104 名前: ほんわか名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/25(木) 12:00:28 0
女「男さん大丈夫ですか?」
男「うーん、いつもはこれくらいの量なら大丈夫なんだけど」
女「体調が悪かったんですね」
男「たぶんそうかな、先にお金払って帰ろうかな」
女「それでしたら私も帰ります。男さんが帰ってしまったらお話する人も居ませんし」
男「そうですか……うーん、それならもう少し居ます。後三十分くらいで解散でしょうし……」
女「横になった方がいいですよ。男さん少しふらついています」
男「そうですね、それじゃ……」
女「そっちじゃないです」
男「へ?(ぽふっ)」
女「硬い床では駄目です。嫌かもしれませんが、私の膝で我慢して下さい」
男「は、はい……」
107 名前: ほんわか名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/25(木) 19:09:25 0
1/3
いつも通りコンビニで朝食を買って――朝食といってもゼリー飲料だけど
バスに乗って学校へ着くまでの時間をボーっと過ごす。
坂の多い僕の町では自転車に乗ることなんて滅多になくて
19歳を過ぎた今でも、僕の周りには自転車に乗れない人が珍しくない。
学校も丘の上にあって、この時間帯のこのバスの中は学生ばっかりだ。
普通の学生は、バスを利用するのだ。自転車で登校することなんてない。
普通は。
ク「おはよう、男」
彼女はいつも僕より先に来ている。自転車登校のクセに。
いつも同じ席に座っていて、僕はいつも彼女の隣に座らせられるのだ。
ク「だって、好きな人が隣にいた方が楽しいじゃない」
たまには後ろの方で授業受けたいんだけどな、なんてことを言うとこれだ。
周りに人がいるっていうのにお構いなし。彼女は動じない。
一緒にいたいとか、好きとか、なんで何の恥じらいもなく言えるのか……
いつも顔を赤くするのは僕ばっかりで、彼女は無表情のままだ。
……そういえば、僕は彼女が笑っているところを見たことが無い。
2/3
無表情っていうのは、彼女の特徴の一つだ。
この前、学食で一緒に昼食をとっていた時のこと。
ラーメンフェアっていうのをやっていて――全国各地のラーメンが食べれるらしい。
僕は熊本ラーメン、彼女は尾道ラーメンを注文した。
男「うーん……ただの豚骨ラーメンだな。高速道路のパーキングエリアとかで売ってそう」
ク「そう? 私のはおいしいよ」
男「……じゃあもっとおいしそうな顔をするべきだ」
ク「美味しそうな顔って?」
男「え? いや、なんかこう……おいしぃ~って」
ク「よくわかんない」
男「ぬぅ」
ク「それより男」
男「ん?」
ク「お水とってくるけど、いる?」
男「ああ、いや俺はまだあるから……って、あれ? 無い!?」
ク「飲んじゃった」
男「いつの間に……ってか自分の飲めよな」
ク「それも飲んじゃったんだもん」
男「そんなに喉渇いてたの?」
ク「んーん、舌やけどしちゃって」
男「……いつの間に」
彼女はとことん無表情だ。
3/3
金曜日はバイトもなくって、授業が終わるのも彼女と同じ時間だから、二人で一緒に帰ることになっている。
彼女が自転車で登校する理由……
彼女曰く
二人乗りで帰りたいから――だそうだ。
だったら、金曜日だけ自転車で来ればいいのにって言うと
毎日自転車で来たほうが、自然に見えるからだという。
いつもバス通学なのに、金曜日だけ自転車というのは不自然なのだそうだ。
変な所にだけは気を使うやつだ。
男「一緒に帰るだけならバスでもいいと思うんだけどなぁ」
ク「ダメ。こっちの方が楽しいもん」
男「そりゃ、クーは座ってるだけだから楽だろうけど」
ク「下り坂なんだから男だって楽でしょ?」
男「そ、そりゃそうだけど……じゃあ、たまにはクーが漕いでよ」
ク「ダメ。ここは私の特等席なんだから」
男「へいへい」
彼女を後ろに乗せてる間、彼女は少しだけ――本当にほんの少しだけ、普段よりおしゃべりになる。
いつも無表情な彼女。
緩く長い坂を下って行く間、彼女はどんな表情をしているのだろう。
122 名前: ほんわか名無しさん 投稿日: 2007/01/26(金) 23:24:54 0
映画好きな素直クール
男の部屋にて
女「・・・・」
男「クー、すごい映画に集中しているな・・」
女「・・・・・・・」
男「なぁ、ク・・」
女「男、ごめんね。後でにして。」
男「はい・・・」
女「・・・・・・・」
男(肩に手をまわしてもいいかな・・・?)
女「・・・・・」
男(・・・ええいっ、いったれ!)
女 パシッ!
男「いてッ!」
女「男、気持ちは嬉しいけど映画より男が気になっちゃうから今はダメ。」
男「はい・・・」
女「私も男とスキンシップがとりたいけど我慢しているの。」
男「はぁ・・そうなの」
女「でも、そのせいで余計に映画に集中できなくなっているのね。」
男「そりゃ大変だ。」
女「だからね、男、手をつなごう。」
男「んん?あぁ、わかった。」
女「よし!これで二人とも大丈夫だね。」
男「・・・まっ、これでもいいな。」
130 名前: ほんわか名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/27(土) 17:32:07 0
つ【涙目の理由】
男「…」
ク「どうした。男よ」
男「なんでもないよ」
ク「(む…。男の目が赤いぞ)…本当に大丈夫か?」
男「ちょっと疲れただけだから。大丈夫だよ」
ク(何か男に嫌な事があったのかもしれない…)
―――
友人「えっ?あいつに何か嫌な事があったかだって?」
ク「そうだ。男の友人の君なら何か知っていることがあるかもしれないと思ったのだが」
友人「確か、最近あいつため息をついてばかりだったな…」
ク「それは本当か。男に何があったのだ」
友人「うーん…。ごめん。ちょっとそこまでは良く分からないな」
ク「そうか…。すまない。時間をとらせてしまって」
友人「いや、力になれなくて悪いな。まあ、あいつの好きな甘いものでも持っていってやれ
よ。しかし、あいつも幸せ者だな。こんなに心配してくれる彼女がいるんだものな」
―――
ク「男よ。君の好物のケーキを買ってきたぞ。一緒に食べよう」
男「ちょうど良かったよ。今レポートが終わったところなんだ」
ク「しかし男よ。大丈夫か?何か心配事とか…」
男「ついさっきからどうしたの?」
ク「うむ。傷ついたら申し訳ないんだが、率直に言おう。君は涙目になっていただろう?」
男「えーと…。ああ、あの時だね。ちょうどあくびをしていたんだ」
ク「あくび…」
男「レポートのせいでね、最近睡眠時間が足りなかったんだ」
ク「それでは、ため息というのは…」
男「それはレポートのテーマがなかなか思いつかなくてね」
ク「良かった…男に何もなくて本当に良かったぞ…」(ギュッ)
男「///…クー、何でいきなり抱きつくの?そうだ、クーが買ってきてくれたケーキ、一緒
に早く食べようよ」
134 名前: ほんわか名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/30(火) 08:22:31 0
つ【男は恋愛恐怖症なようです】
1/2
ク「男よ。私と付き合ってくれ」
男「…」
ク「なぜ何も言ってくれない?」
男「君と付き合うことはできないよ」
ク「私はこんなにも男のことを愛してるのに」
男「クーは僕にはもったいないような女の子だからさ」
ク「私のことが嫌いなのか?それならそうとはっきりと……」
男「嫌いじゃないよ」
ク「それは好きと解釈してかまわないんだな?」
男「クーには僕よりもふさわしい人がいるよ」
ク「私にとって男は一生に一人の人だ。男以外の人を好きになることなどできない」
男「それでも僕は君と一緒にいることはできないんだ。僕は二度と人を好きになる気はない」
ク「男は恋愛が怖いのか?」
男「…っ!!」
ク「男がいままでどんな恋愛をしてきたのか、残念だが私は知らない」
男「…」
ク「でも私は男を愛している、この気持ちはたとえ人類が滅びても変わることはない」(ギュッ)
男「…」
ク「男よ。私のためを思ってくれるのなら、私のために付き合ってはくれないか?」
男「クー」
ク「なんだ?」
男「そんな目で見つめるなんてずるいよ」
2/2
男「クー?いつまで抱きついてるの?台本では次は…」
ク「私がこうしていたいからだ。できるならこのままずっと」
男「///…クー…」
ク「しかし男よ」
男「なに?」
ク「男は演技がうまいな」
男「何で?」
ク「演技とわかっていてるのに「君と付き合うことは~」と言われて涙が出てしまった」
男「クー…」
ク「男よ、愛しているぞ」
男(僕は一生彼女から離れられないと思った)
137 名前: ほんわか名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/30(火) 15:01:58 0
1/2
ク「銀行からお金を下ろそうと思ったのだが、かなり混んでいるな…ん?何だあいつらは?」
強盗A「このまぐろ銀行は我々黄色い1月団が占拠した!諸君らは人質になってもらう!」
ク「銀行強盗…?」
強盗A「さあ、そこで固まっておとなしくしていてもらおうか」
ク「これはまずいことになったぞ。どうするべきか…」
強盗A「そこの女、何をしている」
ク「強盗さん。ちょっとトイレに行きたくなってしまってな…」
強盗A「何だと!」
ク「突然のことで驚いてしまってな。余りレディに恥をかかさせないでくれると嬉しいんだが」
強盗A「生理現象なら仕方が無い…。そこのお前、この女を見張っていろ」
強盗B「へい。ボス」
―――
ク「しかしこんなことになるとはな。外部に連絡はできないものか…」
強盗B「ずいぶんと長いな。まだか?」
ク「申し訳ない。手を洗っているところだ」
強盗B「出たか。こんなときでも落ち着いてハンカチで手を拭くとはお嬢ちゃん、肝が据わっ…う?」
ク「ふぅ。ハンカチに染みこませておいた特製麻酔薬が役に立ったな」
(ガサッ)
ク「しまった新手か?」
男「クー。僕だよ」
ク「なぜこんな所に君がいるんだ?」
男「買い物してたらトイレに行きたくなってね。銀行のトイレをちょっと借りていたんだ」
ク「こんなときでも君と一緒なのは嬉しいが、君が自分の身を守れるのかが少し不安だな。よし。私が
守ってやるからな」
男「ありがとう。僕あんまりこういうことは自信ないんだよね」
強盗C「なかなか戻ってこないな…。おい!そこの女、誰と話をしている!」
ク「まずい見つかった!」
(シュッ)
強盗C「ぐわっ…」
2/2
ク「強盗が気絶している…。男!今、何があったんだ?」
男「たまたまポケットにナイフが入っていてね。それを相手の手に投げて、怯んだ隙に軽く当身をして、
気絶させただけだよ」
ク「だけって…。君にこんな特技があったとは。ますます惚れ込んでしまうではないか」
男「所で、クー。残り何人強盗はいるの?」
ク「君と私で1人ずつ倒したから…あと3人だ」
男「3人だね。じゃあこの気絶した強盗さんから銃をちょっと借りようか」
―――
強盗A「あの女遅いな…。…何だお前は!」
男「もうおしまいだよ。おとなしく降参した方が良いと僕は思うよ」
強盗A「何を言うか。こっちは3人もいるのだ。お前ら、かかれっ!」
ク「よし。男に気を取られているうちに人質を逃がさねば」
強盗A「くそっ!こんなガキ1人に…我が黄色い1月団が…」
男「もうあなた1人だけだよ。もう抵抗はやめて欲しいんだ。僕は余りこういうこと好きじゃないし…」
ク「男よ。人質を全員逃がしたぞ!」
男「クー危ない!」
強盗A「わはは!形勢逆転だな。この女に傷が付きたくなければ、降参してもらおうか」
男「分かった。だけど、僕がどうなってもいいから、大事なクーだけには絶対手を出すな!」
ク「男よ…。何と嬉しいことを…。しかし、このまま男に迷惑をかけてはいけないな」(ゲシッ)
強盗A「ぐわっ…この女…急所に蹴りを…」(ドサッ)
男「クー!大丈夫?怪我は無い?」
ク「人質になってしまって、すまないな。それより男のほうは大丈夫か?」
男「僕は大丈夫だよ。でも、クーに怖い思いさせてごめんね。お詫びのキスをするから目を閉じて…」
―――
ク「…という夢を昨日見たのだ」
男「でも、何でそんな夢を見たの?」
ク「うむ。寝付けなくて、深夜のB級映画を見てから寝たのだが…。しかし、素晴らしかったぞ。男」
男「だけど、現実の僕はクーと腕相撲やっても負ける位弱いんだけどな…」
ク「ただ、キスの直前で目が覚めたのはとても残念だった。…そうだ。今からその続きをしよう。男よ。
ここにキスしてくれ」
ということでつ【こんな夢を見ました】
149 名前: ほんわか名無しさん 投稿日: 2007/02/02(金) 01:41:33 0
私には好きな人がいる。
そして、私が好きな人にも好きな人がいる。
・・・だから、私は彼を遠くから眺めるだけ。
普段の私からは考えられない行動だ。
いつも通りに行動するなら、私は既に彼のところへ行き自分の思いを打ち明けているだろう。
けれど、それはできない。
それは、私が好きな彼にとって迷惑な行為だから。
そんなことをすれば、きっと彼のことだ。 私を傷つけないためにどうすればいいか悩むだろう。
もしかしたら、自分の思いを殺して私の思いに応えてしまうかもしれない。
・・・だから、私は彼を遠くから眺めるだけ。
・・・・・・これが彼のためだと、言い聞かせて。
最終更新:2007年02月03日 01:46