ズダダダダダダッ──
今日もまたいつものように階段を駆け降りてくる足音が聞こえて
「ごめんフェル、寝坊したッ!!」
いつもの朝が始まった。
第1話 専門家~Professional~
「おはよう、シル」
声を掛けられたフェル・・フェルシア・ルルーという少女はその少年ににっこりと笑い返した。
「起床時間って何時だっけ?(にっこり)」
いつもの朝、いつもの質問。
「・・5時40分、ですっ」
「今何時だっけ?(まだにっこり)」
「と、時計がないので分かりませんッ!」
額に冷や汗をかきながら いつもの返答をするシル。
「ん~とね、6時4分だよ~。おぉっ昨日より3分早い!!」
そんな緊張した場面に水をさすように、シルより少なくとも30分は早く起きてそこにいた少女が にこやかに返した。
「・・・はぁ・・。シル、明日こそは寝坊しないでね・・。じゃないと、明日こそは本当に魔法くらわせますよっ!」
あきれ顔でそう脅すが、本当はそんな事できないと自分でも分かっている。
──だって 怪我する可能性が少しでもある魔法なんて使えるわけないじゃない・・(´∧`゜。
ここで本当に魔法を使わないから いつまでたっても寝坊するんだ、とわかっていてもやっぱりできない優しい少女フェルシアであった。
『あ~今日もいつもの朝だぁ~♪』
そんな2人のやりとりを見ながら苦笑する さっき少年に時刻を伝えた少女、ルカ・バイオレスであった。
の、やりとりがあった23分後。
「・・・・お、はよう・・」
まだ開かない目を擦りながら とてとてと階段を上がってくる少女が1人。
「あ、迅伐おっはよ~♪」
「おぅ、っはよ~」
ルカとシルが挨拶を返したのに頷いただけで返し、また椅子に座って2度寝しようとしたツインテールの少女、迅伐・アミュレットの姿を見て・・
「もぉ・・なんで・・・・」
何度言ったら起床時刻を守ってくれるんだろう・・と頭をかかえるフェルシアであった。
「どしたフェル、もしかして頭痛いのか!?」
「無理しちゃダメだよフェルちゃんっ!!ホラ、今日ぐらいは休んだ方が・・」
「だ・・れのせいだと思ってるんですかぁ・・・(泣)」
『え、誰のせいなの?』
3人一緒に首を傾げる。
「はぁ・・・・・(泣)」
いつものことだからそろそろ慣れたいけど、
慣れたら真人間の道を踏み外してしまいそうで怖いフェルシアであった。
──ピーンポーンパーンポーン♪
そんな時に、その場内アナウンスは響いた。
『シセアゼオン隊長 フェルシア・ルルー様
お客様がお越しです。
至急、正面来客ルーム03までお越し下さい──』
「お客様・・・・?」
確か他に予定がなかった事を思い起こしながら、フェルシアは部屋を後にした。
──ソレガ、全テノ 始マリダッタ。
歯車が動き出した。
もう誰も止められない歯車が。
何せ 神様の動かす歯車なのだから。
止められるのは、神だけだ──
ガチャッ・・・
扉を開けて、最初に聞こえてきたのは
「ぅあああぁ本当に本物でモノ本のフェルシア様ですぅ───っ!?」
という叫び声だった。
「・・・・・・」
一瞬 反射的にドアを閉めそうになったが理性で抑えて、フェルシアは笑顔で返した。
「はい、“本物の”フェルシア・ルルーですが・・・・」
「あ、ごめんなさいっ気に障りましたか?ましたよね?すみませんっ;;」
先程 黄色い声を上げた少女は自分でそう自問自答してペコッと頭を下げた。
「あ いえ、けっしてそんなことは・・・結構慣れてますし」
黄色い声には街で、妙なハイテンションとマイペースにはルカと迅伐で。
「ととっ、まずは
自己紹介ですよね」
そこで思い当たったのかその少女は自分を指差した。
「私はミント・スフィア。今日から工学部でお世話になりますっ」
そして自分の隣に置いてある青くて丸い物体を差して
「で、こっちは“a trial product=R-1”って言う通称あっ君です!まだ試作段階なんですけど今でももう喋る機能が付いてます!
んで それからそれから、こっちは・・」
そしてミントは自分の右隣りに座っていた黒髪の女性を指差した。
「初めまして、フェルシア様。本日付けで医学部に配属になりました、レイ・エミルと申します。」
「これは・・ご丁寧に、先程もお預かり致しましたフェルシア・ルルーです。貴殿の今刻より一層の御尽力を・・・」
「あ・・そ、そんな敬語 私なんかに大丈夫ですよ。ありがとうどざいます」
最終更新:2008年02月29日 23:27