ガラージュ
part73-547~550
- 547ゲーム好き名無しさんsage▼2022/07/26(火) 14:46:24.61ID:acvS/dFc0[1回目]
- 未解決にある『ガラージュ』いきます
精神治療装置にかけられた被験者の精神世界が舞台となっておりプレイヤー含めた登場人物は殆どが人ではなく機械という奇怪ゲーです
いくつか固有の語句を解説
【汚水】……ガラージュ世界の生物である蟹蛙を食した雌機械のみが排泄する水で、蟹蛙の養分となる他に紙の原料もこの汚水から生えてくる。
つまり現実における大地や海に相当しガラージュ世界もこの上にあるが、近年はこの汚水が急激に減少している。
【白瓦斯】…ガラージュ世界の機械に必須の燃料で雌機械だけが自ら作ることができ、蟹蛙を食べた後に雄機械の攪拌を受けて生み出す。
【順応度】…これもガラージュ世界の機械に必須の養分だが人間で例える所の精神力に近く、その高さは機械そのものの力を表す。
【夢日記】…その機械の深層心理のようなものが譫言で書かれた文書だが、そもそも自分の意志で書くのではなく『気付いたら書いている』らしい。
…これが“ガラージュ”です。
そこに座ってください……はい。それで結構です。
最初に強い眩暈を感じるかもしれませんが我慢して下さい。
えぇ、お名前は……ヤンさんでしたね。
ではヤンさん、用意はよろしいですか?
何か不安でも?大丈夫ですよ、“ガラージュ”を信じてください。
きっとあなたの望むものが得られます。
……ウン…ドウグツ……
……ボクノ……
……ウンドウグツ……
(視界が何度も赤く光る)
気が付くと、ある部屋で目を覚ました。
『この部屋で目覚めた者へ
君は汚水の中を漂っていた。たまたま私が出発しようとした時に君が私の家の前に流れ着いたのだ。
出来ることなら、このいかがわしい世界から脱出しなさい。この世界は正しい世界ではない。
君のカゲを探し出すことだ。全てはそこから始まるだろう。 シェン』
主人公は部屋の主であるシェンという機械に助けられたらしく、走り書きによると“カゲ”を探すにはプシケなる者に頼むといいらしい。
またシェンは己もまた“カゲ”を探すなど色々とやることがあるらしく、帰ってこないので部屋は勝手に使うことにした。
- 548ガラージュsage▼2022/07/26(火) 14:47:38.34ID:acvS/dFc0[2回目]
- プシケ(第一節)
「プシケはカゲなんだ。カゲというのはね、分身みたいなものさ。誰もが持っているはずだった、あの分身だよ。あんたにはまだいるかも
しれないね。でもね、カゲはいずれ気化してしまうんだ。消えてしまうのさ。そうなったら二度と戻ることはできない………」
「プシケ?知ってるよ。あの人は変わっているよ。ワシらのようにゴチャゴチャしていないんだ。こうフニャフニャしている。
プシケはね、ヤンと仲がいいんだ。ヤンは白瓦斯屋の主だ。白瓦斯屋弐号店のリーだったら、もっと何か知っているかもしれないよ。」
ヤンとは自分のことではないのか?と(少なくともプレイヤーは)思ったが、誰もそのことを指摘はしなかった。
「プシケ?あんたプシケに会いたいのかい?プシケは立入禁止区域の中にある燈台にいるんだ。『実験工房』を通らないと行けないんだ」
実験工房(第二節)
「工場の隣が実験工房だよ。でも入ることは出来ないよ。なんでも特別な鍵が掛かっているらしい」
「実験工房?ワシらは送られてくる品物を売っているだけだよ。コッペルさんという機械がいるらしいがね」
「実験工房の扉はコッペルのお気に入りのある曲で開くらしい。その曲の楽譜とオルゴールが必要になる」
楽譜(第三節)
「活版所ってものがあったんだ。そこでいろんなものを印刷していたんだ。楽譜なんかも作っていたよ」
「楽譜?工場の奴らにでも聞いてみたら?奴等、昔はいつも歌いながら仕事してたよ」
「残念だけど僕らは楽譜なんて一つも持っていない。活版所のオヤジを訪ねてみるといい」
「あなたは新世界というものをご存知でしょうか?あれができるまでは、楽譜や日記を作ることが私の仕事でした。
しかしそれ以降私の仕事の中心は新世界のポスターやチラシを作ることになっていきました。私は仕方なく日記や楽譜の紙を使って、
ポスターを作ることにしました。そのとき作ったポスターの中にあなたの探している楽譜があるかどうかはわかりませんが」
「羊の歌の楽譜に刷られたポスター?持ってないよ、僕が欲しいくらいだ。ポスターは掲示板に貼られている事が多いんだけど、
中には壁の裏に隠されてしまったものもあるって話だ。工務店の宮なら知っているはずなんだけど奴は喋ることが出来ないんだ」
隠された掲示板(第四節)
「隠された掲示板?一体何が知りたいの?……実験工房?…………プシケ?……ひょっとしてカゲを探しているの?これをあげるよ」
古い設計図をもとに埋められた掲示板を探し出して羊の歌の楽譜を手に入れこれを鳴らすと、実験工房の扉が開いた。
そして実験工房を抜けた所にあった燈台では、白瓦斯屋本店のシャン・道代・レイコの崩壊しかかった“カゲ”があった。
三人の“カゲ”はカプセルの中で延命措置のようなものを受けているようだが、“カゲ”とはどうやら機械ではなく人の姿をしているらしい。
その燈台のさらに奥で、かなり人としての原型を留めたままのプシケにようやく会うことができた。
「でも私は、やっとあなたの波長に慣れたばかりなのです。もう少し時間がかかります。その間にやっていただきたいことがあります。
あるものを探し出して取り戻して欲しいのです……私の夢日記です。清流荘の管理人のビスにあって、アパートの一室を借りてください」
プシケの夢日記(第五節)
「あんたが見付けなきゃならん相手は、チェンっていう機械だ。おそらく奴が夢日記を持ち出したんだろう」
アパートの一室からチェンの部屋を盗み見て鍵を開け忍び込むとそこはチェンの管理する『新世界劇場』へと繋がっていた。
「あんただれだ。そうかあんただな……プシケの夢日記?オレはそんなもん持っていないぜ。オレが持っているのはジュースの夢日記だ。
あいつが取り戻したがっているのがこれであることに変わりはないだろうがな。そんな事よりニトロ(危険な強壮剤)持ってないかな」
初対面の侵入者である自分をなぜか知っているチェンにニトロを渡すと、それを飲んだチェンは耐え切れず解体(死)されてしまった。
「ありがとう。チェンは壊れてしまったようですね。チェンのスピリットが失われるのを感じました。みんな壊れていきます。
望もうと望むまいと……あなたのカゲを感じました……地下です……船があれば行けるでしょう」
- 549ガラージュsage▼2022/07/26(火) 14:48:45.43ID:acvS/dFc0[3回目]
- 船(第六節)
「船ならルウが持っておったよ。ルウはいい子だった。いつも軽快な音で走り回っていたよ。今はどうしていることか。
あの娘も、もう古いからね。順応堂にでも行けば会えるんじゃないかな」
「ルウは両性具有なんだ。雌でもあり雄でもあるんだ。便利な体だよ。でも変なエンジンの付き方をしてただろ?
換骨手術といってね。白瓦斯屋のシャンもそうだけど、フレームが交換されているんだ。スケベ爺の思いつきそうなことさ。
何でも新世界ってところで見世物にするために改造したらしいけどね。詳しいことは知らないな」
入院しているルウに羊の歌を聞かせると、喜んだルウと仲の良かったビスが船を貸してくれた。
その船を使って地下の汚水道を探ると、その最深部に骨と皮だけになった奇妙な子供の姿をした“カゲ”があった。
「………お願い………僕を……消さないで……ヤン……やめて…………僕を消さないで…………誰?君は誰…………君はヤンじゃないの……?
僕を消しに来たんじゃないの…………?君は僕なの……よくわからないよ…………僕にはわからない…………でもほんとにそうなら……
運動靴……僕の運動靴を……それが何かわからないんだけど…………あれがないと…………僕は……僕じゃないんだ…………」
カゲ(第七節)
「カゲ……か……ガタリという雄がいる。あいつに会うためには工場の昇降機を降りてから廃線跡を通っていかなければ会いに行けない」
「なに?カゲの事が聞きたい?君は自分のカゲにあったのか。それじゃ原想体はもう見付けたのかい。何か言っていただろう?
……ウンドウグツ……きっとそれが原想体だ。これはカゲと一緒にこの世界に実体化するものだ。カゲには本来の世界がある。
カゲにとって原想体はその世界への橋渡しをする役目を持っている。それを手に入れることによって自分の記憶を取り戻すのだ。
だがカゲの力が弱いと、私達機械には原想体を見ることが出来なくなってしまうんだ。そうだ、いい物をあげよう」
ガタリは原想体を探すことの出来るコンパスと共に、『白瓦斯屋年代記』なる自身の手記をくれた。
(以下、白瓦斯屋年代記によるガラージュ世界のこれまでのあらすじ)
・ヤンは生まれながらにしてあらゆる数値が傑出した機械であり、それ故に彼の“カゲ”(現実世界での勢い)は衰退していると思われる。
・ヤンはまず音楽による破壊装置を使用して雌機械狩りを行ったが、これも動機は彼の“カゲ”の世界(現実世界)にあると思われる。
・この雌機械狩りによってヤンは自分以上の順応度を持つジュースという雌機械を発見するが、その“カゲ”こそがあのプシケである。
・ヤンはさらにガラージュ世界と現実世界を切り離すために“カゲ”狩りを行い、それらを主宰する新世界劇場にて見世物にしていた。
・雌機械の急激な減少によって汚水が不足したため、ヤンはジュースを文字通り『白瓦斯を生み出す機械』にして白瓦斯屋を設立した。
・さらに水門を造って少ない汚水をダム化したが、これによって刻印石の洞窟(≒現実世界との境目)への軌道が閉ざされてしまった。
・ヤンにとっては寧ろあらゆる問題が解決したかに見えたが、その限界と孤独の故かヤンのガラージュ世界での勢いも衰退を始めている。
新世界劇場の隠し部屋にあった原想体(運動靴)を渡すと、カゲは本来の健常な姿を取り戻すと同時に姿を消してしまった。
「……そうか。君のカゲは刻印石を探しに行ったのだ。原想体は記憶の表層を形作る。そして、刻印石がその表層を内実化する。
刻印石の放つ光は別の世界からやってくるものなのだ。カゲが刻印石を見付けるとパラドックスホールという物が生まれるんだよ。
この穴はこの世界とカゲの本来の世界とを結ぶ穴だ。カゲの存在がこの世界にとって真に異質な物となる事によって、二つの世界が
?がってしまうんだよ。白瓦斯屋のヤンに会いなさい。彼を黙らせれば水門を開けることができる…………これを持って行きなさい。
前にシェンという機会が私に預けていったのだ。シェンはこれを使うことはなかった。これをどうするかは君が決めればいい……」
- 550ガラージュsage▼2022/07/26(火) 14:53:33.13ID:acvS/dFc0[4回目]
- ヤン(最終節)
渡された暗号に従ってシェンの部屋(自室)の箱を開けると、そこには不快音の楽譜と日記が入っていた。
どうやらシェンはこの楽譜を使って破壊装置を作ると共に、水門を開け『己の世界』たるこのガラージュ世界を滅ぼそうとしていたようだ。
だが一方でそれを実行する決心はできなかったらしく、破壊装置に必要な共鳴板まではそこになかった。
「…………いつか君は共鳴板を求めてここにくる。そんな気がしていたよ。君にはこの世界の住人らしくない所がある。まるで君の中には
違う時間が流れているようだ…………これが共鳴板だ…………なぜ私はこれを君に渡してしまうのか、自分でもわからないよ。
まったく不条理な行為だ……私は別に自分を消したい訳ではない。だがどこかで、この世界が私の本当の世界ではないと感じている。
だからといって私がその本当の世界に帰れる訳ではない。知っていると思うが、カゲのいないものにとってはこの世界が全てなのだ。
この世界は救われない。救うことのできない世界だ…………」
実験工房でもらった共鳴板を取り付けて作った破壊装置でヤンの部屋の扉を開けると、中では一体の機械が待っていた。
「君はあのときの機械だね?私だよ、シェンだ。私はヤンを消すためにここに来たんだ。安心しているのかい?でもヤンはいなかったよ。
なぜなら…………なぜなら、私がヤンだったからだ…………そして…………そして君もヤンなのだ…………
君が私から分裂した時に私の中にシェンという人格が生まれたのだ…………言っている意味が分からないのかね?
君は私の過剰な順応度が生み出した私の分身だ。お前は俺から生まれたんだ。シェンはとんでもないマヌケだったという訳さ。
だが今は違う。俺はヤンだ。お前を助けたことを後悔しているよ」
(シェンに不快音の楽譜を使うか否かの選択)
「お前がやろうとしていることは、まさに俺がやるべきことなんだ。貸せ!」
(ここで順応度が一定以上無いと解体されてゲームオーバー)
不快音に耐え切れず解体されたシェンを置いてさらに奥に進み水門を開けると、軌道の先の刻印石の洞窟の奥にはあの“カゲ”があった。
「…………ヒカリガ…………ミチテクル…………ホラ…………コンナニタクサン…………トッテモ…………アタタカイ…………
トケテ……シマイソウダ…………
…………ヤン…………ソウナンダネ?」
(『はい』と『いいえ』どちらで答えても、カゲの手を取ると暗転してスタッフロール)
これで終わりですが、最後の場面が現実に戻ってきたということなのか解脱や寛解を現すものかはわかりません。
そもそも真相や結末が明言されないゲームであるため、プレイヤーがヤンなのか機械を操って施療する職員なのかもわかりません
要望のあった最初のwin版に準拠して書きましたが、興味のある方はジュースを始め白瓦斯屋の雌との関係や運動靴に拘る理由など
win版に入れられなかった部分まで書いてある『完全版』が現在は安くでプレイできるのでそちらをお勧めします。
最終更新:2022年08月01日 17:31