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事件番号 昭和31()835

事件名 売掛代金請求

裁判年月日 昭和351021

法廷名 最高裁判所第二小法廷

裁判種別 判決

結果 破棄差戻し

 

判示事項 「東京地方裁判所厚生部」のした取引と同裁判所の責任。

 

裁判要旨 一般に官庁の部局をあらわす文字である「部」と名付けられ、裁判所庁舎の一部を使用し、現職の職員が事務を執つていた「東京地方裁判所厚生部」は、東京地方裁判所の一部局としての表示力を有するものと認めるべきであり、東京地方裁判所当局が同部の事業の継続処理を認めた以上、これにより同裁判所は、「厚生部」のする取引が自己の取引なるかのごとく見える外形を作り出したものというべく、善意無過失の相手方に対し、「厚生部」のした取引につき自ら責に任ずべきである。

 

参照法条 民法109条,商法23

 

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事件番号 昭和41()329

事件名 約束手形金請求

裁判年月日 昭和410616

法廷名 最高裁判所第一小法廷

裁判種別 判決

結果 棄却

 

判示事項 受取人白地の約束手形による手形金請求の許否。

 

裁判要旨 受取人白地のままの約束手形によつては、手形金の請求をすることはできない。

 

参照法条 手形法10条,手形法38

 

 上告代理人島田勝三の上告理由について。

 所論は違憲をいうが、実質は単なる法令違反の主張に過ぎない。しかして、いわゆる白地手形は、後日手形要件の記載が補充されてはじめて完全な手形となるものであつて、その補充があるまでは未完成の手形に過ぎないから、それによつて手形上の権利を行使するに由ないものである。従つて、原審の認定するところによれば、本件手形の受取人欄は白地のまま、原審の最終口頭弁論期日まで補充されなかつたというのであるから、上告人が右手形によつて手形上の権利を行使し得ないものとして上告人の請求を排斥した原審の判断は正当である。原判決には何等所論の違法はない。それ故、論旨は採用に値しない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

 

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事件番号 昭和51()631

事件名 示談金

裁判年月日 昭和521223

法廷名 最高裁判所第二小法廷

裁判種別 判決

結果 破棄自判

 

判示事項 営業につき他人からその名義の使用を許された者が営業活動上惹起された交通事故に基づく損害賠償義務者であることを前提として被害者との間で示談契約を締結した場合に商法二三条の適用が否定された事例

 

裁判要旨 営業につき他人からその名義の使用を許された者が、営業活動上惹起された交通事故に基づく不法行為上の損害賠償義務者であることを前提とし、被害者との間で、単にその支払金額と支払方法を定めるにすぎない示談契約を締結した場合には、右契約の締結にあたり、被害者が名義貸与者をもつて営業主と誤認した事実があつたとしても、右示談契約に基づき支払うべきものとされた損害賠償債務は、商法二三条にいう「其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務」にあたらない。

 

参照法条 商法23

 

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事件番号 昭和35()991

事件名 約束手形金請求

裁判年月日 昭和380301

法廷名 最高裁判所第二小法廷

裁判種別 判決

結果 破棄自判

 

判示事項 商法第二六条第一項の商号の続用にあたらないとされた事例

 

裁判要旨 「有限会社米安商店」から営業を譲り受けた者が「合資会社新米安商店」の商号を使用するときは、商法第二六条第一項の商号を続用する場合にあたらない。

 

参照法条 商法261

 

 原審は、挙示の証拠により、原判示の経過をたどつて原判示の各日時に訴外有限会社米安商店が解散して上告人である合資会社新米安商店が設立され、右訴外会社から上告会社に対し営業全部の譲渡がなされた事実を確定した上、「有限会社米安商店」と「合資会社新米安商店」すなわち上告会社とは、会社の種類を異にし、かつ[新」という継承的字句が加えられたのみで、商号の主体部分と認められる「米安商店」には変動がないから、商法二六条の関係においては、後者は前者の商号を続用するものと認めるのが相当である旨説示して訴外有限会社米安商店が負担した本件手形債務についてその営業譲受人である上告会社もまた支払責任がある旨判断している。

 しかし、会社が事業に失敗した場合に、再建を図る手段として、いわゆる第二会社を設立し、新会社が旧会社から営業の譲渡を受けたときは、従来の商号に「新」の字句を附加して用いるのが通例であつて、この場合「新」の字句は、取引の社会通念上は、継承的字句ではなく、却つて新会社が旧会社の債務を承継しないことを示すための字句であると解せられる。本件において、上告会社の商号である「合資会社新米安商店」は営業譲渡人である訴外会社の商号「有限会社米安商店」と会社の種類を異にしかつ「新」の字句を附加したものであつて、右は商法二六条の商号の続用にあたらないと解するのが相当である。

 そうすると、原判決は、所論のとおり右法条の解釈適用を誤つたものであつて、破棄を免れない。そして、原審の確定した事実によれば、本件はすでに判決をなすに熟するものと認められるから、民訴四〇八条一号、九六条、八九条を適用し、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 

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事件番号 昭和44()321

事件名 損害賠償請求

裁判年月日 昭和470302

法廷名 最高裁判所第一小法廷

裁判種別 判決

結果 破棄差戻し

 

判示事項 営業の現物出資を受けて設立された会社が出資者の商号を続用する場合と商法二六条の類推適用

 

裁判要旨 営業の現物出資を受けて設立された会社が出資者の商号を続用する場合には、商法二六条の類推適用により、右会社は、出資者の営業によつて生じた債務につき、出資者とならんで弁済の責に任ずべきものと解するのが相当である。

 

参照法条 商法26条,商法168条,商法172

 

上告代理人安藤一郎の上告理由第一点について。

 商法二六条は、営業の譲受人が譲渡人の商号を続用する場合に、譲渡人の営業に因つて生じた債務については譲受人もまたその弁済の責に任ずべき旨を定める規定であつて、営業の現物出資を受けて設立された会社が、現物出資をした者の商号を続用する場合に関する規定ではないが、営業を譲渡の目的とする場合と営業を現物出資の目的とする場合とでは、その法律的性質を異にするとはいえ、その目的たる営業の意味するところは全く同一に解されるだけでなく、いずれも法律行為による営業の移転である点においては同じ範疇に属するのであつて、これを現物出資の目的とした者の債権者からみた場合には、その出資者の商号が現物出資によつて設立された会社によつて続用されているときは、営業の譲渡を受けた会社が譲渡人の商号を続用している場合と同じく、出資の目的たる営業に含まれる出資者の自己に対する債務もまた右会社がこれを引き受けたものと信頼するのが通常の事態と考えられるのである。したがつて、同条は、営業が現物出資の目的となつた場合にも類推適用され、出資者の商号を続用する会社は、出資者の営業に因つて生じた債務については、その出資者とならんで弁済の責に任ずべきものと解するのが相当である。

 ところで、上告人らは、第一審以来、被上告会社は、訴外Aにおいて負担した本件交通事故による損害賠償債務を承継したものである旨主張したのに対し、原審も被上告会社が上告人らに対するA個人の債務を承継的に負担した事実の認められないことを理由にして上告人らの主張を排斥しているが、本件の弁論の経過に徴すれば、上告人らの真意は、要するに、被上告会社は、会社の形態をとつてはいるが、A個人が鉄玉組なる商号のもとに営業して来た運送業を株式会社鉄玉組なる商号(被上告会社は右の商号によつて設立されたが、本訴が第一審係属中の昭和四一年一月五日にその商号を鉄玉運輸株式会社と変更し、そのころその旨の登記をしたことが、記録中の被上告会社登記簿謄本に明らかである。)のもとに株式会社組織に改めたものにすぎず、会社設立後における営業の実体はAの個人経営の当時と全く異なるところがないから、被上告会社は本件損害賠償債務を負担すべきものであるとして、その履行を求めるにあるのであつて、必ずしも、Aと被上告会社との間に債務の承継について合意が成立したことを被上告会社の債務負担の原因として固執して主張する趣旨ではないと解すべきである。しかして、営業の現物出資を受けて設立されまたは営業の譲渡を受けた会社の商号がその出資者または譲渡人の商号に会社の種類を付加したにとどまるものである場合においては、いまだ商号の同一性を失わないものと解すべく、また、営業上の不法行為によつて負担する債務は商法二六条の「営業ニ困リテ生ジタル債務」に当たるものと解すべきである(最高裁判所昭和二六年(オ)第六四八号、同二九年一〇月七日第一小法廷判決、民集八巻一〇号一七九五頁参照)から、上告人らの主張にかかる事実関係のもとにおいては、原審としては、商法二六条の適用を考慮すべきであつたといわなければならない。

 しかるに、原審は、被上告会社は、Aがその経営にかかる運送業鉄玉組の営業をそつくりそのまま現物出資して設立された会社であることを前提とし、また、A個人の鉄玉組なる商号と鉄玉運輸株式会社なる被上告会社の現在の商号との類似性にまで言及しながら、商法二六条の適用を考慮せず、被上告会社が上告人らに対するA個人の債務を承継した事実の認められないことのみを理由に上告人らの請求を排斥したのであつて、原判決には、上告人らの主張を正解しなかつた結果審理不尽の違法をおかしたか、あるいは、商法二六条の解釈適用を誤つた違法があるものというべきであるから、論旨は結局理由があり、原判決は、他の論旨につき判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、本件については、さらに叙上の点につき審理を尽くす必要があるので、民訴法四〇七条に則り、これを原審に差し戻すのを相当と認め、裁判官の全員一致で、主文のとおり判決する。

 

最終更新:2008年01月06日 02:33