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私は道を見つけるか、さもなければ道を作るであろう
――ハンニバル・バルカ
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◆ ◆
「なあマスター。人間が生きる為に、もっとも大事な事は何だと思う?」
其処は、寂れた廃工場だった。持ち主が手放して久しいのか場内の至る所に劣化が見られ、壁や天井からは時折明らかに人体にとって有害だろう粉塵がパラパラと溢れてくる。肝試しの場所としては面白味がなく、一般人が立ち寄るなんて事はまずないような場所。となると必然、寄り付くのは溜まり場に飢えた非行少年達になってくる訳だが――哀れ、そうした人物達は一人残らず喰い散らかされた。肉体を、ではない。魂を、だ。
嘗て吐き気を催す程充満していた黴臭さは今や皆無だ。より濃密且つ醜悪な悪臭によって上塗りされ、その断片すら感じ取れない有様に変わっている。悪臭の元は、言わずもがな床に散らばった腑分けされた死体。文字通り八つ裂きにされたそれらが、血と臓物の臭気を惜しみなく垂れ流して蝿やら死出虫やらを呼び寄せている。そしてその下手人は、酸鼻極まる六人分の惨殺死体には目もくれず、己のマスターたる黒髪の少女へ問いを投げ掛けていた。
まだ中学生くらいであろう、聡明そうな顔立ちの少女だった。その右腕には、歳と雰囲気に似合わない鮮やかな真紅の刻印が確認出来る。それこそ、少女がこの世界の正式な住人ではない事の証。それと同時に、彼女が確たる自我を持った人間である事の証左でも有った。
少女は、狂人の問いには答えない。
煤けた壁に背を預け、嫌悪感を隠そうともせず露わにしながら、彼に視線を合わせている。
彼女と彼の仲が如何なる物なのか、この絵面を見れば誰でも解るだろう。
数秒の沈黙の後、サーヴァントは主の回答を待たずして語り始めた。
自分が嫌われている事を承知した上で、そんな事は知った事ではないとあくまで己を貫くその姿勢は、彼がどういう性分をしているのかを暗に示している。
「答えはな、"本気"で生きる事だ」
そのサーヴァントは一見すると、狂気を宿している風には全く見えない。人間の血液を思わせる色素の濃い赤髪が一際目を引く、口許に神をも畏れぬ不敵な笑みを浮かべた偉丈夫。だがその両手に装着された篭手剣(ジャマダハル)は雨垂れのように血の雫を滴らせ、手が何か動く度にギチギチと剣が犇めくような奇音を奏でている。何処の誰が見ても、彼を善玉の存在とは思うまい。そしてその通り、この男は悪性に満ちた邪竜に他ならぬ。
人間を殺す事に毛程の躊躇いも抱かず、民間人を爆弾代わりに使用したり、巻き込んだりする事すら彼には呼吸と同じ。百人が見れば百人が許し難い邪悪と評する、そんな男。正当な英霊として召喚される等決して有り得ない、見本のような反英霊。それこそが、少女の召喚した――もとい召喚"してしまった"サーヴァントであった。
「堕落し、現状に不平を溢すばかりで何も行動しない。誰かへの憧れを口にしながら、只見ているだけ。俺に言わせれば、そんな連中は総じて只の塵屑だ。生きてる気になってるだけ、祈って願って言い訳こいてダラダラ息してるだけの糞袋。あれこれと都合の良い理屈を捏ねる事だけ上手くなって、真面目に生きる事を忘れたカスだと断言出来る」
彼は、女を犯して優越感に浸りはしない。
子供を虐待して快楽を覚える質でもない。
それどころか、何かを痛め付ける事で気持ち良くなると言う概念すら持ち合わせていない。
「本音を殺すな、不本意を甘受するな、憧れを憧れのままに止めるなんてもったいねえ真似がどうして出来る?
人間誰しも本気でやればどんな不可能でも捻じ伏せられる、俺達はそういう可能性を秘めた生き物だってのによッ。
……その点、この世界は"最悪"としか言い様がねえ。これが大破壊(カタストロフ)の起きなかった世界だってんなら、成程確かに吹き飛んだ方がよっぽどマシってもんだろう。文明に、身の上に、温室じみた平和に甘えた屑の群れがウジャウジャと――輝く英雄が生まれねえ訳だ。天下無敵に腐ってやがる」
それもその筈、彼は富や名誉を愛する小悪党ではない。
彼は宝を貪り、輝ける者の背中に魔剣を突き立てる呪われた強欲竜。
光の輝きに取り憑かれた亡者でありながら、光の撃滅を何より強く渇望する異常者だ。
意志の力、本気の真髄を信奉する光の奴隷。それこそが、サーヴァント・バーサーカーの真実である。
「此奴らにも聞いてみたが、返ってきたのは悪い意味で予想通りな答えばっかりだ。
やれ大人は解ってくれない、今の社会が許せない、支配されるのは退屈だと不平不満をぶち撒けておきながら、結局仲間同士で傷を慰め合うだけ。今までそうやって無為に潰してきた時間が有れば社会に爪痕を残すのも、支配の殻をぶち破るのも朝飯前だったろうに、此奴らにはそもそもそういう発想自体がないようだった」
……散らばった少年少女の死体に呆れたような視線を送り、彼らの血で濡れた篭手剣を軋ませる。
「その点、おまえにはなかなか好感が持てるよ我がマスター。諦めなければ何事もいつかは成る、悲願に向けて旅する事は最高だよなァ。俺にも解るぜ、その感覚。何せ俺も――」
「……黙りなさい、バーサーカー。貴方のような狂人と一緒にされるのは虫酸が走るわ」
台詞を遮って、マスターの少女は唇を噛む。狂人と、虫酸が走ると言った事には何の嘘もない。この男に共感を示す等、凡そまともな倫理観を持つ人間では不可能だとすら彼女は思っていた。事実、少女は彼の言う事に欠片の理解も抱けない。仮に此奴の望む通りの世界になったなら、人類は三日と保たずに全滅するだろうと言う確信さえ有る。
狂戦士のサーヴァントを望んだ以上、苦労するのは承知の上だった。理性を失った獣めいた従僕と共に戦う事はきっと困難だろうと覚悟していたし、それを踏まえて戦略も練っていた。だが、まさか話が通じる、意志疎通が出来る事が胃痛の種として働いてくるのは流石に予想出来なかった。
少女――
暁美ほむらはこの世界で記憶を取り戻し、聖杯戦争についての知識を得た瞬間から、自分の下に召喚されるサーヴァントはバーサーカーが最も都合がいいと判断していた。勿論多少の不便は有るが、狂化によって得られる戦力面での莫大なアドバンテージに彼女は着目したのだ。
ほむらはインキュベーターと契約し、願いを叶える事と引き換えに戦う力を得た"魔法少女"だ。然し、彼女の戦力自体はそう高い物ではない。寧ろ魔法少女全体で見たなら低い方。無論戦略と立ち回り次第では幾らでも優位を取れはするが、それでも聖杯戦争と言う魔境に於いて戦力の不足は死活問題だ。
其処で、ほむらはバーサーカーを呼び、兎に角優れた戦闘能力を手にする事を望んだ。不都合、リスク、委細承知だ。仮にそれで辛く過酷な思いをする事になろうが、最後に勝てればそれで良い。……結果、本気で勝利を望み、傷付きながらでも求めた結末を実現させると胸に誓った少女の下には、その想いに相応しいサーヴァントが召喚された。どんな逆境にも雄々しく嗤い、意思の力と光への執念で暴虐を尽くす"異常者(バーサーカー)"が。
「私が貴方に求めるのはたった一つ。勝者の条件を満たし、"黄金の塔"に登る資格を手に入れる事。それ以外で貴方と語らったり、関わったりするつもりは微塵もないわ」
「クハハハハッ、悲しいなあオイ。俺も嫌われたもんだ」
呵々大笑するバーサーカーとは裏腹に、ほむらの顔には僅かな微笑みもない。
今口にしたのが偽りのない彼女の本心だ。ほむらは"勝利する為"以外の事で、この邪竜と言葉を交わしたり、関わったりする気は真実絶無だった。魔法少女ではない一人の人間として、その暴虐に嫌悪を覚えてしまうと言うのがまず一つ。もう一つの理由は、生物の根幹、本能の領分から来るどうしても拭い去る事の出来ない"恐怖"であった。
ほむらはこれまで、時間遡行者として数々の時間軸を渡り歩いてきた。凄惨な死が有った。信じられない絶望が有った。思わず慟哭をあげてしまうような、やり切れない幕切れが有った。そんな過酷過ぎる旅路を歩んできた彼女だから、今更ちょっとやそっとの事では動じない。サーヴァントの脅威に晒されようが怯える事はないし、仮に万が一死の淵に立たされようと、無様に泣き叫んで許しを請うような真似はしないだろう。
そしてほむらがバーサーカーに抱く恐怖は、そういった直接的な物ではない。もっと深遠な――月並みな言葉で言うのなら、理解不能な相手に対して抱く"恐れ/畏れ"だ。ほむらには、この狂人が解らない。これが本当に人間として生まれ、生を送っていたのかと疑問すら覚えてしまう程、ほむらにとって彼は異様な存在(モノ)に見えた。
「心配無用だ、仕事は果たすさ。それに……ああ、この戦争は実に俺らしい。
万能の願望器、至高の聖遺物、黄金塔の頂点に舞い降りる奇跡の財宝。頂くさ、邪竜らしく喰い散らかしてやるッ。
宝を寄こせ、すべて寄こせ――誰にも渡さぬ己のものだ、ってなァ! クァハハハハヒヒヒ!!」
そして彼女の抱いたそんな感想は、全て的を射ている。
この男は異常者だ。狂っている、煌めく狂気(つよさ)に満ちている。
堕落した只人が、放射線のように眩しく心を焦がす閃光に出会い、人生の何たるかを見出した最果ての姿。
彼こそは英雄殺し(シグルズベイン)――光を貫く滅亡剣(ダインスレイフ)。
……たった一人の友達を護りたいが為に時を繰り返し、こんな場所にまでやって来た魔法少女。少女の想いは確かに聖杯へと届き、そして、眠れる邪竜を呼び覚ましたのだった。
◆ ◆
――暁美ほむらの願いは、先程述べた通りの物だ。
彼女は只、護りたい。救いたい。何度世界を繰り返し、何度失敗しても諦め切れない、たった一人の最高の友達。
鹿目まどか。少女の身には余る過酷な運命を押し付けられ、破滅の道へと転がり落ちていく非業の魔法少女。
まどかを救う為だけにほむらは泥に塗れ、何度も何度も世界を繰り返した。暁美ほむらに与えられた魔法は、時間の操作。これを用いる事でほむらは、自分の望む所でない結末に背を向け、見滝原市の物語をやり直してきた。ゴミのように死んでいく見知った顔を視界の端に置き、ひたすらに果ての見えない旅を続けてきた。
ほむらが『鉄片』を手に入れたのは、そんなある時の事だった。討伐した魔女が落とした正体不明の金属片。怪訝な顔をしてそれを手に取るや否や、猛烈な浮遊感に襲われ、気付けば見知らぬ土地で平穏な暮らしを送らされていた。記憶を取り戻した時、何もかも白痴のように忘れ果てていた自分に激しい赫怒の念を抱いた事は言うまでもない。
“聖杯が、私の願いを本当に叶えてくれるかどうかは定かじゃない。インキュベーターがしたように、何らかの裏が有る可能性はとても高い。……それでも。その輝きがあの子を――まどかを救ってくれる可能性がほんの僅かでもあるのなら”
ほむらに、聖杯戦争に乗らないと言う選択肢はなかった。
迷う事すらなく淡々と、彼女は戦って勝ち残る選択を選び取った。
――暁美ほむらは、インキュベーターと契約を交わして力を得た魔法少女だ。故に当然、願いを叶えると謳うモノの陰にどんな裏が有るか、其処に思考を向けない事がどれ程愚かであるかは誰よりも深く理解している。もっと言えば、ほむらは聖杯を信用していない。大きな力を持っているのは確かだろうが、本当に願いが叶うのか、仮に叶ったとしても果たしてそれで終わりなのか、そういう部分には非常に多くの疑念が残る。
なのに、ほむらは聖杯を目指すのだ。聖杯がどんな物かを見極めるかは、実際にそれを呼び出した後でも構わない。信用出来ないから、疑わしいからと目の前の甘い話を一蹴できる程、時間遡行者に余裕は残されていなかった。
“あの子を救う為なら……私は何にだって手を染める。どんな悪鬼の手だって、借りてやるわ”
全ては鹿目まどかの救済――運命を望む通りの形に改変する為に。
その為だけに、ほむらは滅亡剣の柄を握る。光と言う狂気に満ちた邪竜を駆り、混沌の戦場を生き抜いてやるとそう決めた。決めたからには、もう迷わない。後は止まる事なく歩み続け、寄せ来る敵と立ち塞ぐ壁を一つ残さず斃し、壊していくだけだ。……"勝利"をこの手に掴むまでは。暁美ほむらは、絶対にその足を止めはしない。
“勝って貰うわよ、バーサーカー。貴方はその為だけに、この世界に存在するのだから”
◆ ◆
“応とも、役目は果たすさ時間遡行者(タイムリーパー)。俺もまた、勝って奪う為だけに遠路遥々やって来たんだからよ”
主たる少女の心境を想像しながら、バーサーカーは心中でそう呟いた。
彼は狂戦士であり、故に異常者だ。只人には理解出来ない狂った精神論を心の底から信奉し、口先だけではなく行動でそれを実演してみせるベルセルク。然し彼の動作や物言いに、高ランク狂化の代償として背負わされる理性の喪失は全く見られない。思想こそ狂っているものの、彼の言動には確かな知性が存在している。間違いなく最高ランクの狂化が施されていると言うのに、これは余りにも異常な有様であった。
無論、彼とて一騎の英霊。聖杯戦争のシステムに縛られた、戦闘人形の一体でしかない。
狂化によるステータス強化の対価は、確実に彼の精神を蝕んでいた。現にこうしている今も絶え間なく脳裏には爆発するような感情の波が押し寄せ、ほんの一瞬でも気を抜けば自我を軒並み吹き飛ばされそうな崖っぷちに彼は立たされている。だと言うのに、何故邪竜のバーサーカーは正気を保っていられるのか。その解答は至極単純、それでいて史上最悪の狂気に満ちている。――彼はただ、耐えているのだ。まだだ、負けるか勝つのは俺だと、押し寄せる狂気の波に打ち勝ち続けている。
“勝利を本気で目指すなら、このくらいはしなきゃならんだろう。
何、初めて脳に電極をぶち込んだ時に比べりゃ幾らかマシだ――これで滅ぶ邪竜(おれ)じゃねえ。奴なら耐える、なら俺も全霊で耐えるのみ。喜べよマスター、おまえのサーヴァントは強いぞ? おまえが望む奇跡の財宝を、必ずこの手で掴んでみせるとも”
ほむらの下に召喚される際に、彼は自ら狂化のランクを最大まで引き上げて現界した。そう、全ては確実な勝利の為。凡そ目的を遂げる為に、バーサーカーは尽くせる限りのあらゆる手を尽くして戦う。誰よりも英雄と言う生き物の恐ろしさ、素晴らしさを心得ているから彼は決して見誤らない。
そして彼は、暁美ほむらの願いの為に全霊を以って奉仕する程、殊勝で善良なサーヴァントではなかった。彼もまた、聖杯に託す願いを持っている。万能の願望器、願いを叶える魔法のランプ。ああ、何処かで聞いたような響きだが、この身が一度滅んだとなれば託す願望も変わってくる。彼の願いは只一つ。暁美ほむらが少女の救済を願うのと同じ位真摯に、彼はある男との"再会"を夢見ている。
“そして、全てが終わった最果てに――”
――嘗て。強欲竜と呼ばれる前まで、彼は怠惰な生を謳歌する有象無象の一人だった。
楽に生きたい、苦労をしたくない。そんな在り来りな考えの下、毒にも薬にもならない日々を生きていた。
楽に生きられる道があるなら苦労する事に意味はなく、他人の人生などその為の踏み台でしかない。
危険や責任を被るなんて御免だから出世は望まず、小物故の謙虚さすら忘れた無能な半端者。
努力を嘲笑い、真面目な生など見もせず、惰性で毎日を生きていた。
そんな彼は、一人の男と出会った事で英霊の座に登録される程の"大悪人"にまで変貌する。
その男と出会った時、彼の価値観は木端微塵に打ち砕かれた。息が詰まり、心臓の鼓動数が倍以上にも跳ね上がり、上下の顎は震えて声すらまともに発せない。
彼に、男は見向きもしなかった。だから彼は、その背中を視ている事しか出来なかった。
前へ前へ、勝利へ勝利へと、馬鹿正直に限界を飛び越えながら本気で目の前の袋小路に挑み掛かる英雄譚の体現者。
剣閃が煌めく度に魂が揺さぶられ、今まで自分は何をしていたのかと、昨日までの自分に燃え上がる怒りが止まらない。
努力が報われるという保証はない? 意志の力で何とかなるなど夢物語?
――なんて馬鹿な勘違いだったのだろう。目の前にこれ以上ないほどの実例がこうして存在しているというのに。
人間は不断の努力でどこまでも限界を超えられる。
人間は意志の力で不可能を可能に出来る。
間違いに気づいた以上、最早怠けるつもりは一切なかった。
其処からの彼は今までのことが嘘のように驚異的な戦功を重ね続け、その名を諸国に轟かせていく。
そう、全ては英雄を殺す魔剣になる為に。
その為だけに彼は、もっともっとと強さを希って生きた。
誰にも渡さぬ己のものだ、綺羅びやかなその輝き以外は最早瞳に映りもしない。
“俺は今度こそおまえに挑もう。我が愛しの英雄――クリストファー・ヴァルゼライドッ!”
【クラス】
バーサーカー
【真名】
ファヴニル・ダインスレイフ@シルヴァリオ トリニティ
【ステータス】
筋力A 耐久A 敏捷C 魔力B+ 幸運C 宝具B++
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
狂化:EX
狂化の実数値自体はA相当。
本来狂化のスキルはステータスを強化する代償に理性を捧げる事で成り立つ物だが、彼の場合、理性を殆どそのまま残した状態で恩恵のみを受ける事に成功している。
然し何の悪影響もない訳では勿論なく、バーサーカーは常に狂乱の衝動を頭の中に抱えながら活動しており、それを本気の気合で押し殺しているに過ぎない。
自身が枯れ果てる覚悟で強靭な狂戦士を求めたマスターの"本気"に、彼も自我が崩壊しかける程の狂気を抱いて現界する事で応えた。
それでも、彼が狂気に呑まれる事はないだろう。彼は元より、常軌を逸した意思の怪物であるのだから。
【保有スキル】
光の奴隷:A++
大いなる輝きに焦がれ、その在り方を大きく破綻させた者だけが持ち得るスキル。輝ける狂気の象徴。
このスキルを持つ者は、他のあらゆる精神に作用するスキルや宝具の効果を受け付けない。バーサーカー程のランクにもなれば、比べ合いすら行わずにシャットアウトする。
性質としてはバーサーカーのクラススキル『狂化』に似通っている。
更に バーサーカーが一定以上の強さを持つ敵と戦闘する場合、自身のステータスを立ちはだかる敵の強さに応じてランクアップ・「勇猛」を始めとした各種戦闘スキルをその場で獲得することが出来る。諦めなければ世の道理など紙屑同然。それを突き詰めた宿敵(えいゆう)に焦がれたバーサーカーもまた、最終的には彼と同じ結論に至るのだ。
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そう――本気になれば人類に不可能などない。意志の力を前に、あらゆる道理はねじ伏せられる。
英雄への敵対者:A
対英雄と軍略の複合スキル。
バーサーカー本人を除く、その戦闘に参加しているサーヴァントの筋力、耐久、敏捷をそれぞれ1ランクダウンさせる。
その上で自らの対軍宝具・対城宝具の行使、逆に相手の対軍宝具、対城宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
戦闘続行:A+
意志の怪物、光の亡者。
彼の中に戦意がある限り、致命傷を負っても知ったことかと爪を振るい続ける。
霊核が破壊された後でも、最大5ターンは戦闘行為を可能とする。
無窮の武練:A
ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。
鋼の竜殻:EX
彼の骨格は、その七割方が機械骨格に置き換えられている。
至高の英雄に追い縋る為に一度毎に生死を彷徨う改造手術を、彼は三十七回もの回数自らに施している。
人体汚染や毒素を自動でシャットアウトし、また、活動の為の魔力をマスターに依存しない為異常な燃費の良さを誇る。
無論、これだけでは規格外と呼べる程の要素はない。問題は、彼の霊核――心臓部。
其処で脈打っている金属の名は――
【宝具】
『邪竜戦記、英雄殺しの滅亡剣(Sigurdbane Dainsleif)』
ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~70 最大捕捉:100
物質再整形能力。
形在るものへ訴えかけ、己が意のままに作り変える星辰光(アステリズム)。欲深き竜が宿した英雄殺しの滅亡剣。
物質を自由自在に変形させる星光であり、道も、壁も、天井も、彼の支配を受けた物はまるで竜の鱗が如く剣の群れに転じていく。
干渉性を筆頭に性質面でも優秀だが、何より特筆すべきなのはやはり圧倒的な出力。
人間の規格を超えた精神から繰り出される星は、あらゆる無機を爪牙としながら有象無象を滅ぼし尽くす。
まさに物質文明の覇者というべき侵略の超新星。輝く星を喰らう為ならバーサーカーは容赦しない。
『鋼魔恒星・人造機竜(Planetes Dainsleif)』
ランク:B++ 種別:再誕宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
人造物に置き換えた骨格、内蔵されたとある金属、そして特殊な才能を備えた素体。
生前彼は、これらの条件を満たす事で死の向こう側から蘇り、魔の恒星として再臨した。
これはその逸話が宝具に昇華された第二宝具。一度だけ自らを人造惑星として蘇生させる、再誕宝具である。
自身が消滅する際にそれまでに負った全てのダメージ、悪影響を完全に無効化し、全てのステータスを1ランクアップさせた状態で再誕する。魔星として蘇ったバーサーカーは身体欠損から即死級の傷まで、全ての負傷を自身の星辰光で瞬時に再生させる事が出来る。"光の奴隷"の特性と精神性も相俟って、生まれ出た人造機竜を止める事は非常に困難。
然し再誕は確実に成功する訳ではなく、発動の際には幸運判定を行い、微小な成功確率を掴み取らなくてはならない。
尤も――彼が"仕損じる"事等、絶対に有りはしないだろうが。
【weapon】
篭手剣(ジャマダハル)
【人物背景】
光の英雄、クリストファー・ヴァルゼライドに魅せられた光の亡者。
嘗ては怠惰な生を送る、彼が言う所の塵屑のような人間だったが、英雄との出会いを経て本気で生きる事の素晴らしさを見出した。
今回の彼はミステルルートの出身。
【サーヴァントとしての願い】
英雄との再戦。
【マスター】
暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ
【マスターとしての願い】
まどかを救う為に、運命を改変する
【Weapon】
本来は銃器類を使うが、この世界ではまだ入手できていない
【能力・技能】
魔法:
魔法少女としての固有魔法。
円形の盾に内蔵された砂時計を用い、時間の流れを操作する。
本来は一ヶ月もの時間を逆行する事も可能だったが、聖杯戦争の中では不可能。
今の彼女は、砂の流れを遮断する時間停止しか使用出来ない。
【人物背景】
友を救う為、幾度となく時空を旅した少女。
【方針】
聖杯を狙う。……が、バーサーカーの性格には嫌悪すら感じている。
最終更新:2017年03月31日 15:25