そこで何があったのか、知る由はない。ただ痕跡はあった。
饐えた肉塊が鎮座する街。影が人を覗く街。
転がる白昼夢が私を嘲笑ワラう。
「君はとっくにお役御免なのさ」
それは突然現れた。
憧れの先輩と街中を歩く。恋盛りの女子が希望と妄想に胸を膨らませる夢のシチュエーションも、ここが妖精帝国ってだけで簡単に崩壊する。
憶廓への取材を終え中街道を大門へと向かっている途上にそいつはあった。
天を刺すように聳える三叉の角材。それを支える黒ずんだ樽。ロープで不格好に固縛された左右の角には襤褸がぶら下がって見える。
最終更新:2013年03月02日 02:16