151 :ほんわか名無しさん :2007/02/02(金) 02:13:27 0

クー「・・・。」
男「・・・クー・・・・・・大丈夫・・・?」
クー「・・・男、これは何の冗談だ?」
男「・・・あはは・・・・・・もっと、うまく助けるつもりだったんだけど・・・。」
クー「・・・冗談、だろう? これは・・・。」
男「・・・ごめん、ね・・・・・・。」
クー「なんで・・・どうしてなんだ? どうして私を庇ったんだ、男っ!」
男「・・・。」
クー「聞いているのかっ! どうして私なぞを庇った!」
男「クー・・・。」
クー「君に・・・君にひどいことをしたのは私だ・・・。そして、怒りに身を任せ
君の家を飛び出したのも私だ。」
男「クー、それは・・・・・・」
クー「頭の中では君が悪いことなど何もしていないのは分かっていた。けれど、
それでも私は君に謝ろうと家に戻らなかった。 そして・・・そして、道路に飛び出したのも私だ。」
男「・・・。」
クー「どうして・・・どうしてなんだ、男・・・。 君は・・・どうしてそこまで、優しいんだ・・・!」
男「・・・クー。」
クー「・・・なんで・・・私なんかを庇って、君がこんな事に・・・・・・。」
男「・・・・クー、僕は・・・君が好きだから。」
クー「・・・・・・。」
男「・・・月並み、だよね・・・・・・。陳腐だよ、ね・・・。でも、それでも・・・僕は君が、好きだから。」
クー「・・・・・・。」
男「だから・・・これで、いいんだよ。 僕は、大好きなクーが護れて・・・・」

幸せだよ、と。
彼はそう言い残して、天国へと旅立っていった。

私は今でも、彼の事が好きだ。
彼を失ってから早5年。 一時たりとも彼のことを忘れたことはない。
彼との思い出は増えない。 彼との事は全てが過去となり、未来も、現在もなくなった。
けれど・・・・・・。
それでも私は、彼の事が好きだ。
周りの友人達や母親からは間違っていると非難される。
「天国にいる彼はそんなことを望んでいないよ」と。
それはそうだろう。 彼が・・・私の事を心から思ってくれていた彼が、そんな事を望むはずはない。
これは、私の、彼に対する精一杯の反抗。
・・・私は、彼を許さない。  私なんかの為に命を捨てた彼を、決して許さない。

だから――


  ――――――私はずっと、君を好きでいてもいいだろう? 男。





159 :ほんわか名無しさん :2007/02/03(土) 01:37:04 0
ク「私の愛する男よ。君のことを考えない時はなかったよ。今日も一緒にごはんを食べよう」
男「///…。クー、そんなに大声で恥ずかしいこと言わないでよ。僕の友達が見ているよ…」
友人A「おい、冬だってのにこの部屋熱いな」
友人B「地球温暖化だというが、この部屋の温暖化レベルはすごく高いな。地球の危機だぜ」
男「ほら、あんなこと言われているよ。恥ずかしいな…」
ク「私が君のことを愛していることを君に伝えるのはいけないことなのかね」
男「いや、そうじゃないんだ。むしろとても嬉しいんだけど…ただ、声の大きさとか、言葉とか…」
ク「ふむ。君がそういうのなら検討してみよう」
―――
ク「私の愛情表現を彼は受け取っているはずだ。現に男と2人きりの時は恥ずかしがりながら、
すごく嬉しそうな顔をしてくれるからな。しかし、男が少し言葉とか言っていたな。彼が恥ずか
しがらず、かつ愛情を伝えられる表現を考える必要があるかもしれないな」
―――
ク「おーい。男よ。今すぐ君とキスをしたいくらい愛しているよ」
男「クー…///」
友人A「いつからここは南半球になったんだ」
友人B「まったくだ。冬だってのに夏の気候のようだな」
ク「ふむ。男が恥ずかしがっているな…この表現はだめか…。では、男よ、私を抱いてくれ」
男「///…クー。愛してくれるのは嬉しいんだけど、昨日の事覚えてないのかな…」
ク「いや、覚えているぞ。だから、今このようにして、どの表現方法なら恥ずかしがらないかを実
験しているのだ。とりあえず3000種程度ピックアップしたのだが、これもだめか…。では、次だ。
男よ、今夜は君のベッドで共にすごしたいのだが」



160 :ほんわか名無しさん :2007/02/03(土) 02:32:13 0


男「……でさ、今度の日曜のことだけど」
彼女「あ、うーん…ごめんね。ちょっとレポート入っちゃってて」
男「なんだ、そっか。映画のタダ券もらったからさ、一緒に行こうと思ったんだけど」
彼女「ほんと、ごめんね。月曜までに仕上げなきゃいけないレポなんよ。あのセンセー、うるさいから」
男「やれやれ、それじゃ俺も手伝うよ。何か出来ることあるだろ」
彼女「わぁ、ほんと?ありがとー!大好き!」
男「ゲンキンだよなぁ…」
彼女「えへへ、そんなことないよ~♪……あ、クーちゃん!」

クー「ん?…ああ、君か。こんにちは」
男「よぉ、何してるんだ?」
クー「………別に」
男「(なぁ、俺って嫌われてないか?)」
彼女「(えー?そうかなぁ…人見知りしてるだけじゃない?)ね、クーちゃん。あのね、レポートの手伝いだけど…やっぱりいいや」
クー「ほう。目処が立ったのか?」
彼女「あはは、それはぜーんぜん。でも男くんが手伝ってくれるみたいだから」
クー「……なんだと?」
男「(うっ、ものすごい目で睨まれた…)あ、あー…えっと。クー、お前が手伝うならそっちのほうがいい。お前のが頭いいしな」
クー「…いや。彼女は君に頼った。ならば君は、その信頼に応える義務がある」
男「そりゃそうかもしれないが…でも」
彼女「じゃあじゃあ、二人とも手伝ってくれればいいよー!」
クー「な…!?」
男「お、そりゃあいい。三人でやろうぜ?」
彼女「きっまり~♪それじゃ日曜に私の家にお願いね。あっ、次の講義始まっちゃう!またね~♪」
男「おう、終わったら電話しろよ~」
クー「……まったく、彼女はいつも強引だな」

そして日曜。約束の時間までまだあるというのに、俺とクーは駅でばったり出会ってしまった。
電話したがまだ彼女は寝ているそうなので、近くの公園のベンチで時間を潰すことにしたんだが…

男「………」
クー「………」
男「……えーっと。何聞いているんだ?」
クー「パッヘルベルのカノンだ。君も聞いてみるか?」
男「パッへル…何?」
クー「クラシックだが…その顔だと興味はなさそうだな」
男「あー、えっと。ごめん」
クー「……そうか」
男「………」
クー「………」

男「(……か、会話が続かねー!いや、これは仲良くなるチャンスだ。それはムリにしても、せめて嫌われてる理由を聞きださないと…)」
男「あの、さ。突然こんな事聞くと気分悪くするかもしれないけど…どうして俺のこと嫌ってるんだ?」
クー「……何?何と言った?」
男「(うげ、また睨まれた…)いや、クーは俺のこと嫌ってるんじゃないか、って…」
クー「そうか。だがそれは君の誤解だ。私は君を嫌ってなどいない」
男「でも時々睨んでくるし」
クー「睨んでなどいない」
男「俺が顔を見せると急に黙り込むし」
クー「黙ってなど…いない」
男「あんまり俺と関わりたがらないし」
クー「そんなことは……ない」
男「いや、あのさ。気使ってウソとかつかなくていいからな?」
クー「ウソなんかついていない。別に君の事は嫌いじゃない」

男「はっきり言ってくれれば俺だってなんとかするからさ」
クー「だから…別に嫌いではないと……」
男「悪いところ、言ってくれないか?気分が悪くなるかもしれないけどよ、彼女の友達と仲悪いままっていうのは落ち着かないからさ」
クー「だから、嫌いではないと言っているだろう!」
男「じゃあなんだよ、いつもの態度は!」
クー「それは私が男の事を好きだからだ!君の前に出ると言葉が出なくなってしまうんだ!君の目を見れなくなってしまうんだ!」
男「……え?」
クー「あ……」
男「………」
クー「………」
男「あの、さ」
クー「………には」
男「…?」
クー「…彼女には言うな。わかってる、叶わない恋だと言うことくらいは。勝手な言い分だが、君も今日のことは忘れてくれ」
男「……」
クー「…帰る。彼女には連絡を入れておくから……」

無表情のまま涙を拭った彼女の表情が、今でも心にしこりとなって残っている。
あれから三年。俺も社会人になった。彼女とは自然消滅の形で別れ、今は仕事が恋人だ。
冬、疲れた体でベンチに座るといつもクーを思い出す。ガキの俺にはどうしようも出来なかったあの涙を。
男「……もう一度、クーに」
今ならどうにかできると思っているのか。俺のくだらない願いは星空に消えていく。
目を閉じたままついたため息は、例外なく白く凍って―――

?「こんばんは。久しぶり…いや、ただいまかな」

目を見開く。聞こえてきた声は、間違いない。あいつのものだ。
会ったら、まず最初に何を言ってやろう。色々考えていたはずなのに、それはため息と一緒に消えてしまった。
だからせめて。俺は言ってやろうと思う。笑顔で、あいつに。

「ああ…おかえり、■■■」


fin.





167 :ほんわか名無しさん :2007/02/03(土) 18:23:49 0
1/3
男「ふぅ。今日も平凡な一日だったな」
(ピンポーン)
男「ん、誰だろう。こんな時間に」
(ガチャ)
男「ええと…。どちら様ですか?」
ク「うむ。ここなら大丈夫だな。すまないが、少しかくまってもらえないだろうか」
男「はい?」
ク「ちょっとしたことがあってな。今晩だけでいいから、ここにいさせてもらえないだろうか」
男「(何だろう?この女の子。だけど困っているようだし)いいですよ。どうぞ」
ク「すまない。お礼はする」
男「汚い部屋だけど、こんな所でいいのなら」
ク「ありがとう。所で、食事は摂ったかね」
男「いえ。まだだけど。おなかが空いているの?」
ク「そうじゃないんだ。君のおなかが空いているかと聞いているんだ」
男「まだご飯を食べてはいないんで、おなかは空いてるけど…」
ク「じゃあ、台所と冷蔵庫の中を少し借りるがいいかね?たいした物はできないが…」
男「えっ!そんなことしなくていいのだけど…」
ク「いや。これくらいのお礼はさせてくれないか」
―――
男「すごくおいしい。こんなおいしい料理を食べたのは久しぶりだよ」
ク「そんなに喜んでもらえると嬉しいな」
男「ふぅ。ごちそうさま。すごくおいしかったよ。所で、まだ名前を聞いてなかったけど…」
ク「クーだ」
男「クーさんか。いい名前だね」
ク「そうかね。しかし、君は見ず知らずの私をかくまってくれたんだ。本当に優しいな」
男「最初、顔を見た時、とても困っているように見えたんでね」
ク「本当に君は優しいな。所で、いまさらながら、私がここにいて大丈夫かね?君の彼女とかにあ
らぬ誤解を受けるかもしれんぞ」
男「彼女なんていないから大丈夫。クーさん」
ク「すまない。君ほど優しい人間なら彼女の1人位は普通にいると思ったのだが…。本当にすまない」
男「気にしてないから、顔を上げてよ。クーさん。ケーキがあるんだ。一緒に食べようよ」

2/3

(ピンポーン)
男「ん…。今度は誰だろう?」
(ガチャ)
友人「おーい。一緒に飲まないか?」
男「うわっ。酒臭いな」
友人「今、節分パーティをやっているんだ。お前も来いよ」
男「僕はそんなににぎやかなの得意じゃないし…」
友人「ん…。お前いつ彼女ができたんだよ。そんな奴には豆をぶつけてやる」
ク「!」
男「やめてよ。痛いじゃないか。かなり酔っているんじゃないのかい」
友人「付き合いの悪い上に勝手に彼女を作ったお前と彼女に豆をぶつけてやる」
男「痛いな。…大丈夫?クーさん」
ク「…もう…いやだ…やめて…くれ…」
男「…おい!いくら僕でも怒るよ。豆をぶつけるなら僕だけにしてくれ!それにこれ以上ふざける
なら僕の家から出て行ってくれ!」
友人「怒るなよ。悪かったな。でも、パーティはまだやっているから気が向いたら来いよ」
男「クーさん、大丈夫?あいつ悪い奴じゃないんだけど…酒を飲むとね…」
ク「…すま…ない。かばって…くれるなんて…君は本当に…優しいな」
男「今、落ち着くためのお茶を持ってくるから、そこで待っていてね。クーさん」
―――
男「落ち着いた?クーさん」
ク「…段々落ち着いてきた。君には本当にすまないことをした」
男「もしかしたら、聞いていいのか分からないんだけど…。クーさんはどうしてうちに来たの?」
ク「やはり、言わねばならんか…」
男「いや。クーさんが言いたくなければいいよ」
ク「君は信頼できる男だ。よし話そう」

3/3

ク「驚かないで聞いて欲しい。私は鬼の血がわずかだが入っている女なんだ」
男「えっ!クーさん、冗談はやめてよ」
ク「本当だ。ただ、人間のほうが強いから日常生活を送るのは特に支障が無いんだが、毎年この時期
になると、そのわずかな鬼の血がうずいてしまってな…」
男「この時期というと…。そうか、節分か!」
ク「うむ。そうだ。このわずかな鬼の血が反応するんだ。もしかしたら、遺伝子レベルで恐怖の感情が
  呼び覚まされているのかもしれん。こういったことは往々にして生存に関わるからな」
男「だけど、クーさんは何で僕の家を選んだの?」
ク「うむ。それは単純なことだ。まず第一に君の家の前には豆をまいた形跡が無かった。それに第二
に君の玄関にはひいらぎといわしの頭が無かった」
男「節分なんてイベント自体を忘れてたからね」
ク「家にいても、自分一人だけで、よその家から聞こえる鬼は外の声がとても怖かったんだ。しかし、
今日は優しい君に出会えてよかったよ。久しぶりにこの日を安らかに暮らせそうだ…」
男「クーさんがこんな汚れた部屋でこんな僕ごときで落ち着くなら、それでいいけど…」
ク「自分を卑下してはいけないな。君は本当に素晴らしい男だ」
男「そういわれると照れちゃうな…///。そうだ、お菓子があるよ。一緒に食べようよ」
―――
男「…。もう朝か…。あのままコタツで寝ちゃったんだ…」
ク「おはよう。男よ。朝食ができているぞ」
男「そんな事しなくても良かったのに…。でも、おいしい食事がまた食べられるから嬉しいな」
ク「そうだ。お礼の件なんだが…」
男「いいよ。おいしいご飯が食べられたことと、彼女ができたみたいで嬉しかったから…」
ク「そうか…。…所で、男よ。昨晩聞いたが、君は彼女がいないな?」
男「生まれてこのかた彼女はいないし、欲しいとは思うけど…」
ク「よし!お礼は決まった。私が君の彼女になってやろう。いや、なって欲しい。私は昨晩の君の優
しさにやられてしまったんだ。迷惑はかけないから、一緒になって欲しい。私の愛する男よ」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年02月05日 21:05