演劇部部室
A「ちゃーっす。」
B「こんにちはー」
C「お、こんにちは。」
B「部長一人ですか?」
C「うん。」
A「○○先輩は?」
C「職員室。さっき放送で呼ばれてたでしょ?」
A「ああ、そういえば。」
B「じゃ、私たちはいつも通り、発声練習とかやっときましょうよ。」
C「そうだね。」
副部長(D)が部室に飛び込んでくる。
D「大変だよみんな!」
A・B・C「「な、なんだってー!」」
D「まだ何も言ってないよ!」
A・B・C「「あぁ、すんません」」
C「で、何が大変なんだ?」
D「ああ、そう!それだよ!地区大会!!」
B「地区大会?大会が凄いって・・・去年の優勝校でも参加するんですか?」
A「まぁ俺らは専ら勉強会だけどねー。」
B・C「「ですよねー。」」
D「ちーがーうーよっ、出られるの!!」
静まりかえる。
A「・・・ぱーどぅん?」
D「ぱーどぅんって・・・だから、出場できるの!顧問と、今までは活動不十分とか言ってた校長先生が私達の頑張りを認めてくれたんだよ!!」
A「マジっすか!!」
B「凄い!凄いよ!!入部2年目にしてやっと・・・!」
C「僕達に至っては3年目か・・・!まさに石の上にもなんとかってやつだな。・・・で、さっき君が呼ばれた理由はソレか。」
D「そうだけど・・・何か問題でも?」
C「ありまくりだよ。どうしてそんな大事な知らせが部長の僕ではなく君に伝えられたんだ?その事について僕は顧問を小一時間問いつめたい気分だよ。」
A・D「「そりゃあ、ねえ。」」
C「何?」
A「部長、確かに尊敬はしてるんすけど・・・」
D「どこか、抜けてるからね。」
C「なっ・・・どういう事、それ。」
B「部長。・・・そういう事です。」
C「いや、訳が・・・」
D「そんなことはどうでもいいの!まず、私たちが考えるべき事は舞台のこと。」
A「あと、衣装ですねー。」
B「予算も、考えなきゃいけませんね。」
C「まあ待ちなさい。勿論衣装も予算も必要不可欠だが、台本がなきゃ話にならない。」
A・B「「あ。」」
D「脚本志望で入部してた○○さんにも、一応連絡は入れといたけど・・・」
C「あの子は部活自体にもなかなか来てくれないからね・・・。」
全員『望み薄。』
D「ま、まあ、大会まであと4ヶ月もあるし・・・きっと大丈夫だよ。」
A「だといいんすけどね。」
ー最終下校の音楽ー
B「じゃあ私、友達待ってるかもなんで失礼します。」
C「うん、お疲れさん。」
D「あ、私今日塾だから先帰るね。鍵よろしく!」
C「はいはい、了解。」
静かになる部室、AがCに近づく。
A「部長。」
C「ん?」
A「嬉しくないんですか?大会に出られること。」
C「・・・どうしたの、急に。勿論嬉しいさ。」
A「ならいいんですけど。」
帰ろうとするA
C「・・・そりゃあね、」
A「?」
C「僕だって部長だからさ、別に、顧問に伝言頼まれた副部長に嫉妬してる訳じゃない。ただ・・・」
A「・・・ただ?」
C「僕って、そんなに頼りないんだね。」
また静かになる部室
A「この、ばかやろー。(棒読み)」
部長を殴るふり
C「ぐはっ!!」
A「何をそんなにうじうじしてんだよ。お前は自分のいいところに気付いてないだけだろう。(棒読み)」
C「○○!悪かったな・・・俺はお前の気も知らずに、勝手に卑屈になって・・・!・・・カット。」
A「なんすか。」
C「いくら即興にしても今のは酷いよ。君の台詞ずっと棒読みだもの。もっと感情込めなきゃ。」
A「えー、そう言われましてもー。(棒読み)」
C「・・・わざとやってるのか?」
A「はい。」
C「即答しなさんな。」
軽くAの頭を叩くC
A「てっ!」
C「幾ら僕が頼りないからってね、演技のことに関しては煩いよ?」
A「知ってますよ。・・・部長のこと、俺は頼りにしてます。」
C「え。」
A「今の即興だって、全力で相手してくれたじゃないですか。」
C「そりゃあ、まあ・・・でも、ホントにアレはない。そんなに演技苦手だったっけ?君。」
A「この、馬鹿野郎!」
全力で部長を殴る演技
A「何をそんなにうじうじしてんだよ!アンタは自分のいいところに気付いてないだけだろ!」
C「・・・え?」
A「出来ますよこれぐらい。(荷物持って部室のドアの前)俺が棒読みでも、本気で演技返してくれる部長を俺は尊敬してます。じゃ。」
C「あ、ちょっと!!」
扉閉まる
C「尊敬、か・・・。」
最終更新:2010年11月25日 19:39