56名前:キャプテン(石川県):2007/04/28(土) 16:44:28.36 ID:UeBX1SQ80
僕は券に書かれた席番号を探す。
――あった、ここだ。
「クー、ここだね」
「ふむ」
僕達は席に座る。
「ねえ、本当にこの映画で良かったの?」
「ああ、君が前々から見たがっていたしな」
「でも、ホラー映画だよ、大丈夫?」
「多分大丈夫だろう、それよりも違う所に不安がある」
「何?」
「映画が始まると暗くなるだろ、そうなると君が見えなくなる、
すると君がいなくなったように感じ、孤独感を味わう事になるだろう」
そう言うと、クーは僕の手を優しく握る。
「頼む、君を感じるために手を握っていても良いだろうか?」
「う、うん、良いよ――」
すると館内が暗くなっていく。
僕の手をクーは先程より少しだけ強く握る。
スクリーンに映写機から光が当てられる。
そこには映画のタイトルが映される――。
保守
最終更新:2007年05月04日 17:32