91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/11(月) 16:00:12.92 ID:R+SCyDD1O
『正直、サッカーというスポーツには、全く興味がなかった』
「うん、知ってる」
『だが、愛する人が部活でやっているスポーツに対して無知ではいけない、そうおもって、ここ数日、サッカーに



ついて研究した』
「それは、どうも・・・それにしても、今日はよく喋るね」
『珍しく興奮しているのかもしれない。君に伝えたい事があって』
「なんだい」
『君のポジションはボランチだよね。日本代表でいえば、中田がやっていた』
「ああ、そうだよ」
『個人的には、中田よりも鈴木、鈴木よりも今野の方が、ボランチとしての能力は上だと思うけど』
「・・・ニワカ乙」
『まあ、聞いてくれ。昨日の他校との練習試合を観戦したのだが・・・』
「えっ、来てたの?」
『前半は悪くなかった。特に守備は合格点だ』
「それは、どうも」
『ただ、後半の君のプレーには問題がある。敵に先制された後も、守備重視のプレーを続けたよね』
「うっ」
『ボランチというポジションの特性上、時にはリスクをおかしても攻めなければならないのに、君は引いたまま』
「顧問の先生と同じ事を言われる俺って」
『君は空気を読めない所がある。将棋では、穴熊が好きな、守る方が本質的に好きな人なのは理解しているが』
「・・・」
『時には攻めなければ駄目だ。サッカーも将棋もそれは同じ。
そんなんだから、私と部屋で二人きりになっても、何もせずに帰ってしまうんだ』
「えっ、ちょっ、クー。みんなの前で、そんな大声で・・・」
『私は、押し倒される覚悟は出来ていたんだよ』
「だから、みんなに聞こえるって」
今は昼休み。周りの同級生達は、にやにやしながら、俺達の会話を聞いている。
泣きそうな顔の俺は、心の中で叫ぶ。頼む、クー、もう少し空気を読んでくれ・・・。
しかし、クーは相変わらず涼しげな表情。又ひとつ、声にならないため息をつく俺だった。

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最終更新:2006年09月12日 23:22