の中に、巷間言われるようなそういう問題につきまして、みずから透明性を高める、そのことを放置した場合には、せっかくスタートした新組合の経営の先行きについて問題が生ずるのではないかということをみずから懸念したのではないかと思料しているわけであります。
小池委員 
 大体、多くの場合は、そんなことはないと言って、もう門前払いをする方々がこれまで多かったのが、随分、従順じゃないけれども、ああ、そうですかという形で交代をされるというのは、一体どういうことなのかなと私は感じざるを得ないわけでございます。
 先ほど、定款の付記で、総連の役員経験者ということを申し上げたんですけれども、これはそれぞれ、警察、公安の方とすれば、
例えば総連があります、各地も含めて商工会があります、朝鮮大学があります、それから学習組
これは私、位置づけはできても、それの証明はなかなか難しいと思います。家族にも自分は学習組だと言わないというようなことでございます。そして、これまで朝信協なんというのも、これは朝銀の一連のネットワークの部分であったということです。
 つまり、商工会、大学、これは一体どのような位置づけになっているのか、これまでの御判断をいただきたいと思います。警察、公安それぞれ伺わせてください。
漆間政府参考人 

いわゆる商工会、在日本朝鮮人商工連合会については、朝鮮総連の傘下団体であると承知しております。

 それから、朝鮮大学校につきましては、総連の公刊資料で、「海外僑胞教育の歴史上、一つの海外僑胞組織が大学を直接創立し、自主的に運営している例は、朝鮮総連以外には見られない。」という記述がございまして、
朝鮮総連がみずから創立し運営していると称している教育機関の一つであると承知しております。
栃木政府参考人 
 商工会は、在日本朝鮮人商工連合会の通称でございまして、朝信協というのは、在日本朝鮮信用組合連合会の略称でございます。商工会と朝信協は、いずれも朝鮮総連の傘下団体でございますが、朝信協につきましては、ことしの三月末をもちまして解散したというふうに承知しております。
 それから、朝鮮大学校につきましては、学校法人東京朝鮮学園の傘下団体でございまして、朝鮮総連におきましては、みずからが創立、運営している教育機関であるというふうに言っているということを承知しております。それとあと、学習組につきましては、朝鮮総連とその傘下団体や事業体の中央組織、地方組織、朝鮮人学校などに設置されている非公然組織であるというふうに承知しております。
小池委員 
 要は、朝鮮総連の傘下団体であるということが明確になったというふうに思います。よって、今回の、四信組みずからでつくった定款にみずからが触れるというようなことからそういった役員の交代をするということは、私は、そのロジックからいって明確なのではないかというふうに思います。
 朝信協は、既にその役目を果たしたということで、今後変わるということでございますけれども、実は、もう既にそれにかわるものができておりまして、商工連内に民族金融問題対策協議会というのができているわけでございますけれども、これは、もう既にこれまでの朝信協の代替組織ではないのか、それはまた結局総連からの指示を受けて、もしくは総連との連携でやっていこうというものではないのか、イエスかノーかでお答えください。では、公安の方で結構です。
栃木政府参考人 
 御指摘の協議会は、在日本朝鮮人商工連合会が、いわゆる朝銀信用組合の再編を支援する活動を行うために設けた組織であるというふうに承知しております。
漆間政府参考人 
 民族金融問題対策協議会が朝信協にかわるものかどうかについては、まだ我々としてお答えできる立場にございませんが、民族金融機関の再生と正常運営のための活動を行うとして、在日本朝鮮人商工連合会が設けた組織であるというふうに承知しております。
小池委員 
 機能的には同じようなものではないかと思うわけでございます。
 四月二日付の朝鮮商工新聞というのが届きました。ずっと日本語の部分と、あとハングルで書かれた部分があるんですが、わざわざハングルで書かれた部分というのは一種挑戦的な部分もございまして、簡単にその翻訳部分をお伝えいたしますと、
 われわれの愛国的同胞商工人たちは状態がいくら困難で複雑であっても、敬愛する将軍さまのもとに全人民が固く団結する祖国があり、総聯組織に一心団結して闘争すれば必ず勝つという固い信念と意志の下に、あらゆる障害と難関を克服していきました。
ちょっと飛ばしますけれども、
 いま日本当局はわれわれの信用組合と総聯の間にくさびを打ち込もうとして干渉し圧力を加えてきています。新組合の「定款付記」は言うまでもなくその産物です。
 同胞社会の実態、そして商工団体が歩んできた半世紀の歴史を冷静に見れば、総聯組織と切り離して考えることはできず、
もう一度言います。
 同胞社会の実態、そして商工団体が歩んできた半世紀の歴史を冷静に見れば、総聯組織と切り離して考えることはできず、総聯組織のもとに団結してはじめて同胞社会を守ることができ商工団体を強化発展させ企業権も固守していける、ということは明確です。新信用組合も総聯の大衆的地盤と同胞商工人の愛国的情熱に固く依拠してはじめて発展できるのです
ということで、わざわざこのハングルで書いた部分は日本人には読ませたくなかったのではないかという、逆の心理が働いているものではないかと考えることもできます。
 また、「総連への融資二百億円」ということで、きょうの新聞でございますけれども、朝銀東京の元理事長、これが破綻への大きな原因となったということで、例の朝銀東京信用組合をめぐる資金流用事件で業務上横領罪などに問われた元理事長鄭京生被告が、この問題で、朝銀東京から朝鮮総連側への融資総額は約二百億円に上っていたと供述し、破綻原因の大きな比重を占めているというふうに話しているわけでございまして、いろいろなことがこういう司法の場でも明確になってきている。
 実は、これが今度、来週ですか、発売される、「わが朝鮮総連の罪と罰」ということで、まさに今の問題に絡んでいた朝鮮総連中央本部の財政局副局長であった韓光熙さんが書かれた本でございます。その中に、朝鮮総連と送金疑惑について書いているんですけれども、
 送金疑惑報道に対して朝鮮総連は激しく抗議したが、日本から北朝鮮に毎年巨額のカネが流れていたことは、間違いのない事実である。
日本から非合法的に送られる資金は、そのほとんどが新潟港と北朝鮮の元山港を結ぶ準定期航路を通じて、現金のかたちで運ばれる。
それから、
  朝鮮総連は毎年、金日成・正日父子の誕生日、九月九日の建国記念日、一〇月一〇日の党創建記念日など、北朝鮮で祝い事があるたび、祖国に対する忠誠のしるしとして相応の付け届けをしていた。これが組織的な事業の体をなしてきたのは七九年に短期祖国訪問団がはじまってからである。
この本は、今回の朝銀問題も含め、拉致疑惑にもつながってくる、まさにそれをやっていた当事者の人の書でございます。それから飛んで、
 「次の首領様の誕生日までに何億集めよ」といった類の指令が、姜周一から許宗萬に、直接口頭で伝えられる。
  指令を受け取った許宗萬はこれを東京の総連中央本部に持ち帰る。ここで、献金の割り当てが決定されるのである。
カネがどこにあるかといえば、全国の信用組合、つまり朝銀の裏口座のなかに貯えられている。
長くなりますけれども、ここには、本当にさまざまな疑惑、我々が抱いているさまざまな疑惑に当事者がそのままこたえている。この方は、今大変な村八分に遭っていることは想像するに簡単なわけでございまして、むしろ、彼を守る必要もあるかと思っております。
 いずれにいたしましても、ここでさまざまな議員が提起しているのは、単なる疑惑ではなくて、これはまさに組織ぐるみであり、そして、なおかつ北朝鮮という本国が司令塔になって動いてきた。よって、我が国の公的資金の流入ということに対し、それの受け皿を必死になってつくってきたけれども、しかしながらその定款の部分で経験者ということを一言入れたがために、にっちもさっちもいかない状況、例えば、これまた人がかわっても同じことだと私は思いますよ。
 というようなことから考えますと、この問題については、我が国の安全保障から考えた政治的判断が必要になるかと思いますけれども、副大臣、政治家として、この問題はどのように対処されていかれるのか、一言最後に伺いたいと思います。
村田副大臣 
 朝銀につきましては、二次破綻も含めますと十六の信用組合が破綻をし、そして国民の血税を、多額な血税を資金贈与として使う。一方において、在日朝鮮の方々の資金仲介機能を、万全にこうした信用組合が果たし得ない状況というものを、これを私どもは真剣に考えているわけでございます。かつて、その経営者等の問題がございまして、大きな破綻に結びついたことも考え合わせれば、今後の将来の朝銀の経営を考えたときにも、私どもは、かつてとは違った新しい、総連等に影響をさせない、そういうような組織であってほしいということでございまして、私どもは、その目的を実現するために、現在、新設四信組につきまして真剣な努力を重ねている、こういうことでございます。
小池委員 
 今のは金融庁副大臣としての御答弁でしかなかったと思います。私は、やはり日本の国益をオーバーオールで考えるのが政治であって、それを決断するのを政治家だというふうに思います。
 これまで拉致疑惑が、いろいろな人が逮捕されたりして、起訴されたりしているけれども、肝心なときになると、すっと、それ、もうほったらかしになっているじゃないですか。それは七〇年代、八〇年代にしっかりやらなかったからこそ、有本さんや、これまでの横田めぐみさんのケースなどが出てきちゃったわけでしょう。ですから、私は、最初にやるべきことを政治が決断しなかったから、結局こういう形になっているというふうに思います。
 日経の記者が書いた非常に衝撃的な内容も、むしろ国家の体をなしていない部分が暴露されてしまったようなところがあって、私は、そういったことは国家として全体的に毅然とした態度を今後とっていかなければならないということを断固として申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

最終更新:2013年07月31日 19:56