アイワイ


154 - 衆 - 財務金融委員会 - 21号 平成14年06月12日
五十嵐委員 
 前回、私がちらっと申しました、東急エージェンシーの脱税の問題がありますねという話を、大臣おられないところで言ったかどうか、指摘をさせていただいたんですが、この東急エージェンシーとは柳澤さんは大変親しい関係にある、特に前野徹さんとは親しいというふうに伺っているんですが、どのような御関係か、お答えいただけますか。
柳澤国務大臣 
 私は全くもって今のお言葉をやや意外にお聞きしました。
 要するに、二十年ちょっと前に、二十年以上前になりますけれども、どこかでごあいさつをする機会は持ったかと思いますが、しかし、それ以前もそれ以後も全く格別な、特別な関係にはございません。今、五十嵐委員が言われた前野何とかというようなことも、私、ちょっと聞きそびれるわけで、私の政治活動の中で何か交差した点があるだろうかと考えて振り返ってみましても、全くございません。
五十嵐委員 
 わかりました。それは前野徹さん、これは東急エージェンシーの元の社長で、政界では有名な方でありますけれども。
 それで、この東急エージェンシーという会社は極めて政治的な会社でありまして、以前にも実は裏金をつくって追徴課税を受けたということが報道された会社なんですが、実は、それとは別の裏金づくりがイトーヨーカ堂との間で行われたということが報道されておりまして、その行き先にいろいろ憶測が出ているということなんです、一言で言うと。
 そのイトーヨーカ堂がアイワイバンクを御存じのとおり認可されてつくったわけでありますけれども、このアイワイバンク認可が非常に難航していた。それが、どういうわけか、柳澤さんになってからとんとんといったじゃないかという話がありまして、このアイワイバンクの認可をめぐって、もう時間ありませんけれども、どのような論点があって、なぜ進まなかったのか。そして、なぜそれがオーケーになったのかということだけ最後に、もう時間ありませんので、簡単に伺っておきたいと思います。
柳澤国務大臣 
 私が着任したときには、内認可の申請が既に行われておりました。
 そういう中で、私がそのときに聞いたのは、これはちょっと今時間がかかっていますということですが、その理由は、アイワイバンクが本来ビジネスの基本的な骨格として考えておった、端末を置いたところと、その端末が、一般の今の都市銀行のやっているBANCSというところに接続をさせてもらい、その手数料をいただくというときの、その手数料を幾らにするか。つなげていただけるか、つなげていただいた場合、手数料は幾らであるかということについて、まだちょっと話がまとまらないんです、こういう報告を受けまして、ああ、そうということでございました。
 そうしたら、私、今度のことがあったんで事務当局から上げさせたんですけれども、三月末ですかというときに、ようやく話がまとまりました、ああ、それはよかったねということで、私が内認可をおろした、こういうことでございます。
 全く法令上、五十嵐さんもまさか私を本当に疑っているとは思わないで、政党だか何だか、組織的にそういうことを言わざるを得ないというお立場だとは思いますけれども、それはそれで結構でございますけれども、そんなことをやって金融大臣が務まるとは、私は思いません。

154 - 衆 - 財務金融委員会 - 23号  平成14年07月09日
五十嵐委員 
 これはかなり業界の中で流布されているうわさがあり、また、それだけではなくて、関係の雑誌等にいろいろなことがシンワオークションについては書かれております。これについては、さらに調査をさせていただきたいというふうに思います。あと、時間が少なくなってまいりましたけれども、柳澤大臣をめぐるいろいろなことが最近週刊誌等をにぎわしておりますけれども、一番問題となるアイワイバンクの問題についてただしておかなければならないと思います。
 この問題、私、四月時点で毎日新聞の記事で御質問をこの委員会でさせていただきました。ことし四月十日付の毎日新聞なんですが、昨年三月期までの五年間に東急エージェンシーで十億三千万円の申告漏れがあり、八億四千万円の追徴をされたという記事が載りました。
 この東急エージェンシーに詳しい人に証言をいただいたところによると、二〇〇一年七月から国税の調査が入り、そして
イトーヨーカ堂への七千万円の裏金供与が判明をしたということなんであります。
そして、その直後から三、四カ月の間、七月から十月までの間ですから四カ月間ですか、東急エージェンシーでも内部調査を行ったそうであります。
 結論からいくと、東急エージェンシーは、以前にも実は若林さんという副社長を中心に摘発をされました同様の脱税行為がありまして、これはやはり
イトーヨーカ堂とセブンイレブンがかんでいるわけですが、セブンイレブンの店頭プロモーションですかね、イトーヨーカ堂関係の店頭プロモーションをピンはねして、販促開発という会社を通じて、指定する三つのこれは芸能プロダクションに裏金が流れ、それがイトーヨーカ堂に回ったということがありました。
 これが今度は、今回の摘発に関しては、スコープという会社が東京・新宿区築地町にございます。横山寛さんという社長さんなんですが、東急エージェンシーの関連の広告代理業者さんであります。このスコープという会社を使って同様に、今申し上げましたプロダクションを使ったのと同様の裏金捻出が行われて、それがイトーヨーカ堂に流れた、こういう話で、それがどこへ流れたかという問題が出てきたわけであります。東急エージェンシーに派閥争いがありまして、どうもその派閥争いの中から内部告発が流出をしているというのがスタートのようであります。
 私のところには、実は昨年の十一月か十二月時点でこの内部告発の文書が届いておりました。そのイトーヨーカ堂が、過去にも東急エージェンシーを通じて裏金をつくってきた、そういう会社だということがそこからは想定をされるわけですが、一方で、イトーヨーカ堂は、アイワイバンクの設立に関していろいろな政治的な働きかけをしているわけであります。
 これも実はアイワイバンクの当時の関係者の証言を二人ばかり伺っております。一人の人は、アイワイバンクの免許取得難航の一因は、日銀出身の、銀行設立準備室のプロジェクトリーダー、畑山さんという方なんですが、その方が金融当局や他の銀行との関係を悪化させてしまった、そのことが原因なんで、二〇〇〇年五月にセブンイレブンの氏家さんという方をプロジェクトリーダーに据えて、事実上は鈴木敏文イトーヨーカ堂社長が直轄のような形で関係再構築を進めたんだ、そして、幹部間ではしばしば自民党政治家の名前が出たという証言をいただいているわけであります。
 それから、もう一人の証言は、九七年当時、セブンイレブンに共同ATMをつくる設置構想が生まれたんだけれども、九九年に新銀行設立方針に変更になった。そのときに、越智通雄金融再生委員長が反対をし、特に他の銀行では三菱の岸暁頭取が強い反対を表明した。そこで暗礁に乗り上げたということで、ちょうど先ほど申し上げました証言と符合するわけですが、二〇〇〇年三月ごろに、佐藤信武イトーヨーカ堂副社長をトップとして、畑山さんからプロジェクトリーダーを変更させて、竹本繁常務、これはもと瀬島龍三さんの秘書さんを務めたという方でありますが、それから有名な長野厖士さん、元大蔵省の証券局長、この三人をメンバーとして政界工作を行ったという証言が出てくるわけです。
 そして、二〇〇〇年十二月の柳澤金融再生委員長就任から確かにこの話が軌道に乗りました。そして、二〇〇一年四月の予備免許取得に至るわけであります。柳澤さんにトップがかわってから予備免許へ向けて話が急速に進んだ、そしてそれはこうした政界工作の成果であったというような、そうした証言が得られているわけであります。
 一方、イトーヨーカ堂について、私は、この免許問題について幾つかの問題点があると思うんですね。一つは、機関銀行化しないかということが一つであります。
 それから、三年以内に黒字転換しなければいけないという基準がありまして、その三年以内の黒字転換は非常に難しいものですから、全国八千店のセブンイレブンのATMと結んで、それは大変銀行にとって魅力的なわけですけれども、それの接続料を銀行からたくさん取らないとこの黒字転換が望めないということで、十五億円でしたか、大変大きな設定をしたということで、これが銀行側の反発を招いてこれが進まなくなってしまった、こういう経緯があるんです。
それともう一つ、このアイワイバンクには、私、やはり銀行経営者の適格要件の問題があるとも思うんですね。というのは、

イトーヨーカ堂は、シジミを北朝鮮から輸入して足利銀行を通じて二十億円の振り込みを行うなど、北朝鮮と非常に関係が深い企業でありまして

伊藤雅俊名誉会長さん、創業者ですが、総連系のイベントに小まめに出席をされていた過去がある

ということもありまして、これはやはり、こういう北朝鮮と関係の深いところが銀行を直接持つということについては、私は疑問が残る。いわゆる朝銀問題とつながるような問題が生じる、こういうふうに思っておりまして、そういう意味からも問題があるというふうに思っているわけであります。
 そして、先ほど瀬島さんの秘書をやられた竹本繁常務という話をいたしましたけれども、この竹本さんという方は中曽根臨調の事務局に出向していたわけでありますが、そのときに、いわゆる経世会の担当だったわけです。そして、経世会の担当で、同時に、東急エージェンシーからも同様にそのころ実は臨調事務局に出向していた方がおられまして、そこで結びつきも一方ではできた。いわゆる
経世会とイトーヨーカ堂と東急エージェンシーの接点というのがそこにもあるわけであります。
 もともと東急エージェンシーとイトーヨーカ堂とは、東急エージェンシーが四百億円、毎年、宣伝広告事業にイトーヨーカ堂から請け負っているという、大手のクライアントと業者という関係にあるわけでありまして、今申し上げた事実関係からいいますと、これは大変不透明な部分が出てくるわけであります。
 もう一つ証言があるわけでありまして、前野徹東急エージェンシーの元社長がおられるんですが、この方のことはほとんど知らなかったというふうに前回の質問で大臣はおっしゃられましたけれども、この前野元社長が鈴木敏文ヨーカ堂社長から依頼を受けまして、アイワイバンクがとまっちゃったときに、作業がとまったときに、野中広務氏を紹介した。そして野中さんが柳澤さんを鈴木さんに紹介したというような、そのような証言が実はあるわけでありまして、これは本当かどうかわかりませんよ。
 そこで、こういう今までの登場人物の一連のつながりというのが一応形の上で浮かび上がってくるわけですが、野中さんから柳澤さんが、鈴木社長ないしイトーヨーカ堂を紹介されたというようなことが、事実があるかどうかから伺いたいと思います。
柳澤国務大臣 
 全くそういう事実はございません。
五十嵐委員 
 イトーヨーカ堂のアイワイバンク設立に関して、それでは、どのようなことがそれまで越智委員長のもとで滞っていた理由になったのか。私は、今幾つかの問題点を申し上げました。機関銀行化するおそれがあるんではないか、あるいは三年以内の黒字転換の可能性、基準がクリアするのは難しい見通しなのではないか、あるいは銀行経営者として本当にイトーヨーカ堂があるいはその経営者が適格性があるかどうかというような問題点があると認識をしているわけですけれども、それについてどういう判断をされたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
柳澤国務大臣 
 この問題についての時系列的なことを必要な範囲で簡潔に申し上げますと、今御指摘になられたようなこと、例えば機関銀行化だとかそういったようなことについては、異業種ガイドラインという形で検討され、取りまとめられ、公表をされているわけでございます。これは越智大臣のときをスタートとしているようでございますけれども、谷垣大臣のときに取りまとめを終了し、パブリックコメントにかけておりまして、相沢大臣の時代に異業種ガイドラインとして公表をされております。
 なお、アイワイバンク銀行とガイドラインの適用等についての協議、実質的な審査は相沢大臣の時代に終了をいたしておりまして、予備審査申請という、予備審査という言葉を使っておりますけれども、これはもう行政の手続上は実質的にその審査が終了して、審査申請をしていいよということであることは、いろいろ行政にもお詳しい五十嵐委員の御承知いただいているところかと思います。
 私になりましたときには、相沢大臣のころに予備審査申請が既に行われていたものがペンディングになっておったんですが、それは専らBANCS加盟に係る民間当事者間の交渉というものが妥結に時間がかかっているということでございました。そして、その終了をいたしたというようなことを機に、私の方は、予備審査の終了通知をして、免許をおろしたということでございます。
 それに尽きるわけでございまして、今委員からいろいろ該博なる情報、知識をお持ちで、お話があったわけですが、私は、そのことは、今ずっとお聞きしていたんですが、ほとんど私全く存じておりませんで、大変失礼でございますけれども、私どもは、ある基準をつくってその基準に合致するかどうかということを、これは事務当局を中心に、もちろん大臣の指揮のもとですけれども、審査をして、それに適合すれば免許をおろすということを整々粛々として行ったということに尽きるわけでございます。
五十嵐委員 
 今のお話でわからないところがたくさんございます。
 まず、先ほど私も説明しましたけれども、BANCS加盟をめぐるその他の銀行との交渉が難航したというのはあると思うんですが、それについて、金融庁なり大臣なりがアドバイスしたり、間に立つというようなことがあったのかなかったのか伺いたいということがまず一つであります。
 それから、先ほど申しましたように、銀行設立だったら、銀行経営者は適格要件というのは非常に厳密に見なきゃいけないわけですから、当然審査対象になったはずなんですね、そのことも。それについてはどういう検討をされたのか全く伺えていない。今言ったように、裏金捻出の常連なんですよ、この会社は。裏金を捻出してきて、政界工作を行ってきた常連の会社なんですから、それはやはり厳しく見る必要があったので、それは今から振り返って何の問題もない、BANCS加盟がもめていたのは、民間同士でもめていたのは解決がついたから粛々として話が進んだんだというだけでは、私は説明にならないと思うわけですが、どうですか。
柳澤国務大臣 
 もちろん、必要な審査は申請後なされておりますけれども、特に時間がかかっているんですよという説明を私は事務当局から受けたんですけれども、その原因というのは、実は、BANCS加盟、それと手数料、フィーの問題であったというように記憶をいたしております。その間に私に、政治家絡み、あるいは経済界の今の方々絡みで何か陳情とか働きかけがあったかということですが、全くなかったというふうに記憶しておりますし、なかったと私はここで申し上げたいと思います。
五十嵐委員 
 今質問の一部だけお答えになったわけですけれども、先ほど言いましたように、ちょっとお調べになればわかるわけですが、このイトーヨーカ堂は、東急エージェンシーと組んで何度も裏金をつくってきて、そしてそれが国税当局によって告発をされたという過去があるわけであります。
 ですから、そういうところがやっていいのですかということと、先ほど言いましたように、朝銀信組が破綻を、二次破綻、三次破綻を重ねて、一方では、かなり問題になっているところがあって、いわゆる北朝鮮、そして朝鮮総連との関係で、この銀行についてそういう送金ルートになるおそれがあるんではないかという問題については、何の考慮もされなかったということですか。
柳澤国務大臣 
 今のお話、二つあったかと思うんですね。
 一つは、脱税の問題でございますが、これは東急エージェンシーの問題だというふうに私は報道から承知をいたしておりまして、その問題は、イトーヨーカ堂の認可ということについては、多分問題になりようがなかったというふうに存じます。
 それから、イトーヨーカ堂の取引については、それは格別そのこと自体が、北朝鮮との間でお取引があっても、それ自体が何か問題ということには、私、ちょっとならないんじゃないかというように思うわけでございます。ですから、取引が何か非常に不健全であるとか不適正であるといえば、それは別の角度から問題になるでしょうけれども、取引があって、通常の商取引が行われているということについて、格別問題があるというふうには認識いたしておりません。
五十嵐委員 
 取引のすべてが問題があるとかないとかというのは、こちらの側からというより、全体の、今までの取引をむしろお調べになって、問題がなかったかどうかを確認する必要があったのではないかなということなんだろうと思いますね。
 それから、脱税について、明らかにイトーヨーカ堂ないしセブンイレブンの店頭プロモーションを利用して裏金が捻出をされたということでありますので、それはやはり何らかの関係があるということを推定する方が自然でありまして、実際にはいろいろな証言を見ても、これはイトーヨーカ堂のために使われた、あるいはイトーヨーカ堂に七千万円については渡ったということがある意味で判明している事実だと私は思いますので、時間が来ましたのできょうはこれだけにしますけれども、私の方でも引き続き調査をさせていただきたい、またこういう機会にたださせていただきたいと思います。以上です。終わります。

71 - 衆 - 商工委員会 - 38号 昭和48年07月04日
松尾委員 
 少し大臣に聞きますが、このスーパー等に関する大企業、メーカーの資本参加、流通機構、そういう力をもっての資本参加というものが非常に問題になっておりますし、今度は百貨店の内部で系列化の問題がございます。いまの百貨店が七つ、またそのような少ない系列化になされようとしているのでありまして、地方の百貨店というものは、大体中央なりまたはその地域中心の大きな百貨店というものから系列化されてしまっておるわけでありますけれども、だんだん、このようにして
小売部門というものにおけるそういう流通機構が少数のものに系列化されていく、そしてそれが大資本につながっていく。百貨店自体の中でもそのような傾向がいま顕著にあるわけでありますけれども、これはやはりいまから考えておかないと独禁法上の問題にも触れてくるんじゃないか。
そして寡占体系に流通機構がなりますと、やはり消費者利益というものは逆に、初めは消費者の利益になりそうでありますけれども、やはり寡占の問題と同じくなりまして、大事な小売部門というものがそのような傾向にあるということを指摘しておきたい。そしてそのような傾向というものを十分いま洞察して、何か考えていきませんと、これは消費者の保護ということとは逆になっていく、こう思うのでありますけれども、大臣いかがですか。
中曽根国務大臣 
 御指摘のように、大手スーパーと地方スーパーとの業務提携についてはそういう傾向が出てきております。ダイエー―サカエ、イトーヨーカ堂―ベニマル等、それから都市百貨店と地方百貨店が共同仕入れを軸に緊密な連携を有するに至っている例はまたきわめて多うございます。また、百貨店の別会社方式によるスーパー、専門店への進出も少なくございません。しかし、銀行による小売業の系列化は、まだその実例はないと思います。
 商社の小売業者との特別の関係を有するに至ったものとしては、大手チェーンストアにそのような例があると聞いております。
丸紅-緑屋、丸紅-十字屋、住商-サミットストア、三菱-オーケー、それから私鉄の百貨店、スーパー経営はかなり昔から広く行なわれておりますが、電鉄系百貨店二十八社、電鉄系スーパー九社、百貨店系スーパー、専門店等九十六社、全国的スーパー系列地方スーパー九社、商社系列スーパー、百貨店四社、こういう実情がわれわれの調査にのぼっております。
 それで、これらの系列化が進み、資本あるいは重役の派遣とかそういうことになりますと、確かにこれは独禁法上の一つの問題点になりはしないか、そういう疑問も出てまいります。私もこれらの点については中小企業の保護という面から注目しておるところでございますが、御指摘もあり、われわれは検討を進めてまいりたいと思います。

71 - 衆 - 商工委員会 - 41号 昭和48年07月11日
野間委員 
 この間の参考人の質疑の中でも私は引用したのですが、例の日経流通新聞、この編集によりますと「豊かな時代の流通戦略」の中で出ておるわけですね。しかもこれによると、先ほど御指摘申し上げた
百貨店や大型スーパーの系列化、ここに商社がからんでくるわけですね。商社がこの世界に入ってくる。これが一つの大きな特徴だと思うのです。
具体的にこのからみ合いというものをいま申し上げた資料から指摘したいと思いますが、これは神崎委員もたしか本委員会で質疑をしたと思います。
三菱商事、これは昭和四十四年には西友ストアと契約して、そして西友に二百億円融資しておる。西友が仕入れる商品の二〇%を三菱が扱う。それから大手の食品問屋、これは広屋というそうでありますが、ここに資本参加をして、問屋を通じてスーパーを支配している。さらに伊勢丹との折半出資で丹菱開発をつくりまして、大規模ショッピングセンターの開発、運営、こういうものに当たっている。この三菱の系列はこういうふうになっているわけですね。
それから三井物産が昭和三十年代にスーパー対策委員会、これをつくりました。四十年には一〇〇%出資で第一スーパーをつくっておる。それから問屋の系列化としては物産食品販売、エフワン、こういうものを系列化している。エフワンは、これは繊維ですね。それから名鉄百貨店、これとラファイエットの提携をあっせんして、物産はラファイエット社からの繊維製品の輸入を担当するということでここに入っておる。
それから丸紅、これはダイエースーパー向け専門の配送会社エンゼル、これをつくっておる。これ以後丸紅繊維流通センター、これをつくっておるわけですね。そしてスーパーへの商品供給、これをやっておる。また緑屋、これにも資本参加をしている。
それから伊藤忠商事、これはマイマートというスーパーを直営しておる。それから伊藤忠繊維流通センター、こういうものもつくりまして、これは西友ストアなどへ商品供給をしている。それからレナウンニシキ、繊維問屋、これを系列化している。それから合弁会社マグニン・ジャパン、これをつくりまして、ダイエーあるいは伊藤忠それからマグニン、これらが合弁会社をつくっておる。
それから住友商事、これがサミットストアですか、これは一〇〇%出資。
日商岩井が高島屋グループと提携している。
こういうふうに商社は、百貨店あるいはとりわけスーパー、この業界にたとえば資本参加、それから問屋の系列化、配送センター、流通センター、これによる供給面からスーパーを系列化している、それから百貨店と提携して直接進出する。こういうようなことが非常に顕著であるわけですが、このほかにもスーパーへの融資、それから店舗設備のリース、これらの形で大商社のスーパーの系列化、こういうものが進められておるということがこの引用しました資料の中に書いてありますが、こういう事実を通産省は把握しておるのかどうか。これはいま指摘申し上げた日経流通新聞の中に記載があるわけですが、どうですか。
橋本政府委員 
 ただいま御指摘のような方向にあるということは当方でも承知いたしております。具体的に一体総合商社が関係のスーパー等にどの程度納入しているか、二、三の例につきまして申し上げますと、A社の場合には年間の仕入れ総額が八百四十億程度ございまして、それに対する総合商社からの直接取引は十五億五千万、一・八五%、二%弱という数字が出ております。それからB社のケースにつきましては、四十七年度の仕入れ総額が二千五百八十億、これに対しまして総合商社からの仕入れ総額が七十七億、比率にいたしまして三%程度になっておりますが、商社の直接納入の大きいものでもせいぜい数%程度ではなかろうかと思います。それから先生の御指摘のあった商社の息のかかった問屋との関係でも、高いものでせいぜい一割前後ではなかろうか。さように見ておりまして、系列化の方向はだんだん出てまいってはおりますが、流通部会の答申にもございますように、将来の方向として一応提言と申しますか、示唆しておるわけでございますので、現状では、系列化の方向は出てきつつはございますが、まだその行為が目に余るほど大きく、たとえば先ほど申し上げたような納入比率が過大になっておるというところまではいっておらないというのが現状認識でございます。
野間委員 
 これは別の資料ですが、ことしの一月五日の日経流通新聞に、特集、塗りかわる流通地図、こういう報道がなされております。これは都市銀行の流通融資系列、それから主要商社の流通業との関係ということで、多少これについても指摘を申し上げざるを得ないと思うのですが、
三菱が西友、ジャスコ、ニチイ、長崎屋、オーケー、伊勢丹、これは株式の保有、それから融資、リース、商品供給、人材派遣、こういう形でかかわっておるということ、
それから三井物産がダイエー、西友、ニチイ、長崎屋、イトーヨーカ堂、いづみや、東光ストア。
丸紅がダイエー、ジャスコ、長崎屋、イトーヨーカ堂、いづみや、東光ストア、緑屋十字屋。
伊藤忠がダイエー、西友、ニチイ、長崎屋、イトーヨーカ堂、それからいづみや、東光、サニー。
日商岩井がダイエー、いづみや、東光。
兼松江商がニチイ、長崎屋。
住商がニチイ、いづみや、サミットストア。
トーメンがダイエー長崎屋。
蝶理がダイエー、ジャスコ、イトーヨーカ堂。
日綿実業がダイエー、長崎屋。
このようにこの新聞は指摘しておりますが、このそれぞれのかかわり合いが、先ほど指摘申し上げたように株式の保有やあるいは商品供給、それから融資、リース、人材派遣、こういう形で一つの表が出ておりますが、これによると、ほとんどの総合商社がそれぞれスーパーと非常に深いかかわり合いを持っておる。私たちは、最初、大手の百貨店あるいはスーパー、これらが中小のスーパーあるいは百貨店を系列下におさめてそしてシェアを握る、こういう方向で動いておるというふうに考えておったのです。ところが、いろいろ調べてみますと、それだけではなしに、その背後にはやはり商社がある。商社が、何のことはない、このようなスーパーに対する系列化支配、こういうものをいま盛んに強めておるということが先ほどの資料、それからいまの日経流通新聞、これから明らかにうかがわれると思うのです。先ほども申し上げたのですが、この間のときですが、いわゆる買い占めで悪名高い商社が、このような世界に、しかもこぞって大量に計画的に進出をしつつある、こういう実態を通産大臣はどのようにお考えになっておるのか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
中曽根国務大臣 
 現在は流通革命の時代といわれますように、非常に大きく商業界、小売業界の激動しておる時代であります。お客さまの嗜好も非常に変わりますと同時に、また一面においては国際化もしております。品物について、国境を越えていいものを欲するという、そういう時代にも変わっておりますし、そういうお客さま側の変化にこたえていろいろな商法を生み出して、大資本、中資本、小資本あるいは流通界外のものが、たとえば商社のようなものが納品しようと思って非常に鮮烈な競争を展開しておるという時代になっております。
 そこで、これらの大きな戦国時代みたいな乱戦状態をこの法案によって一応整理をいたしまして、そしてその後どういう変化が流通革命の上に起きてくるかよく検討しながら私たちは対応していこうと思うのです。もちろんたとえば都会の大きな百貨店が地方の小中百貨店の系列化を行ない、あるいはスーパーや小売店舗に至るまでの系列化を行なっていくという事実も私らは非常に関心を持って見ておりますし、資本系列においても、あるいは商品系列においても、あるいは輸送、配達系列においてもさまざまなアイデアがいま出て、商品コストを安くしようとしておることも見のがしておりませんが、一貫して言えることは、中小企業を保護するということ、それから消費者の利便を考えるということ、それから大資本とか巨大な土のが横暴なことをすることは許さないということこれは商社の問題についても御答弁申し上げたとおりでありまして、流通界についてこの戦国時代の様相をもう少しよく見詰めまして、必要あらば第二段、第三段の処置もしなければならぬ、そう思っております。

最終更新:2013年08月18日 15:52