>>495
GJ! いいね。こういうの大好き。めちゃめちゃ好き。
個人的には、台本じゃなくて小説形式の場合は
主人公の名前は「男」じゃ無くて名前のあるほうが読みやすいんだけど、
これは好みが分かれるのかなあ。
分かれるな、名前有りじゃ萌えれねぇという奴も結構いると思う
>>502
なるほど。それもわからないでもないね。
( ^ω^)お
>499
ちょっと素直クール分すくないですけど、こんなんでよければ
背中合わせに座るお互いの感触を、時々確かめながら読書を続ける。
何も話さない。でもすぐそばに居る。
そんな過ごし方がとても心地よくて、
いつもお昼休みになると、中庭の木陰まで彼女を誘う。
でも「お互いの」? もしかして、わたしだけってことは……。
ちょっと不安になって、そっと彼女の方を見ると、
気配に気付いた彼女が、「なに?」と言うように目顔で問いかけてくる。
やっぱり、わたしだけじゃない。
うれしくって、思わず顔がほころんでしまう。
不審がられたけど、そのまま笑ってごまかした。
わたしの名前は、桐崎雪音。聖穂乃女学院高等部の1年生。
ないしょだけど、実はわたしには同性の恋人がいる。
高等部に編入してすぐ一目惚れしたその人と、
両思いになれたのは、ほんの一月前のこと。
その人の名前は、藤枝千晶さん。
何でも見通しているような、怜悧な瞳。
物静かで、どんな時にも感情を露わにしない、落着いた所作。
全てが、二つしか年が離れていないとは思えないほど大人びていて、
美人で賢く、スタイルも抜群、もう本当に素敵な女性だ。
そんな千晶さんもわたしの事を見ていてくれたなんて、
そう告げられた時には、そのまま死んじゃうかと思った。
こうして一緒にいても、本当に夢みたい。
この幸せを皆にも分けてあげたい、なんて思ったりもするけど、
女子校でも、私たちみたいなカップルは少数派なんだよね。
だからホントに親しい子にしか、千晶さんとのことは話してない。
二人の時間を満喫した後、用事があって校舎裏に向っていると、
同じように倉庫に行くという、隣のクラスの弓佳と一緒になった。
この子は、わたし達のことを知っている、数少ない友達の一人だ。
軽く挨拶を交わすと、弓佳はぐっと顔を近づけてきた。
「あのさ、ちょっと変なこと聞くけど」
「なに?」
「あんたって、藤枝先輩と付き合ってるんだよね?」
「そうだけど」
「じゃあさ」
「ん?」
「その、Hとかしたことあるの?」
びっくりして思わず足が止まった。ものすごい勢いで顔に血が上る。
「な、なに言ってるの! そんなことしてないよ!」
「ええ~? だって恋人同士なんでしょ。したっておかしくないじゃん」
「そ、それは……」
そうかもしれないけど、そんな事、考えただけで気が遠くなりそう。
「じゃあ、キスは? キスくらいはしてるでしょ?」
「う、うん」
しまった。正直に答える必要なんてなかったのに。
「うわー。で、どんな感じなわけ? あたしってまだしたことなくってさ」
「どんなって、言われても困るけど……」
ホントに困る。う~ん。
「……頭がぽうっとなって、胸がドキドキして、気持ちよくって」
「やっぱり気持ちいいんだ。いいなあ、あたしも早くしてみたい」
「弓佳かわいいから、相手なんかすぐ見つかるでしょ?」
ホント、わたしなんかより弓佳のほうが、ずっとモテそうなんだけど。
「そんなことないって。引っかかるのは変な奴ばっかでさ。
そんなのとするんだったら、雪音の方がずうっといいよ」
「え~? なにそれ」
なんだか話が、変な方向に向かっているような気がするな。
と思っていたら、いきなり弓佳が手を握ってきた。
「なんだか、ものすごくしたくなってきちゃった。ねえ、してもいい?」
「え! だ、だめだよそんなの」
あわてて手を振り払おうとしたけど、弓佳は放してくれない。
「いいじゃん、減るもんじゃなし」
弓佳は自分のほうへわたしを引き寄せようとする。
ここは人通りも少ない場所で、誰かに見られたりする心配はないけど、
いや、見られなければいいってわけじゃ……。
「だめー! 雪音は千晶さんのものなの!」
目をつぶって、思わず叫んでた。
驚いたように、弓佳が手を放す。
そのまま身構えていると、押し殺したような笑い声が聞こえてきた。
ゆっくり目を開けると、いたずらっぽく笑っている弓佳の顔。
「……いやあ、ちょっとした冗談だったんだけどね。
すごいセリフ聞いちゃったなぁ」
え? え?
「あたしもそんなにラブラブしてみたいよ」
もうどうにもならないほど、顔が赤くなっているのが判る。
「ひどいよ、弓佳~」
もっといろいろ言ってやりたいのに、
こんな言葉しか出てこないのが悔しい。
でもその後、わたしが本気で機嫌を悪くしているのに気付いて、
用事を終えて校舎に戻るまで、ずっと弓佳は謝り続けてくれた。
(まあ、半分遊んでたような気もするけど。
頭を撫でるくらいはともかく、肩を抱いたりもしてたし。)
それで、弓佳の教室の前で別れた時には、すっかり気分も直っていた。
そのまま、ふんふんと鼻歌交じりに自分の教室まで来ると、
入り口の前に、人だかりができている。
中心にいるのは、千晶さんだ。
上級生が下級生の教室まで来るのは珍しいし、
その上、やって来たのが有名人だから、人が集まっていても当然だ。
無表情で無愛想だ、なんて言われる事もあるけど、
それ以上の魅力で、千晶さんは学院でも一、二の人気がある。
だから、わたしの教室にまで来た事なんてなかったのに、なぜ?
疑問に目を丸くしながら立ち尽くしていると、
千晶さんがわたしに気付いた。
周りの生徒をそっと押しやって、こっちへ歩いてくる。
そしてわたしの前に立つと、じっとわたしの顔を見下ろしたまま、
まるで身動きしない。
その表情は平静そのもので、いつもと全然変わらない。
なのになんだか、すごく怖いよ。
「あ、あの、千晶さん?」
「なに?」
勇気を振り絞って声をかけたけど、返ってきた声は氷点下。
理由はわからないけど、これは……。
「なんだかものすごく、怒ってないですか?」
「そう。私は怒っている」
びくびくしながら聞いてみると、予想通りの答え。
でも、どうして?
「親しすぎる」
「え?」
「あの子と親しすぎ」
あの子? あの子って?
「さっき、自分の教室の窓から、何気なく渡り廊下を眺めていたら、
あの子とイチャイチャしている、雪音が見えた」
弓佳のこと? ああ、そうか。肩を抱いたりしてたから。
「あれは違うんです。私は千晶さん以外の人なんて……」
弁解しようとすると、千晶さんは首を振った。
「雪音がそんな子じゃないって事は、わかってる。
けれど、この気持ちは、どうにもならない」
「それって……」
「要するに、私はヤキモチをやいている」
きっぱりと、あくまでも淡々とした口調で、言い切る千晶さん。
わたしは目をぱちぱちさせるばかり。
「そ、そうなんですか」
「だから」
「だから?」
「これは、私にヤキモチをやかせた罰」
言うなり千晶さんは、わたしを強く抱き締めた。
突然の成り行きに、いままで呆然としていた生徒たちから、
甲高い悲鳴が上がる。
「ちょ、ちょっと。みんな見てますよ!」
「ちょうどいい。雪音が誰のものか、みんな理解するだろう」
「そ、そんな……ん、んん!!」
抗議しようとして開いた口が、千晶さんの口でふさがれる。
その甘い感触と、嵐のような悲鳴の中で、
いつか私は、気を失っていた。
とりあえず投下、今度は朝編
「……うーん………」
何か少し眩しいな、と思った
この感覚は生まれた時から数えきれないくらい体験したから分かる、朝が来たんだ
窓際の棚に置いてある目覚まし時計に目を見やる
(まだ目覚ましが鳴る30分と少し前だ、もう一度寝ちゃおうかな……)
僕は迷う間も無くもう一度深くタオルケットを被った
「……ヅミ、起……くれ」
誰かに身体を揺さぶられ呼ばれた気がするけれど、寝起きの悪い僕は起きるのがなかなか辛い
声から逃れる様にますますタオルケットにうずくまる
「ツヅミ、起きて欲しい。キミが起きないとお義母様が困るし、何よりツヅミとの一日が始まらない」
「んもぉ~……まだ目覚まし鳴って無いからいいじゃん……」
何で僕はこの時に気付かなかったのだろう
どう考えても違和感あり、自分の鈍感具合と寝起きの悪さを少し恨んだ
「キミにないがしろにされると、こんなにも胸が苦しいとはな……
昨日、私に囁いてくれた愛は偽りなのか……?」
何かが明らかにおかしい事にやっと気づく僕
急いでベッドから飛び上がり、声の主の方に振り向く
そこには僕の母さんとは全くの別人が立ち膝で座っていた
主南先輩、いや……クーだ
瞳に涙を少し滲ませながら、僕を上目使いで見ていた
僕は尻餅を着いて両腕をバタつかせながら慌てふためく
「なっ、なんで先輩…じゃなかった、クーが僕の部屋にっ?」
「その様子だと押し掛けてしまったみたいだな……すまない
ただツヅミと一緒に居られる時間を僅かでも無駄にしたくなかったのだ」
クーは少し顔を背けて伏し目がちに言った
その仕草に僕はクーに悪い事をしてしまったんだな、と感じた
「謝るのは僕だよ、クーがわざわざ僕を起こしに来てくれたんだから
さっきはあんな態度してごめんね……母さんだと思ってたから適当にしちゃったんだ」
「では、決して私を嫌いになったのでは無いのだな……」
「あんな事で嫌いになったら、それはそれで問題になっちゃうよ」
瞳に溜めた涙をハンカチで拭うクー
ハンカチをブレザーのポケットにしまい、いつものクールな表情に戻り僕に言った
「では和解の印にキスを交そう、朝のキスも兼ねて……な」
唐突過ぎる事態に僕の頭は薄い靄が掛かる
またしても両腕をジタバタする事しか出来ない
非常に情けない状態だった
「なっ、仲直りでキスはスゴイ大袈裟だと思うよっ!?」
「何も気にする事は無い、恋人は食事と同じ様にキスをするのだろう?
だから最低でも一日三回はキスをしよう」
そう言いながらクーは僕に歩み寄る
大して広くはない部屋なので、僕は後ずさりしてすぐに背中に壁が当たった
クーはすかさず僕の両腕に手を掛け、壁に押し付けた
抵抗をしたけど僕より10cm以上も背が高い上に
スポーツも万能なクーは単純な腕力も僕より上みたいなので、全く腕が動かなかった
見た目を細い腕なのに、凄く力強かった
「わかったよ、でもあまり激しいのは……ダメだからね?」
「………」
そう僕が言い終えると突然にクーの動きが止まる
僕とクーの顔との距離は20cmくらいしかない
クーは相変わらず表情を変えない……が、彼女の形が良く綺麗な鼻から赤い液体が流れた
―――ツー……ポタッ―――
クーは液体、つまり鼻血が床に三滴程垂れてから力無く座り込んでしまった
僕は急に鼻血を出してしまったクーにただ呆然としていた
「フッ……フフフッ………」
「ク、クー? 大丈夫……?」
クーはすかさず鼻と口元をハンカチで抑えながら、肩を小刻みに震わせながら笑っている
「ツヅミ、キミは私が思っていた以上…いや、正直なところ私はツヅミを甘く見ていた様だ」
「へっ? え、えーと……」
困惑する僕に構わずクーは続ける
「キミが顔を紅潮させ視線と顔を私から背け、いじらしい事を言うから
私の思考は限界を容易く越えてショートしてしまった、その結果がこの鼻血だ」
鼻血が出た理由に少し呆気に取られてしまったけど、すぐに意識を戻して
ゲームラックに備え付けてあったウェットティッシュをクーに渡した
「うーん……ハンカチはすぐに洗濯しないとダメだから、僕が責任を持って洗うね」
「すまない、迷惑かけてばかりだな……」
「大丈夫、僕はクーのいろんな一面を覚えられるから気にしてないよ……
ってあんまり時間無いみたいだから急がないとっ」
「むぅ、今度から時間に気をつけなければ」
僕はクローゼットを開けて、シャツとズボンに手を掛けた
パジャマのズボンを脱ごうとした時、クーの視線に気が付いた
今回の投下はここまでです
>>518
リアルタイムで見ていたからどんな風に話が進展するかを楽しみにしてしまったよ
GJ
さて、ひとつ投下してみようかな
2レス程借りるよ
つ【お花見の場所取り】
男「あぁ暇だなぁ…。ゼミでやるお花見の場所取りを押し付けられちゃったよ。
持ってきた本も全部読んじゃったしなぁ…。まあひなたぼっこは好きだから
いいんだけど…。どうせならクーと一緒にお花見したかったなぁ…」
ク「ふふ。すごく嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
男「…!クー、なんでこんな所に…///」
ク「私も研究室の花見会の場所取りの大命を仰せつかったのだ。さて、君の隣に
陣取ってもいいかな」
男「クーなら大歓迎だよ」
ク「男よ。私が作ったお花見用の食事があるぞ。楽しみにして欲しい」
男「すごく楽しみだよ。甘いものもあるかな?」
ク「無論だ。今日、君のゼミが花見会だから、私は研究室の花見会をこの日にし
ようと提案したのだ。私は少しでも君と一緒にいたいからな」
男「そんな風に言われると、すごく照れちゃうな…///」
ク「照れた顔も素敵だぞ。しかし、実に桜がきれいだな」
男「うん。そうだね。本当に桜がきれいだよ」
ク「男よ。乙女心に疎いな。こういうときは君のほうがもっときれいだ、とでも
言うべきだぞ」
男「ごめんね。ええと…///…君の…ほうが…もっときれい…///…だよ…///」
ク「ふふ。やはり、君にはこういう台詞は似合わないな。君は君のままが一番だ。
あんなことを言ってすまなかった」
男「クーったらひどいな。だけど、今日はあったかくていい陽気だね。何か眠く
なってきちゃったよ…。クー、おやすみ」
ク「相変わらず寝つきのよさは素晴らしいな」
男「…zzz」
ク「やはりシートだけでは寝心地も悪かろう。どれ、私の膝を枕にしようか」
男「うーん…むにゃ…」
ク「寝顔もこんなに素敵な男だ。彼の恋人になれて、私は本当に幸せ者だな。し
かし、私も眠くなってきてしまったな…」
-----------------------------------------------
群集「ざわ…ざわ…」
男「うーん…何か騒がしいな…。…!何で皆が僕たちを囲んで…」
ク「…おお、眠ってしまったか。男、おはよう」
男「えっ!どうして、クーが膝枕しているの…///」
ク「君に良い寝心地を提供してやろうとしたのだが。私も寝てしまってな。気付
いたら夕方になってしまった」
男「夕方って、皆がお花見に来る時間帯じゃないか…」
友人「おう。今来たぞ。しかし、お前さんたちは必ず何か話題を残すな。見てい
て飽きないな」
群集「もしかして、あれが噂の校内一の熱愛カップルかな…」
群集「多分、そうだよ。広場で弁当を食べているところを見たことがあるよ」
ク「男よ。私と君の仲は予想以上に有名であったようだな」
友人「良かったな。この有名人。うらやましいぜ」
男「///…すごく恥ずかしいな。明日から大学構内を歩けなくなっちゃうよ…」
ク「逆に考えれば、私と君の仲は周知の事実になったのだ。構内で手をつなぎあ
っても君が恥ずかしがる必要がなくなったのではないかな」
男「僕はそういう問題じゃないような気がするよ…」
とりあえず終了
魂が震えた…GJ!
>>505
GJ!
読んだら逆に、百合クー成分が補充したくなったよ。
新作でも続編でもいいので更に投下してくれると嬉しいな。
>>526
最後以外全部見た事あるwww
続きwktkしてますが、
あなたのペースで書いてくだちい。
どMなんで逆にきm(ry
芥川のラブレターは素直クールじゃないかとおもた
投下行ってみます。
2レス程お借りします。
『いつもと違う朝』
男は目を覚ます。
「クーおはよう、あれ?」
いつもは彼に、抱き付いて寝ている彼女の姿が無い。
「何処行ったんだろう……」
彼はつぶやく。
男はベットから出ると、クーを捜し始めた。
彼女は直ぐに見つかった。
男は彼女の姿を見て驚く。
「クーどうしたの!」
クーは男に気付き、彼の方を振り向く。
「見れば分かるだろ」
クーの右手には包丁が握られている。それはキラリと妖しく光る。
男はクーに近付こうと歩み寄る。
彼女はそれに気付き叫ぶ。
「私に近付かないでくれ! 君まで傷付けたくないんだ」
男は叫ばれた事に驚き立ち止まる。
彼はクーの手に付いた傷を見つける。
「私は君にもっと愛されたい、そのためにも君好みの彼女のようになりたいんだ」
男の顔は青白くなる。
彼は昨日、会社の同僚――彼女の事をクーに喋ってしまった。
「クー、そんなに気にしてたんだ……ごめん」
クーは謝る彼を見つめていた。
突然、彼女は包丁を振り上げる。
「男、見ていろよ……くっ」
彼女の手から血が滴る。
「ははっ、私では彼女のようになれないようだ」
クーの目には涙が浮かんでいた。
男は彼女に駆け寄り抱き締める。
彼は優しく話し掛ける。
「僕は今のままのクーが好きなんだ、クーに愛してもらえれば他は要らない」
彼は続ける。
「彼女からの好意も受け取らない」
クーの目から涙が流れ落ちる。
「こんなに愛されているなんて、私はとても幸せだ」
彼女の手から包丁が滑り落ちる。
包丁は床に落ち、金属音が鳴り響く。
その音が鳴り止んでも二人は抱き合い続けた。
しばらくし男は口を開く。
「クー約束して欲しいんだ」
彼は真剣な表情で話す。
「僕は手作り弁当を貰わない、だからクーは料理を作ろうとしないで」
以上です。
ありがとうございました。
料理下手すぎワロタwww
>>522
すごくほんわかした。この板にぴったりな感じ。
でも、そんなに有名になっているってのは、
いろんな普通じゃないエピソードがありそうで気になる。
>>526
紹介ありがとうです。
でも残念ながらみんな既読だったのでやっぱり続編もしくは新作希望。いつまでも待ちます。
しかし、みんな同じ作者だったのか……。百合ネタって、書き手はかなり少ないのかな。
ひょっとして需要も少ない?
>>533
かんばるクーもいいが男もかっこいいね
GJ
>>535
何回かネタ投下するとどうも自分の中だけで男とクーの世界観ができてしまって
いやはや申し訳ないです
>>537
あれ、別に非難なんてぜんぜんしてないつもりなのですが、そう見えたならごめんなさい。
「気になる」というのは、単に「良かったのでエピソードがあるならもっと投下希望」と
言いたかっただけで、誤解させてしまったのならこちらこそ申し訳ない。
>>538
申し訳ございません
お褒め頂いたのに不快な気分にさせてしまって
ただ良い出来になるかわかりませんが
次の話も期待していただいて本当に嬉しいのです
ちなみにいくつか似たようなスタイルで投下しているのがあるので
それがそのエピソードの一部と考えていただけると幸いです
これからエピソードをさらに増やせるように努力をしていく所存ですので
これからもよろしくお願いしますね
お題があったら適当に書きます
【Ghost of Honest Cool】
つ【ファービー】
つ[入学式で男に一目惚れ]
「幸せそうな素直クール」
>>542
これは素晴らしい、SS書いたりして年月が浅くまだそんなに投下数は少ないですが
イメージ画をいただけたのは初めてです、本当に感謝です
応援してくださる皆さんにも感謝です
ふと思ったんだけど、このスレならGJ(GOOD JOBorGOD JOB)じゃなくGC(GOOD
COOL)じゃまいか?
わかりにくいのでGJでいいです。
GCだとゲームキューブかガスクロマトかわかんないです
GOOD COOLだと音ゲー好きは微妙に反応しますな
ちょっと長めの投下
7レスか8レスほど
―――どうやら私は、素直ということらしい。
そも、私の生まれは山と山の谷間に位置する村落 俗に言えばまさに陸の孤島の
ような場所であり、私はそこで外の世界もおしゃれもお化粧も知らぬまま中学ま
では小さな分校で年も男女も一緒くたにされて過ごし、高校も数十キロ先に一つ
だけある、とても満足いくとは言えないようなところに通った
しかし2年の時祖母がお前は都会に出た方がええ、と言ったものだからこのまま
家族やお隣のたかし君と一生この村で暮らすのだと思っていた私の考えはそこで
覆されることになり、それからというもの私は大学受験の為の勉強に身を傾けた
すると今度は父が都会出るっつーに訛っとってはいかんなァ、と言い出してある
人を紹介してくれた
村役場に勤める30前くらいのその人は村の住人の中で唯一都会から来た人で、私
はその人にいわゆるヒョウジュンゴというやつを教わることになった
生来荒々しい訛りを聞き使い暮らしてきた私にとってヒョウジュンゴというもの
はただそれだけで洗練されたとても格好良い言葉に聞こえて、元々良い人だった
のかヒョウジュンゴの効果なのかなんて今となってはわからないけれど、落ち着
いた物腰と丁寧な標準語で丁寧にヒョウジュンゴを教えてくれたその人は確かに
素敵だった
一介の田舎娘が毎日同じ男の人と顔を突き合わせていればそうなるのも自然なの
だろうか 思えばあれが初恋だったのだろうか 今となっては知る由もない。
ともあれ私は無事東京の中堅私立に合格することが出来、村を離れ一人暮らしが
始まった
ヒョウジュンゴもようやく標準語に、様になってきたように思う
そうして一回を終え無事進級し夜に独り親の顔を思い出して俯くことも少なくな
り都会の空気というものにも慣れ始め、ここでようやく私にも同年代の若者達が
あふれる大学でひたすら一人講義を受け続けるのはどうも物悲しいと気付ける程
度の精神の余裕が生まれた
新入生でない者が新歓イベントに近付くというのも妙な話だけれど、行ってみな
ければどうしようもない 半ば諦観して飛び込んだ長机には、よくわからない派
手な花の挿絵と共に南方文化研究会と描かれたパンフレットが置かれていた
勧められるがまま話を聞いてみると研究会と言うのは名ばかりで、現地視察とか
こつけて沖縄だの何だのに旅行に行ったりせいぜい皆で食事会、コンパ、と言う
らしいそれに行ってしーくわーさー、よくわからないが説明してくれた彼はそう
言っていた、を注文してみたりと活動らしい活動はその程度、要は馴れ合いサー
クルということらしかった
どうせやりたいこともない、このまま入会してしまおうかと考えながら二言三言
会話を交わしていると急に長机の奥から面白いしゃべり方するなぁ、女の子?
と男性らしからぬ明るい声で話しかけてくる人がいた
そうだヒョウジュンゴを教えてもらったはいいものの、教えてくれた彼が男性だ
ったために私もまるで男のような口振りで覚えてしまったのだ
一回生のうちに周りにいた都会の女の子達のかわいらしい言葉遣いなり何なりを
真似しておけばよかったのだが私はそうもしなかった
これを捨てたら一緒にあの人まで忘れてしまうような気がしてどうもやめる気に
なれなかったのだ
それに、このヒョウジュンゴは唯一モノとして残った、私に彼がいてくれた証明
なんだなんて色ボケた考えだったけれど正直私はこの話し方が嫌いではなかった
その時わかったやはり私はあの人のことが好きだったのだろう
とは言いつつもこの口調について他人に触れられたことなど一度もなくましてや
面白いなどと言われて私はどうせ顔には出ていないのだろうが一通り心の中で狼
狽した後どう対応すればよいのかわからず申し訳ない、昔から癖なんです。 と
まるであの人に責任を押し付けるような少し厭な言い訳をした
すると彼はいや謝らなくてもいいって、なんかカッコイイじゃん! と言ってく
れた
カッコイイのか、少しでも格好良かった彼に近付けているのだろうか
何故かその頃私はことある毎にあの彼の事を思い出していた それほど私は独り
を淋しがっていたのだろうか 今となってはどうでも良いことだけれど
でも、彼にそう言われた時、私は確かに嬉しいと思った
都会の女の子のようなかわいらしい喋り方になんとなく憧れていたけれど、初め
てこの口調でよかったと思えた それほど彼の一言は大きかった
結局ほとんどその一言がきっかけで決意が固まり、私はその日のうちに入会を済
ませた
しかし、二回生は二回生同士で既にグループが出来ているし、実際二回からいき
なり入って来た私は同輩の目にさぞ不自然に映ったことだろう いきなり先輩と
つるもうとする新入生もそうはいない 結果私は浮いていた
そんな私に話しかけてきてくれた人がいた
髪を軽く脱色し少し目が大きい彼
名前を河内君と言った 同じ二回生だった
あの時の彼だった。
私はとても嬉しかった
話しかけてくれた人がいたことが そして何よりその人が彼だったことが
謝辞を込めて私が適当に話が切れたところで話しかけてくれてありがとう、と言
うと彼は面食らったような顔をして言った
素直だね、と。
一体私のどこが素直だというのだろう
山奥の小さな村からのこのこと上京してきて右も左もわからず自分で問題を解決
することも出来ず人に尋ねることも出来ずひたすら独りでいることしか出来なか
ったこの私が。
しかしその言葉の意図はわからずとも優しく微笑みを浮かべる彼は何を言っても
人を喜ばせる力があるような気がした
事実私はそう言われて嬉しかった
それからというもの彼とはよく話すようになった
他愛ない話ばかりだったがやはり私は楽しかった
半年ほど経ったある時出身の話になり彼が東京が地元だと言うので私は福島だ、
と返すと彼はへぇ~じゃあやっぱり方言とかあるの? と興味ありげに聞いてき
た
人間という生き物は意外に薄情なものらしく、あの村を離れてもう一年半 私は
今更訛りを話すのも何だか気恥ずかしくなっていた
たった一年半で故郷の言葉を恥じるなんて私はどうしてしまったんだ、ああそも
そも素直に福島だと答えたのがまずかったか……ふむ、もしかして彼が前に素直
だと言ってくれたのはこういうところなのか等と思考を巡らしていた
そんな余計な事ばかり考えながらも会話を途切れさせまいと内心必死になってい
たものだから もぉ東京来て長ェから、とっくに忘れちまった と、気付けば私
は矛盾だらけの嘘を口走っていた
しまった、と思った。
自分の身勝手から出た下らない嘘とはいえ人を騙してしまった 彼を騙してしま
った 自分の実に愚かで醜い本心を露呈してしまった
ああ彼に嫌われるかもしれない 軽蔑されるかもしれない どうすればいい
体の芯が冷えきっていくような感覚の中で聞こえたのは、彼らしい明るい笑い声
だった
どうやらその笑いは私に向けられているらしい
「利恵ちゃん、面白いなぁ。なんか真面目で」
彼は、こんな嘘をついた私を真面目で面白いと言う
私はわけがわからなかった
でも、前にも見たことのある優しい笑顔で私を見つめる彼を見ていると ああも
しかして彼は冗談として受け止めてくれたのか、なんと寛大な男だろう
私はそれを甘んじて受け入れ話を続ければよいのだろうか 続けてよいのだろう
か と欺瞞が自分の中に見え隠れし始めた
いやそれではいけない私の汚い嘘を穏やかに収めてくれた河内君に礼ないしは謝
罪をしなければ
しかし笑顔のままで私の次の言葉を待っている彼に真顔で正面を切って謝るのは
いかがなものか、という自己弁護も混ざっているであろうがこの場では妥当かと
いう判断を私は何とか下すことが出来て その瞬間ふと蘇ったあの村役場の彼の
顔もそれにまつわる郷愁も全部振り切ることが出来て、そして私はこれまで一年
半の間幾度となく耳にしてきた都会の女の子のかわいらしい話し方を精一杯思い
出して それでもひねり出せたのはたったの一言、ごめんね、それだけだった。
すると河内君は少し顔を赤くして彼にしては珍しくどもりながらい、いいよ と
言ってくれた 許してくれたようだった
そしてさっきまではちゃんと私に合わせてくれていた視線を急に所在なさげに泳
がせながら河内君はらしくないぼそぼそとした声で何か言ったあとそそくさと私
の隣を離れていった
その事以来私は何だか彼を妙に意識するようになってしまった
いや 前からそれはあったのだ
こないだの件でようやくそれに気付けただけの事なのだろう
一方 河内君は最近私に話しかけてくれることが前より増えた でも口数は逆に
減ってしまって、何だかぼんやりとした目で私を見つめていることが多くなった
私は大きな勘違いをしているのではないのだろうか、それも実に自信過剰な。
この疑問も今までなら独り悩むことしか出来なかった
しかし今は聞ける相手がいる
問題は聞く人間が答えを持つ人間と同一人物であることだが、不器用な私にそれ
以外の方法を考えつくことなど到底出来ない
何より私はもうこの衝動を抑えることなど到底出来ない
どんな答えであろうと自分の気持ちを伝えるのみ それが不器用な私に出来る最
大の解決策だった
しかし質問という形をとる以上質問者が回答者の元に訪れるというのが筋であろ
う
だから私は部室の中で別のグループと談笑している河内君の元に自ら向かい他の
友人達に一言断りを入れ彼を少しだけ拝借することにした
どうしたの? と椅子に座ったままうわずった目でこちらを見上げる彼に
君は私のことが好きなのか と聞いた
その瞬間部室内がしんと静まり返った
特に皆に向かって何か言ったわけでもないのに何故黙るのかと不思議に思いなが
ら私は彼の答えを待っていた
すると河内君はさっきまでのうわずった目はいつの間にかどこかへやってしまっ
ていて。
そして私の知っているあの明るい笑顔で、ああ、好きだよ。と言ってくれた
よかった、と思った
自分の何の根拠もない疑問が幸運にも当たったこと いや、そんなことはどうで
も良い
彼が私を好きだとわかったことが それがただただ単純に嬉しかった
自分の想いを伝える下地は整った しかしまずは質問にちゃんと答えてくれた彼
に礼をすべきだろう自分の主張はそれからだ、そう私は考えた
しかしその時私はとても嬉しくて嬉しすぎて舞い上がってしまっていて、だから
私は息もつかぬうちに
ありがとう、私も君のことが好きだ、大好きだ、ありがとう
と、自分の意志を伝えようとする意志が意識に現れるその前に私はすでにそう言
っていた
そこで部室内は蜂の巣をつついたように騒がしくなり始めた
ふと河内君と目が合った
部室の喧騒に目を丸くしていた彼は私に優しく微笑んでくれて、素直だね、と言
ってくれた
ああそうか 私が好きなこの人はあの時から私の知らない私を知ってくれていたんだ 自分で気付けぬ部分にも気付いてくれたんだ
だから私は彼が好きなんだ
彼の言うことなら間違いあるまい―――どうやら私は、素直ということらしい
そう気付かせてくれた彼と出会ったのは二回生の時、季節は秋口のことだった。
いじょです
方言は適当です><すいません><
>>560
GJ!!
適当もなにも方言一言しか出てこないじゃまいかw
どんな風に喋っているのか明示しないじれったさがいいのかなあ、
りぼんの短編読んでるみたいにきゅんとした。
なんだか河内くんに萌えてしまうw 女の子一人称だからなのかも。
こういう感じの話って好きだな…GJ!
細かいところ突っ込んでアレなんだけれど、東京だと二回生ではなくて二年生にした方がしっくり来ると思う。
(あ、でも関西方面から来たという設定ならいいのかな…)
えっ東京だと回生って言い回し一般的じゃないのか
ごめん何も考えてなかったよ
コノヤロウ!GJ!
オレハ フクシマケンミナンダゾォー!!
>>560
GJ
関東在住だけど確かに関東じゃ回生表現を使う人は周りにはいなかったね
昔関西の人に会った時に3回生とか言われたことがあって
そういう表現をするんだと思ったことがある
ということで
>>550からちょっと考えた急造ネタを投下
つ【男、クロマトグラフィーを学ぶ】
男「うーん。分かんないなぁ…」
ク「男よ。どうしたのだ」
男「今勉強しているんだけど、ここが分からないんだ」
ク「ほぅ。これは化学ではないか。君は文系なのになぜこのようなことを」
男「教養の単位で必要なんだけど…」
ク「しかし、確か専門とは異なる他の文系科目でも良いのではなかったのかな」
男「文系も理系のことは少しでも知っておいたほうが良いと思ったんだ。」
ク「実に広い視野を持っている。素晴らしいぞ」
男「後、クーは理系でしょ。クーが嬉しそうに研究で何か見つけたとか言っているよね。
僕は良く分からないから、少しでも言っていることを理解したいと思ったんだ」
ク「何と嬉しいことを…。さあ、何が分からないか言ってみたまえ。私の持てる力全て
を君にささげよう」
男「ありがとう。で、ここなんだけど…」
ク「む。クロマトグラフィーか」
男「うん。この説明が良く分からないんだ。簡単に教えてくれないかな」
ク「クロマトグラフィーというのは混合物を分離、検出する手段だ。一概に色々な原理
があるが、ここではカラムクロマトグラフィーを例にしようか」
男「それでどうやって分離をするの?」
ク「カラムという筒に詰め物をする。この筒に混合物を入れて、液体とかを流すんだ」
男「それで原理が良く分からないんだ」
ク「物質ごとにこの充填物とくっつきやすいかくっつきづらいかという性質を利用して
分離するんだ。くっつきづらい物はすぐこの筒から出てくる」
男「逆にくっつきにくい物はなかなか筒から出てこないということ?」
ク「そうだ。これを利用すればくっつきやすい物とくっつきづらい物を分けることが出
来る。このようにして物質を分離したり、どのような物があるかが分かる」
男「そういうことなのか。教科書の用語とかが専門的過ぎてよく分からなかったよ」
ク「教科書は分かりづらい表現が多いからな。それで教科書と呼べるか甚だ疑問
だと思うのだがな…」
男「でも、結構原理は簡単だね」
ク「いや。実際にやるとこれは難しいんだ。様々な条件を整えないとうまくいかない。
うまくくっつかなくて分かれなかったり、くっつきすぎて出てこないこともある」
男「つかず離れずが一番いいんだね」
ク「まあ、そういうことになるが、例外というものはあるし、分離できないものもある」
男「それはどういう場合なの?クー」
ク「それは私の心だ。どのような手段を使っても君と離れることは無いぞ」
男「クー、そんなに僕にくっついてとても嬉しいけど恥ずかしいよ…///」
ク「無理だ。どんな担体や溶媒を使っても分離することは不可能だぞ」
とりあえず終了
ところで先日大学院で配布されていた専攻概要の序文に
「素直で賢い研究者になってください」と書いてあったんだけど
これは素直クールになれということなのかな
>>569
ここに一人素直クールが誕生した・・・
GJだ!!
魂が震えたぜ…GJ!
>>569
理系の話はまったく分からないが
やっぱり素直クールは最高だという事は分かった。GJ!!
ちくしょー、こっちのスレまだ生きてたのね…。
vipに投下した奴投下したほうがいいかい?
是非頼む
>>574
是非お願い
ところで避難所でも言ったんだけど
vipの148以降のログ持っていたらwikiに保管してくれないかな
じゃあ
>>541のお題のやつを投下しますね。
8レスほどいただきます。
読んだと思った方はそのまま目をつぶってください。
彼女が亡くなったのはつい先日で、ちょうど僕が仕事をしている最中だった。
残念ながら彼女の死に目に会うことができなかった。
いつも、愛していると言う彼女はもういない。
いつも、君といる世界が好きだと言う彼女はもういない。
そう…。もう彼女はこの世にはいない。
悲しいかと言われれば悲しい。だけど、正直言ってよくわからない。
つい昨日までいた人が、ふと、いなくなる。つい昨日まで一緒にいて、つい昨日体を重ね合わせたあの人が、いない。
どこかのヒーローみたいに、なぜ僕じゃないんだと、自責の念にかられた。
でも、所詮それは嘘に塗り固められたヒロリズムに過ぎず、僕はただ彼女の死を認めたくはなかった。
彼女の死から数日。やっと彼女の死を認めた。だが僕はまだ、立ち直れないでいる。
毎日、飲んで、飲んで、会社にも行ってない。
彼女がいないこの世界はこんなにも不安定なのかと。
彼女がいないこの世界はこんなにもつらいものなのかと。
彼女がいないこの世界のどこに真理があるのかと。
色々考えた。
彼女がいた日々は、それはそれは楽しい日々だった。
彼女がいればそれでよかった。全てうまくいった。
彼女のために働いて、彼女のために死のうと。
そう思っていた。
でも、その最愛の、人はもういない。
胸に大きな穴が…。難しく言えば、僕は僕を見失った。
ある日の晩のことだ。僕は不思議な体験をした。
いつものように酒を飲まれるぐらいに飲んでいた。だがこの日はいつもより早くつぶれてしまい、早い段階で寝てしまった。
そして、いつもは見ない夢をみた。
場所はどこだったかは定かではない。でも、クーが――僕の最愛の人、クーがそこにいた。
「ずいぶんと飲んでるみたいだな…」
彼女は心配そうな顔をして、そう言った。
「クー?クーなのか?」
僕がそう問いかけると、彼女はこくんと頷いた。
「久しぶりだな。男」
「今更、何しにきたんだよ」
「感動の再開なのに随分と冷たいんだな…」
「誰のせいで、こんな飲んだくれになっているのかわかってんのか?」
「仕方ないじゃないか。私も死にたくて死んだわけではない。寿命だったってことさ」
「で、でも君は言ったじゃないか。僕と生きて僕と一緒に死ぬって」
「あぁ。言った。そしてその思いは今も変わらない。最愛な君と共に…」
「でも、でも、君は約束を破ったんだ…。僕はもう君と会うことができない…。僕はもう君と…」
「いいか?男。辛いのは君だけじゃない。私も……、私も辛いんだ…」
彼女はそういうと突然泣き出した。生きている時は泣きも怒りも恥ずかしがりもしなかった彼女は今、泣いている。
少し、僕は反省しないといけない。彼女の気持ちを察するべきだった。
彼女は不意に死んだのだ。僕は彼女を失ったが、彼女もまた僕を、失った。
それがどれほど、辛いことか、僕は早く察するべきだった…。
「ご、ごめん、クー…。お願いだから泣かないでくれ。今まで君の涙なんて見たときないからどう対処すればいいかわからないよ…」
「えぐ……か、簡単なこと…グ、今すぐにキスを……エグ……して……」
「な~んだ簡単なことだ!っておい!君は幽霊、僕は実体。触れ合うことなんて…」
「ちっ…」
「今舌打ちしたよね?舌打ち。なんだよ。泣きまねだったのかよ…。ものすごい深いことを思ったのに…」
「すまない。少しからかってみただけだ。しかしお互い体に触れることができないのはつらいな…。君を触りたいのに触れられない…。生き地獄だ」
「それがクーに対する罰だったりしてね」
「私は何も悪いことはしてない。それにそのような罰も信じない性分でね。君もよく知っているだろう?」
「まぁそうだけど…」
「おっと、もうこんな時間か…。男、君と話ができてよかったよ…。じゃあ…また来世でな…愛しき人…」
彼女が消えていく。このままでいいのか?と短い間で自問自答をする。
このままでいいのだ。と答えをだした瞬間に目が覚め、目からは涙が流れていた。
もう、彼女とは一生会えない気がした。
次の日、僕は何となく外に出かけることにした。天気もよく、何かが起こりそうな気がした。
いつもならこ期待はずれに終わるのだけど、今日この日だけは特別だった。
公園を散策していると、ある人影を見つける。その人影はある人物に似ている。でも似ているだけでどってことないだろう。と
無視して青いベンチに腰掛けて、物思いに耽った。
――――隣、いいかしら?
そっぽむいたままどうぞとだけ答えた。その声は、誰かに似ている。でも似ているだけだ。
あの人と同じ匂いがする。でもただそれだけだ。
――――こんな話知ってる?
なんです?
――――死んだ人間が生き返る話。
なんですそりゃ?
――――死んだ人間はそのままではなくて、一度だけ、しかも一日だけ蘇ることができるという話。あなたは信じる?
いいえ。
――――そう…。じゃあ、あなたの愛していた人が一日だけあなたに会いにきたとしたら?
そりゃあ嬉しいね…。でも、現実的じゃないな。
――――いいえ。あなたが今すぐ、横を向けば良いんです。その話が現実であることをあなたは認識するはず。
君のいる方向は振り向いちゃいけない場所じゃない?
――――大丈夫。地獄にはいきっこないわ。そもそもあの漫画自体非現実的よ。
僕は隣に座っている女性に顔を向けた瞬間に唇を奪われる。
そして、僕の目の前にいるのは…、そうやはり、彼女――クーだ。
クーがここにいる。
「ん…く、はぁ!はぁはぁ…。長すぎるだろうこのキスは…。いくら感動の再会とはいえ…」
「やっと、あなたに会えたんですもの、この数日間生きている心地何てしなかったわ…。あなたがいない世界なんて…」
「そりゃあ、君は死んでるからね…。それはそうと、しゃべり方変わってない?」
「どうも、無理やってこっちへきたから、少しおかしくなってるみたい。でも、あなたを愛する私は変わってないわ」
「そうか…。なにはともあれ、おかえり…クー…」
僕とクーはもう一度軽いキスをした。今日一日だけ、神と言う存在を死んだはずの神の存在を信じようと思った。
久しぶりの再会でやることといったら一つだ。そう愛し合うこと。それ以外にないのかよと言われると、堂々と胸を張っていえる。
僕とクーは体を何度も重ね合わせ、彼女からは脳が溶けてしまいそうなほど甘い言葉をかけられ、疲れたら休憩して、性病も何も心配することなく
至福の時を過ごした。
こんな日がいつまでも続けばいいと、乙女チックなことも考えた。でも、日が明けてしまった今、後数時間しか彼女といられない。これも事実だ。
彼女は料理を作ってくれた。僕が大好きだった彼女の手料理。最後の晩餐だ。
「そうだよ…。あの日も僕はこの料理を待っていたんだ…」
「私も、あなたのために料理を作ろうと家に帰る途中で…」
「なぁ…。こっちに居座ることはできないのかい?」
「できるのならしているわ。ずっとずっとあなたのそばにいたいもの。でも、できないのよ…」
「そうか…。しかし、美味いな…。もう食べれないんだな…」
「私も、もう愛しいあなたの愛らしい顔を見ることができないのね…」
「残念だ…」
「残念ね…」
「ねぇ、クー、僕がもし、君を忘れてツンデレ娘や素直シュールやヒート、鬱ンデレ娘の元へいったらどうする?」
からかわれたあげくマウントポジションを譲らなかった彼女にささやかな仕返しとして意地悪い質問をした。
彼女は少し。本当に少し考えて口を開いた。
「忘却こそ最大の幸福よ。私を忘れることがあなたにとってプラスになるのであれば大いに忘れてもらって構わないわ」
「そんな、それじゃあ君は救われないじゃないか」
「私の幸福はあなたの幸福。あなたが救われればあたしも救われるのよ」
「そうか…」
「でもね、男。私はあなたを愛し続ける。これだけは約束するわ。たとえ、あなたが私を忘れようと、誰とSEXしようとね…」
もの悲しそうに見えた彼女の表情は何か覚悟を決めたような語りえない表情をし、黙り込んだ。
もうすぐ、彼女はいなくなる。その現実を僕は受け入れることができるだろうか?
「そう、悲しい顔しないで…。あなたのその今にも泣きそうな顔、好きだけど、やっぱり笑ってほしいわ」
「笑えって?馬鹿言うな。笑えるわけないだろ?後もう、少ししかないんだ。君といれる時間は」
「いい?男。夢であったときも言ったけど、辛いのはあなただけじゃないの…わかる?」
「ん…、すまない…」
この後しばらく沈黙が支配した。
本当に会えないという事実
本当の本当に彼女を失うという事実
本当の本当の本当につまらなくなるこの世界
僕は生きていけるだろうか?いっそ彼女と…
「あなた、今私と一緒に逝こうとおもったでしょ?」
僕はぎょっとした。一瞬呼吸ができなくなってしまった。
「…………。はぁはぁ……な、なんでわかったの?」
「私を誰だと思っているの?あなたを愛するただ一人の女性であり、あなたの思考を唯一理解することができる女性」
「僕について知らないことは何もない…か…」
「そういうこと。あなたの考えてることはわかるわ。でもね、あなたを連れて行くことはできないわ」
「いやね、冷静に考えてみたんだよ。クーがいなくなるだろ?そしたらまた僕はどうしたらいいのかって。いっそ一緒にと思ったんだがやっぱだめか…」
「駄目よ。いい?あなたはいち早く私を忘れ、私というものを乗り越えなくちゃいけないの」
「乗り越える?」
「そう。乗り越えなくちゃならないの。いつまでもあなたは私を――死んだ人間を引きずってはならないの」
「忘れろって?君は僕にそういうのかい?」
「ええ。できないかしら?」
彼女を忘れる?何度となく流れ行く季節を見、何度となく体を重ね、何度となく認識し合った、その彼女のことを?
出来るわけがない。
「出来るわけないだろう…」
彼女はため息をつき、俯いたまま言葉を発した。
「でも、あなたは私を忘れないと…。きっとあなたはだめ人間になってしまうわ…」
「そう根も葉もないこというなよ。大丈夫さ、きっと」
「あるわよ。あなた、私が死んでから毎日飲んでるでしょ?」
彼女の一言に黙りこむしかなかった。
「だから、あなたは私を忘れなくちゃならないの。一刻も早くね…」
「本当の本当に?」
「えぇ。本当の本当に。ねぇ、知ってる?」
「何が?」
「死人はね、お星様になるんじゃなくて、壁になるの」
「壁になる?」
「そう」
「で、今僕はその壁にぶち当たってると?」
「そう」
「で、自力で乗り越えろと?」
「そういうこと。いい?私の死は事実で、本当にいなくなるの。あなたとは離れたくないわ。でも…」
彼女は小さく肩を上下し、声を殺して泣いていた。
「ふふ…、あなたの前では何があっても泣かないと思っていたのに…。駄目ね…」
「クー…」
「もうじき、時間だわ…。本当の本当にお別れ。もう会うことはないわ…」
僕は必死だった。彼女との最後の、本当に最後の思い出を作ろうと。彼女は忘れろというが、きっと僕には無理だ。忘れられない。
彼女というモノを僕の手元に何か残したかった。彼女がいたと言う証拠が…
「そうだ、クー、写真を撮ろう」
「写真?そういえば一度も撮ったときなかったわね…」
「僕が写るの嫌いだったからね。あまり撮らないようにしてたんだ」
「でも、そんな都合よくカメラなんてあるの?」
「確か、どこかにあったはず…」
ベッドの下、机の上、大事なものが入ってる場所だがどこにもない。
だめもとで引き出しをあけたら…。あった。それはあった。
「あったよ。クー。さぁ撮ろう」
「えぇ…」
僕とクーは寄り添い、シャッターを押した。カメラはカシャともの悲しい音を立てた。
それと同時に、彼女はもう行かなくちゃといって、最後にキスをして、さよなら、愛しき人と一言言って微笑みながら消えていった。
彼女がいなくなったこの部屋は異様に広く感じ、一人では何かに押しつぶされそうになる。ついつい、ウィスキーに手が伸びそうになる。
でもついさっき言われた彼女の言葉を思い出して、自分を制止する。
彼女が本当にいなくなって数ヶ月。僕は何とか生きている。酒に溺れることなく、ヒキコモリになることなく、普通に生きている。
彼女を忘れるため、新しい彼女を作った。このことでは非難をあびるかもしれない。
でも、忘却こそは幸福といった彼女のために、僕は新しい人と新しいスタートをきった。
この先、何度となく最愛の人を思い出すだろう。それは一種の呪いのように、消えては浮かんでくるだろう。
でも、僕はこの苦しみを乗り越えなくちゃならない。全ては最愛の人のために。
「ねぇ、男。この写真なんであなた一人だけで写ってるの?ちょっと心配しすぎて腕切っちゃいそう…」
「ん?あぁ。これ?実は、隣に移っているのさ…。幽霊が!!!!!」
「ヒッ!!」
「ハハハハ…。冗談だよ冗談…。さぁ、君の家へ行こうか。両親に挨拶しなきゃならないしね」
「次そういう冗談いったら、私、死ぬから…」
「わ、悪かったって…。さぁ、行こうか」
彼女の手をとり、外の世界へと繋がる方へと足を向ける。
もう、この部屋には戻らないつもりだ。
彼女とは結婚も決まっている。今日からは彼女の家で暮らすつもりだ。
この部屋はこのままだ。あの写真もそのままだ。
彼女には見えない、でも僕には見える最愛の人はここに置いて行く。
さよなら最愛の人、とぽつりと、彼女に聞こえないようにそっと言って
僕は、新しき世界へと歩を力強く進めた。
以上でございます。楽しんでいただければ幸いでうございます。
では、またどこかで。
>>586
GJ!
VIPでも読んでたけど、切ないね。泣けるよ。
>>586
VIPで読んだはずなのにまた泣けてきたよ
GJ!
ということで、こっちも投下
今回はちょっと長めに6レスほど借りるよ
つ【もう一つのGhost of Honest Cool】
男「ねぇ!クー、大事件だよ!大学新聞を読んだ?」
ク「あの新聞を信じているのかね。君は純真だな。まあ、その純真さが君の
良い所なのだが…」
男「今度こそ、本当の大事件だよ」
ク「しかし、前回は確か近くの川で河童を見たという記事であったし、その
前は近くの丘で宇宙人を見たという記事であったな」
男「確かにあれには騙されちゃったけど、今回は本当だと思うな…」
ク「もう一つ前は生命科学科でゾンビを製造しているという記事で、さらに
その前は近くの老人ホームでプレスリーを見ただった気がするぞ」
男「確かにあの2つにも騙されちゃったけど、だからこそ今回は本物だよ」
ク「非常に言いづらいのだが…。君以外の学生はあの新聞が日付以外は全て
誤報だと思っているぞ」
男「今回は本当だよ。ほら、"理工学部旧総合実験棟で霊を目撃"だって」
ク「ほう。今になってあの噂が再燃したのかね」
男「えっ?この噂を知っているの?クー」
ク「うむ。理工学部では有名な話だがな、あの建物はこの大学がここに建つ
前からあったのだ。どうも、元は病院だったらしい」
男「あの古い建物はそんな昔からあったの?」
ク「その上、病院だからな。この手の話には事欠かなかったぞ」
男「僕はそんな噂があるなんて知らなかったよ」
ク「まあ、理工学部内だけで有名だったからな。しかし、新総合実験棟が完
成して、引越も終わったから、来月には完全に壊されてしまうそうだ」
男「壊されちゃうのか…。そうだ!今晩一緒に探検してみようよ。クーは理
工学部だからあの建物の中は良く知っているでしょ」
ク「君は怖がりのくせにこういうことは好きだな」
男「だからこそ、僕はクーと一緒に行きたいんだよ」
ク「誰も行かないとは言っていないぞ。男が私を必要としているなら、私は
喜んで応じよう。ただ、今日は遅くなりそうだが良いかな?」
男「僕から頼んでいるんだから、いつでも良いよ。今晩、理工学部旧総合実
験棟の前でいいかな?」
ク「うむ。では、今晩、旧総合実験棟の前でな」
ク「すまない。研究実験が長引いてしまってな」
男「僕も今来たところだし、僕から頼んだことだから気にしなくていいよ」
ク「そうかね。では行こうか。瓦礫とかゴミが多いから気をつけたまえ」
----------------------------------------------
男「何か変な雰囲気だね」
ク「昔は病院だったからな。建物の構造自体が大学の建物とは異なるのだ」
男「本当に何かが出そうだね…」
ク「男よ。所々、床が腐っているところがあるから気をつけ…」
男「うわぁぁぁぁ!」
ク「男よ!大丈夫か?」
男「いたた…。いきなり床が抜けるなんて…。瓦礫とかゴミとかがクッショ
ンになって怪我は無かったけど…」
ク「そこで待っていろ。今すぐ、君の元に行くからな」
----------------------------------------------
男「クー、遅いな…」
ク?「君に会えるとは思わなかった!私は君のことを忘れたことは一度たり
とも無かったぞ!本当に私は嬉しいぞ」
男「クーったら、大げさだな」
ク「男よ。遅れてすまない。予想以上に瓦礫に足をとられてしまってな」
男「あれ、クー?じゃあ、こっちのクーは…よく見ると足が無い…」
ク「ほう。噂には聞いていたが本当にいたとはな…」
男「お化けだぁぁぁ!」
ク「しかし、この霊は私に似ているな。なんだか親近感が沸いてきたぞ」
男「…確かに、クーにそっくりだね。そう考えると怖くなくなってきたよ」
霊「驚かせてすまないな。実は人が来るのを待っていたのだ」
男「僕たちで力になれることがあれば協力するよ」
霊「実は私の恋人を探しているのだ」
霊「私は昔この病院に入院していたのだが、その時、ちょうどそこにいる男
にそっくりだった医師見習いと恋仲だったのだ」
ク「素晴らしいではないか。で、その男はどうしたのだね」
霊「彼は医師としての勉強のために海外に留学してしまったのだ。その間に
私は病状が悪化して死んでしまった。彼に会いたいが故に未だにこの世
をさまよっているのだ」
男「クー…。この人の力になってあげようよ」
ク「無論だ」
男「ありがとう。クー」
霊「礼を言うのは私の方だ。本当にすまない」
ク「…所で、あなたの名前は"くぅ"というのではないのかな」
霊(以下く)「なぜ、私の名前を知っているのかね?」
ク「私の曾祖母の妹がこの辺りの病院で早世したと聞いていたのだ。その名
前は確か"くぅ"であったと記憶している」
く「では、私の姉の子孫か…。どうりで良く似ていると思ったのだ」
ク「私のこの性格は親戚の誰にも似ていなかったが、まさかこんな所でその
理由が分かるとは思わなかったな」
男「ねぇ…。今、くぅさんって言ったよね?」
く「私の名は確かにくぅだが、それが何かな…」
男「心当たりががあるんだ。明日、もう一回、クーと一緒に来るよ」
ク「男よ。昨日は一体どうしたのだ。何か心当たりがあると言っていたが…」
男「気になって実家からアルバムを取ってきたんだ。くぅさん。もしかして、
その恋人ってこの人?」
く「間違いない!彼だ!この写真は一緒に病院を抜けて、近くの丘で遊んだ
時だ…。懐かしい…。しかし、何故、君がこの写真を…」
男「この人は僕が小さいときに死んじゃった曾お爺ちゃんの弟なんだ。よくこ
のアルバムを僕に見せてくれたんだ。爺ちゃんが結婚しないのはこの人と
約束したからさ、とよくこの写真を見せながら言っていたよ」
く「彼は…、私のことを…」
ク「男よ!この写真から何か煙が出てきたぞ」
男「本当だ!一体何が…」
霊(以下お)「くぅ!くぅじゃないか!僕だよ!」
く「本物だ…。本物だ…。会いたかったぞ!」
お「僕も君の事を忘れたことはなかったよ!くぅ!」
男「一体、何が起きたの?クー?」
ク「ううむ…。どうやら、君の曾祖父の弟もくぅに会いたくて、この世をさまよ
っていたみたいだな…」
お「くぅ死んじゃったんだ…。院長が退院したって、僕が海外から帰ってきた
時に言っていたからね。僕は長い間君を探していたんだよ」
く「君がショックを受けると思って院長さんは嘘をついたんだろう。しかし、私の
死にショックを覚えているようだが考えれば君も死んでいるではないか」
お「良く考えてみれば確かにそうだね。うっかりしていたよ」
く「ふふ。昔から変わらんな。医師がうっかりしていたら大変だぞ」
お「医者の仕事でうっかりしたことは余りないよ」
く「余りというのはまずいのではないかな…。しかし、私との約束を守らせて
すまなかったな」
お「あの時、僕は勇気を出して言ったんだよ。海外から帰ってきて立派な医者
になったら、僕と結婚して欲しいって」
く「昨日のことのように憶えているぞ。いつもは私からのアプローチに顔を赤
くしていた奥手の君からプロポーズをしてくれたんだからな」
お「君が生きているかもしれないって思っていたから、約束を守っていたんだ
よ。ただ、一回だけ君にそっくりな子がいて間違えそうにはなったけどね」
男「もしかして、クー…」
ク「この間、君の実家にお邪魔したときに妙に肩が重かったのはそういうわけ
だったのか…」
お「ああ。この子がうちに来たんだよ。あの時はごめんね」
く「彼女は私の姉のひ孫なんだぞ」
お「へぇ!奇遇だね。僕のお兄ちゃんのひ孫と付き合っているんだよね。クー
ちゃんだっけ?うちのをよろしくね」
ク「彼は最高の男だ。どんなことがあっても離さないから安心して欲しい」
お「あはは。昔のくぅは良くこんなことを言っていたよね」
く「君も変わってなくて、私は嬉しいぞ」
お「ところで、くぅ、あのね…///」
く「どうしたのだ?」
お「あのね…///…今更こんなこと言って迷惑じゃないかと思うんだけど…///」
く「君の願いを閉ざす扉は私は持っていないぞ。言ってみたまえ」
お「あのね…///…僕と結婚して欲しいんだ…///」
く「嬉しいぞ…。私はこの言葉を再び聞けるとは思っていなかったぞ…」
お「それって、OKってこと?」
く「もちろんだ。さあ、一緒にあの世で素敵な生活を築こうではないか」
お「くぅ…。やっと、昔に戻れたね…。ちょっと遅くなったけど、ごめんね」
く「君が謝ることはないぞ。そうだ、あの世に行ったら一緒に甘味処であんみ
つか汁粉を一緒に食べようじゃないか」
お「よく病院を抜け出して一緒に食べに行ったね」
く「そうと決まれば、早速出発だ。私と君の新しい門出を祝って」
お「ああ、そうだ。君達2人に医者としてアドバイスをしておくよ。互いに健康
に気をつけてね。栄養のある物を食べて、無理しないようにね」
く「君達には本当に世話になったな。すまなかった」
お「じゃあ、お盆とかにまた会おうね。今度は君達の結婚式に呼ばれたいな」
く「ふふ。彼は君と一緒で奥手だからな。今日、明日というわけには行くまい。
しかし、楽しみにしているぞ。じゃあ、またお盆に会おう。さらばだ」
----------------------------
ク「男よ…。この話を他の人にしても誰も信じてはくれなさそうだな」
男「そうだね…。今でも夢なんじゃないかって思っているよ」
ク「…」(ギュッ)
男「///…クー、いきなり抱きついてどういうつもりなの?」
ク「いや、君が霊体だと抱きつけるかどうか不安になってな。今のうちに君の
ぬくもりを最大限味わおうと思ってな」
男「でも、彼らは霊体同士で抱き合っていたような気がするよ」
ク「でも、生身の味をしっかり味わってからにしたい。…所で、彼らも言って
いたがいつになったら私にプロポーズをしてくれるのかね」
男「///…えっと…僕が…クーにふさわしい男に…なったら…かな…?」
ク「ならば、もう既に十分すぎるほどふさわしいぞ。朝になったら、式場の予
約をしに行こうではないか」
----------------------------
お「やれやれ、あいつも大変そうだが幸せそうで何よりだね」
く「おーい。男よ。式場と新居を決めよう。君との新生活を思うと心がうきう
きしてくるぞ。何せ、何十年も待ったのだからな」
とりあえず終了
>>595
GJ!
ほのぼのしてて良かったよ。
>>586 も良かったけれど切なかったから、
その気持ちが癒された。
どうも、vipの保管庫が死んでるようだ。
>>598
本当だ
昔からあるほうが死んでる
一体何があったんだろう
最終更新:2007年09月23日 02:34