146名前:アイドル(石川県):2007/04/29(日) 17:18:31.49 ID:sj2r9NmS0
僕達は最近完成した図書館にいる。
クーは余程来たかったのだろう、早足で見て回っている。
「クー、良い本見つかった?」
「ああ、しかし、ここまで読みたい本が沢山あると、目移りしてしまうな」
「そうだ、どんな本を選んだの?」
「こういう本だ」
クーの差し出す本のタイトルには、こう書かれていた――。
『量子力学の解説』
「……難しそうな本だね」
「君も読んでみると良い、面白いぞ」
「うーん、眠くなりそう……あ、そうだ、近くに公園があったからそこで読まない?」
「ふむ、そうだな、本を借りてくるからちょっと待っててくれ」
苦労の末、僕達はやっと公園に着いた。
「クー、大丈夫?」
「ああ、ほとんどは君に持って貰ってるからな、私はむしろ君が心配だ」
「大丈夫だよ、それよりさ、転ばないように気を付けて――」
突然、後ろから衝撃が加わり、僕は転ぶ。
「……注意して貰ったばかりなのに申し訳ない」
どうやら僕の後ろを歩いていたクーが転んだらしい。
「怪我、無い?」
「無いぞ、君がクッションになってくれたおかげだ」
「そっか、それなら良かったよ……そうだ、本を拾わないと」
散らばった本が偶然にも文字の形になっていた――。
保守
最終更新:2007年05月04日 17:39