アイドルマスターSP
(ミッシングムーン)part50-335~337,339,341,345~348
- 335 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
01:21:38 ID:1pm3OoI00
- アイドルマスターSP ミッシングムーン
三浦あずさ(20)の場合。
俺は765プロに所属する駆け出しプロデューサー。
今日からあずささんをプロデュースすることになった。
「ふつつか者ですけれど、よろしくお願いしますね」
というわけで、あずささんとのミーティングと初レッスンを終えて1週目の活動は終了した。
アイドルとしてデビューするには、まずオーディションに勝って、TV出演を果たさなければいけない。
それまでは、アイドルランキング外という扱いになり、ファンも付かない。
あずささんの初めてのファンとして、俺からステージ用のアクセサリーをプレゼントした。
夜になり、道がわからないというあずささんを送っていくことになって、事務所を出てしばらく歩いていると、
俺は忘れ物をしていることに気が付いた。
あずささん、事務所に忘れ物を取って来るんで、待っててもらえますか?
快くうなずいてくれたあずささんをその場に残して、急いで事務所に戻ると、
誰もいないはずなのに人の気配がする。誰だっ?
「おにぎりで出来たお城だ~。ミキ姫は王子様と幸せに暮らしましたとさ、なの~」
女の子がソファで眠っていて、寝言を言っていた。
起こした方がいいと思った俺は、女の子に近づこうとした。
そのとき、足元に落ちていた何かを蹴飛ばしてしまった。拾い上げるとそれは、おにぎり型のマスコット?
物音に気付いたのか、女の子は目を覚まして俺を見た。
「あ、それ、ミキのおまじない用マスコットなの。もしかして、拾ってくれたの?」
俺はマスコットを女の子に渡した。
「ミキは星井美希なの。はじめまして、ミキの王子様☆」
え?王子様、って・・・。
「あのね、ミキ、彼氏ほしいなーって思って、雑誌に載ってたおまじないしてたの。
おにぎりのマスコットを道路に置いておくと、それを一番先に見つけてくれた人が、
ミキだけのステキな王子様になってくれるっていう、おまじないなの」
俺は王子様じゃなくて、プロデューサーだよ。
だいたい、そんなおまじないで彼氏を決めるなんて、よくないよ。・・・って、聞いてるか?
「うん、聞いてるの。すっごくいい声・・・。こういうの初めてだけど、ミキ、ホントに好きなのかも」
ダメだ、全然聞いてない。話を変えよう。キミは、アイドル候補生なの?
「うん、まぁ、そんなとこ。高木社長がいろいろうるさくて、まだデビューさせてもらえないんだけど・・・。
ヒマだから、寝てたの」
他にすることないのか?自主トレとか。
「ミキ、トレーニングしなくても、歌もダンスもそこそこ出来ちゃうの。
だから、ミキのプロデュース、すっごく楽だと思うよ。ねぇねぇ、やってみない?」
ダメだよ。俺には、あずささんという担当アイドルがいるし。
「むー、残念なの。ミキ、大好きな人のためになら、すっごく頑張るのに。今度、社長に頼んでみちゃおっと」
彼女は言いたいことだけ言って、帰ってしまった。
結構時間がかかってしまったが、あずささんは嫌な顔もせずに待っていてくれた。
俺はあずささんに、星井美希に会ったことを話した。
「美希ちゃんはまだ正式なアイドル候補生じゃないのですけれど、
歌もダンスも新人離れしているって、評判なんですよ」
ふーん。そんな子が765プロにいたのか。
- 336 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
01:24:17 ID:1pm3OoI00
- 2週目の活動。
事務所に行くと、社長室から大きな声が聞こえてきた。
「ミキだってやれば出来るもん!高木社長のバカっ!」
突然社長室のドアが開いて、美希が飛び出してきた。美希はそのまま事務所の外へ飛び出してしまった。
高木社長に事情を聞く。美希は、俺のプロデュース担当を変えるようにと頼んだが、
社長が断ったので、怒って出て行ってしまったらしい。
しばらくして、あずささんが事務所に来た。
「おはようございます、プロデューサーさん」
今日はステージ衣装を決めてから、作曲家さんに挨拶しに行って、デビュー曲のレコーディング。
2人目のファンである作曲家さんからあずささんに、銀のペンダントが贈られた。
そして3週目。今日はいよいよデビューするためのオーディションだ。
なんとかオーディションを突破したあずささんはTV出演を果たし、晴れてランクFアイドルとなった。
事務所に戻って、高木社長にオーディションの結果を報告する。
「無事デビューすることが出来たな。おめでとう。
キミたちは、これから『アイドルアルティメイト(IU)』を目指してもらう」
IUとは、年一度開催されるアイドルの祭典で、優勝すれば誰もが認めるトップアイドルになれる。
本戦に出場するだけでも大変なもので、5回に渡る予選を突破しなければならない。
だが、困難が多ければそれだけ、勝ち取った喜びも大きいだろう。
俺はあずささんと、IUで優勝することを誓い合った。
いきなり表情を変えて、社長が言う。
「それはそうと、キミたちに謝罪しなければならない事がある。これを見てくれたまえ」
♪カッコ悪いわよ
アタシを墜(お)とすのバレてるの
カッコつけたところで
次に出るセリフ 計画(プラン)Bね
それは美希のTV出演の模様を収めたビデオだった。
美希はうちのライバル事務所である961プロに引き抜かれ、デビューしたのだという。
高木社長が言うには、961プロはあまり評判が良くない事務所らしい。
強引なやり方で、潰されたアイドルがたくさんいたとか。美希、大丈夫かな・・・。
でも、どうしてこんなことに?社長が俺の担当を変えるのを断ったから?
「もしかして、あのときのアレが原因なのかな・・・」
社長は暗い顔をしている。って、あのときのアレって何だ?
「大丈夫ですよ。美希ちゃん、きっと帰ってくるって、信じてます」
あずささんは、つとめて明るく、そう言った。
- 337 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
01:26:39 ID:1pm3OoI00
- それから何週間か後。俺とあずささんはIU1次予選に出場した。
予選と言ってもTV出演があるし、普段のオーディションとまぁ、似たようなものだ。
唯一違うのは、失敗したらそれで終わりの一発勝負って所。
控え室で俺たちは、美希に会った。
「プロデューサー、久しぶりなの」
美希は既に、ぶっちぎりのトップで1次予選を通過してしまったのだという。
「すごいでしょ。プロデューサー、ミキのこと、好きになってもいいよ☆」
どうしてそういう話になるんだ!
「美希ちゃん!事務所のみなさんは、美希ちゃんのこと、心配しているのよ。ねぇ、プロデューサーさん」
言いながら、あずささんは俺を見た。
「ミキの前でラブラブしないでよ!見つめ合っちゃってさ」
別に俺にはそんなつもりは・・・。
「ミキ、今日は帰る。さよならなの」
美希は怒った様子で行ってしまった。
「私が美希ちゃんを怒らせてしまったのでしょうか・・・」
気にすることないですよ、あずささん。
結局、今日は美希と大した話も出来なかった。
でも、美希がIUを目指していることがわかった。
予選に出場し続ければ、また美希に会って話をするチャンスが出来るかもしれないな。
そして2次予選。
「今回も合格することができました。プロデューサーさんのおかげです~」
TV出演を終えたあずささんと控え室で話している所へ、美希が通りかかった。
「あ、プロデューサーにあずさ・・・」
「美希ちゃんは、765プロに戻ってきてくれるの?」
まぁそれよりも、気になるのは移籍の理由、だな。
「ミキ、やりたいことがあったから、961プロに移ったんだもん。簡単には戻れないよ」
「美希ちゃん、下賎な者とは話すなと言ってあるだろう?」
誰だ?やけに派手なオッサンが現れた。
「黒井社長・・・。あずさとプロデューサーは、友達だもん」
この人が961プロの黒井社長か。
「ノン!トップアイドルになるものが、唯一友と呼べるのは、孤独だけだ」
黒井社長は、美希を連れて行ってしまった。
「いくらなんでも、厳しすぎますよね。友達と話すのもダメなんて」
あずささんは眉をひそめた。
きっと美希は、黒井社長にだまされているんです。
だから、美希に勝って、黒井社長のやり方が間違っていることを証明してやりましょう!
「はい。私、美希ちゃんのためにも、頑張ります」
- 339 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
01:33:05 ID:1pm3OoI00
- 3次予選の日。今日も美希は現れた。
今日は黒井社長がいないので、ゆっくり話せるとのことだ。
例によって美希は既に予選を通過していて、今は他の仕事の途中で寄ったのだという。
そういえば、美希にはプロデューサーっていないのか?
「うん。送り迎えの人はいるんだけど、お仕事はいつもひとり。それが、961プロの方針なの」
そうなのか・・・。ところで、前にも聞いたけど、移籍の理由、ちゃんと聞かせてくれ。
「ミキ、早くデビューしたかったの。ミキのいいところ、いっぱい見てほしくて。
そしたらゼッタイ好きになってくれるって思ったから・・・」
えっ、誰が?
「でも、高木社長がミキのこと、ジャマしてくるんだもん。
ミキはまだデビューできる状態じゃない、心構えができてない、とか言っちゃって」
それについては、俺も高木社長と同意見だな。
「それに高木社長、あんなひどいことするし、しばらくは戻る気ないってカンジ」
高木社長は美希に何をしたんだ?
「とにかく、ミキはプロデューサーにラブアタックするために移籍したの!
あずさには負けないからね」
お、俺?美希は、あずささんを睨むと、去っていった。
「お、驚きました。美希ちゃんが、プロデューサーさんのことを・・・。
美希ちゃんが、戻りたくないって気持ち、わかります」
あずささんはうつむいてしまった。美希の話、相当ショックだったのかな。
4次予選。だんだん合格するのが難しくなってきたが、あずささんは合格した。
「あずさ、合格したんだ。やっぱ、ミキのこと、ジャマする気なんだね」
美希がやってきた。
「美希ちゃん、私は決してそんなつもりは・・・」
「じゃあ、ミキとプロデューサーのこと、応援してくれるの?」
「それは・・・プロデューサーとのコンビは、解消できないわ」
そうだ。あずささんがどんなに俺のことキライでも、それは無理だ。
「もういい!プロデューサーはあずさが大事で、ミキのことはどうでもいいんでしょ!」
美希は今にも泣きそうな顔をしている。
「美希ちゃん、そんなことないわ。プロデューサーさんは・・・」
「プロデューサーをひとりじめしているあずさの言うことなんて、聞きたくないの。
あずさなんて、大ッ嫌い!」
美希はそう言い残して、走り去った。
「あの優しい美希ちゃんが、あんなに声を荒げるなんて・・・。
美希ちゃん、追いつめられているんでしょうか。
ずっと黒井社長の下で働いていて、そばで支えてくれる人もいない。
なのに、目の前にはいつも、プロデューサーさんと一緒にいる私がいて・・・。
そんな状況、もし私だったらすごく辛いと思います。
プロデューサーさん、もし美希ちゃんのことプロデュースしたいのでしたら、私は・・・」
あずささん・・・。今の俺は、あずささん以外をプロデュースする気はありません。
だから、あずささんは余計なことを気にしないで、アイドル活動に専念してください。いいですね。
「は、はい!」
- 341 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
01:35:32 ID:1pm3OoI00
- そして、最終予選。
「あずさとプロデューサー・・・フンっだ!」
美希は俺たちの顔を見るなり、逃げるように去っていってしまった。
「あ、美希ちゃん、私の話を・・・」
それから俺は、あずささんにいろいろ話しかけてみたが、あずささんは上の空だ。
「すみません、お話、聞いていませんでした」
悩みごとがあるなら、俺に相談してください。
「やっぱり、プロデューサーさんには隠せませんね。
そろそろ私も自立しなければいけないかな、と思うんです。美希ちゃんのように」
あずささん、何を言ってるんですか?
「私はもう、ひとりで大丈夫です。私は大人ですから。強い大人の、女性ですから・・・。
だから、プロデューサーさんは、美希ちゃんのところに行ってあげてください」
それって、あずささんのプロデュースをやめろってことですか?
前にも言ったでしょう?今の俺は、あずささん以外、プロデュースする気はないって。
「・・・プロデューサーさんは私にはもったいないくらいの人です。
だからこそ、いつまでも甘えるわけには行かない、そう思ったんです」
あずささん、俺がイヤになったんですか?
「その、逆です。美希ちゃんに色々言われて、初めてはっきり自分の気持ちに気付いたんです。
たぶん、私が、美希ちゃんと同じ人を・・・。
私、美希ちゃんには、プロデューサーさんが必要だと思うんです。私より、もっと」
だから、俺に、美希の方に行けと?
「きっと私がいてはダメなんです。私は立場を利用して、プロデューサーさんの隣にいる。
それを美希ちゃんがズルいと思うのは仕方のないいことです。立場が逆なら私だって・・・。
とにかく、美希ちゃんには、プロデューサーさんが必要なんです。
これからは、美希ちゃんと一緒にいてあげてください」
あずささんは、自分が身を引くことで美希を連れ戻そうとしているんだ。でもそんなの間違ってる!
さっき、自分は大人だから大丈夫だっていいましたよね?
そんなのとんだ思い違いです。あずささん、あなたは頼りないです。
すぐ道に迷うし、、ボーっとしてるし、運動神経もいまいちだ。
「そんなにはっきりといわれると・・・自信なくなっちゃいます」
だから、あすささん。俺があなたを守ります。
「プロデューサーさん、そんな風に考えていてくださったなんて・・・」
それに、いまここで引くのは、美希にとってもよくありません。
ワガママを言えば、それが通る。そんな考え方をさせてしまっては、美希の今後はお先真っ暗です。
今だってアイドルとしての自覚に欠けているのに。
「あ、そうですね・・・」
あずささんは、やさしすぎます。美希くらいワガママ言ってもいいと思いますよ。
「私のワガママ・・・。あの、私、どこまでいけるかはわかりませんけれど、
IUの優勝を目指したいです。プロデューサーさん一緒に」
良かった。これからも、俺たち、一緒ですね。
- 345 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
10:22:02 ID:1pm3OoI00
- いよいよIUの本戦だ。優勝するためには、準々決勝、準決勝、決勝と、3週連続で勝ち抜かなくてはならない。
「ついに、ここまで来れたんですね。でも、まだ信じられません。
本戦に勝ち残れなかった多くの子たちのためにも、頑張らなきゃいけませんね。
そして、プロデューサーさんのためにも」
「ちょっと待った、なの!」
だしぬけに美希がやってきた。
「あずさばっかりプロデューサーにプロデュースしてもらって、ズルイの!
ミキだってプロデューサーと一緒にお仕事がしたいのに!
でね、ミキ、考えたの。もしミキがIUであずさに勝ったら、
プロデューサー、961プロに来て、ミキをプロデュースしてほしい」
俺の意思は?俺はOKしてないぞ、そんなこと!
「でも、もう決まったことなの。ミキ、プロデューサーのためにも優勝してみせるの。
だから、約束だよ。じゃあね!」
あっ、ちょっと、待てよ、美希!
「私、出来ることなら、プロデューサーさんのそばを離れたくないです。ずっと。
ここで負けてしまっては、プロデューサーさんが・・・。
私、頑張ります。見ていてください」
一方的に約束させられてしまったが、それがあずささんのやる気を引き出したようだ。
そして、準決勝。
「ねぇ、約束、覚えてる?」
「ええ。たとえ美希ちゃんでも、プロデューサーさんは渡さない」
あずささんは美希を睨んだ。
「ところで、私が優勝したら美希ちゃんはどうするの?」
「えっ?」
「こういうのはどうかしら?もし私が勝ったら、美希ちゃんが765プロに戻ってくるの」
「でも、黒井社長が・・・」
「フフ、なかなか面白そうな話をしているじゃないか」
ウワサをすれば影。黒井社長が現れた。
「いいだろう。その条件で戦おうじゃないか」
「では、これで決まりですね。いいわね、美希ちゃん。約束よ」
「わ、わかったの。今日のあずさ、なんだか怖い・・・」
美希は黒井社長と一緒に去っていった。
「ふー。頑張って演技しちゃいました」
あずささん?今の演技だったんですか?
「はい。美希ちゃんに、765プロに戻ってきてほしかったから。
でも、これで負けたら、どうしましょう」
あはは。すっかりいつものあずささんですね。大丈夫です。俺が、ついてます。
二人で美希を取り戻しましょう!
- 346 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
10:23:24 ID:1pm3OoI00
- ついに、決勝の日がやってきた。
「今日で全てが決まるかと思うと、怖いです」
あずささんは不安そうだ。
「プロデューサーさん、足のふるえ、止めてくれませんか?」
そうだな・・・。じゃあ、抱きしめてもいいですか?
「は、はい。お願いします」
俺は、あずささんを抱きしめた。
「はぁ、落ち着いてきました。プロデューサーさん、暖かい・・・」
俺が身を離すと、あずささんは顔を赤くしていた。
「ステキなおまじない、してもらいましたし、今日は、絶対勝ちます」
しばらくすると、美希がやってきた。
「あのね、あずさはいつでもミキの気持ち、わかってくれたよね。
あずさは美希のために勝負を挑んでくれたんだよね?」
美希・・・いつの間にそんなに成長していたのか。
「それに、ミキが765プロに戻ったら、あずさ、プロデューサーを譲る気でしょ?
ミキは、ほしいものは自分で手に入れるの。だから、正々堂々と勝負なの」
「ええ、わかったわ。手加減なしよ」
決勝で、あずささんは「隣に…」を歌った。
この歌は、あずささんのイメージに合わせて、作詞家・作曲家の先生に頼んで作ってもらった曲だ。
♪見えなくても 声が聞こえなくても
抱きしめられたぬくもりを今も覚えている
この坂道をのぼる度に あなたがすぐそばにいるように感じてしまう
私の隣にいて 触れて欲しい
そして、あずささんは優勝した。
「私みたいな平凡な人間を、こんな高いところまで・・・。
プロデューサーさんは、とてもすごい方ですね」
俺の力なんて、たいしたことありません。あずささんの努力が優勝への道を開いたんです。
「そんな・・・。でも、そういう謙虚なところも、プロデューサーさんのステキなところですね」
- 347 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
10:24:48 ID:1pm3OoI00
- 「ミキ負けちゃったの。頑張ったのになー。
でも、優勝したのがあずさでうれしいの。ミキがダメなら、あずさに勝手ほしかったから。
おめでとう、あずさ」
黒井社長が怒りながらやってきた。
「なんということだ。765プロの者が優勝するなど・・・。こんな結末、私は認めん!
そ、それで美希ちゃん、本当に765プロに戻るつもりじゃあるまいね?
キミなら、きっと来年、優勝出来るよ」
「ムリなの!ミキ、もう頑張れない!」
「くっ、もういい!お前はクビだ」
俺は黒井社長を呼び止めた。
黒井社長、あなたは勘違いしているのではありませんか?
美希が勝てなかったのは、あなたのせいです。
アイドルが結果を出せるように、環境を整えるのがプロデューサーであり、社長です。
それを放棄して、結果のみを追求し、美希の力をそいでしまったのは、あなただ。
「若造が知ったような口を・・・。不愉快だ。私は帰らせてもらうよ」
黒井社長は行ってしまった。
「さて、私は先にタクシーで事務所に戻ります」
あずささんは、先に帰るという。俺は、美希とふたりきりで話をする。
「765プロに戻ろうかな。そのかわり、プロデューサーは、ミキの彼氏になってほしいの」
・・・ごめん。
「わかってた。ミキだって、あずさとプロデューサーがお似合いだってことくらい、
よくわかってたんだよ。でも、ミキだって、本気だったんだから!
それじゃ、ミキ、行くの。あずさみたいな大人の女になったら、きっと765プロに戻ってくるの。
じゃあね、プロデューサー!あずさによろしく」
俺は事務所に戻った。結局、美希を連れ戻すことは出来なかったな。
「そうですか。美希ちゃん、新しい夢への一歩を踏み出したんですね。
前にお話したかも知れませんが、私の夢は・・・」
運命の人を見つけること、でしたっけ。それで、あずささん、見つけたんですか?
「それが、見つけたような、見つけてないような。相手が気付いてないような・・・。
ということは、相手が私のことキライなのかも・・・」
あずささん、話を聞いてください!あずささんは一人で盛り上がっている。・・・仕方ない。
好きだよ!
「えっ、プロデューサーさん、今、なんて?」
好きだよ、あずさ。俺を、あなたの運命の人にしてくれないかな?
「あ・・・。私の答えは、もちろん、はい、です!
ずっと同じ夢を二人で見てきました。出来ることなら、この後も、
生涯かけて、同じ夢を追っていきたいです。プロデューサーさん、愛して・・・います・・・」
こうして、仕事のパートナーだったあずささんは、俺の生涯のパートナーとなった。
- 348 :アイドルマスターSP:2010/04/11(日)
10:26:25 ID:1pm3OoI00
- 数日後。
あずささんはアイドルを引退すると言っているので、
俺も次にプロデュースするアイドルのことを考えないとな。
朝、事務所に行くと・・・あれ?あずささん、今日、休みじゃなかったんですか?
「お弁当を作ったので、届けようと思いまして」
そんなことか。しばらく後、高木社長が出てきて朝礼が始まった。
「えへ☆帰ってきちゃったの」
ええっ、美希?
「大人になるまで待てなかったってカンジ。ミキはね、プロデューサーとあずさをジャマしに来たの。
ミキのいない間に、あずさとプロデューサーがラブラブしてるって聞いて、くやしくて、くやしくて・・・。
ねぇ、あずさは引退するんでしょ?だったら、その後、ミキのプロデュースして!」
「美希君、キミはまだ正式なアイドル候補生ではない。まだデビューは・・・」
高木社長が美希を止めようとする。
「社長は黙っててなの!社長がミキのおにぎり、勝手に食べたから・・・」
「うっ、それは、謝る。すまなかった」
社長が美希のおにぎりを食べたのが、美希の移籍の原因らしい。なんだ、そりゃ?
「私、引退するのやめます!」
「あずさは引退するの!もー!あずさはあっちへ行ってなの!」
「い、いやよ。プロデューサーさんの隣りは私の特等席なのよ」
「じゃあ、ミキ、こっちの隣りでいいや。ねーねー、プロデューサー!」
だ、誰か、助けてくれぇ~!!
おしまい。
最終更新:2011年05月08日 12:04