154 - 衆 - 財務金融委員会 - 14号 平成14年04月24日
原口委員
民主党の原口一博です。
金融特別検査をめぐる諸問題について数点、金融担当大臣それから財務大臣、日銀総裁、きょうはありがとうございます、お尋ねをしたいと思います。
まず冒頭、少し残念な質問をしなければいけないんですが、警察庁、お見えでございましょうか。
昨日、近畿財務局の金融検査官が逮捕されるという事態が起こりました。
このことについて、警察庁、どのように事態をとらえていらっしゃるのか、どういう容疑で検査官を逮捕されたのか、お尋ねを申し上げます。
吉村政府参考人
お答えを申し上げます。お尋ねの事案は、
近畿財務局理財部審査業務課上席金融証券検査官が、平成十一年十一月中旬から近畿財務局が信用組合関西興銀に対して実施をする検査に関し、同興銀側に検査体制や検査内容を教示するなど、有利、便宜な取り計らいをしたことに対する謝礼等として、十一年の八月下旬ごろ、関西興銀理事長らから現金数十万円のわいろを収受したという贈収賄罪で逮捕したものであります。
大阪府警におきまして、四月二十三日、検査官を収賄容疑で、興銀の理事長、審査部長、企画部長の三名を贈賄容疑で逮捕いたしまして、現在捜査中であります。
原口委員
柳澤大臣、私は、今回の特別検査について一定の評価をしています。それは、大手銀行が、不良債権という負の遺産についてしっかりと金融当局と協議をしながら、それにオフバランス化の道筋をつけていく上で大変大事なことだというふうに思うわけですが、その審議の前日に、特に平成十一年といえば、その前の年に、同じように当時の大蔵省検査部の示達書にかかわるさまざまな、何とかしゃぶしゃぶというようなところで大変な疑惑を、疑惑というか事件が起こったわけですね。その翌年にこういうことが起こっている。
財務大臣、財務局を所管する、人事を所管する大臣として、こういったことについてどのようにお考えなのか、お尋ねを申し上げたいと思います。――財務大臣に、済みません。
塩川国務大臣
過去のこととはいえ、非常に残念なことでございますし、よく次から次とこういう問題起こってくるなと思うて、私も実際がっかりしておるようなことでございますが、なお一層緊張して職務を遂行するように注意しておきたいと思っております。
154 - 衆 - 財務金融委員会 - 15号 平成14年04月26日
上田(清)委員 おはようございます。民主党の上田清司でございます。
きょうは、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法の審議ということであります。御承知のとおり、朝銀大阪が
大阪府の監督であったがゆえに十分な検査ができなくて破綻をし、膨大な公的資金を投入するような結果になりました。もちろん、他の信用組合等々についても、
都道府県の能力について、いかがなものか。現実的に、金融庁が我が国で最大の検査能力を持った機関であることは間違いないことでございますから、各政策金融機関がそれぞれの監督省庁の監督検査を受けるのではなく、重要な部分について金融庁の検査を受ける等々、大事なことではないかということで、基本的には賛成したい、こういう立場で臨むものであります。
そこで、四月十二日に金融庁の方から「より強固な金融システムの構築に向けた施策」、ペーパーで三枚でありますが、この中で、「主要銀行グループ通年・専担検査の導入」、つまり常時専任で検査をしていく、こういう仕組みを導入すると聞いておりますが、
定期的な検査ですら、先般の関西興銀の関係で検査官が逮捕されるという事件が起きておりますが、ずぶずぶの関係ができたりしているにもかかわらず、通年でやったらかえって癒着の温床になるのではないか
と思いますが、この点についてはどのようにお考えか、担当大臣にお伺いしたいと思います。
柳澤国務大臣
私ども、先般、十二日の日に特別検査の結果を公表させていただきましたけれども、その際、ある意味でそうした検査結果を踏まえまして、新しい施策を何点か発表させていただきました。その中に、今委員の御指摘のような通年専担検査体制、実質常駐検査体制というものをしかせていただくということを公表させていただいたわけでございます。
これをやると、大変遺憾なことでございますが、今回、近畿財務局の検査官が犯罪の嫌疑をかけられて逮捕されたというような事件がありまして、それに照らして考えると、こういう専担制というのは、そういう癒着というか癒着に起因するような犯罪の事案を生みやすくなるのではないか、こういう御懸念が表明されました。この点は確かに一つの問題点であるというように私どもも考えているわけでございます。
ただ、私ども、その点は十分当初から、配慮というか考慮しようというふうにいたしておりまして、もともと一人の人間が専担するわけじゃなくて、部門が専担いたします、複数の人間であるということ。そして、その複数の人間については、ずっとそこに、同じポストにとどまるということは、これは人事管理上もできないわけでありまして、そういうものをうまく人事管理上ローテーションをするということ。この複数制ということと人事異動を行うということで、もちろん、その他、公務員としての自覚あるいは指導というようなことを伴うのは、もうこれは言わずもがなでございますけれども、そういう体制で今御懸念のようなことを防止して、そして検査の実の方について成果を上げたい、このように考えているところでございます。
上田(清)委員
いみじくも今大臣が、複数でということでありますが、関西興銀の立入検査で便宜を図ったと言われるこの検査官、一人では検査をやらないわけですね。多分、五人とか七人とか、そういうグループで検査をし、なおかつ部門で最終的な処置をする。審議をし、また処分なり等々をするということですから。
一人じゃない可能性があるということですが、今回の事件に関して、基本的に金融庁、あるいは財務局ということであれば塩川大臣でありますが、どのように受けとめ、これについてどのような内部の調査をなされるつもりか、この点についてお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣
これは私は、専ら今後、政府系金融機関の検査にやはり金融庁が関与してもらってやってもらう、それはもう信頼を置いてその成果を見ていくより仕方がないんじゃないかと思っております。
柳澤国務大臣
当該の人物はもう逮捕されて、いわば司直の手のもとにありまして、今後、司法のプロセスを経てこの事案が処理されるということでございまして、私どもは、この捜査あるいは司法のプロセスの進行の過程を見て、適切な時期に適切な処分をしてまいりたい、このように考えています。
上田(清)委員
またそれは事件の概要が明らかになってから改めて問いたいと思います。
そこで、一つ、かねてから私も北朝鮮系信用組合の問題についてはいささか議論をさせていただいてきた経緯がございます。また、今回、新しい四信組の受け皿の中で、総連系の支配を受けない仕組みをつくる、こういう原則を打ち立てたわけでありますが、関係のそれぞれの役員に総連系の幹部が就任していたということが明らかになっておりますが、このことについて、きちっと確認ができたのかどうか。別に政府委員でも構いませんので、どうぞ明らかにしていただきたいと思います。
漆間政府参考人
お尋ねの四信組の役員のうち、公刊物により、朝鮮総連と密接な関係を有する朝鮮大学校の学部長や商工会の役員を務めていたことを警察として確認している者が何名かおります。
その他の役員で、公刊物で確認できない者が朝鮮総連と関係を有しているかどうかにつきましては、警察の情報活動の内容に関する事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
中村政府参考人 お答えいたします。
御指摘の信用組合の役員の中には、朝鮮総連及び傘下団体の機関誌等によりまして朝鮮大学校の学部長及び傘下団体の役員として報じられた人物と氏名の一致する者が含まれております。ただ、それ以上の情報につきましては、当庁の業務遂行に支障が生じるおそれがございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
上田(清)委員
金融庁にお伺いします。
今、警察の立場からと公安調査庁の立場から一部明らかにしていただきましたが、私どもの知るところでも、
ハナ、ミレ、京滋、兵庫ひまわりの中に、理事長以下常勤の役員の中に総連系の関係の方がおられる。
こういう実態が明らかになった以上、これは何らかの形で取り消しなり処分の対象として御検討されるのか、あるいはどのような立場でこの問題を処理されるのか、明らかにしていただきたいと思います
村田副大臣
新設四信組につきましては、朝銀東京をめぐりまして、不正な資金の流れが総連向けも含めてあったということでございましたので、私どもとしては、新設組合の定款においてそうした総連等の組織からの独立性を確保することが、今後そうした新設の組合の経営の健全性を確保するためにも重要であるという観点から、定款に一定の、そうした、組合との独立性を確保するということを定めるようにお願いをしてまいりました。
そういうことでありますが、今、公安あるいは警察当局からもお答えがございましたけれども、私どもは、そうした定款に書かれたことの実効を確保するためにいろいろ指導をしてまいりましたのですが、国会での御論議、あるいはマスコミ等でいろいろなことが言われている、そういう現状にかんがみまして、ただいま新設の組合の役員に対しまして、そうした国会での厳しい論議の状況などを伝えまして、改めてそうした事実がないかどうか、役員体制の見直しについて求めているところであります。なお、銀行法上の報告も徴求をしているところでございます。
いずれにしても、今後とも定款違反の疑惑を招くことがないようなことを確保するために、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
上田(清)委員
余りはっきりしない答弁ですよ。明確に調査をした後に明らかにされるべきであって、ある意味では丸のみしているような雰囲気が見られます。
それで、朝銀北東、中部、西、この三つについてはもう既に受け皿として機能しているわけでありますが、こちらの方にも多大な資金が投入されております。まさかこっちにはそういう問題はないんでしょうね。この確認をさせてください。
村田副大臣
既存の三朝銀でございますが、これは新設組合とケースが違う、すなわち破綻をしておりませんので、私どもは、定款に先ほど申し上げたようなそういう規定を定めることは、求めるということはできなかったわけでございますが、いずれにしましても、今後ともそうした事実がないということを、引き続き検査監督を通じて詰めていきたいというふうに考えております。
しかしながら、今のところ、経営上、総連等から、その経営に重大な影響を与えるというような事実は確認されていないということでございます。
上田(清)委員
かねてから私が申し上げました、総連の系統に朝信協があり、朝信協のもとにそれぞれの信組があり、そして信組の理事長や理事が全国津々浦々、あたかも一つの金融機関みたいにぐるぐる回っていて、しかし、その地域で信任されたのだから仕方がないというような答弁を、当時村井副大臣ですか、あるいは政務次官ですか、答弁しておりましたが、そういう答弁がいいかげんなものであったということが今日明らかになっているわけです。今度は、そういうことがあっては我が国のこれはもうある意味では主権というか外交の問題にも発展するような問題ですから、大変重く受けとめていただきたいと思います。
この問題に関しては、時間がちょっともったいありませんが、今回の四信組に予定されている贈与額、資産買い取りの予定の金額というのをそれぞれ挙げていただきたいと思いますが、概括で結構です。決まっているんだったら教えてください。
村田副大臣
新設四信組に対します金銭贈与額とそれから資産買い取りの見込み額でございますけれども、現在のところ、ペイオフコストを上回ると認められる旨の報告がなされて、手続的にはそこまで行っているわけでありまして、今後具体的な金額が定まってくるということでございますが、そういう観点で、具体的な数字はございませんが、今後の見込み額にある程度近い水準に考えられるという数字は、破綻した六朝銀の十三年三月期決算におきます公表債務超過額でございまして、その金額は四千三百四十七億円になるということをお答えさせていただきたいと思います。
上田(清)委員
続きまして、今度は韓国系信用組合の問題に移らせていただきます。
お手元の図の三を資料として見ていただきたいのであります。
京都シティ信用組合というのがございまして、これは大阪商銀の受け皿になりました。
当時役職員二十三名で、こうした預金また出資金があり、大阪商銀の受け皿になったわけであります。これがその後改称し、京都産業信用組合になったわけでありますが、この京都産業信用組合が、日本一の信組でありました関西興銀、そして中堅の京都商銀の受け皿になっていったという経緯がございます。
小が大をのむ、あるいはしっぽが体を振り回すと言わんばかりの大変な異常な肥大化でありまして、この点について、幾つも疑念があります。
例えば、この京都シティ信用組合は、一九九九年の三月期に超過債務の状態になっています。こういう不安定な信組がなぜ受け皿になったのか、極めて疑念であります。また、ディスクロージャー誌を読みますと、この京都産業信用組合は、平成八年、九年、十年、十一年、十二年、経常利益は五カ年連続マイナスであります。当期利益においても、平成九年、十年、十二年とマイナスでありまして、繰越欠損額も十二億、自己資本も平成十二年度にはマイナスの一六%というような、むしろ十一年にこの受け皿になることによって、贈与金によってプラスになるというような、こういう弱い体質の金融機関がなぜ受け皿になったのか、極めて不思議でなりません。この異常な肥大化あるいは経営体制に問題はないのでしょうか、この点についてお伺いしたいと思います。
村田副大臣
御質問は、当時の京都シティ信用組合についての問題点の御質問だと理解いたしますが、先生御指摘のように、一九九九年三月期の決算におきまして、京都府の検査結果等を踏まえまして不良債権を処理した、こういうことで京都シティ信用組合は約十億円の債務超過でありました。そういう状況でありましたけれども、約十三億円の出資増強によりまして一年以内に自己資本比率を四%に回復する、そういう内容を定めた経営改善化計画を策定しまして京都府知事に提出したところであります。そういうことで、京都府知事は同年五月に早期是正措置、第一区分でございましたが、これを発出したものと承知しております。
その京都シティ信用組合でございますが、同年六月に経営陣を一掃しまして、新しい経営陣を迎えた上で、その予定されました約十三億円の出資増強によりまして十二年三月期決算においては約三億円の資産超過、自己資本比率で申しますと五・〇九%というふうになった、こういうことを承知しているわけでございます。
上田(清)委員
承知しているだけじゃ困るわけで、実際、体質が弱いんではないかと。では、先ほど申し上げました五期連続経常利益がマイナスだというこういう金融機関が、破綻したとはいえ日本一の金融機関の受け皿に何でなれるのですか。配当ゼロですよ。これはまともな金融機関じゃないじゃないですか。もし上場していたら、上場取り消しになりますよ、こんなのじゃ。それが何で受け皿になるのですか。
村田副大臣
今お答え申しましたように、自己資本比率が五%超であること、そして新しい経営陣のもとに京都シティ信用組合の経営が健全化の道をたどっていく、こういうことでありました。
上田(清)委員
それでは確認します。この増資によって確かに自己資本がマイナスからプラスになっております、増資活動によって。このとき、見せ金増資というのはなかったのでしょうか。例えば、旧関西興銀ほかの不良債権先から近畿産業信用組合の増資引受企業になっている事例とかないですか。そういう事例というのは確認できませんでしたでしょうか。係官でも結構ですよ。
村田副大臣
増資引受先の個別の出資者につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、今先生が御指摘のような債務者であったものが出資の引受人となった、そういう事実はないというふうに承知をしております。
上田(清)委員
きょうは余り時間がありませんので、いずれそうじゃないということを教えてあげます。
それから、ダブルギアリング、持ち合いの出資を各商銀ごとにやっていませんか、韓国系信用組合ごとに。これはどうですか。
村田副大臣
出資において相互に持ち合う、そういうことはないということでございます。
上田(清)委員
これも後で明らかにしてあげます。
それから、預金の持ち合いそのものは別に非合法ではありませんが、しかし、基本的には望ましいものではない、こんなふうに考えてよろしいんでしょうか。
村田副大臣
預金を預け合うということは、一般的に取引の中で行われていることでございます。
上田(清)委員
そこで、北東商銀を見ると、まさに今村田副大臣が言われたとおりでありまして、表面上は、預金残高が十三年九月末で二百八十三億。しかし、私どもが調べた数字では二百二十三億。貸し出しが二百三十二で預貸率が八二%ですが、実質的な計数を確認しますと一〇四%という形で、完璧に一〇〇%を超えております。この預金残高のうちの中身は、多分、六十億が金融機関の預金のはずです。こういう北東商銀を東京商銀の受け皿になぜしたのか。
きょうは余り時間がありませんから、私の方から申し上げておきますよ。そのうちの二十億円は近畿産業信用組合からの取り込み預金のはずですよ。何でこういうところを受け皿にしたのか。何の問題もなかったんですか。
村田副大臣
私どもは、受け皿として適格性に問題があるとは考えなかったということでございます。
上田(清)委員
多分、その中身をお互いに今から論争すると十時までに終わりませんので、きょうは少し地雷だけ敷いておきますので、後で爆発させてもらいます。
熊本商銀についても少しお伺いします。
十三年三月末に十億の繰越損失、十三年九月末に一億の赤字決算、出資残高は十一億で、実質的な資本はゼロに近いのですけれども、こういうところがなぜ福岡商銀の受け皿になるんですか。私には到底理解できません。お答えください。
村田副大臣
熊本商銀についての御質問でございますが、私ども、財務内容からいきまして、健全性に特に問題があるというふうに考えたわけではありません。
上田(清)委員
全然答えになっていないんですよ。多分にこれは、本当にあなた方はずぶずぶですよ、この関係でいうと。全然弱い体質のところを受け皿にしています。
では、もう一つ聞きます。
この熊本商銀で、エム・ケイ・グループの関連会社からの相当数の、何億という数字ですが、出資はなかったですか。
村田副大臣
エム・ケイ・グループからの増資引き受けはなかったかということでございますが、詳細について、具体的に申し上げることは控えさせていただきたいというふうに考えております。
上田(清)委員
私どもの調査では五億円程度のものが入っております。他の商銀が増資をして受け皿銀行を強化するという、文字どおり持ち合いをしております。
それから、もう時間がありませんから、この近畿産業信用組合のディスクローズ誌の中にも明らかにしてありますが、ここの融資の中身を、これはもう公にされているものだけですから明らかにしていきますと、この中で、貸出金業種別残高構成比というのがあります。これを見ますと、建設業に一七・三%、不動産業に一九・三%、建設、不動産業関係で四割近い貸出残高になっております。
もう御承知のとおりの実情でありまして、関西地区が一番不動産の下落率が高いところであります。あるいはまた、ビルの空き室は関西圏が一番多いところです。こういう実態を踏まえた上で、本当に近畿産業信用組合が、日本最大の信用組合であった関西興銀あるいは中堅の京都商銀の受け皿金融機関として正しい選択なのか。私は間違っていると思いますよ、基本的に。金融庁は急いで、これ、丁寧にやらないとだめですよ。だれもチェックしなかったからこういうことをやっていますけれども、大変なことになりますよ、これが二次破綻になっていくと。
私は再調査をお願いしたいと思いますが、まずはこの点について、四割近い不動産、建設関連の融資残高があるという事実について、こういうところについて何の懸念もなかったのかどうか、この辺について内部の討論というのはどういうものだったのか、それを明らかにしていただきたいと思います。尋常じゃないでしょう、四割というのは。
村田副大臣
今、具体的に融資先の割合を示す資料が私の手元にございませんので、それに対してのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが
上田(清)委員
差し控えてじゃなくて、私はディスクローズ誌をそのまま読んでいるのですから、これは私の勝手に思いついた数字でも何でもないからそのまま聞いてください。不動産業が約一九・三%、それから建設業が一七・三%で断トツです。ほかのはもう余りありません。あとは一けたです。
この二つ、しかも関西地区の事情については谷口副大臣もよく御承知だと思います。空き室が一番多いこと、土地の下落率が一番多いこと等々を考えれば、また公認会計士としての能力からしても、谷口副大臣であればこういう中身について、極めて、逆指名をさせていただきますが、谷口副大臣、少し気になりませんか、私の指摘に対して。
谷口副大臣
突然の御指名でございますので、所管ではございませんので、意見をここでは控えさせていただきたいというふうに思います。
村田副大臣
受け皿につきましては、基本的に金融整理管財人がその選定権限を持つ、こういうことでございまして、金融整理管財人におきまして透明で公正なプロセスのもとで譲渡先の選定が行われたということでございますが、その原則は費用最小化原則ということでございますし、このケースにおきましても、在日の韓国人の組合員のもとでの、そうした皆さん方の意見、総意というもの、そういうものも考慮されたのではないか、こういうふうに考えております。
上田(清)委員
時間になりました。
ただし、金融庁の今総務企画局企画調査室長の大森泰人さんが近畿の理財局長のときに、
このエム・ケイ・グループの総帥に、ちゃんと関西興銀や京都商銀を受け取れ、こういう話があったということをインタビューで明らかにしているんですよ。できレースだったように思います。
このことも改めて機会を通じて明らかにしますが、しかし、極めて脆弱な体質の信用組合が、こういう弱い体質の金融機関が相当数、日本最大級の金融機関の受け皿になっていることについて、どうも担当副大臣にしても問題認識が薄いような気がします。そこだけ指摘申し上げまして、終わります。
ありがとうございました。
154 - 衆 - 財務金融委員会 - 16号 平成14年05月17日
五十嵐委員
次に、つい最近でありますけれども、近畿財務局の八幡さんという方が逮捕されていると思います。四月の下旬でありますけれども、
八幡匡紀さんという方が、上席金融証券検査官でありますけれども、大阪府警に逮捕をされております。
この件につきまして、事実、そして地検への送検についてどうなっているか、事実関係を警察庁に確認したいと思います。
吉村政府参考人 お答えを申し上げます。
四月二十三日、大阪府警におきまして、今お尋ねの近畿財務局職員一人、それと関西興銀の元理事長ら三人、計四人を贈収賄罪で逮捕しております。
逮捕事実は、近畿財務局が平成十一年十一月中旬実施の信用組合関西興銀に対する検査に関して、近畿財務局の上席金融証券検査官が興銀側に検査体制、検査内容等の検査情報あるいは対応策を教示したことへの謝礼等として、十一年八月下旬ごろ同興銀理事長らから現金二十万円のわいろを収受したというものであります。その後の捜査によって、同検査官がタクシーチケットあるいは商品券の供与、また、飲食接待を受けていたという事実がございましたので、総額二十数万円相当
になりますが、これを追送致をしておりまして、これらを含めて五月十四日に起訴をされているところであります。
五十嵐委員
この近畿財務局というのは非常に問題が多いところでありまして、かつて接待問題というのがありました。この接待問題の大きな舞台にもなったところであるわけでありまして、本格的にメスを入れなきゃいけない。要するに、接待問題で大処分が行われたわけでありますけれども、それ以降も接待が行われたということの証拠になるんじゃないかなと、今回の事件が。タクシーチケット、飲食接待、そして現金の授受、こういうことが行われるというのは、いわゆる接待漬けがその後もひそかに継続されていたということになりはしないかという疑いが出てくるわけでございます。
それから、それに関連して、この近畿財務局管内ではさまざまな疑惑事件が発生をいたしているわけで、それとの関連も私は追及されなければならないだろうと思います。
今起訴されました八幡容疑者というよりも被告ですかは、一九七五年四月に近畿財務局に採用されまして、一九九〇年以降、検査官を務めており、九九年七月からは審査業務課配属でありまして、関西興銀の件で今回、情報を漏えいした、そしてその見返りに現金を受け取ったということで逮捕、起訴されたわけでありますけれども、実際にこの八幡被告が関西興銀の問題や大和都市管財の検査に、あるいは審査に直接かかわっていたんではないかというふうにも疑われるわけですが、この点の事実関係は確認できますか。
村田副大臣
近畿財務局におきましては、理財部の検査総括課が検査の時期とか体制等の計画を立案する、それで情報を管理する、こういう建前になっております。立入検査は、同部の金融証券検査官が実施をすることになっておりまして、八幡検査官は上席の金融証券検査官ということでございます。
立入検査後の審査、すなわち立入検査で得た資料等を精査しまして結果を取りまとめていくということは同部の審査業務課が行っておりまして、必要に応じて金融庁のチェックを受ける、こういうことで、検査の結果は財務局長名で通知している、こういうことでございます。
それで、本人は同部の審査業務課というところで、関西興銀につきましては審査業務に関与しておった、大和都市管財につきましては検査官として立入検査をしている、こういうことのようでございます
五十嵐委員
やはりかかわっているわけですね。
そうすると、単に情報を提供しただけではなくて、審査の過程で手心を加えた可能性が出てくるじゃないですか。その辺の確認はしていますか。要するに、関西興銀の審査がこれによってゆがめられたという事実はなかったんですか。
村田副大臣
先ほどの警察庁の方の御答弁にありましたように、まことに遺憾ながら八幡検査官が起訴されたわけでありまして、委員の御質問のことも含めまして、事件の詳細につきましては、今後、捜査の結果を踏まえまして司法の場において明らかにされる、こういうふうに考えておりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
五十嵐委員
いや、司法の手といっても、一たんはこれは決着しちゃっているんですから、それは司法の問題じゃなくて金融庁として、監督当局としても、検査そのものがゆがめられたのかどうか、そして、こういうことが再発される可能性があるのかどうかということを厳しくチェックする必要があるんじゃないですか。どうですか。
村田副大臣
今御答弁申し上げたとおりでございますけれども、審査の過程、審理の過程でもって、八幡検査官が一人でまとめていく、こういうわけではありませんで、同僚の検査官あるいは上司とも協力しながら結果をまとめていく、こういうことでございますので、私どもとしてはそうしたことがなかったものと考えておりますが、いずれにしましても、捜査の結果を見ながら我々としては対処していきたい、こういうふうに考えております。
五十嵐委員
今村田副大臣は、一人でやったんじゃないから大丈夫なんだという御答弁でありましたけれども、そんなことは言えないと思うんですね。
九八年に、いわゆる大蔵省の接待スキャンダルというのが問題になりまして、四名が逮捕されて百十二名が処分を受けているわけですね。
特に近畿財務局は問題なわけですけれども、その後も、近畿財務局では幹部職員が接待を受けていたという報道があるんですね。
だから、その延長上にこの話があるんであって、一人だけ特殊な方が八幡さんだったというより、そういう風土が残っていたということではないんですか。
だから、この八幡容疑者が逮捕されたことで一件落着というのではなくて、改めて近畿財務局全体について、業者との癒着がなかったかどうか、このような接待の慣行が残っていたかどうか、それがいろいろな疑惑事件との絡みで不正な手心が加えられたのかどうかということを、これはきちんと見る、チェックする必要があるんじゃないですか、どうですか。
村田副大臣
いずれにしましても、関西興銀につきましても、最終的には管理を命ずる処分ということで、破綻を来しているわけでございまして、大和都市管財につきましても、近畿財務局からの請求でもって清算をする、こういうふうになったわけでございます。
私どもとしては、近畿財務局において、先生がおっしゃるようなそうした事実があって、不適切な金融行政が行われたということは考えておりませんけれども、今後とも金融行政の遂行に当たりまして綱紀の粛正に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
五十嵐委員
どうもそれは臭い物にふたをするような話でありまして、どうしてチェックをしないのかというのは不思議でならないですね。このようなことが行われたとは思えませんなんというような話は、チェックしてみてからでないとわからないはずですね。
大体、上席の検査官が逮捕されるという自体、日本の金融検査の信頼性を揺るがせるような事態が起きた
わけですけれども、この逮捕の監督責任というようなものはどうなっているんですか。
村田副大臣
私ども、先生の御指摘のように、職員が収賄の容疑で逮捕されたということはまことに遺憾でございまして、そうした意味で、私どもの金融行政について信頼を損なう行為であった、こういうふうには認識をしております。
しかしながら、私どもは、その一件のみをもちまして我々全般の金融行政が曲がって行われた、こういうことはないと信じておりまして、今後ともなお一層職員の綱紀粛正に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
五十嵐委員
監督責任についても述べないし、近畿財務局の体質に疑わしいところがあるからチェックするということもおっしゃらない。これはゼロ回答でありまして、とても答弁になっていないですね。
それでは、観点を変えて、八幡さんだけかという話をさせていただきたいと思いますよ。
一九九八年六月に破綻をいたしました大阪商銀の受け皿となった京都シティ信用組合、名前が今変わっております。近畿産業信用組合というふうに名前を変えましたけれども、
預金量が大阪商銀の十分の一しかなかった京都市内の小さな信用組合が、十倍の大阪商銀の受け皿となったわけであります。
これが、今八幡さんの事件があった関西興銀、これは最も大きな民族系の信用組合だったわけですけれども、この関西興銀と京都商銀をも譲り受けるという形になったわけですね。関西興銀と京都商銀を合わせた預金量は、実に近畿産業信用組合の五十倍ですね。
十倍のものをのみ込んで、さらに五十倍のものをのみ込んだという極めて異常な受け皿のバトンタッチが行われたわけですね。
これでは、二次破綻の可能性は極めて高いと言わざるを得ないと私は思うんですが、この不自然な受け皿選定に際して、私の方で調べたところでは、
近畿財務局の理財部長であった大森泰人氏、今金融庁の総務企画局企画課の調査室長でありますけれども、この大森さんが、近畿産業信用組合が受け皿になれるよう指導したというふうに言われておりまして、そういう情報を入手いたしました。これは大変重大な問題だと思うわけであります。
大森氏は、九九年十一月には関西興銀、二〇〇〇年十月には大和都市管財の検査をも指導しておりまして、これは八幡さんとセットで動いていたと思われる
わけですけれども、大森氏についても同様に厳重に調査をする必要があるのではないかというふうに私は思いますが、どうですか。
村田副大臣
私も、先生からの御指摘を受けまして、青木社長の雑誌の対談といいますか、その部分を読んでみました。あと、その時点時点の経緯を考えたときに、一部不正確であるところもこの青木発言にはあるな、こういうふうに私自身感じたところであります。
すなわち、大森が近畿財務局におりましたのは十三年七月まででございまして、その後異動をして今金融庁におるわけでございますが、そういう意味で、関西興銀については彼がかかわりようがないということにもかかわらず、青木さんの中では、関西興銀について、あたかも何か引き受けを慫慂したような発言がございまして、そこは必ずしも正確ではないな、こういうふうに私自身感じた次第でございます。
いずれにしましても、韓国系の破綻四商銀につきましては、私どもとしては民族系のまとまりがあるということを期待してまいりましたけれども、そういう意味ではまとまり切らずに、最終的には、透明、公正なプロセス、すなわち入札によって受け皿が選定された。その経緯につきましては、譲渡先の選定権限を有します金融整理管財人においてもその経緯が詳しく述べられておるわけでございまして、そういう意味では、大森が今先生の御指摘なさるような不明朗なことにかかわっていたというふうに私どもは考えてはおらないわけでございます。
五十嵐委員
大森さんと、私が名前を出していないにもかかわらず今言われた、
京都シティ信用組合のもともとオーナーであり、近畿産業信用組合の今でも実質的なオーナーであります青木定雄氏との深い関係があったということは指摘をされている
わけでありまして、そして、この大森さんという方自身は、九八年のいわゆる大蔵省接待スキャンダルの際に処分を受けている人ですよね。訓告処分を受けていると思いますが、訓告処分というのはかなり重い方の処分だと思いますが、これは事実関係、確認できますか。なぜそのままこの近畿財務局に置いておいたのか、問題がある近畿財務局でこのような仕事をさせたのか。
私は不思議でならないのですが、この人物はいろいろな疑惑を持たれている。今おっしゃった受け皿の選定について、よく調べたけれども問題になるようなところはないとおっしゃったけれども、当初十二月初旬と予定されていた結果通知が一カ月近く延びたという事実もありまして、大森さんが、近畿産業信用組合に増資を果たして受け皿となれるように時間稼ぎをしたという疑惑も持たれているわけですが、全く調べもせずに、何の問題もないのだと言い切れるんですか。
村田副大臣
私ども、破綻した四商銀の譲渡先の選定手続につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、金融整理管財人がその選定権限を持っておりますので、その管財人のイニシアチブによりまして、一つは費用最小化原則、あるいは引き受け譲渡後の信用組合の経営の健全性を確保する、こういう観点から、選定を公明な、透明性のあるプロセスで行った、こういうわけでございまして、大森当時部長がその選定を無理に曲げた、そういう可能性は全く介在し得ない、こういうふうに考えております。
五十嵐委員
それはおかしいですね。極めて密接で、また、その指導をしていた、そして別の情報では、近畿産業信用組合の余裕資金を利用して不適切な増資まで誘導しているという話が、大森氏にはそういう疑惑の情報も流れているわけです。
もともと、今言われた金融機関の会長さんは、前科十犯なんじゃないですか。
そういう方が雪だるま式に膨れ上がっていく金融機関の会長職を務める、事実上支配できるというのは、私は大変問題だと思いますよ。その人と癒着関係にある人がいろいろ動いて、何にもありませんでした、一点の曇りもありませんなんという話は、世間では通用しないです。
しかも、ドラゴン銀行というライバルがあって争ったわけですけれども、当初ドラゴンに傾いていた金融当局の考えが、急速にある時点からこの近畿産業信組の方に転換をしていった。とても不自然なんですね。
公的負担の最小化原則というのが突然持ち出されたりして、この受け皿選定の経緯が極めて不自然に動いてきている。
こういうことから考えて、大森さんが何の関係もないという今の答弁は到底納得できるものではありません。ちゃんとこの方のやってきたことについて、今でも金融庁の幹部になっているわけですから、そして過去に接待をされていた、そして訓戒処分を受けたという事実もあるわけですから、この人のこの経緯、そして八幡さんとの関係、飲食やタクシーチケット等の接待を受けていなかったかどうか、改めて調べる必要があると思いますが、きちんと答弁してください。
村田副大臣
大森前部長につきましては、大和都市管財の登録更新拒否に関しましては、私どもかねてその経緯を調べたことがございますが、むしろ私どもとしては、大森部長が登録更新拒否をした、こういうふうに聞いておりまして、そういう意味では、彼は適切な行政処分を行ったというふうに私どもは考えている次第であります。
それから、破綻四商銀の手続につきましては、先ほど申しましたように、金融整理管財人が譲渡先の決定についての詳しい資料を公表しているわけでございまして、その中で書いてありますようなそういうポイント、そういうメルクマールに基づきまして入札まで行いまして、それはなぜかというと、一つにまとまれ切れなくて、手を挙げたその受け皿が幾つかあったということの中で入札を実施した、こういうわけでございまして、突然入札を提案した、こういうわけではなくて、そういう選定の仕方として、幾つかの受け皿候補がある場合に入札を実施しまして、費用の最小化原則とかそういうものを見ながら受け皿の優先順位を決めていった。こういう過程はまことに透明で公正なプロセスであったと私どもは考えている次第であります。
五十嵐委員
だめですよ、そんなでたらめなごまかし方をしたんじゃ。
大和都市管財にしたって、登録拒否は確かにしましたよ。だけれども、それは遅過ぎたんですよ。なぜあそこまで引っ張ったのかということの方が問題なんですから、そんなものは公正な決定をしたという理由にならないですよ。
それから、この京都産業信組についてはめちゃくちゃな事実をつかんでいますよ。
このエム・ケイ・タクシーの青木定雄氏が大阪商銀を引き受けた際には出資を募ったわけですけれども、出資を募った先の一人である堺市在住の松原さんという方がいるんですが、出資金の払い込みは青木氏の関連企業の小切手でしている。それで、そのわずか五カ月後の九月に、総代会の承認がないまま全額返還した。これは見せ金増資ですよ。
こういうことをずっと繰り返しやってきて、小が大をのむということをやってきたわけですから、到底まともな手段でこれが認められたとは思えない
というわけであります。この問題は引き続き追及しますけれども、大森さんのチェック、ちゃんとしておいてくださいね。それだけは言っておきます。
494 : 名無しさん@3周年[ ] 投稿日:2008/09/11(木) 09:17:31 ID:KKDu3gPO [1/12回]
【元凶は官僚と政治家だ「最悪不況突入」】2008年9月5日 掲載
中小零細企業の息の根止めた「貸金業法改正」
商売上がったりで業界規模はピーク時の5分の1以下に「これで“最後の貸し手”を失ってしまった」そう肩を落とすのは、東北地方で建設業を営む50代の会社社長。取引のあった商工ローンから突然、100万円のつなぎ融資を断られたのだ。 悪い話は耳にしていた。
「昨年来、金利に見合うように商工ローンが貸し出し基準を厳しくしている。融資を断られた同業者は何人もいる」。それでも、社長はタカをくくっていた。会社の規模こそ小さいが、業績はここ数年、横ばいだった。
まさか自分が……。 これまで突発的なつなぎ資金を商工ローンや、個人名義で口座を持つ消費者金融に頼ってきた。今さら銀行から資金調達できるワケがない。差し出す担保がないからこそ、高金利を承知で商工ローンや消費者金融から借りて資金繰りをつけてきたのだ。
最後のトリデを失った社長は今、「会社をたたむか、ヤミ金に手を出すか」で真剣に悩んでいる。
●倒産件数は10%増
06年12月に多重債務者救済を目的とした「改正貸金業法」が成立した。改正の目玉は、貸出上限金利の引き下げ。いわゆる「グレーゾーン金利」を撤廃し、29.2%から上限金利を20%以下と定めた。
多重債務者の増加は、深刻な社会問題だ。自殺者が相次ぐ中、消費者金融が空前の利益を上げるのを苦々しい思いでみていた人も多いだろう。
だが、未曽有の金利引き下げが生み出したのは、貸金業者の猛烈な貸し渋りだ。
消費者金融大手は09年末の貸金法の完全施行を前に、18~20%への金利引き下げに踏み切った。金利を下げれば、回収が微妙な人には貸せない。融資対象は絞られてくる。さらに急増する過払い金返還にも耐え切れず、消費者金融の与信条件は一気に厳格化された。
結果、過去2年で大手7社の新規成約率は56%から34%にまで落ち込み、貸出残高は2兆円も減少。市場規模は5年前の7、8割に縮小した。その分、窮余の運転資金が借りられない中小・零細企業が大量に発生しているのだ。
「今年上半期の中小零細企業の倒産件数は、前年比10.7%も増加した。零細でも300万円の仕入れが、1000万円の利益に化ける仕事はある。与信の厳格化でビジネスチャンスを摘んでいる」
(日本消費者金融協会・橋本正弘広報部長)
●むしろヤミ金融を助長
はたして、法改正で本当に多重債務者は救われているのか。
今年5月に金融庁は「多重債務者が3月末で約118万人と前年比3割減った」と胸を張ったが、この数字もマヤカシに過ぎない。
「金融庁が割り出した多重債務者数は、貸金業者が加盟する信用情報調査機関の登録情報を基にしている。法改正で廃業が相次ぎ、調査団体を退会する業者が増加。廃業したとはいえ、新規融資を止めただけで、今も債務者を抱えたままの業者がほとんど。決して債務者は減っておらず、登録データに反映されない“隠れ債務者”が増えただけなのです」(貸金業者)
この1年で貸金業の登録業者は1万1832社から7975社に激減。ピーク時の86年(4万7504社)の5分の1以下だ。
小規模業者には、ヤミ金化する輩もおり、最近は年利30%程度の“低利”で、返済相談にも応じる「ネオ闇金」と呼ばれる業者も跋扈(ばっこ)し始めた。ターゲットは、正規の貸金業からあふれた中小・零細の経営者だ。
金融庁で法制定を仕切った総務企画局の大森泰人参事官(50=現・企画課長)は当時、こう豪語したという。
「我々は10年後に歴史的な評価を受ける」
だが、役人の名誉のために、多くの中小企業が犠牲となっているのが実情だ。次回月曜日は、さらに役人と政治家の動きを追及する。
606 : 名無しさん@3周年[ ] 投稿日:2008/09/11(木) 22:44:33 ID:lCox1Uhz [2/6回]
元凶は官僚と政治家だ「最悪不況突入」 2008年9月8日 掲載
日本経済を疲弊させた大蔵省出身課長と政治家のスタンドプレー ファンド規制、貸金業規制の呆れた舞台ウラ
完全分煙の金融庁で、彼の席だけはたばこと灰皿の常備が許されているという。
金融界で、業界秩序の“壊し屋”として恐れられる総務企画局の大森泰人・企画課長(50)。彼こそ、官製不況の元凶のひとりである。
岐阜県立飛騨高から東大法学部に進学し、81年に旧大蔵省入省。金融行政畑を歩んできた。
近畿財務局理財部長時代には関西興銀の破綻処理を手がけ、興銀に巣くったアングラ勢力を相手に“大立ち回り”を演じた異色のキャリア官僚だ。
05年途中まで大森は市場課長として「金融商品取引法」の制定に携わった。
ライブドアのニッポン放送株の大量取得、村上ファンドの阪神電鉄株の電撃取得が、世間を騒がせた時期と重なる。
法改正に向けた作業部会は「堀江、村上は許さん」と企業代表や弁護士の規制強化の大合唱だった。市場ルールの整備をせかされた大森は、一気にファンド規制の強化にカジを切った。 翌06年、堀江と村上が逮捕されると、誰もが規制強化に反対しづらくなった。“ファンド潰し”
609 : 名無しさん@3周年[ ] 投稿日:2008/09/11(木) 22:47:16 ID:lCox1Uhz [3/6回]
“世論”形成しバッサリ
06年1月。最高裁がグレーゾーン金利の違法性を認定した。
すぐさま、前年の人事で貸金業規制担当の信用制度参事官となった大森は、
グレーゾーン撤廃、上限金利引き下げが柱の「改正貸金業法」の制定に動いた。
議論の流れを支配したのは、やはり「ムード」だ。 「この年4月、金融庁は強引な取り立てなどの違法行為が発覚したアイフルに全店業務停止処分を発表。貸金業批判が巻き起こる中、翌週にグレーゾーン廃止の方針を固めた。8月には、金利引き下げ慎重派の自民党議員の巻き返しが強まった時期に、アコムへ立ち入り検査に入った。処分や検査が、規制強化の世論を生み出し、反対意見は口にしづらいムードが形成された」(金融庁事情通)
アイフルとアコムへの“強権発動”を主導したのは、誰あろう大森だ。
権力行使で、業界内の異論を封殺する――。壊し屋の手法には、危うさがつきまとう。
金融庁も嘆く政治家
「貸金法制定で我々を利用して一番得をしたのは、後藤田サンだ」
金融庁の役人は、今も苦々しげに語る。
当時の金融担当政務官、後藤田正純(39)は頻繁にメディアに登場し、貸金業批判を繰り返した。女優・水野真紀の夫で知られる後藤田だが、あまりの強硬姿勢に
「近しい親族が、商工ローンに苦しめられたんじゃないの」と陰口を叩かれたほどだ。
後藤田は金融庁案が自民党に示された直後、「法案が業界に妥協して甘くなった」として辞任。メディアの喝采を浴びたが、金融庁関係者は当時をこう振り返る。
「後藤田氏は『政界の風読みは任せろ』と大森らをけしかけ、グレーゾーン撤廃をまとめさせた張本人。運命共同体と思っていた。
ところが、いざ法案提出の際に金融庁だけに責任を押し付ける形で辞めたのです。
突然ハシゴを外され、敵役にされた我々にすれば“いいとこ取り”にみえる。法改正を単なる人気取りに利用したのではないか」
後藤田は最近「廉価販売規制」を唱え、経済学者から「中学校で需要と供給について勉強しなかったのか」と失笑を買っている。
金利規制が中小企業への貸し渋りを招くなんて理解できなかったのかもしれない。
時代の空気を手柄に利用する役人と、スタンドプレーに走る政治家。
彼らの身勝手な思惑が経済を萎縮・疲弊させている。
最終更新:2013年08月14日 02:35