聖杯戦争が三つの魔術師一族によって生み出されたのは、その界隈では有名な話だ。
すなわちアインツベルン、遠坂、そして間桐である。
そしてつい先ほど記憶を取り戻し、聖杯戦争のマスターとなった男も間桐の血を引く魔術師であった。
とはいえ、今回の舞台となる冬木市が本来存在した時代ではなく、昭和の時代の人間なのだが。


「冗談じゃないぞ……!」

間桐邸の一室で、彼は苦渋に満ちた顔つきで呟いた。

「何が悲しくて、また聖杯戦争なんかに参加しなくちゃいけないんだ!
 他にいるだろ! 喜んで参加するようなやつらが!」

彼は一度、聖杯戦争に参加していた。だがその結果は、散々たるものだった。
召喚したバーサーカーをまったく制御できずに腕を切断され、その暴走に無理やり付き合わされた。
よく生きていられたものだと、自分でも思う。
とにもかくにも聖杯戦争は終結し、義手の手配をしようとしていたところでこの有様だ。

「前回生き延びただけでも奇跡なんだぞ……!
 それをもう1回なんて……。死ぬわ! 確実に死ぬわ!」

顔を真っ青にし、狼狽する間桐。
だが、希望が完全に潰えたわけではない。

「せめて、強いサーヴァントさえ来れば……。
 頼む、セイバーあたりで強力なのが来てくれ……」

その言葉に合わせるかのように、彼が所持していた鉄片が光を放ち始める。
サーヴァントの召喚が始まったのだ。

「バーサーカーだけは勘弁してくれよ……。もうこりごりだ……」

やがて、召喚が終わる。
間桐の前に現れたのは、簡素な仮面で顔を覆った痩身の男だった。
その目は危険な光を宿し、首には血でどす黒く染まったマフラーが巻かれている。
そして全身各所に、ホルダーに入ったナイフが装備されていた。
誰がどう見ても、危険人物である。

「ま、まさか……。いや、アサシンとかの可能性も……」

わずかな希望にすがりつつ、間桐はステータスを確認する。


【バーサーカー】


「終わった……」


◆ ◆ ◆


絶望のあまり倒れ伏すマスターを気にも留めず、バーサーカーはおのれの内で目的を確認していた。
狂化により理性が失われてもなお、彼の信念は陰りを見せていない。

(聖杯を……手に……。聖杯の力で、真の英雄だけが秩序を守る世界を……)

バーサーカーの真名は、ステイン。
おのれの理想とする社会のために、資格なしと判断したヒーローを幾人も殺害してきた大犯罪者。
人呼んで、「ヒーロー殺し」。

「ALL……MIGHT……!」

バーサーカーの口から漏れた、言葉の意味。
異なる世界の出身であるマスターが、それを理解することはできなかった。


【クラス】バーサーカー
【真名】ステイン
【出典】僕のヒーローアカデミア
【性別】男
【属性】秩序・悪

【パラメーター】筋力:B 耐久:C 敏捷:A 魔力:E 幸運:D 宝具:D

【クラススキル】
狂化:C
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
身体能力を強化するが、理性や技術・思考能力・言語機能を失う。
また、現界のための魔力を大量に消費するようになる。

【保有スキル】
戦闘続行:B
名称通り戦闘を続行する為の能力。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。

凝血:A
ステインが持つ「個性」。
他者の血を経口摂取することにより、相手を一定時間行動不能にすることができる。
効果時間は、相手の血液型によって変化。
O型が最も短く、A型、AB型、B型の順で長くなっていく。


【宝具】
『ヒーロー殺し』
ランク:D 種別:対人宝具(自身) レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
彼は、高潔でないヒーローを認めない。
ステインの信念と、彼に対する民衆のイメージが複合して生み出された、常時発動型宝具。
属性が「中立・善」「混沌・善」のサーヴァントに対して与えるダメージが大きく上昇する。
また「ヒーロー」を自称する、もしくは不特定多数にそう認識されている相手に対しては、属性に関係なく同様の効果が発動する。

『ヴィランの夜明け』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:上限なし
彼の言葉は、本人の意志に関係なく悪の世界に激動をもたらす。
ステインが敗北したときに自動発動する宝具。
彼が敗北した瞬間を目撃した悪属性のサーヴァントはランダムでステータスが上昇し、
Cランクの「精神汚染」スキルを得る。
本人がこの変化を望まなければ、抵抗が可能。
また必ずしも肉眼で見る必要はなく、映像として見ても効果は発動する。


【weapon】
ナイフ数本、日本刀など

【人物背景】
本名・赤黒血染。
元はナンバー1ヒーロー・オールマイトに憧れ、高校のヒーロー科に進んだ純粋な青年だった。
しかし志の低いヒーローがまかり通るヒーロー社会に失望し、自主退学。
しばらくの間啓蒙活動を行うが言葉による改革に限界を感じ、
自分が資格なしと判断したヒーローを次々と殺害する凶悪犯と化した。

【サーヴァントとしての願い】
自分が理想とするヒーロー社会の実現


【マスター】間桐少佐
【出典】Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚
【性別】男

【マスターとしての願い】
脱出でも優勝でもいいので、生きて帰る

【weapon】
特になし

【能力・技能】
間桐が衰える前の血縁者なので、魔術師としての能力はけっこう高い。
また信長には「無能な働き者」呼ばわりされていたが、仮にも少佐なので実務能力もそれなりにあったと思われる。

【ロール】
負傷により退職した元自衛隊員で、間桐の遠縁。
療養のため冬木市に来ているという設定。

【人物背景】
帝国陸軍の少佐で、間桐の分家出身の魔術師。
顔つきは間桐慎二にうり二つ(というか、スターシステムなので同じ顔)。
陸軍を掌握した信長に反発し、独断でバーサーカーを召喚。
ところがバーサーカー制御用に開発した拘束具がまったく効果を発揮せず、召喚直後に令呪ごと右腕を切断される。
さらにバーサーカーの暴走に付き合わされる羽目になるが、セイバーとランサーの活躍によりバーサーカーは敗退。
自身はランサーのマスターである花蓮に捕縛されるという形で、聖杯戦争から退場した。

今回は本編終了後から参戦。

【方針】
生存優先

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最終更新:2017年04月04日 21:31