72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/11(月) 12:35:39.44 ID:R+SCyDD1O
彼が私の家に遊びにきた。私の母に挨拶する彼。わかりやすいぐらい緊張している。可愛い。
私の部屋で、ベットに腰掛けた彼は、もの珍しそうに周囲を見渡す。女の子の部屋に入るのは初めてか?少し可愛
い。
「年頃の男性なら、女の子と部屋で二人きりになったら、押し倒したいとか思うものじゃないのか?」
私の言葉に、先程、母が持ってきた紅茶を吹き出しそうになる彼。何を慌てているのか。
それから、二人でテレビゲームをしたり、くだらない会話をしたり。
「あれっ、将棋板が置いてある。女の子にしては珍しいね」
彼も将棋好き、という事なので、二人で将棋をする。私は、囲いが個人的に美しくて好きな、美濃囲いで王を守る
。
彼は、居飛車穴熊を選択した。守りを固める戦法だ。女の子相手なんだから、もう少し攻めてくればいいのに。
根が真面目で負けず嫌いの二人。途中から、将棋に集中してほとんど喋らなくなる。いいのか、それで?女子高生
と二人きりなんだけど。
中盤、彼が少し優勢になる。私の駒を見て「銀が泣いてるぜ」などという。
別に泣いてるようには見えないが、なんとなく言いたい台詞だったんだろう。同じ将棋好きとして、気持ちは分か
る。
終盤、彼の失着に乗じて攻め込む。私の逆転勝ちだ。負けて子供の様に悔しがる彼。結構、可愛い。
ふと、時計を見ると、もう彼の帰る時間。私は彼に文句を言う。
「女の子の部屋に来て、手を出す素振りも見せないなんて、マナー違反だ」
「えっ?」
「将棋と同じだ。詰めが甘い」
苦笑いする彼。帰る支度をしながら、私にそっとキスをする。
キスまでなら、いつもしている事なのに。それだけで機嫌がなおってしまう。
彼の前にいると、私は、可愛い女になってしまうようだ。
最終更新:2006年09月12日 23:22