――――分岐、特殊ルート。
志半ばで倒れた特異点『ゼロ』は、聖杯によるウタウタイ殲滅を願い、英霊となった。
これまでのどの分岐とも異なるケースであり、多世界化現象を発生させる彼女が他の世界の人物と行動を共にすることによって起こる事象は推測不能。基本的には介入禁止の我々アンドロイドだが、場合によっては介入も視野に入れるべきであろう。
――――記録、開始。
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「……なぁ、キミ本当に状況分かってるのか?」
「ふ、ゾフィエルの化身たる鉄片に導かれしサーヴァントであろう?」
「そうそう、ゾフィエルの化身……ってちげーよ!いやゾフィエル云々以外は合ってるんだけどさ……」
ここはとある団地の一室。学校の制服に右目に眼帯、左腕に包帯という色んな意味で痛々しい格好をした少女……小鳥遊 六花のフワフワした謎めいた発言に、ライダーのサーヴァント……ゼロは頭を抱えたくなる。
「訂正、鉄片だけではない。この邪王真眼と紋章を刻まれし左腕にも導かれた……その右目の花と左腕の義手こそ、我らを結ぶ縁」
「あ、なんか鏡を見てるようだと思ったらそれか」
ゼロの右目には花が咲いており、左腕は義手だ。六花の右目の眼帯と左腕の包帯とは、まぁ似てるっちゃ似てる。
(まさか、それだけで縁召喚されたわけじゃないよな……?コイツのはどう見てもファッションだぞ……?)
「まぁいいや、キミはどうせ戦えそうにないから、適当にこの団地にでも隠れてろ。私は私で勝手に戦ってるから」
「六花と呼べ」
「は?」
「キミではなく、六花と」
「糞ドラゴンみたいなこと言う奴だな……」
ゼロは今度こそ本格的に頭を抱える。
サーヴァントである以上、他人と一蓮托生の主従になってしまうのは仕方ないが、このガキは些か問題だらけに思える。
スリィのような不思議ちゃん染みた言動はまだいいが、こいつの場合非現実に酔って状況を正しく認識していない。戦闘能力があるようにも見えない。魔力が飛びぬけているわけではない。女だからヤれない。
他のマスターに鞍替えすることも考えたが、めんどくさい。向こうから話があったならともかく、自分から売り込みに行くようなことは性に合わない。
(まぁ、状況を認識していないのは『殺し合いなんていけない!』みたいなこと言われないと思えばそれはそれでいいか。戦力にならなそうなのは、私が全員殺せばすむ話だ。ヤれないのはちょっと色々と溜まるが……)
生前と違い、今は最終的に自分が死ぬことも考える必要はない。とりあえず敵を殺しておけば聖杯は手に入るのだから。面倒なことは後で考えればいい。
(それにしても、なんだここは?教会都市……いや、旧世界にそっくりじゃないか)
冬木市の―――否、現代の建築物は、『大災厄』の際に現れた謎の建築物群――――旧世界と呼ばれたそれらにそっくりであった。しかも今は西暦2000年代らしい。何故856年にイベリア半島に現れた建築物と似たものが2000年代にある?
旧世界と呼ばれていたが実際は逆で、『大災厄』は未来の出来事が関係しているのか……?
アコールのようなアンドロイドは旧世界の人形ではなく、未来のオートマタなのか……?
(アコールなら何か知ってそうだが……ま、今はそんなことどうでもいいか)
自分が生んでしまった、世界を滅ぼすウタウタイと『花』。その後始末は付けなければならない。
別に世界の秘密なんぞに興味はない。殺さなきゃならない奴を殺す。それだけだ。
「まぁ、ワンみたいにそういうのが気になる性質の奴は、本でも読めばある程度分かるだろうしな。こないだ発売されたアレとか」
「急にどうした?我がサーヴァントよ」
「なんでもないです。そういえば、私たちの声……」
「……?」
「いやほら、ここはお約束的にさ、声が似てるーみたいなこと言った方がいいんじゃないのかなーって」
「ゼロ?」
「……なんでもないです」
急にガチトーンで心配され、バツの悪そうな顔をするゼロであった。
【クラス】
ライダー
【真名】
ゼロ@ドラッグオンドラグーン3
【ステータス】
筋力B 耐久EX 敏捷C 魔力C 幸運E 宝具A
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
騎乗:EX
竜種を乗りこなす程の騎乗。
ただし、竜種以外の騎乗に関しては特別得意でもない模様。
【保有スキル】
戦闘続行:EX
『花』の呪いにより、ライダーは死にたくても死ねない。たとえ首を切り落とされようと、『花』から復活する。
竜種及び竜種を素材とした武器でなければライダーを殺すことは不可能。
魔力放出:B
血を浴びて感情が昂ぶった際に、武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、 瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。
この時にはワープにしか見えない程一瞬で相手に肉薄することも可能。ウタウタイモードとも呼ばれる。
【宝具】
『その剣は 現世の竜(ドラッグオンドラグーン)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
ライダーが生前共に戦った、ミハイルという名の竜種を呼び出す召喚宝具。
ミハイルは戦闘力は高いが世間知らずで、考え方や性格も幼く、どんな相手とも話し合えば理解し合えると信じている平和主義者。同じことを二回繰り返して話す癖がある。ついでにとても獣臭い。
【weapon】
剣、槍、格闘装具、戦輪
【人物背景】
世界を破滅させる『花』に寄生された少女。『花』には自己防衛機能があり、彼女が自分ごと『花』を殺そうとした際、『花』は力を分散させてゼロの分身……五人の妹を生み出した。『花』の力を持つ姉妹たちはウタウタイと呼ばれる。
『花』はウタウタイの中で成長し、完全に咲ききった時には世界を滅ぼす。ゼロの目的はウタウタイを自分も含めて皆殺しにして『花』による世界の破滅を防ぐことである。
あくまで自分の不始末を自分で片付けることが動機であり、彼女自身は決して善人とは言い難いが、身内には甘い一面もある。
性的なことに開放的な性分であり、複数の男性と肉体的関係を持つことをなんとも思わない。面倒くさがり屋で乱暴である。
【サーヴァントとしての願い】
『花』及びウタウタイの殲滅
【マスター】
小鳥遊六花@中二病でも恋がしたい!(アニメ版)
【weapon】
なし
【能力・技能】
特になし
【人物背景】
中二病の高校生。右目に眼帯をしていてカッコつける時は痛々しい台詞と共に眼帯を外すが特に意味はない。カラーコンタクトもしてるが特に意味はない。左手に包帯を巻いているが別に怪我をしているわけでもない。
参戦時期は勇太と恋人になる前。
【マスターとしての願い】
なし……否、不可視境界線を見つけなければ……
【備考】
非現実に酔って状況を正しく認識していません。
最終更新:2017年05月19日 11:10