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1日目【夜の散歩は危険がいっぱい!?】 - (2007/08/30 (木) 04:03:02) の1つ前との変更点

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2007/8/19 表現言い回しを一部変更 2007/8/29 SE雑踏を追加 背景【黒】BGM【無】 変わらない日常。変わらない光景。 それが、一番いいことだと思う。 人は急激な環境変化に、耐えることが出来ない。 俺が、実際に体験して出した答えだ。 自分が決断してしまったせいで、周りが壊れていく。 周りが壊れてしまったせいで、自分も壊れていく。 そんなことは、もう二度としたくない。 そう、絶対に…… 【場面転換】 背景【夜の公園】BGM【蜩の鳴くころに】 電灯もあまり無く、物音一つしない公園。 引きこもりの俺が、唯一外との関わりを持つ場所。 ここへ散歩に来ることが俺の日課になっていた。 変わることもなく存在し続け、 日々の喧騒とはかけ離れているところ。 …………まぁ、最近は喧騒なんて感じたこと無いけど。 とにもかくにも、俺はここが好きだった。 大輔 「よし、今日も張り切って散歩しますか」 入念に準備体操をすませ、俺は歩き始めた。 【歩くSE】 ……… …… … 大輔 「……ちょっと、歩きすぎた」 いつもより、天気がいいので調子に乗っていたのかもしれない。 足に疲労がたまっているのがよくわかる。 大輔 「それにしても、たったこれだけで限界が来るなんてな」 自嘲気味につぶやく。 体力のなさだけはどうしようも出来ない。 まぁ、あの頃よりはついてきたはずだが…… 大輔 「しょうがない。そろそろ休憩するか」 俺は一度足を休めるために、ベンチへと向かった。 【歩くSE】 【場面転換】 大輔 「あれ?」 ベンチの近くまできたところで呆然とする。 暗くて顔は見えないが、そこにはすでに先客がいた。 小さな光も見える……花火でもしているのだろうか。 いつもは誰もいないのに、なんでこんな時間に人が? わざわざ時間を見計らって来たのに、これでは意味が無い。 大輔 「仕方ない、今日はこのまま帰るか。     ……急がないとアレがくるかもしれないし」 俺は踵を返し、家へと向かう……つもりだったが、ピタリと足が止まった。 何故だか、どんな人が座っているのか気になってしょうがない。 いつもなら、気にせず帰ると思うんだけど…… 今日は一体どうしてしまったんだろうか。 大輔 「………気づかれなきゃ、大丈夫だよな」 自分に対し、いい訳をする。 少し覗くだけなら…… 俺は、忍び足でベンチに近づいていった。(セリフは無く音だけでいいかも) 大輔 「よし、見えてき…………」 一枚絵【線香花火をする少女】BGM【未設定】 俺は一瞬でその光景に飲まれてしまう。 ベンチには一人の少女が座っていた。 麦わら帽子に白いワンピース。 手には火のついた線香花火。 何よりも目をひいたのは白い肌と赤い瞳。 まるで、月の光を纏った妖精を思わせる神秘的な姿。 そして…………今にも消えてしまうのではないかと思える儚さ。 俺は、声を発することもできず、ただただこの光景に見惚れていた。 アルビノ 「ねぇ、私の顔に何かついてる?」 透き通るような綺麗な声がどこかから聞こえる。 それが、少女が発したものだと理解するまで数秒かかった。 大輔 「え…………?」 アルビノ「さっきからずっと見てるみたいだけど……何かついてる?」 大輔 「あ……あ……」 ヤバい…気づかれてしまった。 俺の全身が警告を発する。 大量の汗が全身から噴出してきた。 ――――逃げなければアレがやってくる。 俺は考える間もなく一目散に走り出す。 アルビノ 「あっ、ちょっと!」 少女の呼び止める声が耳に届く。 だが、俺はわき目もふらず家を目指し走り続けた。 何も起こらない世界を望んでいたはずの俺が何故ベンチに座っている人を見ようと思ったのか。 それは単なる気まぐれだったのだろう。 あるいは、心の中で何も変わらない生活に飽きていたのかもしれない。 どちらかはわからないが……これだけは言える。 ―――――この日を境に、俺の世界は狂い始めた 【題名 日付変更】 背景【黒】BGM【コンプレックス86】 暗く狭い空間。 何一つ存在しない虚無の世界。 来る日も来る日も、俺はここに閉じ込められていた。 『もうそろそろ許されてもいいんじゃないか?』 どこかから、俺の声が聞こえる。 『いや、まだ全然罪を償っていない』 彼方から、俺の叫びが届く。 意見を合わせることなく討論を続ける二人の自分。 俺はその言葉を一字一句漏らすことの無いように、耳を澄ました。 『お前はもう充分に頑張ったはずだ』 『お前はまだまだ苦しみが足りないはずだ』 二人の争いがだんだんと激化していく。 このままではいつまでたっても終わらないだろう。 俺は結論を出すことにした。 そうだよな……お前の言うとおりだ。 片方の声を消し去る。 すると、それを待っていたかのように周りから様々な声が飛び交ってきた。 【場面転換】 背景【主人公の部屋】ぼやけながらフェードイン BGMSTOP 大輔 「…………っ!?」 大輔 「なんだ、寝ちゃってたのか……」 目の前に置いてあるパソコンがやけにまぶしく感じられる。 どうやら、某巨大掲示板を見てる途中に寝てしまっていたらしい。 あたりは、いつの間にか真っ暗になっていた。 時計を見るとすでに22時を回っていた。 掲示板を見てたときはまだ15時ごろだったはずなんだけどな。 こんなところで寝るなんてよっぽど疲れてたんだろうか。 ……そういえば、何をしてたんだっけ? 大事なことをしてて寝てしまったような気がするんだが、まだ寝ぼけてるのかよく思い出せない。 大輔 「寝汗でベタベタだし、風呂にでも入りながらゆっくりと思いだすか」 強張ったままの体をほぐしながら俺は浴室へ向かった。 (場面転換) 背景【浴室】ひだりからめくるかんじ SE【シャワー】 BGM【ハッピースキップ】 大輔 「あ゛あ゛あ゛あ゛~……」 熱いお湯に思いっきり浸かる。 やっぱり目を覚ますにはこれが一番効くなぁ。 親父くさい声が出るのは欠点だが…… 大輔 「ふ~、極楽極楽」 さて、お陰で思考がスッキリしてきた。 もうそろそろ思い出すことに専念しよう。 う~ん………… 大輔 「ダメだ、全然思い出せない」 昨日のことははっきりと思い出せるんだけどなぁ。 …………………… 昨日……か。 そういえば、夜に会ったあの女の子は一体なんだったのだろう。 あの時は気が動転していたが、よく考えてみればあの時間に一人でいるのは明らかにおかしい。 大輔 「俺が作り出した幻覚とか」 そう考えるのが正しいのかもしれない。 でもなぁ…… 大輔「俺ってそこまで病んでたの?」 これ以上増えるのはさすがにまずい気がする。 まぁ、今の状態でも充分危ないのはわかってるけど。 もう一度状況を整理して考えてみるか。 場所は小高い丘に作られた公園。 人気は全くない。 そこに現れた謎の少女。 普通に考えたらあの時間に女の子が一人でくるはずはない。 そこから導きだされる答えは! …………幽霊? 大輔 「なんだ幽霊か。安心した」 ……… …… … SE【エクスプロード】 大輔 「って、それはそれで怖いわ!?」 幻覚と幽霊、究極の二択だな…… 出来れば両方とも選びたくない選択肢だ。 ………ん?待てよ? 公園と少女? ちょっとひっかかる単語だな。 何か思い出せそう。 大輔 「…………あ、そうだ!」 俺は、浴槽から飛び出しパソコンの前へ急いだ。 【場面転換】 背景【主人公部屋】左からめくり→背景【主人公PC】(画面中央から大きくなるかんじ) 大輔 「落ちてないよな?」 SE【キーボードカチャカチャ】 慣れた手つきでキーボードに文字を打ち込む。 引きこもりになっていいと思えたのは文字を打つ速度が早くなったってことくらいか。 SE【クリック1】 大輔 「引きこもり……検索っと」 俺が昨日していた大事なこと――それはこのスレを見守ることだった。 内容は、半引きこもりの主人公がたまたま公園で女の子に出会い、恋をしていくというもの。 へたれで勇気のない1が、住人の力を借りて少しずつ自分の気持ちを伝えていく。 最初は俺もスレの内容に半信半疑だったが、見守っていくうちに応援するようになっていた。 こんなことが現実では起こるはずがない。そう思いながらも、1が少しずつ変わっていく様子に惹かれていた。 1がどんどんと変わっていくのが羨ましいと心の中で……いや、止めておこう。 大輔 「さて、1はどうなったのかな」 確か俺が寝る前に、女の子をデートに誘ってみると書いていたはず。 結果はどうだったのだろうか。 大輔 「お、もう来てるじゃん」 えっと、なになに…… 引きこもり◆hiuFgt4/8u ………………釣りですた^^ ……… …… … SE【アヒルのぱっふぅ】 ちょwwwwwおまwwwwおれのときめきを返せwwwwwwww 気持ちとは裏腹におどけた文字を打ち込む。 なんだよ、期待してたのに…… 大輔 「やっぱり、こんなことが起こるはずないよな……」 ……これで俺の楽しみは全部無くなってしまった。 いや、まだ一応残ってるか。 時計を横目で確認する。 大輔 「23時……」 残ってるんだが……どうしよう。 今日も散歩に行くべきか止めておくべきか。 大輔 「……行ってみるか」 昨日より時間も遅いし、きっと大丈夫。 パソコンの電源を消し、身支度を整える。 俺は戸締りをしっかりとしてから、家をあとにした。 SE【扉】 【場面転換】 背景【夜の路上】BGM【蜩の鳴くころに】 大輔「夜なのに結構蒸し暑くなってきたな」 歩いたら汗が出るようになってきた。 いつの間に、これほど季節が過ぎたのだろうか。 引きこもってから、無駄な時間を過ごしている気がする。   大輔 「……自業自得なんだけどね」 一体何を考えているんだ俺は。 自分がまいた種なのに……こんなことを思うなんて。 大輔 「そうだよ、俺は……」 【SE:雑踏】 通行人A 「そうだよね~」 通行人B 「でさ、あの件なんだけど……」 BGM【DREAM】 大輔 「!?」 誰か来たのか!? 背後から足音と共に女の子の笑いあう声が聞こえてくる。 まずい。周りに気を配っていなかった。 くそ…今からじゃ逃げられない。 大輔 「どこか隠れられる場所は……あそこしかないか」 目の前にあった電柱の影に、体を滑り込ませる。 ……ふと思ったんだが、これって変質者に見えるんじゃないか? 物陰に隠れながら、二人の女の子を監視する俺。 誰がどう見ても変質者です。本当にありがとうご(ry 通行人B 「……って言われたんだけど、どう思う?」 通行人A 「やっぱり、あの部分がちょっとね。でも、犬好きなのはポイント高いと思う。」 通行人B 「だよね。あれがなかったらいい人なんだけど」 大輔 「そんなことはいいから早く通り過ぎてくれ……」 じゃないと…… SE【心臓音1】効果【画面かるくゆれる】 『大輔のくせに、生意気なんだよ』 大輔 「……ッ!?」 やっぱり隠れても無駄だったか…… これが、俺の引きこもった最大の理由。 知らない人と出会ってしまうと幻聴が聞こえてくるというもの。 SE【心臓音1】効果【画面かるくゆれる】 『裏切り者』 大輔 「っ……今日は、ツイてないな」 いつもだったら、人なんか通らない道なのに…… なんでこんなに悪いことが起こるんだよ。 SE【心臓音1】効果【画面かるくゆれる】 『なんだ、まだ生きてたの?』 大輔 「く……あ……」 もうそろそろ限界………… 至るところから、汗が噴きだしてくる。 自分ではわからないが、顔も真っ青になっていることだろう。 立っていることも辛くなり、俺は電柱へもたれかかった。 背景【黒】ゆれながらフェードアウト【BGMSTOP】 ……… …… … 背景【夜の路上】ゆれながらフェードイン  BGM【蜩の鳴くころに】 大輔 「行った……か?」 いつの間にか足音が聞こえなくなっている。 どうやら少しの間、意識を失っていたらしい。 大輔 「あはは……情けな」 大輔 「……今日はこのまま帰った方がいいのかなぁ」 このまま行ったらもっとよくないことが起こる気がする。 でも、せっかくここまで来たんだし…… 公園までは、あと数分という距離。 どうするべきか…… 少し悩んだあと俺は判断した。 大輔 「せっかく来たんだし、そのまま行くか」 今から帰るのもなんだかバカらしい。 俺はゆっくりと立ち上がり、公園へと向かった。 【場面転換】 【歩くSE】 何も考えず散歩をする楽しい時間。 そのはずなのに、昨日のことばかり頭をよぎる。 あの少女は一体なんだったのだろうか。 幽霊?俺の幻覚?それとも…… 大輔 「ダメだ、なにかして気を紛らわせなきゃ」 周りの風景を見ながらゆっくりと歩く。 静かに揺れる木々たち。 キラキラと輝く満天の星。 ひぐらしの奏でる清々しい鳴き声。 大輔 「うん、今日もいい散歩日和だ」 …………はぁ~。 いつもなら、ここで元に戻るんだけど。 どうしてもあの子のことが気になってしょうがない。 大輔 「そういえば、そろそろ休憩の時間だよな」 急に足が痛くなってきたような気がする。 ちゃんと休まないと、帰りに支障をきたしちゃうよな。 ……ベンチに行くか。 大輔 「いや、待て。それは気のせいだ」 大輔……お前は、何も変わらない生活を望んでいるんだろ? このまま行ってしまったら、それが変わってしまうかもしれないぞ。 二つの気持ちがぶつかる。 大輔 「俺は……」 ★選択肢をはさむ 行く。行かない。 行かないでGAMEOVER そうだな、一回休んでこよう。 てきとうな理由をつけ、自分を納得させる。 逸る気持ちを抑え、俺は昨日と同じベンチへと向かった。 【場面転換】 背景【公園前夜】左からめくり 大輔 「なんだか、緊張するな」 昨日から謎だった少女の正体がやっとわかる。 彼女は一体何なんだろうか。 自分の欲求を満たすため、絶対につき止めてやる。 大輔 「よし、もう少しだ」 次の角を曲がればベンチが見えてくる。 俺は早足になりながら、角を曲がった。 すると、そこには………… 大輔 「………………」 背景【公園夜】 誰も……いない。 視界に飛び込んでくるのはいつもと変わらぬベンチのみ。 ひぐらしの声が妙に寂しげに聞こえた。 大輔 「あはは……」 よく考えたらあの少女が、毎日現れるとは考えにくい。 そんな当たり前のことを見逃すなんて…… どうやら相当熱くなっていたらしい。 体の力が抜け、俺はベンチに腰をおろした。 大輔「ホントに、何やってるんだろうなぁ俺」 変わりたくないっていう、自分の意見をねじ伏せてまで来たのに…… 決意をした意味がなくなってしまった。 大輔 「帰ろう……」 ずっとここにいてもすることはない。 もうあの少女のことは忘れて、元の生活に戻るとしよう。 俺は立ち上がってベンチをあとに……出来なかった。 BGM【えっ!?】 大輔 「な…………」 ……なんだよこれ…… ベンチから立ち上がろうとした瞬間、後ろから肩に手が置かれた。 さっきまで誰も居なかったはずだろ!? 後ろに誰が居るのか…… 気になるんだが、体が拒否をして見ることが出来ない。 ……これってまさか…… 背筋がぞっと冷たくなっていく。 ???「ヤッパリマタキタンダネ」 大輔 「…………!?」 一瞬にして思考が凍結する。 背後から聞こえてきたのは若い少女の声。 昨日、出会った少女の声に酷似している気がした。 あの子は……俺の想像した通りだったのか? ???「ネェ、ナンデキノウニゲタノ?」 ダメだ、このままじゃ……こうなったら…… 足がどれだけ動くのか確認する。竦んでいるようだったが力は入るようだ。 これだけ動けばいける! 大きく深呼吸。そして…… 大輔 「うおおおおぉぉぉ!」 気合の叫びと共に手を振りほどき、一気に加速する。 ……はずだったのだが、 ??? 「マッテ!」 初速が遅かったせいか、いとも簡単に手を捕まえられてしまった。 こんなときに引きこもりの影響が出るとは…… いつも歩くんじゃなくて走るべきだったか…… ……そうすれば、助かっていたかもしれないな。 今までの思い出がどんどんと呼び覚まされていく。 こんなところで終わっちゃうなんて…… 嫌……だ…… ――――タスケテ SE【銃声】 背景【黒】 BGM【やっちまった】 GAME OVER 【演出】 選択肢 ・ザオ●ク!! しかし、MPが足りない…(選択肢に戻る ・冒険を終了する(危険) お疲れ様でした。次回のプレイをお待ちしています…… (タイトルにもどる ・俺はまだやれる!!(下へ続く) ……… …… … BGM【無音】 …………? まだ生きてる。 それに、手が暖かい…… 体温のある幽霊なんていたんだな。 アルビノ 「待って!お願い!」 ちょっと待ってくれ。 幽霊に体温なんてあるわけがない。 アルビノ 「なんで逃げちゃうの!?」 ということは…… 大輔 「…………人間?」 立絵【アルビノ】BGM【蜩の鳴くころに】背景【夜の公園】 アルビノ 「……え?」 大輔 「もしかして、幽霊じゃなく人間?」 唖然としている少女にもう一度確認をとる。 アルビノ 「そう……だけど」 大輔 「なんだ、そうだったのか」 俺は精神疲労の蓄積で立っていられなくなり、地面に座り込んだ。 俺の早とちりだっだってことか。 なんだか、かっこ悪いことしちゃったなぁ。 まぁ何事もなかったし、一安心ってとこか。 ……………… いやいやいやいや。よく考えてみろ。 この子が人間なら、幻聴が聞こえるんじゃないのか? どっちにしろ、逃げなきゃダメだ…… 俺は、急いで立ち上がろうとする。 しかし、情けないことに下半身の力が全て抜けてしまっていた。 ……もうどうしようも出来ないか。 俺は覚悟を決めて幻聴を待つことにした。 『っぷ……アハハハハッ!』 ……今回はやけにハイテンションだな。 笑い声が聞こえるなんて初めてだ。 それに、気のせいかすぐ近くで聞こえる気がする。 これは……隣から? BGM【星空の下で143】 アルビノ 「アハハハハッ!お腹痛い!」 大輔 「…………?」 幻聴が……聞こえてこない。 なんでだ?今までこんなことなかったのに。 この少女には、何か不思議な力でもあるのだろうか。 アルビノ 「もしかして、私のことを幽霊だと思って逃げてたの?」 涙目のまま尋ねてくる少女。 大輔 「そう……だけど……」 厳密に言うとそうではないが、とりあえず頷いておくことにする。 アルビノ 「アハハ、そうだったんだ。私はてっきり……」 彼女はしまったと言う顔をして口を抑えた。 なんだと思ったのだろうか。 大輔 「てっきり?」 アルビノ 「あ……いや……」 アルビノ 「そ……そんなことより、名前はなんていうの?」 なんか見事に流されたな。 まぁ、気にしないでおこう。 誰にだって、話したくないことの一つや二つある。 大輔 「大輔、だけど……君の名前は?」 梨亜 「私の名前は梨亜。大輔……か、いい名前だね」 そう言って梨亜は、明るく笑った。 その笑顔は最初に俺が持ったイメージとは、大きくかけ離れていた。 ……月の似合う儚げな少女だと思ったが、今の表情を見ると太陽のほうが絶対に似合っていると思う。 梨亜 「ねぇ、大輔。私と友達になってくれない?」 大輔 「え?」 いきなりの提案に呆然とする。 俺なんかと友達になってどうするんだ。 梨亜 「ダメかな?」 少し怯えながら俺の顔色を窺う梨亜。 ダメではないけど……理由が全くわからない。 でも、俺にとってはいい提案だった。 何故、彼女と一緒にいて幻聴が聞こえなかったのか。 その理由を突き止めたい。 それに………… 大輔 「……俺でよければ」 梨亜 「ホントに!?ありがとう大輔!」 こんな可愛い子に友達になってくれなんて言われたら、断れるわけないだろ。 【場面転換】 一枚絵【ベンチで2人】 それから、俺たちはベンチに座りいろいろな話をした。 好きな食べ物やテレビ番組などなど。 他愛の無い話を知らない人とするなんて何年ぶりだろう。 こんなに楽しいものだったとは。 梨亜 「大輔って趣味とかあるの?」 大輔 「趣味……か」 某巨大掲示板閲覧とは言えないよな。 曖昧にしてパソコン……それも微妙か。 頭をフル回転させて考える。 あ、そうだ。 大輔 「写真撮影かな?」 梨亜 「写真?」 大輔 「うん、前までは風景を専門に撮ってたんだ。最近は全然撮ってないけど」 引きこもりになったせいでね。 小さな声で語尾に付け足した。 梨亜 「へぇ、その写真って今でも保管してる?」 大輔 「どこに置いたかは忘れたけど、家にはあると思う」 梨亜 「ねぇ、提案なんだけどさ……明日それを持ってきてくれないかな?」 大輔 「へ?」 意外な言葉に息を飲みこむ。 それって、明日もまた会おうってことなのか? 大輔 「別に構わないけど、素人が撮ったものだから面白くないと思うよ?」 梨亜 「そんなことないよ。絶対見せて!」 大輔 「わ……わかった」 梨亜の勢いに押され、頷いてしまう。 こ……こんなに意思の強い子だとは思ってなかったな。 その反応に満足したのか、彼女は満面の笑みを浮かべて立ちあがった。 背景【夜の公園】アルビノ【立ち絵】 梨亜 「それじゃあ、明日もこの時間に。そろそろ私は帰るね」 大輔 「あ、こんな時間までごめんね」 腕時計を見てみると、すでに日付が変わっている。 …………そういえば、梨亜はなんで夜の公園に来てるんだ? 普通の女の子なら、こんな場所に来ないはずだが…… 今日はもう遅いし、明日にでも聞いてみるか。 梨亜 「そんなことないよ。それじゃあ、またね!」 大輔 「うん、気をつけて」 アルビノ【フェードアウト】 両手を大きく振りながら帰っていく梨亜。 なんとも可愛らしい仕草に、おもわず笑みがこぼれる。 俺も同じように、梨亜が見えなくなるまで手を振り続けた。 ……… …… … 大輔 「ふぅ、疲れたなぁ……」 今まで何もなかった反動でもきてるのだろうか。 いろいろなことが、一気にやってきた気がする。 いいことなのか、悪いことなのか…… ……そんなこと気にしても意味ない、か。 大輔 「今日は、もう帰るか」 俺は、明日の写真をどれにしようか考えながら家へと帰っていった。 ★アイキャッチ 【場面転換 日付変更】 BGM【コンプレックス86】背景【黒】 『お前って最低な奴だよな』 『生きてる価値があるのか?』 わかってる。 もう許されようとは思わない。 『アイツが可哀想過ぎるだろ』 『信じられない……』 大丈夫。 絶対に忘れることはしない。 『あんなことをする人だったなんて……』 『なんでお前みたいな奴なんかと……』 もう二度とこんなことを繰り返したりしないから。 同じ過ちを犯したりしないから。 『親友だと思ってたのに……』 『お前なんか死んでしまえ!』 ――――――ゴメンナサイ [[2日目【大家と囲う華麗なる朝食♪】]]へ
2007/8/19 表現言い回しを一部変更 2007/8/29 SE雑踏を追加 【題名 日付変更】 背景【黒】BGM【コンプレックス86】 暗く狭い空間。 何一つ存在しない虚無の世界。 来る日も来る日も、俺はここに閉じ込められていた。 『もうそろそろ許されてもいいんじゃないか?』 どこかから、俺の声が聞こえる。 『いや、まだ全然罪を償っていない』 彼方から、俺の叫びが届く。 意見を合わせることなく討論を続ける二人の自分。 俺はその言葉を一字一句漏らすことの無いように、耳を澄ました。 『お前はもう充分に頑張ったはずだ』 『お前はまだまだ苦しみが足りないはずだ』 二人の争いがだんだんと激化していく。 このままではいつまでたっても終わらないだろう。 俺は結論を出すことにした。 そうだよな……お前の言うとおりだ。 片方の声を消し去る。 すると、それを待っていたかのように周りから様々な声が飛び交ってきた。 【場面転換】 背景【主人公の部屋】ぼやけながらフェードイン BGMSTOP 大輔 「…………っ!?」 大輔 「なんだ、寝ちゃってたのか……」 目の前に置いてあるパソコンがやけにまぶしく感じられる。 どうやら、某巨大掲示板を見てる途中に寝てしまっていたらしい。 あたりは、いつの間にか真っ暗になっていた。 時計を見るとすでに22時を回っていた。 掲示板を見てたときはまだ15時ごろだったはずなんだけどな。 こんなところで寝るなんてよっぽど疲れてたんだろうか。 ……そういえば、何をしてたんだっけ? 大事なことをしてて寝てしまったような気がするんだが、まだ寝ぼけてるのかよく思い出せない。 大輔 「寝汗でベタベタだし、風呂にでも入りながらゆっくりと思いだすか」 強張ったままの体をほぐしながら俺は浴室へ向かった。 (場面転換) 背景【浴室】ひだりからめくるかんじ SE【シャワー】 BGM【ハッピースキップ】 大輔 「あ゛あ゛あ゛あ゛~……」 熱いお湯に思いっきり浸かる。 やっぱり目を覚ますにはこれが一番効くなぁ。 親父くさい声が出るのは欠点だが…… 大輔 「ふ~、極楽極楽」 さて、お陰で思考がスッキリしてきた。 もうそろそろ思い出すことに専念しよう。 う~ん………… 大輔 「ダメだ、全然思い出せない」 昨日のことははっきりと思い出せるんだけどなぁ。 …………………… 昨日……か。 そういえば、夜に会ったあの女の子は一体なんだったのだろう。 あの時は気が動転していたが、よく考えてみればあの時間に一人でいるのは明らかにおかしい。 大輔 「俺が作り出した幻覚とか」 そう考えるのが正しいのかもしれない。 でもなぁ…… 大輔「俺ってそこまで病んでたの?」 これ以上増えるのはさすがにまずい気がする。 まぁ、今の状態でも充分危ないのはわかってるけど。 もう一度状況を整理して考えてみるか。 場所は小高い丘に作られた公園。 人気は全くない。 そこに現れた謎の少女。 普通に考えたらあの時間に女の子が一人でくるはずはない。 そこから導きだされる答えは! …………幽霊? 大輔 「なんだ幽霊か。安心した」 ……… …… … SE【エクスプロード】 大輔 「って、それはそれで怖いわ!?」 幻覚と幽霊、究極の二択だな…… 出来れば両方とも選びたくない選択肢だ。 ………ん?待てよ? 公園と少女? ちょっとひっかかる単語だな。 何か思い出せそう。 大輔 「…………あ、そうだ!」 俺は、浴槽から飛び出しパソコンの前へ急いだ。 【場面転換】 背景【主人公部屋】左からめくり→背景【主人公PC】(画面中央から大きくなるかんじ) 大輔 「落ちてないよな?」 SE【キーボードカチャカチャ】 慣れた手つきでキーボードに文字を打ち込む。 引きこもりになっていいと思えたのは文字を打つ速度が早くなったってことくらいか。 SE【クリック1】 大輔 「引きこもり……検索っと」 俺が昨日していた大事なこと――それはこのスレを見守ることだった。 内容は、半引きこもりの主人公がたまたま公園で女の子に出会い、恋をしていくというもの。 へたれで勇気のない1が、住人の力を借りて少しずつ自分の気持ちを伝えていく。 最初は俺もスレの内容に半信半疑だったが、見守っていくうちに応援するようになっていた。 こんなことが現実では起こるはずがない。そう思いながらも、1が少しずつ変わっていく様子に惹かれていた。 1がどんどんと変わっていくのが羨ましいと心の中で……いや、止めておこう。 大輔 「さて、1はどうなったのかな」 確か俺が寝る前に、女の子をデートに誘ってみると書いていたはず。 結果はどうだったのだろうか。 大輔 「お、もう来てるじゃん」 えっと、なになに…… 引きこもり◆hiuFgt4/8u ………………釣りですた^^ ……… …… … SE【アヒルのぱっふぅ】 ちょwwwwwおまwwwwおれのときめきを返せwwwwwwww 気持ちとは裏腹におどけた文字を打ち込む。 なんだよ、期待してたのに…… 大輔 「やっぱり、こんなことが起こるはずないよな……」 ……これで俺の楽しみは全部無くなってしまった。 いや、まだ一応残ってるか。 時計を横目で確認する。 大輔 「23時……」 残ってるんだが……どうしよう。 今日も散歩に行くべきか止めておくべきか。 大輔 「……行ってみるか」 昨日より時間も遅いし、きっと大丈夫。 パソコンの電源を消し、身支度を整える。 俺は戸締りをしっかりとしてから、家をあとにした。 SE【扉】 【場面転換】 背景【夜の路上】BGM【蜩の鳴くころに】 大輔「夜なのに結構蒸し暑くなってきたな」 歩いたら汗が出るようになってきた。 いつの間に、これほど季節が過ぎたのだろうか。 引きこもってから、無駄な時間を過ごしている気がする。   大輔 「……自業自得なんだけどね」 一体何を考えているんだ俺は。 自分がまいた種なのに……こんなことを思うなんて。 大輔 「そうだよ、俺は……」 【SE:雑踏】 通行人A 「そうだよね~」 通行人B 「でさ、あの件なんだけど……」 BGM【DREAM】 大輔 「!?」 誰か来たのか!? 背後から足音と共に女の子の笑いあう声が聞こえてくる。 まずい。周りに気を配っていなかった。 くそ…今からじゃ逃げられない。 大輔 「どこか隠れられる場所は……あそこしかないか」 目の前にあった電柱の影に、体を滑り込ませる。 ……ふと思ったんだが、これって変質者に見えるんじゃないか? 物陰に隠れながら、二人の女の子を監視する俺。 誰がどう見ても変質者です。本当にありがとうご(ry 通行人B 「……って言われたんだけど、どう思う?」 通行人A 「やっぱり、あの部分がちょっとね。でも、犬好きなのはポイント高いと思う。」 通行人B 「だよね。あれがなかったらいい人なんだけど」 大輔 「そんなことはいいから早く通り過ぎてくれ……」 じゃないと…… SE【心臓音1】効果【画面かるくゆれる】 『大輔のくせに、生意気なんだよ』 大輔 「……ッ!?」 やっぱり隠れても無駄だったか…… これが、俺の引きこもった最大の理由。 知らない人と出会ってしまうと幻聴が聞こえてくるというもの。 SE【心臓音1】効果【画面かるくゆれる】 『裏切り者』 大輔 「っ……今日は、ツイてないな」 いつもだったら、人なんか通らない道なのに…… なんでこんなに悪いことが起こるんだよ。 SE【心臓音1】効果【画面かるくゆれる】 『なんだ、まだ生きてたの?』 大輔 「く……あ……」 もうそろそろ限界………… 至るところから、汗が噴きだしてくる。 自分ではわからないが、顔も真っ青になっていることだろう。 立っていることも辛くなり、俺は電柱へもたれかかった。 背景【黒】ゆれながらフェードアウト【BGMSTOP】 ……… …… … 背景【夜の路上】ゆれながらフェードイン  BGM【蜩の鳴くころに】 大輔 「行った……か?」 いつの間にか足音が聞こえなくなっている。 どうやら少しの間、意識を失っていたらしい。 大輔 「あはは……情けな」 大輔 「……今日はこのまま帰った方がいいのかなぁ」 このまま行ったらもっとよくないことが起こる気がする。 でも、せっかくここまで来たんだし…… 公園までは、あと数分という距離。 どうするべきか…… 少し悩んだあと俺は判断した。 大輔 「せっかく来たんだし、そのまま行くか」 今から帰るのもなんだかバカらしい。 俺はゆっくりと立ち上がり、公園へと向かった。 【場面転換】 【歩くSE】 何も考えず散歩をする楽しい時間。 そのはずなのに、昨日のことばかり頭をよぎる。 あの少女は一体なんだったのだろうか。 幽霊?俺の幻覚?それとも…… 大輔 「ダメだ、なにかして気を紛らわせなきゃ」 周りの風景を見ながらゆっくりと歩く。 静かに揺れる木々たち。 キラキラと輝く満天の星。 ひぐらしの奏でる清々しい鳴き声。 大輔 「うん、今日もいい散歩日和だ」 …………はぁ~。 いつもなら、ここで元に戻るんだけど。 どうしてもあの子のことが気になってしょうがない。 大輔 「そういえば、そろそろ休憩の時間だよな」 急に足が痛くなってきたような気がする。 ちゃんと休まないと、帰りに支障をきたしちゃうよな。 ……ベンチに行くか。 大輔 「いや、待て。それは気のせいだ」 大輔……お前は、何も変わらない生活を望んでいるんだろ? このまま行ってしまったら、それが変わってしまうかもしれないぞ。 二つの気持ちがぶつかる。 大輔 「俺は……」 ★選択肢をはさむ 行く。行かない。 行かないでGAMEOVER そうだな、一回休んでこよう。 てきとうな理由をつけ、自分を納得させる。 逸る気持ちを抑え、俺は昨日と同じベンチへと向かった。 【場面転換】 背景【公園前夜】左からめくり 大輔 「なんだか、緊張するな」 昨日から謎だった少女の正体がやっとわかる。 彼女は一体何なんだろうか。 自分の欲求を満たすため、絶対につき止めてやる。 大輔 「よし、もう少しだ」 次の角を曲がればベンチが見えてくる。 俺は早足になりながら、角を曲がった。 すると、そこには………… 大輔 「………………」 背景【公園夜】 誰も……いない。 視界に飛び込んでくるのはいつもと変わらぬベンチのみ。 ひぐらしの声が妙に寂しげに聞こえた。 大輔 「あはは……」 よく考えたらあの少女が、毎日現れるとは考えにくい。 そんな当たり前のことを見逃すなんて…… どうやら相当熱くなっていたらしい。 体の力が抜け、俺はベンチに腰をおろした。 大輔「ホントに、何やってるんだろうなぁ俺」 変わりたくないっていう、自分の意見をねじ伏せてまで来たのに…… 決意をした意味がなくなってしまった。 大輔 「帰ろう……」 ずっとここにいてもすることはない。 もうあの少女のことは忘れて、元の生活に戻るとしよう。 俺は立ち上がってベンチをあとに……出来なかった。 BGM【えっ!?】 大輔 「な…………」 ……なんだよこれ…… ベンチから立ち上がろうとした瞬間、後ろから肩に手が置かれた。 さっきまで誰も居なかったはずだろ!? 後ろに誰が居るのか…… 気になるんだが、体が拒否をして見ることが出来ない。 ……これってまさか…… 背筋がぞっと冷たくなっていく。 ???「ヤッパリマタキタンダネ」 大輔 「…………!?」 一瞬にして思考が凍結する。 背後から聞こえてきたのは若い少女の声。 昨日、出会った少女の声に酷似している気がした。 あの子は……俺の想像した通りだったのか? ???「ネェ、ナンデキノウニゲタノ?」 ダメだ、このままじゃ……こうなったら…… 足がどれだけ動くのか確認する。竦んでいるようだったが力は入るようだ。 これだけ動けばいける! 大きく深呼吸。そして…… 大輔 「うおおおおぉぉぉ!」 気合の叫びと共に手を振りほどき、一気に加速する。 ……はずだったのだが、 ??? 「マッテ!」 初速が遅かったせいか、いとも簡単に手を捕まえられてしまった。 こんなときに引きこもりの影響が出るとは…… いつも歩くんじゃなくて走るべきだったか…… ……そうすれば、助かっていたかもしれないな。 今までの思い出がどんどんと呼び覚まされていく。 こんなところで終わっちゃうなんて…… 嫌……だ…… ――――タスケテ SE【銃声】 背景【黒】 BGM【やっちまった】 GAME OVER 【演出】 選択肢 ・ザオ●ク!! しかし、MPが足りない…(選択肢に戻る ・冒険を終了する(危険) お疲れ様でした。次回のプレイをお待ちしています…… (タイトルにもどる ・俺はまだやれる!!(下へ続く) ……… …… … BGM【無音】 …………? まだ生きてる。 それに、手が暖かい…… 体温のある幽霊なんていたんだな。 アルビノ 「待って!お願い!」 ちょっと待ってくれ。 幽霊に体温なんてあるわけがない。 アルビノ 「なんで逃げちゃうの!?」 ということは…… 大輔 「…………人間?」 立絵【アルビノ】BGM【蜩の鳴くころに】背景【夜の公園】 アルビノ 「……え?」 大輔 「もしかして、幽霊じゃなく人間?」 唖然としている少女にもう一度確認をとる。 アルビノ 「そう……だけど」 大輔 「なんだ、そうだったのか」 俺は精神疲労の蓄積で立っていられなくなり、地面に座り込んだ。 俺の早とちりだっだってことか。 なんだか、かっこ悪いことしちゃったなぁ。 まぁ何事もなかったし、一安心ってとこか。 ……………… いやいやいやいや。よく考えてみろ。 この子が人間なら、幻聴が聞こえるんじゃないのか? どっちにしろ、逃げなきゃダメだ…… 俺は、急いで立ち上がろうとする。 しかし、情けないことに下半身の力が全て抜けてしまっていた。 ……もうどうしようも出来ないか。 俺は覚悟を決めて幻聴を待つことにした。 『っぷ……アハハハハッ!』 ……今回はやけにハイテンションだな。 笑い声が聞こえるなんて初めてだ。 それに、気のせいかすぐ近くで聞こえる気がする。 これは……隣から? BGM【星空の下で143】 アルビノ 「アハハハハッ!お腹痛い!」 大輔 「…………?」 幻聴が……聞こえてこない。 なんでだ?今までこんなことなかったのに。 この少女には、何か不思議な力でもあるのだろうか。 アルビノ 「もしかして、私のことを幽霊だと思って逃げてたの?」 涙目のまま尋ねてくる少女。 大輔 「そう……だけど……」 厳密に言うとそうではないが、とりあえず頷いておくことにする。 アルビノ 「アハハ、そうだったんだ。私はてっきり……」 彼女はしまったと言う顔をして口を抑えた。 なんだと思ったのだろうか。 大輔 「てっきり?」 アルビノ 「あ……いや……」 アルビノ 「そ……そんなことより、名前はなんていうの?」 なんか見事に流されたな。 まぁ、気にしないでおこう。 誰にだって、話したくないことの一つや二つある。 大輔 「大輔、だけど……君の名前は?」 梨亜 「私の名前は梨亜。大輔……か、いい名前だね」 そう言って梨亜は、明るく笑った。 その笑顔は最初に俺が持ったイメージとは、大きくかけ離れていた。 ……月の似合う儚げな少女だと思ったが、今の表情を見ると太陽のほうが絶対に似合っていると思う。 梨亜 「ねぇ、大輔。私と友達になってくれない?」 大輔 「え?」 いきなりの提案に呆然とする。 俺なんかと友達になってどうするんだ。 梨亜 「ダメかな?」 少し怯えながら俺の顔色を窺う梨亜。 ダメではないけど……理由が全くわからない。 でも、俺にとってはいい提案だった。 何故、彼女と一緒にいて幻聴が聞こえなかったのか。 その理由を突き止めたい。 それに………… 大輔 「……俺でよければ」 梨亜 「ホントに!?ありがとう大輔!」 こんな可愛い子に友達になってくれなんて言われたら、断れるわけないだろ。 【場面転換】 一枚絵【ベンチで2人】 それから、俺たちはベンチに座りいろいろな話をした。 好きな食べ物やテレビ番組などなど。 他愛の無い話を知らない人とするなんて何年ぶりだろう。 こんなに楽しいものだったとは。 梨亜 「大輔って趣味とかあるの?」 大輔 「趣味……か」 某巨大掲示板閲覧とは言えないよな。 曖昧にしてパソコン……それも微妙か。 頭をフル回転させて考える。 あ、そうだ。 大輔 「写真撮影かな?」 梨亜 「写真?」 大輔 「うん、前までは風景を専門に撮ってたんだ。最近は全然撮ってないけど」 引きこもりになったせいでね。 小さな声で語尾に付け足した。 梨亜 「へぇ、その写真って今でも保管してる?」 大輔 「どこに置いたかは忘れたけど、家にはあると思う」 梨亜 「ねぇ、提案なんだけどさ……明日それを持ってきてくれないかな?」 大輔 「へ?」 意外な言葉に息を飲みこむ。 それって、明日もまた会おうってことなのか? 大輔 「別に構わないけど、素人が撮ったものだから面白くないと思うよ?」 梨亜 「そんなことないよ。絶対見せて!」 大輔 「わ……わかった」 梨亜の勢いに押され、頷いてしまう。 こ……こんなに意思の強い子だとは思ってなかったな。 その反応に満足したのか、彼女は満面の笑みを浮かべて立ちあがった。 背景【夜の公園】アルビノ【立ち絵】 梨亜 「それじゃあ、明日もこの時間に。そろそろ私は帰るね」 大輔 「あ、こんな時間までごめんね」 腕時計を見てみると、すでに日付が変わっている。 …………そういえば、梨亜はなんで夜の公園に来てるんだ? 普通の女の子なら、こんな場所に来ないはずだが…… 今日はもう遅いし、明日にでも聞いてみるか。 梨亜 「そんなことないよ。それじゃあ、またね!」 大輔 「うん、気をつけて」 アルビノ【フェードアウト】 両手を大きく振りながら帰っていく梨亜。 なんとも可愛らしい仕草に、おもわず笑みがこぼれる。 俺も同じように、梨亜が見えなくなるまで手を振り続けた。 ……… …… … 大輔 「ふぅ、疲れたなぁ……」 今まで何もなかった反動でもきてるのだろうか。 いろいろなことが、一気にやってきた気がする。 いいことなのか、悪いことなのか…… ……そんなこと気にしても意味ない、か。 大輔 「今日は、もう帰るか」 俺は、明日の写真をどれにしようか考えながら家へと帰っていった。 ★アイキャッチ 【場面転換 日付変更】 BGM【コンプレックス86】背景【黒】 『お前って最低な奴だよな』 『生きてる価値があるのか?』 わかってる。 もう許されようとは思わない。 『アイツが可哀想過ぎるだろ』 『信じられない……』 大丈夫。 絶対に忘れることはしない。 『あんなことをする人だったなんて……』 『なんでお前みたいな奴なんかと……』 もう二度とこんなことを繰り返したりしないから。 同じ過ちを犯したりしないから。 『親友だと思ってたのに……』 『お前なんか死んでしまえ!』 ――――――ゴメンナサイ [[2日目【大家と囲う華麗なる朝食♪】]]へ

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