参 - 財政・金融委員会 - 3号 平成10年02月10日
伊藤基隆君 私は民友連の伊藤でございます。
松永大蔵大臣には、大変厳しい局面での大臣就任、大変御苦労さまでございます。どうかよろしくお願いいたします。
〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕
まず冒頭、大蔵大臣にお尋ねいたします。最近一株価は一万七千円を基点にして若干の上下という、不十分ながらも安定的に推移しているというふうに見ております。一時的にかなり厳しい状況がありましたけれども、必ずしもそこから脱したとは言い切れませんけれども、状況としては好転の兆しと見られるんじゃないかというふうに思っています。ただ、日本経済のファンダメンタルズが根本的な改善をされてそのようになっているかということはなかなか言い切れないんじゃないかと思います。
そうだとしますと、株価がこういう状況になっている要因は、政府が現在実施しようとしている景気対策、さらには大型の追加経済対策が出てくるのではないかという市場の期待感があって、そのあらわれではないかというふうに思うところでございます。このような期待感があるときに政府がそれにこたえなければ再び株価は大幅に値下がりするような事態ともなりかねないわけでありまして、三月の決算期を前に日本経済は非常に厳しい局面に立たされることになるかと思います。
ここで、何らかの追加の経済対策を考えておられるならば、大蔵大臣からその内容を明らかにしていただきたいというふうに思います。
国務大臣(松永光君) 委員にお答え申し上げます。
株価というのはいろんな要因で動くものだと聞いておりますけれども、市場で、あるいはまた金融界で一番問題になっておったのは、日本の金融システムについての内外の信頼が揺らいでいるという問題点があったのじゃなかろうかと思います。それが今御審議を願っておる金融安定二法等々について、日本の金融システム安定のために政府が強い決意を持って臨んでおるということも株式市場の好転につながっているんじゃなかろうかというふうに私は思っております。
新たな追加的な経済対策を考えておるかという御指摘でございますが、私どもは、先般、補正予算を成立させていただき、また二兆円の特別減税も成立させていただいて、この二月から特別減税の実施に入ることになりました。それに加えて、補正予算に組み込まれておる災害対策を中心にした公共事業、そしていわゆるゼロ国債による公共事業の前倒し執行等々、こういったものを着実に推進しておるところでありますけれども、本予算の速やかな成立と今御審議を願っておる金融安定に関する二つの法律、これが成立させていただきましたならば、財政・金融両面にわたる施策を鋭意進めていくことによって、それが相乗効果となって我が国経済はよい方向に力強く歩んでいくというふうに考えておるところでございまして、現在のところ追加的な経済対策というものは考えていないところでありまして、今申したもろもろの施策を、決めていただいた施策を着実に遂行して、そして成り行きを見守っていくというのが私の現在の姿勢でございます。
伊藤基隆君
その問題はまた後の課題にするかもしれませんが今はさておいて、私の認識では、
今、日本経済はとめどもないデフレに向かってスパイラル的に落ち込んでいく瀬戸際に立たされているのではないかというふうに見ております。
その要因でありますが、
第一は消費税の引き上げ
特別減税の打ち切り、医療費の個人負担の引き上げなどに加えて、緊縮財政を盛り込んだ九七年度予算に象徴される
財政デフレ政策の性急な実施という経済政策上の失敗
ではないだろうかというふうに思います。
第二は、金融機関の不良債権の実態をひた隠しに隠してその処理をおくらせ、あげくの果てに金融システムを麻痺状態にしてしまった大蔵金融行政の失敗。
さらには、アジアの経済危機が日本に波及してきた、その波及が今日の状況をもたらしているというふうに見ております。この私の見方に対して、大蔵大臣の見解をお伺いします。
国務大臣(松永光君)
今、委員御指摘の経済情勢についての分析でございますが、私も現在の状況が大変厳しいということは認識をいたしております。
ただ、消費税の五%への引き上げ、あるいはまた平成九年度の予算、そういったものについての御批判があったわけでありますが、まず消費税の引き上げ問題といたしましては、我が国が速いスピードで少子・高齢化社会に向かっておるということ、一方、財政状況は危機的な状況にあるということ等々を考えれば、その状況を打開するための一つの措置として消費税を引き上げざるを得なかったということはやむを得ざる措置としてお認め願いたい、こういうふうに私は思っております。
なお、金融機関の不良債権問題については、大蔵省としてはこれまでもその早期処理を促してきたところでありますが、同時にまた金融機関も経営合理化等を積極的に行い、不良債権の処理に努めておると認識しておるわけでありますけれども、これからもそうした処理が進むように大蔵省としては促してまいりたい、こう考えておるわけであります。
アジア地域の通貨金融市場の問題につきましては、我が国としてはIMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で積極的な支援を実施しておるところでありますが、今後とも関係各国並びにIMF等国際機関とも密接に連携しながら適切に対処していきたい、こう考えているところでございます。
最終更新:2013年07月31日 21:10